ワークフローシステムの「分岐」と聞いて、ピンとくる方はそんなに多くは無いのではないでしょうか。ワークフローシステムの「分岐」は、申請者や承認者(決裁者)の申請作業の負担を軽減する可能性を持っています。うまく利用することで手戻りや再申請などの頻度を減らすことが可能になります。今回は、そんなワークフローシステムの「分岐」について、ご紹介していきたいと思います。
ワークフローの「分岐」とは
「分岐」を辞書で調べると、「行く先が別々に分かれること」や「ふたまたになること」などの意味が出てきます。
このブログ内でのワークフローシステムの「分岐」とは、申請書(稟議書)の種類や入力した内容に応じて、ワークフローシステムが自動で判断して処理を行うことを指します。前述で「自動で判断して」と記載しましたが、事前に具体的な条件や処理の内容などを設定しておくことで、条件に応じた処理を自動的に行ってくれる、便利な機能になります。
ただし、「分岐」の設定の数を多くすると管理が大変になり、申請書(稟議書)や承認ルートなどの追加、編集、削除した時の影響を考慮する必要があります。自社の申請業務の知識、ワークロー製品に対する知識を持ち合わせた人材ではないと、正しく設定を行うことができません。便利な反面、正しく理解して利用しないと、トラブルを引き起こす原因に繋がります。
ワークフローの「分岐」の種類
次にワークフローシステムの主な「分岐」の種類を下記にご紹介します。
- 申請書(稟議書)の内容の自動チェック機能
- 承認ルートの自動選択機能
「申請書(稟議書)の内容の自動チェック機能」は、申請者が申請書(稟議書)に必要な事項を入力した内容を自動チェックする機能になります。この機能を利用するには、申請書(稟議書)毎に入力チェックの内容を設定する必要があります。代表的なものでは下記のようなチェックがあります。
- 必須入力チェック
- 文字数チェック
- 属性チェック(金額など)
- 存在チェック(ユニークなキーや、コードの存在チェック)
- 外字チェック
「承認ルートの自動選択機能」は、申請者が申請書(稟議書)を申請した際に、申請した内容に応じて、承認ルートを自動的に選択する機能になります。この機能を利用するには、まず承認ルートを複数作成します。その後、申請書(稟議書)毎に申請内容に応じた承認ルートを切り替える設定を行う必要があります。代表的なものでは下記のようなケースがあります。
- 申請者に応じて承認ルートを変更したいケース
- 申請書(稟議書)の入力内容に応じて承認ルートを変更したいケース
ワークフローの「分岐」が便利な場面
それでは具体的に、ワークフローシステムの「分岐」が便利な場面を下記にご紹介します。
- 申請書(稟議書)の入力漏れやミスを防ぐ
- 申請書(稟議書)の金額が規定の金額以上の場合に社長承認(決裁)が必要になる
「申請書(稟議書)の入力漏れやミスを防ぐ」について、それぞれの立場から便利な点を下記にご紹介します。
- 申請者
- 申請書(稟議書)の入力内容のセルフチェックがしやすい(入力エラーが無いことを確認)
- 申請書(稟議書)の差し戻しによる再申請の頻度を低減できる
- 承認者(決裁者)
- 申請書(稟議書)の内容を確認する箇所を限定的にできる
- 申請書(稟議書)の差し戻しの頻度を低減できる
「申請書(稟議書)の金額が規定の金額以上の場合に社長承認(決裁)が必要になる」について、それぞれの立場から便利な点を下記にご紹介します。
- 申請者
- 申請書(稟議書)の承認ルートを意識する必要が無く、承認ルートの変更が不要になる
- 承認者(決裁者)
- 申請書(稟議書)の承認ルートの不備による差し戻しが無くなる
ワークフローの「分岐」で困る場面
今度は逆に、ワークフローシステムの「分岐」で困る場面を下記にご紹介します。
- 申請書(稟議書)の誤った入力チェックにより正しい値を入力できない
- 申請書(稟議書)の金額が申請途中で変更になる
「申請書(稟議書)の誤った入力チェックにより正しい値を入力できない」について、それぞれの立場から困る点を下記にご紹介します。
- 申請者
- 正しい値を入力できないため、申請書(稟議書)を申請できない
- ワークフローシステム管理者へお問い合わせ行う必要がある
- 承認者(決裁者)
- 期限が決まっている申請書(稟議書)が申請されない
- ワークフローシステム担当者
- 申請者からのお問い合わせ対応を行う必要がある
(必要に応じて、申請書(稟議書)の入力チェックの見直しを行う必要がある)
- 申請者からのお問い合わせ対応を行う必要がある
「申請書(稟議書)の金額が申請途中で変更になる」について、それぞれの立場から困る点を下記にご紹介します。
- 申請者
- 申請書(稟議書)の申請を取り下げる必要がある
- 申請書(稟議書)を再申請する必要がある
- 承認者(決裁者)
- 期限が決まっている申請書(稟議書)が申請されない
ワークフローの「分岐」のまとめ
ここまでワークフローの「分岐」について、ご紹介してきましたがいかがでしたでしょうか。
社内の申請業務を根本的に無くすことは多くの企業でできないことだと思います。そんな中で、なんとかして申請業務の負担を減らしたいという企業は多いと感じています。ワークフローシステムの「分岐」は、申請業務の更なる負担軽減に繋がるものの一つです。上手に活用することで、大変大きな効果を生むことができると思います。
ただし、ワークフローシステムの「分岐」に頼りすぎると、ワークフローシステムの管理が大変になることが予想されます。そういった場合は、ワークフローシステムの運用面でカバーすることもおすすめします。
例えば、申請書(稟議書)の金額に応じて、承認ルートを分岐させる方法について、これは一見便利に思われるかもしれませんが、申請の途中で金額が変更になった場合の対応を考慮しなければなりません。一度、申請書(稟議書)を取り戻し、再申請を行う方法もありますが、最初から、承認ルートが分岐するような申請書(稟議書)は用意せずに、承認ルートが固定の申請書(稟議書)を複数用意することも検討した方がよいと思います。この辺は、ワークフローシステムの導入前の分析で、ケースバイケースのシナリオを考え、対応方法を事前に決めておくことが重要になります。ここまでの内容がお役に立てたのであれば幸いです。
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