電子帳簿保存法の令和4年改正が迫っています。電子帳簿保存法改正のメリット・デメリットやと電帳法要件とはどんなものなのでしょう?そして電帳法を導入すれば、ペーパーレス化は実現できるのでしょうか?本記事では、電帳法対応のための社内規定・ルールの修正や、ワークフローシステムでカバーできる対応範囲についてわかりやすく解説していきます。
※2021年12月6日に政府・与党が公開した情報により、2022年1月の改正では電子取引における電子データ保存の義務化の予定が、2年間の猶予期間を設けることになりました。猶予期間を設けることで、2022年1月から2年間は紙での保存も容認されることとなります。
電子帳簿保存法 令和4年(2022年)改正とは? 改正‘前’のデメリットも紹介
電子帳簿保存法 令和4年改正が迫っています(以下、電子帳簿保存法改正)。企業は電子帳簿保存法改正を導入することで業務の効率化に期待しています。そして悲願のペーパーレス化にも高い期待を持っています。しかし今回の電子帳簿保存法改正‘前’は、とても企業が運用できる制度ではありませんでした。その理由は「導入のデメリットが多すぎる! 運用は無理だ!」と感じる制度だったからです。電子帳簿保存法改正‘前’はどのようなデメリットがあったのでしょうか?
【電子帳簿保存法改正‘前’のデメリット】
すべての領収書に直筆フルネームの署名が必要
受領者本人による直筆フルネームの署名をして、写真撮影又はスキャナー保存が必要になる
3営業日以内にタイムスタンプを付与
受領の翌営業日3日以内に、タイムスタンプをシステム付与する必要がある
第三者チェックと定期検査のけん制・確認
第三者による紙とデータの定期検査のために保管し、相互けん制と不正防止対策をつくらなければならない
指定されている多くの検索条件の装備
日付・金額・支払先・その他項目と、複合条件、日付範囲指定などの検索条件に対応しなければならない
実質、1年以上前から税務署へ申請準備が必要
電子データ保存をする3ケ月前から申請し、事業年度開始前に承認を取る必要がある
そして、電子帳簿保存法改正‘前’の最大のデメリットはこちらです
電子データの保存だけでなく、すべて書面の保存も必要と定められている
(期間7年~10年+保存場所の確保)
電子帳簿保存法改正‘前’の制度は、国税局や税務署が国税関係書類の改ざん・不正防止と適切な税徴収を優先するため、企業での運用には無理がある内容だったのです。「導入のデメリットが多すぎる! 運用は無理だ!」と企業が感じるとは当然ですよね。これでは電子帳簿保存法改正の導入どころか、ペーパーレス化に近づくこともできません。しかし電子帳簿保存法改正では、これらのデメリットが廃止されるため、運用が現実味を帯びてきたのです。「これならメリットがある!導入できるかもしれない」と企業が感じている改正後のメリットとはどんなものなのでしょうか?
電帳法導入のメリット 細かく広い電帳法要件
電子帳簿保存法は令和4年1月1日から大きく改正されます。これまでの電子帳簿保存法のデメリットが改善され、テレワークや働き方改革にあった、導入しやすい制度になっているのです。具体的な電子帳簿保存法改正の内容やメリットは下記の通りです。
【電子帳簿保存法改正のメリット】
直筆署名は不要
直筆による署名は不要のため、写真撮影又はスキャナー保存の作業は楽になる
2ケ月+7営業日以内にタイムスタンプを付与
2ケ月+おおむね7営業日以内に、タイムスタンプ付与でOK。一定条件が整えばタイムスタンプは不要(社内規定と業務フロー策定をする必要あり)
第三者チェックと定期検査等は無し
社内規定と事務処理フローを作り、相互けん制と不正防止対策を行えばよくなった
3つの検索条件に緩和
日付・金額・支払先の3つの項目の検索条件になった。2つ以上の複合条件と日付範囲指定の検索条件に対応。検索できて、改ざんできなければEXCEL(エクセル)でもOK
税務署への事前申請は不要
電子データ保存はいつからでもOKで、事前申請は不要。事業年度開始に合わせた方が運用しやすいが、いつから始めてもかまわない
そして、電子帳簿保存法改正の最大のメリットはこちらです
電子データを印刷して保存しなくていい。書面で印刷して保存しなくてもよくなった
ここまで緩和されたら「運用が現実的であり、メリットが多い!」と企業は感じるでしょう。そして、これまでなかなかできなかったペーパーレス化が実現に近づくかも?と思うとワクワクしますね。これならぜひ導入してみたい!と感じる人は多いと思いますが、ちょっと待ってください。そう簡単に導入できないのが電子帳簿保存法改正なのです、その最大の理由は、電子帳簿保存法改正(以下より、電帳法)の要件に従った対応範囲がとても細かく、広いからなのです。
電帳法の要件に従うべきポイントはたくさんあります。代表的なものとして、スキャナー保存があります。メリットで記載した「2ケ月+おおむね7営業日以内に、タイムスタンプ付与でOKであり、一定条件が整えばタイムスタンプは不要」がありました。もっと細かい電帳法の要件をご紹介すると「入力期限内に入力が確認できる他社クラウドサービスであることと、納税地で確認と印刷ができること」があります。「一定条件が整えばタイムスタンプは不要」と要件に記載されていますが、「入力期限内に入力が確認できる他社クラウドサービスであること」とも表記されているのです。
データ保存に関する要件も細かく、広いと言えるでしょう。メリットで記載した「日付・金額・支払先の3つの項目の検索条件になった。2つ以上の複合条件と日付範囲指定の検索条件に対応」」がありましたが、もっと細かい電帳法の要件をご紹介すると「保存された電子データは改ざんできず、明細毎に検索できなければならない」があります。改ざんできないだけでなく、明細毎に検索できなければならないと表記されているのです。仕訳伝票番号と連携する明細毎の検索データにするべきなのでしょうか?
これらスキャナー保存やデータ保存などは、電帳法の従うべき要件にほんの一部です。電帳法で調査と確認をしていただきたい点はたくさんありますので、まずは電帳法を勉強し、会計事務所や監査法人に相談をしましょう。
電帳法とペーパーレス化にワークフローシステムが近道と言われる理由
このように電帳法を導入するための要件や対応範囲は細かく広いです。まず電帳法導入を検討するならば、社内規定やルールをつくり、運用を考えることをおすすめします。実際に自社が電帳法を運用できるか業務整理をして、社内規定を見直してみましょう。そして現実的に運用できるルールと社内規定、業務フローを策定していくという第一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。
しかし、社内運用や規定の改善だけでなく、システム導入によってカバーできるところは早く運用を構築したい!と考える方もいるかと思います。電帳法導入を検討しながら、悲願であったペーパーレス化の実現のためのシステム対応範囲を考え、進めていきたいものです。電帳法とペーパーレス化は、業務とシステム対象範囲が広いですが、その対象をカバーできる範囲が広いのが、ワークフローシステムです。
電帳法対応のため、電子化されたものはすべて会社として承認されている状態でなければなりません。社内規定やルール、業務フローにも「社内承認されている」と記載されているはずです。スキャナー保存やデータ保存し、社内承認されたものが、国税関係書類=電子化データとして提出されなければなりません。このような背景から、電帳法対応のためには申請・承認業務のシステム化は不可欠と言われています。よってカバーできる範囲の広い、ワークフローシステムの導入・活用が電帳法対応の近道と言われているのです。
ドキュメント管理システムやAI-OCRも電帳法対応のためには必要なシステムと言われています。このようなシステムの利用から検討した方がよい企業もあると思います。ただ、ワークフローシステムの活用は、電帳法対応のために必要不可欠であることは今一度押さえていただければと思います。
まとめ
電子帳簿保存法のメリット・デメリットと、電帳法要件について解説してまいりました。電帳法導入に対応するための第一歩として、まず電帳法の要件を勉強し、社内規定を修正していくことから始めましょう。そして申請・承認業務をワークフローシステムでシステム化しカバーしていくことが、対応範囲が広い電帳法対応にとって重要なポイントになります。
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