ワークフローの承認ルートとは?
システムを使った設定方法と種類を網羅的に解説

公開日 2025.11.10  
 陰山 祐

この記事でわかること

  • ワークフローにおける承認ルートの重要性
  • 代表的な承認ルートの種類と具体例
  • 自社に合った承認ルートを設計するポイント
  • ワークフローシステム導入によるメリット
  • 承認機能で失敗しないシステム選定のチェックリスト

稟議書の承認に時間がかかる、責任の所在が曖昧といった課題は、適切な承認ルートが設定されていないことが原因かもしれません。本記事では、ワークフローにおける承認ルートの基本から、システムを使った効率的な設定方法、失敗しない設計のポイントまでを網羅的に解説します。この記事を読めば、自社の業務プロセスを最適化し、迅速な意思決定を実現するヒントが得られます。

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ワークフローにおける承認と承認ルートの基本

ワークフローにおける承認と承認ルートの基本

企業や組織において、物品の購入から経費の精算、契約の締結に至るまで、日々さまざまな申請業務が発生します。これらの申請が正式な意思決定として認められるためには、「承認」というプロセスが不可欠です。そして、その承認プロセスを円滑かつ適切に進めるための道筋が「承認ルート」です。本章では、ワークフローの根幹をなす承認と承認ルートの基本的な考え方、その重要性、そして設定が不適切だった場合に生じる問題点について詳しく解説します。

承認ルートとは?その重要性を理解する

承認ルートとは、申請された内容が、決められた手順に沿って関係者の承認を経て、最終的に決裁されるまでの一連の経路・道筋のことを指します。 例えば、一般社員が提出した経費精算申請書が「直属の上長 → 経理担当者 → 経理部長」という順番で確認・承認されていく流れが、これにあたります。 このルートは、単にハンコをもらう順番を決めるだけのものではありません。組織の公式な意思決定プロセスを保証し、業務の透明性と責任の所在を明確にするという極めて重要な役割を担っています。 適切な承認ルートが整備されていることで、各担当者は自身の権限と責任の範囲で申請内容をチェックし、組織として統一されたルールのもとで業務を遂行できるようになるのです。

承認ルートが適切でない場合に起こる問題点

もし、この承認ルートが曖昧であったり、業務の実態に合っていなかったりすると、組織運営にさまざまな支障をきたします。ここでは、不適切な承認ルートが引き起こす代表的な問題点を3つの側面から見ていきましょう。

業務プロセスの遅延

承認ルートが不明確だと、申請者は「この申請は、次に誰に回せば良いのか?」と迷ってしまい、申請業務そのものが停滞します。 また、本来不要な承認ステップがルートに含まれている場合や、特定の承認者に業務が集中してしまう場合も、承認プロセス全体のボトルネックとなり、意思決定の遅延につながります。 例えば、少額の備品購入申請にもかかわらず、部長や役員の承認まで必要としていては、承認完了までに多大な時間を要してしまいます。このような業務の遅延は、ビジネスチャンスの損失に直結する可能性も否定できません。

内部統制・コンプライアンス上のリスク

適切な承認ルートは、企業の内部統制を機能させる上で不可欠な要素です。 ルートが整備されていないと、職務権限規程を無視した承認が行われたり、必要なチェック機能が働かなかったりすることで、不正行為やミスの発生リスクが高まります。 例えば、本来決裁権限のない人物が誤って高額な契約を承認してしまうといった事態は、企業に深刻な損害を与えかねません。承認プロセスの不備は、会計監査で指摘を受ける原因ともなり、企業の信頼性を大きく損なうことにつながります。

リスクの種類 具体的な問題例
不正行為のリスク 権限のない担当者が自分自身で申請と承認を行い、不正に経費を着服する。
コンプライアンス違反 法的に必要な承認プロセス(例:個人情報の取り扱いに関する承認)が欠落し、法令違反を犯してしまう。
監査上のリスク 承認履歴が残っておらず、監査時に業務プロセスの正当性を証明できない。

責任の所在が不明確になる

承認ルートが曖昧だと、ある申請に対して「誰が最終的な承認者なのか」が分からなくなる問題が発生します。 例えば、本来の承認ルートにはない担当者が善意で承認印を押し、そのまま決裁されてしまった場合を考えてみましょう。後日、その申請内容に問題が発覚した際に、誰がどのような権限で承認したのかが不明確になり、責任の所在を明らかにすることが困難になります。 承認プロセスにおける責任の所在が曖昧であると、問題発生時の原因究明や再発防止策の策定が難しくなるのです。

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【パターン別】ワークフローの代表的な承認ルートの種類

【パターン別】ワークフローの代表的な承認ルートの種類

ワークフローの承認ルートは、単一の決まった流れだけではありません。申請の種類や組織のルールに応じて、複数のパターンを使い分けることが業務効率化の鍵となります。ここでは、多くのワークフローシステムで採用されている代表的な承認ルートの種類と、それぞれの特徴や活用シーンを詳しく解説します。

直線型承認ルート

直線型承認ルートは、申請者から第一承認者、第二承認者へと順番に一方向で承認が進む、最もシンプルで基本的なルートです。 多くの企業で稟議書や各種届出など、一般的な申請業務に用いられています。例えば、「申請者→直属の上長→部長」といった、組織の階層に沿った承認プロセスがこれに該当します。

直線型承認ルートの概要
項目 内容
メリット ルートが単純で分かりやすく、誰でも直感的に承認の流れを理解できます。設定も容易なため、多くの申請業務に適用可能です。
デメリット 承認ルートの途中で誰かが不在の場合、承認プロセス全体が停滞してしまいます。また、すべての申請が同じルートを辿るため、内容によっては不要な承認者が介在し、リードタイムが長くなる可能性があります。
主な活用シーン
  • 有給休暇申請
  • 経費精算
  • 稟議書(少額の場合)

並列承認ルート(AND承認)

並列承認ルートは、複数の承認者や部署に対して同時に承認依頼が送られ、全員の承認をもって次のステップに進む、あるいは決裁が完了するルートです。 これは「AND承認」とも呼ばれます。 例えば、複数の部門が関わるプロジェクトの稟議などで、関係各部署の責任者全員の合意が必要な場合に利用されます。

並列承認ルート(AND承認)の概要
項目 内容
メリット 複数の視点から同時に内容をレビューできるため、多角的な判断が可能となり、コンプライアンス強化やリスク管理に繋がります。関係者への情報共有も迅速に行えます。
デメリット 承認者の一人でも承認しない、あるいは不在で対応が遅れると、プロセス全体が停滞します。 全員の承認が必要なため、直線型に比べて決裁までの時間が長くなる傾向があります。
主な活用シーン
  • 複数部署が関わる契約書の稟議
  • 採用に関する稟議(人事部と配属先部署の承認)
  • システム導入に関する稟議(情報システム部と利用部署の承認)

分岐承認ルート

分岐承認ルートは、申請された内容や金額などの条件に応じて、承認ルートが自動的に分岐する仕組みです。 例えば、「購入申請において、金額が10万円未満なら課長の決裁のみ、10万円以上50万円未満なら部長決裁、50万円以上なら役員決裁」といったように、職務権限規程に基づいた柔軟なルート設定が可能です。

分岐承認ルートの概要
項目 内容
メリット 申請内容に応じて最適なルートを自動で選択するため、申請者がルートを判断する手間が省け、間違いを防ぎます。不要な承認ステップを省略できるため、意思決定の迅速化に大きく貢献します。
デメリット 条件設定が複雑になりすぎると、ルートの全体像が把握しにくくなり、管理が煩雑になる可能性があります。人事異動や組織変更の際には、設定の見直しが必須となります。
主な活用シーン
  • 稟議書(決裁金額に応じた分岐)
  • 備品購入申請(購入する物品の種類や金額に応じた分岐)
  • 出張申請(国内か海外かによる分岐)

合議(OR承認)

合議ルートは、並列承認の一種ですが、複数の承認候補者のうち、誰か一人でも承認すれば次のステップに進む、あるいは決裁が完了する点が大きく異なります。 これは「OR承認」とも呼ばれます。 同じ役職の承認者が複数いる部署などで、担当者が不在の場合でも他のメンバーがカバーできる体制を築くのに有効です。

合議(OR承認)の概要
項目 内容
メリット 承認担当者が出張や休暇で不在の場合でも、他の承認者が代理で対応できるため、業務の停滞を防ぎ、承認スピードを維持できます。
デメリット 誰が承認したかによって判断基準にばらつきが出る可能性があります。また、承認責任の所在が曖昧になりやすいという側面もあります。
主な活用シーン
  • 複数名で管理している共有事項の確認
  • 課長職が複数名いる部署での一次承認
  • ヘルプデスクなど、チームで対応する問い合わせの受付確認

代理承認とスキップ機能

上記の基本的な承認ルートに加えて、多くのワークフローシステムには、業務の停滞を防ぎ、より柔軟な運用を可能にするための補助的な機能が備わっています。

代理承認

本来の承認者が長期出張や休暇などで対応できない場合に、あらかじめ指定された別の人が代理で承認を行える機能です。 権限移譲のルールを明確にしておくことで、俗人化を防ぎ、スムーズな業務継続を可能にします。システムによっては、代理設定の期間を指定したり、代理権限の範囲を限定したりすることもできます。

スキップ機能

特定の条件下で、承認ルートに含まれる一部の承認者を自動的にスキップ(飛ばす)する機能です。例えば、申請者自身が承認ルートに含まれている場合(自己承認)、そのステップを自動でスキップすることで、不正な承認を防ぎ、内部統制を強化します。また、「課長が申請した場合は、課長の承認ステップをスキップして部長から承認を開始する」といった設定も可能です。

失敗しないワークフロー承認ルートの決め方・設計のポイント

失敗しないワークフロー承認ルートの決め方・設計のポイント

ワークフローの承認ルートを適切に設計することは、業務効率化と内部統制強化の双方を実現するために不可欠です。場当たり的な設定ではなく、明確なルールに基づき、業務の実態に即した柔軟なルートを構築することが求められます。ここでは、失敗しない承認ルートの決め方と設計における重要な3つのポイントを解説します。

職務権限規程を基にルールを明確化する

承認ルート設計の最も重要な基盤となるのが「職務権限規程」です。 これは、各役職者が持つ責任と権限の範囲を公式に定めたものであり、誰が何をどこまで決定できるのかを明確にするためのルールです。この規程に沿って承認ルートを設定することで、個人の判断によるブレや混乱を防ぎ、一貫性のある意思決定プロセスを確立できます。

職務権限規程には、一般的に以下のような項目が定められています。規程が存在しない場合は、内部統制を強化するためにも作成を検討しましょう。

規定項目 内容例
決裁事項 物品購入、契約締結、経費精算、人事関連申請など
申請部署・起案者 申請や起案が可能な部署や役職
承認権者・決裁権者 各決裁事項に対する承認者および最終的な決裁権を持つ役職
金額上限 役職ごとに決裁できる金額の上限
関連部署 内容に応じて確認や合議が必要となる部署(法務部、経理部など)

このように、組織の公式ルールを拠り所とすることで、「誰の承認を得ればよいのか」という迷いをなくし、ガバナンスの効いた円滑な組織運営を実現します。

申請内容や金額に応じてルートを最適化する

すべての申請を画一的なルートで処理するのは非効率です。申請の種類や重要度、金額などに応じて承認ルートを最適化することで、意思決定のスピードと適切なリスク管理を両立させることができます。

金額による条件分岐

最も一般的な最適化手法が、申請金額に応じた条件分岐です。 例えば、「10万円未満の物品購入は課長決裁、100万円以上は部長決裁」のように、金額の大きさに応じて承認者の役職を上げることで、リスクの高い案件に対してはより上位の役職者が責任を持って判断する体制を構築できます。 これにより、少額の申請は現場に近い管理職が迅速に処理し、高額な申請は組織として慎重に判断するという、効率的かつ安全なプロセスが実現します。

申請の種類によるルート設定

申請内容によって、経由すべき部署や担当者は異なります。それぞれの業務プロセスに合わせて、専門部署を承認ルートに組み込むことが重要です。

申請の種類 ルートに含めるべき部署・担当者の例 理由
新規取引先の登録 与信管理部門、法務部門 取引先の信用情報や契約内容の妥当性を専門的な視点で確認するため。
ソフトウェアの導入 情報システム部門 セキュリティリスクや既存システムとの互換性を評価するため。
プレスリリースの配信 広報部門、法務部門 企業ブランドイメージの維持と、表現内容の法的リスクをチェックするため。

このように、申請内容に応じて関係各所のレビューを経ることで、多角的な視点でのチェックが可能となり、組織全体のリスクを低減します。

定期的な見直しと改善のプロセスを設ける

承認ルートは一度設定したら終わりではありません。組織やビジネス環境の変化に対応し、常に最適な状態を保つためには、定期的な見直しと改善のプロセスが不可欠です。

組織変更や人事異動への対応

企業の成長に伴う組織改編や人事異動は頻繁に発生します。その際に、承認ルートが古い情報のままだと、承認者が存在しない、あるいは不適切な担当者に申請が回付されるといった問題が生じ、業務の停滞を引き起こします。組織体制の変更があった際には、速やかに承認ルートをメンテナンスする仕組みを整えておくことが重要です。

業務プロセスの変化に合わせた見直し

ビジネスの状況は常に変化しており、それに伴い業務プロセスも変わっていきます。例えば、承認の遅延が頻発している箇所はないか、形骸化して不要になっている承認ステップはないかを定期的に分析し、ボトルネックを解消していく必要があります。承認にかかる時間や差し戻しの頻度などをデータで可視化し、客観的な事実に基づいて改善のサイクル(PDCA)を回していくことが、継続的な業務効率化につながります。

現場からのフィードバックを収集する

実際に申請や承認を行う現場の従業員からは、「この承認ステップは不要ではないか」「ルートが複雑すぎて分かりにくい」といった実践的な意見が挙がってくることがあります。こうした現場の声を収集し、承認ルートの改善に活かす仕組みを持つことも大切です。形骸化したルールを見直し、実態に即したプロセスへとアップデートし続けることで、従業員の満足度向上と生産性の両立を図ります。

ワークフローシステムの承認機能で業務を効率化

ワークフローシステムの承認機能で業務を効率化

ここまでの章で、適切な承認ルートの設計がいかに重要であるか、そしてその設計にはどのようなパターンがあるかを解説しました。しかし、どれだけ完璧な承認ルートを設計しても、それを紙やExcelといった手動のプロセスで運用し続けるには限界があります。人的ミスによるルート逸脱、承認の遅延、進捗状況の不透明さといった課題は、依然として残るでしょう。こうした課題を根本から解決し、承認業務を飛躍的に効率化するツールが「ワークフローシステム」です。

ワークフローシステムを導入することで、これまで手作業で行っていた申請から承認、決裁、そして保管までの一連の流れを電子化・自動化できます。本章では、ワークフローシステムの承認機能がもたらす具体的なメリットと、高機能なシステムで何が実現できるのかを詳しく解説します。

システム導入による承認プロセスのメリット

ワークフローシステムを導入することで、承認プロセスは劇的に改善されます。ここでは、特に重要なメリットを3つの側面に分けてご紹介します。

承認状況の可視化

紙やメールでの申請では、「今、自分の申請が誰のところで止まっているのか」「いつ承認されるのか」といった状況が分からず、申請者が不安になったり、確認のために余計なコミュニケーションコストが発生したりすることがあります。

ワークフローシステムを導入すれば、申請案件ごとの進捗状況がリアルタイムで可視化されます。申請者はいつでも自分の申請がどの承認者の手元にあるかを確認でき、承認者も自分が処理すべきタスクの数や内容を一覧で把握できます。これにより、承認のボトルネックが明確になり、プロセス全体のスピードアップにつながります。多くのシステムには、承認が滞留している場合に自動で通知を送るリマインダー機能も搭載されており、承認漏れや遅延を未然に防ぎます。

ペーパーレス化とコスト削減

従来の紙ベースの運用では、さまざまなコストが発生していました。ワークフローシステムの導入は、これらのコストを大幅に削減します。

コストの種類 紙運用での課題 ワークフローシステム導入による効果
直接コスト 申請書の印刷代、インク代、紙代、保管用のファイルやキャビネット代、拠点間の郵送費など、物理的なコストがかかる。 すべてのプロセスが電子化されるため、これらの物理的なコストが不要になる。
間接コスト(人件費) 書類の作成、印刷、手渡しや郵送での回付、ファイリング、過去の書類を探し出す作業など、多くの時間と手間がかかる。 申請・回付・保管がシステム上で完結するため、従業員が本来のコア業務に集中できる時間が増え、生産性が向上する。
保管・管理コスト 法定保存期間のある書類を保管するための物理的なスペースが必要。また、書類の劣化や紛失のリスクもある。 データとしてサーバーやクラウド上に安全に保管されるため、保管スペースが不要になり、検索も容易になる。電子帳簿保存法に対応したシステムを選べば、法改正にもスムーズに対応可能。

属人化の防止と組織変更への柔軟な対応

「この申請は〇〇部長の承認が必要だが、長期出張中で不在のため業務が止まってしまう」といった経験はないでしょうか。これは業務の属人化が引き起こす典型的な問題です。

ワークフローシステムでは、代理承認者を事前に設定しておくことで、担当者不在時も業務を停滞させません。また、承認ルートそのものがシステムに登録されているため、「誰に承認をもらえばよいか分からない」といった問題も解消され、業務の標準化が促進されます。

さらに、人事異動や組織改編があった際も、システムの管理者画面から承認ルートの設定を容易に変更できます。紙の規定集を更新して全社に周知するといった手間がなく、迅速かつ正確に新しい組織体制に対応できる点も大きなメリットです。

複雑な承認ルートも簡単設定!ワークフローシステム「AppRemo」の紹介

数あるワークフローシステムの中でも、特に柔軟な承認ルート設定と簡単な操作性で評価されているのが、株式会社システムエグゼが提供する「AppRemo(アップリモ)」です。ここではAppRemoを例に、高機能なワークフローシステムで実現できることをご紹介します。

ドラッグ&ドロップで直感的に承認ルートを作成

AppRemoの大きな特長は、プログラミングなどの専門知識がなくても、ドラッグ&ドロップの直感的な操作で承認ルートを作成・編集できる点です。まるでフローチャートを作成するような感覚で、承認者や承認ステップを追加・変更できます。これにより、情報システム部門に頼ることなく、業務を最もよく知る現場の担当者自身が、ビジネスの変化に合わせて迅速に承認ルートをメンテナンスできます。

条件分岐や代理承認にも標準で対応

第2章で解説したような複雑な承認ルートも、AppRemoなら簡単に設定可能です。例えば、「申請金額が10万円未満なら課長決裁、10万円以上50万円未満なら部長決裁」といった金額による条件分岐や、「申請内容がIT関連であれば情報システム部を経由する」といった内容に応じたルート分岐も標準機能で対応しています。もちろん、前述した代理承認や、複数人の承認をもって次に進む並列承認(AND承認)なども柔軟に設定できます。

既存のExcel申請書をそのまま使える「AppRemo」の強み

ワークフローシステムの導入で多くの企業が直面する課題が、「新しい申請フォームに慣れるのが大変」という現場の抵抗感です。AppRemoは、この課題を解決する画期的な機能を備えています。

それは、現在お使いのExcel申請書を、そのままのレイアウトでワークフローシステムのフォームとして取り込める機能です。使い慣れた見た目や入力項目のまま電子化できるため、現場の従業員は操作に迷うことなく、スムーズに新システムへ移行できます。この「脱Excelハンコ」を実現できる点が、AppRemoが多くの企業に選ばれている大きな理由の一つです。

ワークフローシステムを選ぶ際の承認機能チェックリスト

ワークフローシステムを選ぶ際の承認機能チェックリスト

ワークフローシステムの導入を成功させる鍵は、自社の複雑な承認プロセスにシステムがどれだけ適合するかという点にあります。高機能なシステムを選定したとしても、肝心の承認ルートが設定できなかったり、運用開始後のメンテナンスに手間がかかったりしては、業務効率化という本来の目的を達成できません。この章では、システム選定で後悔しないために、承認機能に関して必ず確認すべきチェック項目を具体的に解説します。自社の運用ルールと照らし合わせながら、最適なシステムを見極めるための判断基準としてご活用ください。

承認ルート設定の柔軟性

企業の成長や事業内容の変化、関連法規の改正など、ビジネス環境の変化に伴い、社内の承認ルールは常に一定とは限りません。将来的な組織変更や職務権限規程の改定にもスムーズに対応できるよう、承認ルートを柔軟に設定・変更できるかは、ワークフローシステムを選定する上で極めて重要なポイントです。

多様な承認パターンへの対応力

まずは、自社で現在運用している、あるいは将来的に必要となる可能性のある承認パターンをシステム上で全て再現できるかを確認します。基本的な承認ルートだけでなく、イレギュラーなケースにも対応できるかを見極めましょう。

チェック項目 確認すべきポイント
基本的な承認ルート 直線型(申請者→上長→部長)、並列型(関係部署の複数名が同時に承認)、合議(複数名の承認者のうち誰か1名が承認)といった基本的なルートが網羅されているか。
条件分岐設定の自由度 申請金額や勘定科目、申請部署、特定のキーワードといった申請内容に応じて承認ルートを自動で分岐させられるか。複数の条件を組み合わせた複雑な設定は可能か。
代理承認・後閲機能 承認者の長期不在時に業務を停滞させないための代理承認設定や、決裁後の情報共有を目的とした後閲者(回覧者)の設定が、柔軟に行えるか。
スキップ機能 承認経路の途中に申請者自身や、すでに前のステップで承認済みの役職者が含まれる場合に、その承認ステップを自動でスキップする機能があるか。

運用開始後のメンテナンス性

システム導入はゴールではありません。組織変更や人事異動はどの企業でも定期的に発生します。その際に、システム管理者が簡単かつ迅速に設定変更できるかは、長期的な運用コストを左右する重要な要素です。

チェック項目 確認すべきポイント
直感的なルート設定画面 プログラミングなどの専門知識がなくても、ドラッグ&ドロップなどの直感的な操作で承認ルートを作成・編集できるか。
運用中のルート変更 人事異動があった際に、現在申請中の案件に影響を与えることなく、スムーズに新しい承認ルートへ移行できるか。過去の申請履歴は正しく保持されるか。

組織・人事マスタとの連携

人事異動や組織変更のたびに、ワークフローシステムの承認者情報を手動で更新するのは、多大な工数がかかるだけでなく、設定ミスの温床となり内部統制上のリスクにもなり得ます。人事情報システムなどと連携し、常に最新の組織情報が反映される仕組みがあるかを確認しましょう。

チェック項目 確認すべきポイント
人事情報システムとの連携 自社で利用している人事労務システム(SmartHR、freee人事労務など)やグループウェア(サイボウズ Garoonなど)とのAPI連携実績があるか。CSVファイルによる一括インポート/エクスポート機能に対応しているか。
ID管理システムとの連携 Active DirectoryやAzure Active DirectoryといったID管理システムと連携し、組織の階層構造や役職情報を自動で取り込み、承認ルートに反映できるか
複雑な組織体系への対応 一人の従業員が複数の部署を兼務している場合や、特定のプロジェクトチームへの所属など、複雑な組織体系にも柔軟に対応できるか。

スマートフォンや外部ツールからの承認可否

意思決定のスピードを向上させるためには、承認者が時間や場所を選ばずに承認作業を行える環境が不可欠です。特に、外出が多い役職者やテレワークを積極的に推進している企業にとっては、モバイル対応や普段利用している外部ツールとの連携機能は必須と言えるでしょう。

チェック項目 確認すべきポイント
マルチデバイス対応 スマートフォンやタブレットのブラウザでPCと同じように操作できるか。画面サイズに合わせて表示が最適化されるレスポンシブデザインに対応しているか。
専用スマートフォンアプリ プッシュ通知で承認依頼をリアルタイムに受け取れたり、アプリから申請書の詳細確認や承認・差戻しが簡単に行えたりする専用アプリが提供されているか。
メールからの直接承認 承認依頼の通知メールに記載されたリンクをクリックするだけで、システムにログインせずに承認処理が完了するか。これにより、承認のためだけの手間を大幅に削減できる。
ビジネスチャット連携 Microsoft TeamsやSlack、LINE WORKSといったビジネスチャットツールに承認依頼を通知し、チャットの画面上から承認操作が可能か。

よくある質問(FAQ)

Q1. ワークフローの承認ルートとは何ですか?

申請内容が承認されるまでの担当者や部署の順番を定めた経路のことです。適切な設定が業務効率化の鍵となります。

Q2. 承認ルートにはどのような種類がありますか?

全員が順番に承認する「直線型」、関係者が同時に承認する「並列承認」、条件によって経路が変わる「分岐承認」などが代表的です。

Q3. ワークフローシステムを導入するメリットは何ですか?

承認状況の可視化による進捗管理の容易化、ペーパーレス化によるコスト削減、属人化の防止といったメリットがあります。

Q4. 承認者が不在の場合はどうなりますか?

多くのシステムには「代理承認」機能があり、事前に代理者を設定しておくことで、業務の停滞を防ぐことができます。

Q5. 複雑な承認ルートでもシステムで設定できますか?

はい、高機能なワークフローシステムであれば、申請金額による分岐や複数部署の合議など、複雑な承認ルートも柔軟に設定可能です。

Q6. スマートフォンからでも承認できますか?

はい、スマートフォン対応のシステムを選べば、場所や時間を選ばずに申請・承認作業が行え、意思決定のスピードが向上します。

まとめ

本記事では、ワークフローにおける承認ルートの基本から種類、設計のポイントまでを解説しました。適切な承認ルートの設計と運用は、業務プロセスの遅延を防ぎ、内部統制を強化するために不可欠です。これらの実現には、柔軟な設定が可能なワークフローシステムの導入が最も効果的と言えるでしょう。直感的な操作で複雑な承認ルートも簡単に設定できる「AppRemo」なら、既存のExcel資産を活かしながらスムーズに業務を効率化できます。詳細は「AppRemo製品ガイド」をダウンロードしてご確認ください。


この記事の執筆・監修者
陰山 祐
陰山 祐
株式会社システムエグゼ 営業部 AppRemoチーム長 住宅業界のソリューション営業などの経歴を経て、2021年システムエグゼに入社。 以降、製造業や建設業など幅広いクライアントの業務効率化に貢献。 現在はAppRemoセールスグループ長としてチームを牽引しながら、 業務改善コンサルタントとしてセミナー等でノウハウ発信を行っている。
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