ワークフローをExcelで自作できれば、コストを削減しながら業務の効率化が可能です。本記事では、Excelでワークフローを自作する方法やそのメリット、デメリットなどを解説します。さらに、Excelで作成したフォーマットをそのまま使えるワークフローシステムもご紹介します。業務効率化のために、ワークフローの自動化をお考えの方は参考にしてください。
ワークフローシステムとは
ワークフローシステムとは、業務やプロセスの流れを電子化し、進行状況を可視化して、タスクを効率的に進めるための仕組みです。一部の業務プロセスを自動化することで、手動作業やヒューマンエラーを減らします。
ワークフローとは、例えば、書類の作成をはじめ、申請や承認処理などのプロセスです。このようなフローを管理することにより、担当者が一目で状況を把握できます。さらに、プロセスを自動化し、デジタル管理することで、紙ベースの運用や手作業によるミスを削減し、書類の紛失を防ぐことが可能です。
このように、ワークフローシステムの導入で、業務の効率化やヒューマンエラーの削減、ペーパーレス化を図ることができます。
ワークフローをExcelで自作する方法
専用のワークフローシステムを導入するにはコストがかかるため、Excelを活用してワークフローを自作することは手軽で効果的です。例として、稟議書のフォーマットから承認までのルート作業について、以下で手順を説明します。
稟議書のフォーマット作成
まず、稟議書のフォーマット作成の手順です。フォーマットを作成する際には、申請者の基本情報など、申請に必要な項目を整理することから始めます。
例えば、以下のように、ワークフローに必要な基本情報の項目をピックアップし、入力漏れが発生しないように確認が必要です。
- 所属部署名
- 申請者名
- 申請日
- 稟議内容や概要
- 金額
- 承認者ルート
その他に、入力項目ごとにセルを分け、ラベル、背景色、書式設定で申請者が分かりやすいようにデザインします。必要に応じて、セルに入力規則を設定することも有効です。
最後に、作成した稟議書のファイル形式を「Excelテンプレート(.xltx)」で保存します。
AppRemoでは、すぐに使える「14種類の申請書テンプレート」をご用意しています。稟議書をはじめ、経費精算申請書などあらゆる申請に対応できる申請書です。全て無料でダウンロードできますので、申請書の作成にお役立てください。
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承認ルートを作成
次に、承認ルートを作成します。稟議書の承認フローに必要な担当者を一覧で整理し、各担当者の役割や順番を明確化することが重要です。
承認ルートには、承認者、役職、コメント欄を用意し、承認フローを矢印で示すことで、承認順序を一目で分かるようにします。承認フローの可視化には、図形や線、条件付き書式を使ってビジュアル化すると一目瞭然です。
承認の進捗を他の担当者に通知する場合、VBA(Visual Basic for Applications)を活用すると、メール送信機能を追加できます。
ワークフローをExcelで自作するメリット
Excelでワークフローを自作することは、コストを抑え、自社の業務に合わせた柔軟性を確保できるなど、多くのメリットがあります。ここでは、Excelでワークフローを自作するメリットを深掘りして解説します。
コストが削減できる
Excelは、ビジネス現場ですでに導入しているか、パソコンに標準搭載されている場合が多いため、利用に追加費用がかかりません。ワークフローシステムを導入する場合、初期費用や月額料金が発生します。専用システムの導入コストは大きな負担になるケースが多いですが、Excelを活用すれば追加コストは不要です。
また、Excelは利用経験者が多く、既存のExcelスキルで運用できるため、運用コストも削減できます。追加の維持費や新たなライセンスも不要なため、手軽にワークフローの作成や導入検討を試すなど、トライアル的な運用も可能です。
プログラミング知識がなくてもできる
Excelは、ビジネスにおいて馴染みのあるツールであり、基本的な操作で自作できるため、プログラミング知識やスキルも不要です。例えば、正確性を保つIF関数、VLOOKUP関数や条件付き書式など、Excelの基本的な機能でシンプルなワークフローが作成できます。専門知識がなくとも、Excelのインターフェースは直感的に操作できる点もメリットです。
また、無料のテンプレートやアドインを活用することもでき、ゼロから作成する必要がありません。必要に応じた学習で対応できるため、学習コストが低いことも特徴です。
カスタマイズしやすい
Excelでワークフローを作成する場合、自社の業務フローに合わせた自由度の高いカスタマイズができます。自作により、編集や追加などアップデートも容易な点が魅力です。業務内容が変更になった場合でも、Excelのシートやマクロを修正することで、柔軟に対応できます。
小規模な業務から始めて徐々に機能拡張するなど、運用方法も調整できるため、必要に応じたスケーラビリティが可能です。
また、保存データから集計や分析がしやすいメリットもあります。Excelにはピボットテーブルやグラフ作成機能が搭載されており、ワークフローの進捗状況や承認履歴の可視化に有効です。
ワークフローをExcelで自作するデメリット
Excelでワークフローを自作する際、手軽に利用を始められるメリットがある一方で、いくつかのデメリットも存在します。デメリットや課題を理解し、用途や業務の規模に応じて慎重に検討することが重要です。
同時編集ができない
Excelファイルは単一ユーザーが編集を行う設計になっているため、ワークフローファイルの複数人による同時編集ができません。共有設定自体は可能ですが、同時に同じシートを編集すると、データの整合性が保てない可能性があります。そのため、同時編集は避けなければなりません。
このように、同時編集ができないことで、リアルタイムのファイル共有ができないことも問題です。アップデート時にファイル配布が必要なことや、バージョン管理の必要があります。また、メールやクラウドストレージ経由など、ファイル共有と周知方法の検討が重要です。
他のシステムとの連携が難しい
Excelでの自作ワークフローは、社内の既存システムとの連携に複雑な手順が必要な場合もあり、データのやり取りに手間がかかる可能性があります。例えば、Excelフォーマットを他システムと連携するAPIが提供されている場合、高度なプログラミングスキルが必要です。
他にも、連携するための手作業が多いと、ヒューマンエラーが起こる可能性もあります。マクロ機能を活用して、他システムとの連携を自動化することも可能ですが、高度なプログラミングスキルが必要になる場合もあるため、初心者にはハードルが高いでしょう。
コストはかからないが手間がかかる
Excelでワークフローを自作する場合、ワークフローの設計、構築、運用に時間がかかり、人的コストが発生する可能性があります。例えば、稟議書や承認ルートのフォーマットを一から作成するなど、初期設定や必須項目の確認に多くの時間や手間を費やす場合です。
また、運用開始後に業務フローが変更された場合や、エラーが発生した場合、原因の特定や修正に手間がかかることがあります。
その場合、Excelテンプレートや、AppRemoの無料申請書テンプレート集を活用することで、導入時の手間を削減することが可能です。
Excelフォーマットの申請書を使うワークフローシステム
Excelフォーマットの申請書を使って申請するワークフローシステムは、Excelの利便性を保ちながら、システムの機能で業務効率を向上させるメリットがあります。メリットは大きく分けて、以下の3点です。
- 既存のExcelフォーマットの申請書を活用
- 手動プロセスのデジタル化
- 運用のスムーズな移行
例えば、システムエグゼのワークフローシステム「AppRemo」では、稟議書のExcelフォーマットをそのままシステムにアップロードして申請することが可能です。Excelファイルがそのまま活用できることで、データ活用やカスタマイズの柔軟性も確保できます。既存業務をさまたげることなく、スムーズに移行できる点もメリットです。
また、紙ベースだった申請書をワークフローシステムに統合することで、承認プロセスがデジタル化されます。これにより、進捗状況が一目で把握できるなど、業務の効率化が期待できるでしょう。
「Excelフォーマット」をワークフローで使う方法
Excelのフォーマットがそのまま使えるワークフローでは、難しい手順を踏まなくても簡単に設定ができます。ここでは、簡単に手順を解説しましょう。
- 申請フォームをExcelで作成します。(今まで紙で運用していた場合は、元ファイルとなるExcelが活用できます)
- 上記1のExcelをシステムに取り込みます。(必要に応じて、Excel内データの取込設定を実施)
Excelで作成した申請フォームをそのままシステムに取り込み、申請書として利用します。システムに取り込んだ後、各入力項目の入力形式設定等の細かい調整は必要ないため、設定の負荷を最小限にできます。
「Excelフォーマット」のワークフローシステムのメリット
「Excelフォーマット」を活用したワークフローシステムを導入することにより、業務効率化を実現できる点などがメリットです。既存のExcelシートをそのまま活用できるという点から、スムーズな導入と高い利便性が期待できます。
誰でも簡単にフォーマットが作成できる
Excelフォーマットは、誰にとっても馴染み深いExcelで作成します。Excelは多くの業務で活用されているアプリケーションなので、特別なITスキルを問わず、またワークフローシステム固有の設定方法を知らない方でも、簡単にフォーマットを作成できます。
Excelフォーマットは、誰でも使えるExcelだからこそ、「作成担当者の属人化を防止」し、また各業務部門が自部門で管理している申請書を作成・更新できるので、「作成業務を分散」できるのです。
Excelの機能がそのまま使える
Excelフォーマットのよさとして、「Excel機能をフル活用してフォーマットが作成できる」ことも挙げられます。Excelの機能とは、セルの「入力規制や条件付き書式」「コメント表示」「印刷範囲指定」「関数」…など多岐にわたります。Excelに搭載されている機能をフル活用して申請フォームがデザインできるので、申請者にとって分かりやすい申請フォームを作成できます。もちろん、今までExcelフォーマットで申請・承認業務を行っていた場合、そのExcelフォーマットをほぼ変えることなく使えるので、システム移行の負担は最小限で済みます。
申請データもシステム保管される
上記では「申請フォーム設定負担の軽減」という観点で、Excelフォーマットのよさを解説しました。それ以外に「決裁後の後続作業の負荷軽減」というよさもあります。
Excelフォーマットは、ワークフローシステムにExcelをアップロードし申請しますが、その際に「Excel内の各項目のデータ(申請データ)」がワークフローシステム内に保存されます。申請データが保存されることで、必要なデータを一覧リストで出力できるようになり、下記のような決裁後の後続作業に活用できます。
- 申請データの集計や分析作業
- 決裁済みデータの他システム(経費精算システム等)への連携
Excelを活用しつつワークフローシステムを導入した事例
Excelは、柔軟性と利用しやすさから、ワークフローシステムに活用されています。Excelを活用したワークフローシステムを導入し、業務効率化を実現した事例を参考に、メリットや導入ポイントを解説します。
株式会社アトレの事例
株式会社アトレでは、ペーパーレス化や働き方改革を目標に、Excelを活用したワークフローシステムを導入しています。既存のExcelフォーマットを長年利用しており、ファイルを直接インポートすることで、ワークフローシステムを実現しました。
例えば、導入により、以下の効果があります。
- 申請処理が大幅にスピードアップ
- 承認業務の可視化でボトルネックの解消
- ペーパーレス化によるコスト削減
- 非効率な業務を排除して業務負担を軽減
- 現場管理だった書類を一元管理
これにより、承認ルートを柔軟に設定でき、部門間の連携をスムーズなものにします。また、ワークフローシステムの導入には、従業員の電子化に対する理解と運用ルール策定も重要です。
参考はこちら
株式会社ミヤザワの事例
株式会社ミヤザワでは、Excel申請書がほぼ転用できるメリットにより、Excelを活用したワークフローシステムを導入しています。導入の背景は、製品の品質管理における書類作成や承認プロセスが煩雑化しており、複数の部署をまたぐ情報共有がスムーズに行えていなかったことです。
Excelで作成した品質管理書類をそのまま利用できる他、以下の導入効果があります。
- 申請・承認ルートの自動化で業務効率アップ
- 承認の滞留や入力のヌケ・モレの低減
- 承認履歴によるトレーサビリティの確保
- データ分析機能による品質改善
Excelフォームの転用により、Webフォーム作成などの初期導入にかかる手間を省くことで、課題をクリアしました。
参考はこちら
まとめ
Excelを使ったワークフローシステムの自作は、初期導入コストを抑えながら業務効率化を実現する効果的な方法です。稟議書などのフォーマット作成や承認ルートの設計を工夫することで、簡単に実用性の高いワークフローを作成できます。
Excelフォーマットを活用したワークフローシステムでは、既存の業務フローを維持しつつ、デジタル化と効率化を実現可能な選択肢です。本記事で紹介した事例のように、AppRemoでは、既存のリソースを活かしながらワークフローシステムを導入できます。
AppRemoは、Excelそのまま使うことで誰でも使いやすく、導入後の管理・運用もラクにできるという特徴があります。Excelの柔軟性を活かしながら業務の効率化を進めるために、AppRemoのワークフローシステム導入を検討してみてはいかがでしょうか。
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- ワークフロー(申請業務)
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