稟議書の決裁で起こりうる問題点! ワークフローシステムで効率化を実現

 2022.11.30  株式会社システムエグゼ

日本企業には、さまざまな事案について稟議書を回覧し決裁する独自の文化があります。本記事では、この稟議の概要をはじめ、それを使う場面や目的、そして問題点を解説します。ワークフローシステムの導入など、稟議プロセスを合理化するための対策もご紹介しますので、ぜひご参考にしてください。

稟議とは上層部に承認をもらうまでの手続きのこと

稟議とは、特定の事案について、組織の上層部から承認を得るための手続きです。また、その事案の具体的内容について記載された文書を「稟議書」と言います。稟議プロセスは通常、この稟議書を組織階層の下位者から上位者へと回して、順番に承認を得ていくのが一般的です。

以下では、稟議と決裁の違いをはじめ、こうした仕組みを利用する目的や場面、進め方などを解説します。

稟議と決裁の違い

稟議と類似する言葉として、「決裁」という言葉があります。両者は企業によって、あるいは人によって混同して使われる場合も多く、使い分けに関しては曖昧なところがあります。たとえば、どちらも「稟議を仰ぐ/決裁を仰ぐ」「稟議が下りる/決裁が下りる」といった具合に類似した使い方がされるなどです。

とはいえ、基本的な理解の仕方として、稟議が「複数の責任者の許可」を得ることであるのに対し、決裁はその案件について「最終的な決定権を持つ1人の責任者の許可」を得ることを示します。それゆえ「社長に直接決裁を仰ぐ」という言い方はあり得たとしても、「社長に直接稟議を仰ぐ」という表現は原則的に適切ではありません。また、「稟議にかけた企画の決裁が下りた」という言い方はあり得ても、その逆の言い方もまた定義上適切ではありません。つまるところ稟議とは、決裁に向けて複数のプロセスを経る手続きとも言えるでしょう。

稟議の目的は組織全体の認識を合わせること

稟議の目的は、ある事案について組織全体の認識を合わせたうえで意思決定をすることです。ある社員が必要と考えることでも、ほかの社員から見たら不要と判断されることはしばしばあります。特に、現場の社員とマネジメント層のあいだには、こうした認識の齟齬が生じやすいことでしょう。

些細なことであれば現場判断に任せるのもよいですが、事案の重要度やコストが大きければ大きいほど、多角的な観点からその事案の妥当性を検討し、権限の高い者が判断する必要性は高まります。そこで稟議書を回覧して、さまざまな人の目を通すことで、その事案の妥当性を担保し、組織的に動けるようにすることが稟議の目的です。

稟議を行う場面

稟議は主に、組織にとって影響力の大きい事柄を判断する際に行われます。具体的な場面としては、「人材の採用」「システムの導入」「外部企業との契約」などが挙げられるでしょう。事案が重要であるほど、稟議の決裁権は組織の上位者が握ることになります。

稟議のプロセス

稟議は主に、起案・回議・決裁・実行・記録の5つのプロセスを経て進みます。それぞれの内容を簡単に説明すると、以下の通りです。

  1. 稟議書の作成・起案
    稟議にかけたい企画や申請の内容・理由、費用などを記載した稟議書を作成し、稟議の手続きに乗せるプロセスです。

  2.  回議
    稟議書を関係者間で順々に回覧し、意見や承認を求めるプロセスです。

  3. 決裁(承認/否認)
    提出された稟議について、権限のある上位者が承認ないし否認をします。

  4. 申請内容の実行
    承認を受けた稟議内容に基づき、実際にその処理を実行します。

  5. 記録保全
    稟議の一連のプロセスは、承認に関わった担当者などの情報も含めて記録され、再度確認できるように保存されます。

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稟議書による決裁申請のメリット

稟議書による決裁申請の主なメリットは、複数人の目を経ることによる強いチェック機能です。申請内容は文書化され、上長を含む複数の関係者のチェックを受けるため、不適切な申請や不正があったとしても発見しやすく、あとで再確認することも可能です。また、会議で議論するまでもない事柄を稟議で済ませることにより、会議の削減や短縮ができるのもメリットのひとつです。

紙文書の稟議書による決裁の問題点

上記のようなメリットがある一方で、紙媒体で稟議書を回覧して決裁をする方法には、以下のような問題点もあります。

意思決定に時間がかかる

稟議書による決裁申請のデメリットは、意思決定に時間がかかる点です。稟議は複数の部門・担当者を経由して進むので、往々にして手間や時間がかかります。これは、スピーディーさが求められる昨今のビジネス環境において弊害が大きく、モタモタしている合間に重要なビジネスチャンスを逃してしまうことがあるかもしれません。

稟議書の紛失・漏出・改ざんのリスクがある

紙文書の稟議書には、セキュリティ上のリスクもあります。稟議書は多くの関係者の手を介するため、どこかで内容を改ざんされたり情報が漏洩したりしても、追跡するのが困難です。そもそも、そうした問題が生じたこと自体、気がつくのは容易ではないでしょう。さらに、稟議書を回していく中で誰かが紛失してしまい、そこから情報漏洩が起こったり、意思決定プロセスが停滞したりしてしまうことも懸念されます。

働き方改革が進まない

働き方改革を阻害する可能性があるのも、紙を使って稟議を行う欠点です。昨今では働き方改革の一環として、テレワークを導入する企業が増えています。しかし、紙で稟議書を回していく場合、ハンコをひとつ押すためだけに出社するという、非常に非効率なことになりかねません。担当者の出社日まで承認を得られなくなることで、決裁までの期間がさらに遅くなることも考えられるでしょう。このようにハンコ文化を伴う稟議書文化は、働き方改革のひとつであるテレワークと相性が悪い部分が多々あります。

稟議を円滑に進めるポイント

続いては、稟議を円滑に進めるために押さえておきたいポイントを解説します。

稟議書のテンプレートを作る

まず大切なのは、全社的に利用できる稟議書のテンプレートを作ることです。

作成者側の観点からすると、テンプレートがないと「そもそも稟議書の必要項目とは何なのか」から自分で考えなければいけなくなってしまうため、作業が非常に煩雑になります。部署ごとにテンプレートが異なる場合も、自部署用のテンプレートを探す手間がかかったり、他部署用のテンプレートを誤って使ってしまい、差し戻されたりするリスクが伴います。

承認者側の立場からしても、テンプレートが統一されていないと確認作業が煩雑になりがちです。記載事項がテンプレートごとにばらばらだと、内容を理解するのにも時間がかかってしまうでしょう。また、稟議書の差し戻しが生じると、同じ書類を何度もチェックすることになるので、承認者側にとっても大きな手間になります。

その点、全社的にテンプレートを統一すれば、上記のような無駄をすべて解消できます。

説得力のあるデータを準備する

稟議を円滑に進めるためには、その提案の妥当性を補強するような説得力あるデータを添付することも重要です。特に数値で示せる情報があれば、稟議書の説得力を大きく向上できます。たとえば、システムの導入のように支出を要する稟議であれは、導入費用やランニングコストが記された見積書を用意するのがおすすめです。

客観的な判断材料が増えれば、承認の可否の判断もしやすくなります。ただし、無駄に資料が多くなると、作成者側も承認側も負担が重くなってしまうので、どのような添付資料が必要かについてもテンプレート化しておくとよいでしょう。

稟議システムを導入する

上記のような施策を講じても、稟議書が紙媒体である限りは先述したデメリットを解消できません。したがって、紙媒体の稟議書特有の問題を解決するには、稟議書の電子化(稟議システムの導入)を行うことが必要です。詳細は後述しますが、ワークフローシステムを導入し、オンライン上で稟議プロセスを実行できるようになれば、一連の問題は大きく改善されます。

ワークフローシステムによる稟議書決裁の合理化

稟議書の電子化を可能にするワークフローシステムとは、一体どのようなソリューションなのでしょうか。続いては、ワークフローシステムの概要を解説します。

ワークフローシステムとは

そもそも「ワークフロー」とは「仕事の流れ」を指す言葉ですが、とりわけ申請から決裁までに必要な一連のプロセスを意味します。ワークフローシステムとは、このプロセスを電子化するためのツールです。ワークフローシステムを活用することで、「申請フォームの作成」「申請」「承認/否認」などがシステム上で行えるようになり、稟議を含む申請業務の効率化を実現できます。

ワークフローシステムによる稟議の流れ

ワークフローシステムを活用することにより、稟議はどのように電子化できるのでしょうか。以下ではワークフローシステム「AppRemo」を例に、稟議の電子化の流れを解説します。

  1. Excelファイルによる稟議書の作成・申請
    AppRemoでは、従来使っていたExcelファイルの稟議書(申請書)で起案できます。AppRemoからExcelの稟議書をダウンロードして申請内容を記入し、その稟議書をAppRemoにアップロードして申請します。作成時には、過去の稟議書をコピーしたり、データを引用したりすることも可能です。

  2. システム上で回覧が進む
    申請された稟議書は、システム上で即座に承認担当者に届き、申請内容が確認できます。また申請者は、どこまで承認フローが進んでいるのかをシステム上で確認できるので、手続きが滞っているときは担当者に確認することも可能です。

  3. 電子的に承認・否認を実施
    承認担当者はシステム上で申請内容を確認し、そのまま承認・否認の処理が行えます。AppRemoでは簡易チャット機能を用いて、申請者に不明な点を確認したり、差し戻しの際の改善点を伝えたりもできます。

ワークフローシステムがもたらすメリット

続いては、ワークフローシステムを導入することで企業が得られるメリットを解説します。

ペーパーレス化が実現する

ワークフローシステムの導入による第一のメリットは、ペーパーレス化を実現できることです。紙媒体で稟議書を扱っていると、ほかの書類に紛れて紛失したり、書類が破れてしまったりするリスクがあります。

その点、ワークフローシステムを導入すれば、データベース上ですぐに必要な稟議書を見つけることが可能です。印刷したり、分厚いファイルに綴じて保管したりする手間もかかりません。さらに、ハンコを押さずともシステム上で承認処理できるので、テレワークにも対応できます。

労力が削減し業務が効率化する

ワークフローシステムの導入には、紙媒体の不便さを解消する以上の価値があります。たとえば、ワークフローシステムには記入内容の自動チェック機能があるので、必要事項の漏れなどをなくし、差し戻しの発生を減らせます。

また、ワークフローシステムならば、担当者が出張していたり在宅勤務していたりする場合でも承認処理を行えるので、無駄な待ち時間をなくすことが可能です。承認が必要な稟議書が届いたり、承認期限が近付いた稟議書が残っていたりする場合に担当者へ通知するような機能もあるので、承認忘れも防止できます。

これらの効果によって、スムーズに承認プロセスを進められるようになるため、決裁までのスピードアップが図れるでしょう。

チャットでスムーズなコミュニケーションがとれる

ワークフローシステムによっては、チャット機能を搭載している製品もあります。その場合、チャット機能を使えば、稟議書に記載されている以外の情報が知りたくなったときなどに、担当者間でスムーズにコミュニケーションを取ることが可能です。

ワークフローシステムでは、どこで承認プロセスが止まっているかも確認できるので、申請者側から担当者に進捗状況を問い合わせるためにも使えます。

まとめ

稟議は、組織にとって重要な事案について関係者間で認識を共有し、適切な意思決定を行うことを目的としています。他方で、特に紙の稟議書を使用して稟議を進める場合、時間がかかりがちになり、労力的にも無駄が多くなります。この欠点は、テレワークの導入をはじめとする働き方改革にも悪影響を及ぼし、ハンコひとつのために社員を出社させるような非効率につながります。

稟議をスムーズに進めるためにはテンプレートの整備などももちろん有効ですが、紙媒体特有の問題点を解決するには、ワークフローシステムの導入が最適です。ワークフローシステム「AppRemo」は、稟議業のペーパーレス化を実現し、稟議プロセスをさまざまな側面から効率化します。稟議書による決裁に課題を感じている企業様は、ぜひ導入をご検討ください。

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