世の中に溢れるほど存在するワークフロー製品。このワークフロー製品の分類の仕方の一つに「汎用ワークフロー」と「専用ワークフロー」という観点があります。
「汎用ワークフロー」はその言葉の通り様々な業務で汎用的に使うことが出来るように設計された製品を指します。「専用ワークフロー」はある特定の業務にフォーカスして設計された製品を指します。
どちらの製品にも強い点・弱い点がありますが、自社導入する場合にはどちらを選べば良いのでしょう?「とりあえずこの業務だけワークフロー化」が良いのでしょうか?それとも「何かわからないけどいろいろ全部やりたいから汎用ワークフロー」が良いのでしょうか?
本ブログではこれからワークフローを導入されようとする方に、ワークフローを選定する際の一つの視点をご提供できればと思います。
※本ブログでは「ワークフローシステム」のことを「ワークフロー」と表現します。
専用ワークフローとは?
専用ワークフローとは、ある特定業務に特化したワークフローシステムのことです。例えば交通費精算や勤怠管理等の専用ワークフローは市場にも多くの製品が投入されています。
専用ワークフローはその名の通りある特定業務をターゲットとして設計されたワークフローシステムで、その業務について強力に支援してくれます。交通費精算であればICカードの乗車履歴を読み込んでリスト化してくれたり、勤怠管理であれば出退勤のシステムと連携して勤務時間を記録したりと、目的が絞られているからこその機能が多く搭載されています。
一方で専用ワークフローはあくまで特定業務に特化して支援することが目的であるため、目的外の業務を同じシステムで実現することは非常に困難です。例えば交通費精算を目的とした専用ワークフローシステムを使って人事評価をシステム化しようと思っても、難しそうですよね?
このように、専用ワークフローシステムは目的に沿った使い方をすることで、目的とする業務を強力に支援してくれる心強いツールである、ということです。
汎用ワークフローとは?
汎用ワークフローとは、特定業務だけに囚われない一般的なワークフローのフレームワークを提供するシステムです。専用ワークフローシステムと違って「これ!」といった特定の業務領域がありませんので、ごくごく一般的なワークフローシステムとして必要な「申請」⇒「承認」のフローをコントロールする機能を備えています。
この汎用ワークフローは様々な業務に対応できるように設計されているため、利用する側はどのような使い方をするかについての設計と初期設定が必要になります。
設計の必要な例としては以下のようなものがあります。
表1 設計の必要な項目の例
項目 |
設計内容 |
---|---|
申請フォーム |
ワークフローで使用する申請の種類に応じて用意する必要があります。 |
承認ルート |
申請書毎にどのような人に承認を受ける必要があるかを決定する必要があります。 |
管理者権限 |
システムに対してユーザー登録や申請書の登録等、運用作業が必要になります。 |
このように使い始めるにあたって少し手間のかかる汎用ワークフローですが、その自由度がある故に個社毎の仕組みを吸収し、様々な業務のシステム化を支援してくれるのです。
汎用ワークフローvs専用ワークフロー
さて、ここまで専用ワークフローと汎用ワークフローを紹介してきましたが、いったいどちらを導入すれば良いのでしょう?直感的に分かりやすい専用ワークフローでしょうか。それとも何でも対応できる汎用ワークフローでしょうか。
この2つのワークフロー製品を選定する場合に、ある方向から見た場合に決定的な違いがあることに気付くことが出来ます。それは「導入の目的」です。
ワークフローを導入する目的はいろいろあるでしょう。例えば「テレワークを推進する上で様々な提出書類を電子化したい」から、「社員も事業所も増えてきて紙運用に限界を感じた」から、「社員からの要望」で、など本当に様々です。
そしてこの時、1種類の申請に対しての要望だけが集まった場合は専用ワークフローの出番です。例えば・・・
- 毎日の交通費精算業務を効率化したい
- 交通費の精算業務に時間がかかって帰宅が遅くなっている
- 交通費の申請料金の間違いが多くやり直しが頻発している
といった具合です。これらは専用ワークフローが得意とする内容です。
しかし一方で同じ交通費の要望であっても以下のような内容なら汎用ワークフローの出番です。
- 出張の度に出張旅費精算に出張申請のコピーを付けるのが面倒くさい
- 特定の稟議申請に対する交通費精算を行いたいが毎回稟議書を探すのに時間がかかる
これらの違いは何でしょう?それは単純な交通費の精算という単独の行為であるか、出張申請と出張旅費精算、稟議申請と経費精算のように関連する申請があり、その関連性に意味がある申請であるか、ということです。
このように汎用ワークフローは多くの申請を取込み、それらの関連性をも保持することのできるシステムであり、そこにこそ価値があるのです。
導入における1つの提案
ここまで、専用ワークフローと汎用ワークフローを比較してきました。ワークフローの導入に迷われている方はいったいどちらを先に導入したほうが良いのでしょう。
これはあくまで私の個人的な意見ですが、汎用ワークフローを先に導入されることをお勧めします。それは以下のような理由からです。
- 汎用ワークフローを用いて業務全体を1つのシステム上で関連付けることで、業務全体の整理がしやすくなる
- 専用ワークフローは特定業務についてとても使いやすくなっているため、導入による効果は汎用ワークフローより高いことが多く、一部先行で専用ワークフローを導入した場合と汎用ワークフローを導入する場合では効果が異なるため
- システム化をする際は業務プロセス全体を見直し・整理する必要があるが、先に専用ワークフローを導入すると一部の負荷は下がるが、逆に別の部門での負荷に転嫁される場合がある
このように、まずは汎用ワークフローを用いて業務プロセスの整理・見直しをしながら順次システム化を進めて、その上で更に有効と判断されるときに専用ワークフローを導入されてはいかがでしょうか。
もしその汎用ワークフローの検討の中に、弊社AppRemoも加えて頂ければ幸いでございます。
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