ワークフローの作成は、業務の流れを明確にするだけでなく、業務の整理や課題の洗い出し、作業効率のアップに非常に有効です。今回は専門的な知識や専用のソフトがなくても可能なワークフローの作り方の基本や、自社のパソコンで簡単に作成するためのポイントを解説します。
自社でできるワークフローの簡単な作り方を解説
特別なソフトを使用しなくても、エクセルを使って簡単にきれいで見やすいワークフローを作ることができます。取引先や営業先など外部の人に見せるのであれば、誰が見ても理解しやすいように標準化されたモデル図を使用することが大切です。
この記事では、一般的に普及している世界標準のフレームワークであるBPMNの記号を基本として、エクセルでのワークフローの作成方法や注意点、業務の効率化への活用について解説します。
エクセルでワークフローを簡単に作成
エクセルでワークフローを作成するには、シートに作業の流れを表す図形を挿入し、そこに具体的な作業内容を書き込んでいきます。作業自体は簡単ですが、まずは図形の意味を理解し適切に使うことが大切です。
BPMNで決められている図形のうち、代表的なものを紹介します。エクセルでは、[図形]の中の[フローチャート]にあるので、そこから選択して使用しましょう。
- 作業の開始と終了:開始と終了は、角が丸い四角形を使います。1つの業務を示すワークフローの初めと終わりに1つずつ使うものです。
- 行動・処理:具体的な作業を表すには、四角(長方形)を使います。ほとんどの項目は四角に分類されます。図の配置や中に入る文字数によってさまざまな長さや正方形になっても構いませんが、ひし形や平行四辺形だと意味が変わってしまうため、長方形であるようにします。
- 流れ・関係:作業や処理の流れや関係性を示すには、枠と枠を線または矢印で結びます。流れの向きが明らかな場合は矢印を使います。
- 書類:紙媒体・電子媒体を問わず、書類は長方形の下辺だけが波のようになっている図形を使います。企画書・稟議書・申請書・請求書・領収書などあらゆる書類の存在を表します。
- 判断・分岐:判断や選択によって作業が分岐する場合はひし形を使います。通常、YESの場合は下に進み、NOの場合は右に進みますが、スペースによって使い分けましょう。
ほとんどの業務は、上記の5つの基本的な図で表すことができるでしょう。あまり専門的な図形を多用するとかえってわかりにくくなるので、シンプルにまとめることが大切です。
ワークフロー作成のコツ
ワークフローで大切なことは、視覚的に表現され一目見て理解できることです。見やすくまとめるためには、以下のコツを活かしましょう。
コツ1:できるだけコンパクトにまとめる
紙なら1枚から多くても2、3枚まで、画面ならできるだけスクロールが少なく済むようにコンパクトにまとめます。そのため、図形を無駄に大きくしたり矢印を長くしたりしないようにしましょう。
コツ2:文字は少なくまとめる
できるだけ単語で表し、文章を使う場合も必要最低限に短くまとめます。詳しい説明は別紙にまとめると良いでしょう。
コツ3:カラーも活用する
同じ業務の流れは枠や矢印を同じ色でまとめたり、目立たせたいところだけに色を付けたりするのも効果的です。ただし、やりすぎるとかえって見にくくなるので要注意です。
無料ツールでワークフローを作成
エクセルだけでもワークフローを簡単にきれいに作成できますが、より便利な機能を備えた無料ツールもあります。
たとえば、「デスクワークラボ」では、エクセルでそのまま使えるテンプレートを「ダウンロード」できます。使い慣れたエクセルでより簡単に作業したい場合に向いています。
・参考リンク:https://kantan-shikaku.com/ks/process-flow/
「Cacoo」というクラウド上で操作できる作図ツールもあります。フローチャート用の図形や記号が用意され、ボックスを挿入すると自動的に線を整えてくれるなどフローチャート作成に特化した機能を備えています。共有機能を利用することで、複数の人と同時に編集作業することも可能です。
・参考リンク:https://cacoo.com/lang/ja/home
「draw.io」という無料の作図ツールでは、フローチャート用のテンプレートが用意されており、より簡単に図を作成できるようにサポートしてくれます。ファイルをOneDriveやGoogleドライブなどのオンラインストレージに保存することで、他の人と共有もできます。
ワークフロー作り方の手順
ワークフローの作成では、実際にエクセルなどのソフトに入力するまでの、フローの書き出しが最も重要です。普段の業務をワークフローに落とし込む手順について解説します。
始めは業務の整理から
作成者側が正しく業務を理解していなければ、正しいワークフローを作ることも、その内容について口頭で説明することもできません。まずは次の手順で普段の業務の流れを整理することから始めましょう。
1.自社で扱っている業務ごとに、業務を構成する要素を洗い出す
業務に関わる部署、従業員、取引先や、使用する書類やデータ、関連プロジェクトなど、思いつくものをすべてあげましょう。
2.業務のメインとなる基本処理とそこから派生する処理を切り分ける
まずは基本処理の流れだけをまとめ、派生する処理もそれぞれの流れとしてまとめます。1つの処理の流れができたら、それぞれ仮の作業名を付けます。
簡易フローを作成する
業務の整理ができたら、名前を付けた作業ごとに簡易フローの表を作成します。担当者、基本処理、派生する分岐処理、処理に必要な書類やデータ、システム、その他の関係する人などを表としてまとめましょう。
また、作業は時系列に並べ、同時に進行するものは同じ列に並べましょう。そうすることで、流れや他の作業との関係がはっきりします。
図式化する
表ができれば、あとは図形を用いて図式化するだけです。関係を表す矢印が複雑にならないよう、関連の深い作業を並べ、適切な位置に配置しましょう。同時進行する作業は、位置を揃えて並べるとよりわかりやすくなります。
分岐して図が長くなりすぎたり広がりすぎたりする場合は、そこから別のフローに分ける、分岐の記号を使わずに矢印で表現するなどの工夫をして「見やすい」図式作りを意識すると良いでしょう。
ワークフローがあれば業務は効率化できる?
ワークフローを作成することで、普段意識せずに行っていた業務の流れが可視化され、問題点や無駄、ムラなどを洗い出したり改善すべきポイントを明確にしたりできます。
しかし、作っただけでは効率化を実現できません。ワークフローをどのように業務の効率化に活かすかについて解説します。
現在のワークフローは本当に効率的?
ワークフローがまとまったら、そこからどのように業務の無駄や非効率な部分を見つけるかによって効率化に大きく差が出ます。
業務の流れを見て、書類が多用されていないか、承認者が多すぎないか、作業が分岐しすぎていないか、重複がないかについて、作業ごとに確認しましょう。矢印が多すぎたり、関わる書類や人が多すぎたりする業務は、その必要性をあらためて検討する必要があると考えられます。
ワークフロー作成にはエクセル知識が必須
ワークフローをきれいかつ効率的に作成するには、エクセルの知識が必要です。エクセルで図形を扱うことに慣れていなければ、まとめた業務の図式化をイメージすることも難しく感じるかもしれません。必要な知識はそれほど難しくないので、インターネット上にある使い方のサイトや講座を利用して、適切な知識を身につけましょう。
まとめ
ワークフローの作成自体は、基本的なエクセルの知識があれば簡単にできます。しかし、業務効率の改善に効果的なワークフローを作成するためには、図式化するまでの業務の整理が最も大切であり、「なんのためにワークフローを作るのか」という目的をはっきりさせる必要があります。
作成したワークフローはプロに相談して電子化することで、一気に業務の見える化と効率化が実現できます。
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