業務の大幅な効率化や透明性の保持に加え、テレワークへの対応のため、いまや企業に不可欠なシステムとなったグループウェアとワークフロー。その違いについて触れながら、比較検討のポイントや導入時の注意点について詳しく説明します。
グループウェアとワークフローの違いとそれぞれの特徴
業務の効率化やテレワーク推進のための環境整備として、多くの企業でグループウェアやワークフローの導入が進んでいます。
グループウェアとは、同じ業務を行うメンバー間でスケジュールやタスクの管理・共有を行ったり、掲示板機能で情報交換などをしたりして協調・協業をスムーズにし、業務の効率化を図るツールです。
一方、ワークフローとは、稟議書や申請書など、承認や決済が必要な書類を電子化し、業務ごとに手続きの各段階を一元管理することで内部統制の強化や業務の効率化を図るツールです。
どちらも業務の効率化を目的としていますが、手法は異なります。以下に、それぞれの特徴や概要をくわしく解説します。
グループウェアとは?
同じ部署やプロジェクトごとに、業務効率化に必要な複数の機能を統合したシステムをグループウェアと呼びます。多くのシステムが開発されていますが、基本的な機能は主に次の6つです。
- スケジュール・タスク管理:メンバー個人とグループ全体のスケジュールやタスクをインターネット上で一元管理し、共有できる機能
- ファイル共有:文書ファイルや画像ファイルをグループで共有し編集できる機能
- 電子掲示板(BBS):通知や通達を告知したり、メンバー全員で相談したいことを発信したりする機能で、内容ごとのカテゴリー分けや、閲覧者や公開期間の制限も可能
- 設備予約:会議室やプロジェクター、車などの共用設備や備品を予約・管理する機能
- オンライン会議室:音声と映像をオンラインでつなぎ、デバイスを介してメンバー同士のコミュニケーションが取れる機能
- ワークフロー:稟議書や申請書などを電子的に作成して承認フローに乗せ、迅速に承認まで進める機能
こうした機能により、業務の効率化はもちろん、個々人の仕事の負担偏重の防止、書類や資料の改ざんの防止といったメリットがあります。
ワークフローとは
グループウェアの機能の一つにもあるワークフローを特化し、より実際の業務に沿った実践的な機能を備えたシステムをワークフローと呼びます。承認・決裁に関わる一連の業務の流れを電子化し、インターネット上で管理します。グループウェアのワークフロー機能がカバーできない複雑なフローや手続きの変更に柔軟に対応できます。
ワークフローの大きなメリットは、業務の効率化のほか、ペーパーレス化によるコストダウンです。書類はすべてデータで作成・保管されるため、用紙、印刷、ファイリング、保管スペース、管理や郵送などにかかっていた費用が大幅に軽減されます。
また、許可された人ならパソコンやタブレットがあればどこからでも書類を編集できるので、出張などで承認が滞ることや書類作成のためにオフィスに戻る必要がなくなり、テレワークの促進にも役立つでしょう。インターネット上で管理することにより、フローの透明性が高まり書類の紛失やデータの改ざんも防げます。
グループウェアとワークフローを比較検討する際に考慮すべき点
多機能なグループウェアは便利ではあるものの、企業の規模や業務内容によっては不要な機能も多く、使いこなせないなど組織や業務内容との相性が非常に重要です。
一度システムを導入すると変更は大変なので、導入前に以下の点を考慮し慎重に選びましょう。
- 自社の規模や体制、業務内容はどちらのシステムに向いているか
- 社員はどこまでシステム化に対応できるのか
- 効率化したい業務内容は、グループウェアに付随するワークフロー機能で十分に対応できるか、又はより細やかで柔軟な対応ができるワークフローシステムが必要か
- 導入コストはどれくらいかけられるか
グループウェア・ワークフロー導入時のポイントや注意点
ここからは、グループウェアとワークフローそれぞれのシステムについて、導入時に注意すべきポイントをまとめます。
グループウェア導入時のポイント・注意点
必ず行うべきことは、現状の業務の課題とグループウェア導入の目的、導入後の達成目標を明確化することです。これができていないと、多機能に振り回されて十分な成果を挙げられないでしょう。
どの機能でどの課題を解決し、どのような結果を導きたいのか、明確にできない機能は取り入れなくてもよいでしょう。課題や目的、目標が明確になったら、優先順位をつけます。どの目標が重要かを決め、その機能が充実したシステムを選びましょう。
一方で、実際にシステムを使用する社員に、導入の必要性やメリット・デメリットについて周知徹底し、理解を得るとともに操作方法や変更点についてしっかり説明し、全員が操作できるように準備することも忘れてはいけません。
システムを使うすべての部署で、年代、立場の違いに関わらず使いやすいシステムを選びましょう。もちろん、十分な教育は必要ですが、スキルに合わない無理な操作を強要すると、結局システムを活用しきれないことになります。
無料の試用期間をサービスとして設けているシステムもあるので、積極的に活用しましょう。
ワークフロー導入時のポイント・注意点
ワークフローの導入にあたっても、やはり大切なことは現状の課題や導入の目的、目標の明確化です。ワークフローの場合は、申請者、承認者と実際の作業を進める事務作業者それぞれの立場で、重視したいポイントが異なります。関係するすべての人から丁寧に意見を聞き、多角的な視点でシステムを選定しましょう。
また、自社で使い慣れたソフトやファイル形式が利用できるか、勤怠管理システムなど他のシステムと連携することができるかも確認が必要です。理想的なワークフローがあったとしても、従来のシステムと合わない場合は、無理に導入してもうまく運用できない恐れがあります。
グループウェアとワークフローは併用で大きなメリットが生まれることも
グループウェアとワークフローを組み合わせて利用することで、より大きなメリットをもたらすこともあります。
業務の状況に合わせて最適のシステムを別々に導入することもよい方法ですが、データの連携ができるシステムを選ぶと、お互いのデータを同期して共有できます。
つまり、一方に入力した情報がそのままもう一方のシステムに反映され活用できるので、さらなる省力化・効率化が可能です。
社員同士を結び付け、円滑なコミュニケーションと情報共有に主目的を置くグループウェアと、承認・決裁業務の電子化による作業の一括管理に主目的を置くワークフローのシステムは親和性があり、連携により相乗効果が期待できるのです。
まとめ
グループウェアは社員同士の情報共有ツール、ワークフローは業務手続きの電子化と一元管理、という異なる手法で業務の効率化を図り、これからの企業に不可欠なシステムです。とはいえ、世の中にあふれるシステムの中からどれを選べばよいのか、決めるのは簡単ではありません。
ワークフローシステムの一例として、AppRemo(アップリモ)のサイトをご紹介します。製品の特長や業務改革への活用の仕方、豊富な導入事例が紹介されており、システム選びのヒントが得られるでしょう。
新しいシステムの導入時には、業務の変更や社員への教育など、多くの難題が生じますが、導入に成功すればそれ以上に多くのメリットが期待できます。
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- ワークフロー(申請業務)
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