社内申請の電子化で業務効率化!メリットや成功のコツとは

 2023.11.10  株式会社システムエグゼ

社内申請をアナログで行っている企業では、「申請書の作成に多くの時間を費やしていて、本業務の工数が圧迫されている」「印鑑業務のみでオフィスに出社するのが面倒」といった問題点が多く聞かれます。こうした問題を解決するために有効なのが社内申請の電子化です。本記事では、社内申請システムを導入するメリットや選定のポイントについて紹介します。

社内に存在する申請業務とよくある悩み

社内申請とは、社内のある事案について当該事案を推進する者が承認・決裁の権限を有していないとき、適切な決裁者に対して申し出て承認・決裁を得る業務です。この説明だけ聞くと難しく聞こえるかもしれませんが、言い換えると「決裁権を持たない人物が上層部の承認を得る手続き」を社内申請と言います。

では実際にどのような場面で社内申請の手続きが必要になるのでしょうか?代表的な社内申請として挙げられるのが「交通費申請」や「購買稟議」などです。交通費申請は立て替えた交通費を請求する際に実施するもので、購買稟議は物品の購入やシステムの導入時に実施します。

例えば、オフィス用品の購入などは個人の権限では決定できないものの、会議を開催して時間を割くほどの重要事項ではありません。このような事項に対して許可を申請し、上長の承認と最終的な権限を持つ責任者の決裁を得ることが社内申請の役割です。

社内申請・承認フローの具体例

社内申請の具体的なフローは組織構造や社内規定によって異なりますが、基本的には「起案」→「申請」→「承認」→「決裁」というプロセスを経るのが一般的です。

多くの企業では職務分掌規定に基づいて財務に関する権限が定められており、取り扱う金額に応じて役職の決裁権が階層化されています。そのため、仮にプロジェクトを進める上で急遽新たなシステムや備品が必要になったとしても、原則として財務権限を持たない従業員が独断で物品を購入することはできません。

このような場合は意思決定の権限を持つ責任者の許可が必要です。そのためには起案をまとめた書類を作成・提出し、上長に承認印をもらわなくてはなりません。そこで必要となるのが申請書の作成と回覧です。

まず発案者は提案や要求を申請書に落とし込んで文書化し、その書類を上長や管理者に提出して許可を申請します。次に提案の必要性や要求の妥当性が審査され、承認もしくは却下されます。そして承認を受けた申請書は決裁者に回議され、最終的な意思決定が下されるというのが申請・承認の基本的なフローです。

紙の申請書によくある悩み

近年、さまざまな産業でDXの推進が重要課題となっているものの、IT化が遅れている業界では紙文化が根強く残っている企業も少なくありません。このような組織の場合、Excelで申請書を作成して印刷し、紙の書類で申請・承認作業を行うのが一般的です。

Excelで作成した申請書を回覧する場合、発案者は上長のデスクに赴いて作成した書類を提出しなくてはなりません。その後、上長は書類を確認して押印し、それを管理部門や最終的な権限を持つ責任者へ提出するという手間が発生します。紙媒体による申請は、決裁に至るまでに多くの手間を要するとともに、書類管理の煩雑さや申請の進捗を把握しにくいといったデメリットもあります。

また、紙媒体での社内申請では、書類の劣化や紛失といったリスクも無視できない課題です。こうした紙の申請書による悩みを解消するためには、旧態依然とした紙文化からの脱却を図らなくてはなりません。そこで重要なテーマとなるのが「社内申請の電子化」です。

業務改革のためのDXを始めよう!はじめの一歩 5つのポイント

社内申請の電子化とは申請・承認のワークフローをIT化すること

社内申請の電子化とは、申請における一連のプロセスをデジタル化・システム化することです。社内申請の電子化を推進するためには、「起案」→「申請」→「承認」→「決裁」のワークフローを効率化・自動化するソリューションの導入が求められます。

そこで必要となるのが、申請・承認のプロセスをIT化する「社内申請システム」の導入です。社内申請システムは「ワークフローシステム」とも呼ばれ、「申請書の作成」→「申請書の提出」→「上長の承認」→「権限者の決裁」という申請・承認作業をひとつのプラットフォームで一元的に管理します。

社内申請の電子化では、様々な手続きを取り扱うことになりますが、それぞれの申請内容に応じて適切な承認者と決裁者が設定されなくてはなりません。逆に言えば申請内容に応じて適切な承認者と決裁者が設定されるのであれば、社内申請の電子化として最低限必要な機能のひとつが確保できた状態です。

社内申請の電子化に必要な機能は、他に以下のようなものがあります。

  • 申請毎(申請者・申請様式)に適切な承認者と決裁者が自動的に選択される
  • 決裁された申請書がいつでも閲覧・検索可能である
  • 決裁された申請内容が変化しない(改変されない)
  • 決裁されたことが客観的に理解可能である

社内申請システムの便利な点

社内申請の電子化に必要な機能について先に書きましたが、実運用においてはこれらの機能は最低条件であり、次に述べるような機能があることで、スムーズな運用が可能になります。

  • 申請に際して承認者を追加・変更することができる
  • 申請者・承認者以外にも閲覧が可能である
  • 申請の補足資料が添付できる
  • 承認依頼が届くとメール通知が届く

従来の紙による社内申請では、承認ルートにいる全員が次の承認者・決裁者を理解している必要がありました。しかし、システム化することでいちいち記憶しておく必要もなく、社内規定の変更等による混乱も防ぐことができます。

また、申請の内容は通常、申請者・承認者以外が目にすることはあまりありません。しかし、過去の社内申請の内容を引用したり参照したりしたい場合など、過去の申請書を必要とすることはよくあります。そんなときはシステム化され、検索できると非常に便利です。

申請の内容によっては、所定の様式の中には書ききれないものや、申請を補足するために追加の資料が必要な場合があります。その場合には、申請に添付ファイルが付けられるととても便利です。また、この添付資料も申請書と併せて保管することで、社内申請の内容がわかりやすくなります。

このように社内申請システムは「起案」→「申請」→「承認」→「決裁」という流れそのものだけでなく、それをサポートする機能が充実することで効率的に決裁を行うことができます。

社内申請を電子化するメリット

社内申請を電子化することで様々なメリットを得られます。ここでは5つのメリットを紹介します。

迅速な社内申請が可能になる

申請・承認作業をシステム化しない場合は、自身で申請書を作成して直に承認印をもらう必要があります。この承認印は「部門内の課長や部長」「総務課長」など複数の上長にもらう必要があり、多くの時間を費やします。さらに申請書のフォーマットや文章に問題があると承認がおりず、差し戻しが発生してしまうこともあります。

一方、社内申請を電子化することで、回覧、承認、確認といった承認ワークフローを効率化できます。これにより印鑑をもらうというアナログ的な作業から脱却できるだけでなく、時間や場所に関係なく承認を得ることが可能です。申請者も承認者も在宅や出張先などの出社状況に縛られず作業できるため、より迅速に社内申請が行えます。

また、社内申請の電子化ではテンプレートを利用できます。様式を探す手間が省けるほか、人為的なミスが減ることで申請の差し戻しと再申請の労力が削減されます。細かな物品の購入にも申請書が必要な会社では、起案・申請作業だけで莫大な時間がかかるため、社内申請の電子化により大幅な業務効率化が実現するでしょう。

データベース上で簡単に管理ができる

申請書を紙で管理していた場合、用紙代や印刷代、管理場所や事務員の確保といったコストがかかります。また、過去の申請書が必要になった場合は、保管場所から探す必要があるので大きな手間です。

社内申請の電子化では、こうした社内申請における管理問題も解決可能です。社内申請の電子化によって申請書をデータとして管理できるため、用紙代や管理場所といった無駄なコストがかかりません。書類を置くスペースも必要ないので、省スペース化にも寄与します。紙の書類によるファイルリングや整理といった作業が必要なく、データベース上の書類は検索で簡単に見つけ出せるため、確認作業も容易です。外部監査の際にも迅速な対応ができます。

多様な働き方に対応できる

近年は、フレックスタイムやテレワーク、ワーケーションなど、多様な働き方が推奨されています。しかし、このときに問題になるのが、オフィスでしかできない業務です。アナログ的な業務は出社しなければならず、印鑑での承認が必要な社内申請もそのひとつでした。

しかし、社内申請を電子化できれば押印のために出社する必要がなくなり、起案者がテレワーク環境で申請書を作成し、オフィス内の上長が確認して承認するといったことが可能です。さらにインターネット環境さえあれば書類の作成や承認ができるため、時間や場所の制約にしばられない先進的な働き方を確立する一助となります。

進捗状況を常に確認できる

紙媒体による社内申請では、書類の回覧状況をリアルタイムで把握するのが極めて困難です。そのため、ワークフローの進捗に問題があっても検知できず、手続きの停滞や意思決定の遅れによってビジネス機会の喪失につながるリスクが懸念されます。社内申請を電子化できれば、ひとつのプラットフォームでプロセスを一元的に管理できるため、進捗状況を俯瞰的な視点から確認できます。

書類の紛失リスクがない

紙文化の問題点として挙げられるのが書類の紛失です。紙媒体の申請書はコピーを簡単に作成できないため、紛失した場合はその内容を再現するのが容易ではありません。さらに申請書は重要事項が記載されている場合も多く、書類の紛失によってセキュリティインシデントにつながるリスクが懸念されます。社内申請を電子化できれば、紙媒体の紛失に伴う様々なリスクを最小限に抑えられるというメリットがあります。

社内申請を電子化するうえでの課題

社内申請の電子化はさまざまなメリットがある一方、その特性上のデメリットも少なくありません。なかでも重要度の高い課題として挙げられるのが以下の4点です。

業務フローの改善が必要

社内申請を電子化するためには、紙媒体やExcelで運用していた申請・承認作業のプロセスを大幅に見直さなくてはなりません。既存の申請・承認フローにシステムの業務要件を合わせることも不可能ではありませんが、その場合はシステム要件の変更やカスタマイズに相応のコストを要します。また、ソリューションを導入しただけではシステムを使いこなせるとは限らず、最悪の場合は運用が定着しない可能性も十分に考えられます。

ITリテラシーの教育が必要

導入した社内申請システムを使いこなすためには、相応のITリテラシーが求められます。人材のITリテラシーが低いとシステムを使いこなせず、かえって社内申請における業務負荷が増大する可能性も否定できません。DXを実現するためには、デジタル技術の戦略的活用と紙文化からの脱却が必要であり、そのためにはIT人材の採用・育成と組織全体におけるITリテラシーの向上が重要課題となります。

導入・運用・保守コストの捻出

社内申請を電子化するうえで課題となるのがコストです。社内申請の電子化はシステムの設計・開発費用を要するのはもちろん、ITインフラの運用・保守における継続的な管理コストも発生します。組織規模の大きさに比例してイニシャルコストとランニングコストが増大するとともに、サーバーやネットワーク機器などの運用・保守に長けたIT人材も確保しなくてはなりません。大企業のように豊富な資金調達手段をもたない小規模事業者や中小企業の場合、導入・運用・保守に要する資金をどのようにして捻出するかが、大きな課題となります。

既存のシステムとの連携

社内申請の電子化は複数の部門を跨ぐ業務となるため、既存システムとの連携性を考慮しなくてはなりません。とくに組織規模の大きな企業の場合、人事・給与システムや財務会計システムといった基幹系システムとの連携は極めて重要な課題です。社内申請システムと基幹系システムが分断されている場合、情報の共有やデータの連携に遅滞が生じることで部門横断的なプロセスが阻害され、申請・承認作業の効率化が思ったよりも進まない可能性が懸念されます。

社内申請を電子化するシステムの選定ポイント

社内申請の電子化するシステムにも様々なものがあり、それぞれ異なる点が多くあります。自社に即した製品を選択して、業務改善をスムーズに行いましょう。ここでは選定のポイントとなる3つの点を解説します。

クラウド型のシステムを検討する

社内申請の電子化をするシステムにはクラウド型とオンプレミス型がありますが、クラウド型がおすすめです。

クラウド型は、インターネットからサービスにアクセスして利用できるシステムです。オンプレミス型のように自社でシステムの構築や運用、メンテナンスを行う必要がないため、低コストでの導入が大きなメリットとなっています。

ベンダーのサーバーにアクセスして重要なデータをやり取りするため、セキュリティ面の不安がある方もいるかもしれませんが、クラウドサービスを提供している企業は強固なサーバーと回線を設けています。システム障害などに備えて冗長化対策を行っている企業もあり、災害などの緊急時でも稼働できるシステムもあります。

また、クラウド型は複数人で同じファイルを同時に開いて編集することも可能です。例えば、承認作業が他の作業者と被っても、問題なく反映されます。

コストパフォーマンスを重視する

コスト面を考えたときに、無料版と有料版のどちらを利用するかで迷う方も多いでしょう。導入コストだけを考えれば無料版の選択が最適です。しかし、無料版は機能制限やユーザー数の制限があるなど、多くのデメリットがあります。社内申請の電子化をするシステムを導入する本来の効果を得られなければ、あまり意味がありません。

導入してもすぐに使いこなせるか不安という場合は、無料版から入って徐々に有料版に移行するといった方法もよいでしょう。また、自社の課題解決に必要な機能が有料版でしか使用できない場合は、はじめから無料版を除外します。

単純な導入コストだけで判断せず、コストパフォーマンスをしっかりと考えて導入することが大切です。

既存システムとの連携を確認する

業務内で別のシステムを用いている場合は、既存システムとの連携が可能かどうかも確認しなければいけません。既存のシステムとの連携がうまくいかない場合は、業務のワークフローが分断されて非効率となる可能性があるからです。

例えば、社内申請の電子化をするシステムとExcelやWordが連携できる場合、通常業務でMicrosoft社製品を利用している企業はとても便利です。システムをスムーズに業務に組みこめるため、従業員も戸惑う可能性が少ないでしょう。

社内申請の電子化を成功させるコツ

社内申請の電子化を通じてDXを実現するためには、いくつかのポイントを意識しなくてはなりません。とくに押さえておきたい重要なポイントが以下の2点です。

スモールスタートの考え方

社内申請の電子化は、システム環境の規模に応じたIT投資が必要であり、導入プロジェクトの大きさに伴って投資リスクも増大します。大規模なシステム導入はコストや現場の負担が大きいため、スモールスタートを意識して不確実性を最小化することが重要です。例えば「起案」→「申請」→「承認」→「決裁」のすべてをシステム化するのではなく、起案と申請のフローだけをツールで効率化し、その後は段階的にステップアップしていくことがDXを成功に導く鍵となります。

Excel文化を残すという選択肢

Excelで作成した申請書を回覧する文化が根強く残っている場合、既存の申請・承認フローを大きく変えるには相応のリスクを伴います。DXを実現するためには、旧態依然とした紙文化からの脱却が求められますが、急進的に推し進めると問題発生時の影響が大きく、プロジェクト全体が頓挫する可能性も少なくありません。だからこそスモールスタートが重要であり、申請・承認フローの変更によるデメリットが懸念される場合は、あえてExcel文化や紙文化を残すのも選択肢のひとつです。

社内申請の電子化なら「AppRemo(アップリモ)」がおすすめ

「AppRemo(アップリモ)」とは、株式会社システムエグゼが設計・開発するクラウド型のワークフローシステムです。AppRemoの強みはExcelとの相性の良さにあります。AppRemoでは基本的にExcelを用いて申請フォームを作成するため、すでに運用している申請書のファイルをそのまま利用できるのが大きな利点です。Excel文化を残しながら段階的にペーパーレス化を推進できるので、スモールスタートの考え方にもマッチしています。

また、AppRemoの導入によって申請・承認作業をシステム化できれば、リモート型の労働環境にも対応可能です。申請・承認に関する一連のプロセスをクラウド上のプラットフォームで管理できるため、書類の紛失リスクがなくなるとともに、押印を目的とする出社が不要になります。それによって多様な働き方の実現に寄与し、育児や介護などの事情を抱える人材を確保しやすくなることで経営基盤の総合的な強化が期待できます。

まとめ

決裁権を持たない人物が上層部の承認を得る際に必要になるのが、社内申請の手続きです。社内申請の具体的なフローは企業によって異なりますが、基本的には「起案」→「申請」→「承認」→「決裁」というプロセスを段階的に辿ります。書類の回覧を通して許可を申請し、上長の承認と最終的な権限を持つ責任者の決裁を得ることが社内申請の役割です。

紙媒体の書類による社内申請は、押印の工数や承認・決裁に手間がかかる、書類管理が煩雑である、申請の進捗を把握しにくいといったデメリットがあります。こうした課題を解消しつつ業務の効率化を図るためには社内申請の電子化が必要です。この申請・承認における一連の流れをIT化するソリューションを「社内申請システム」、または「ワークフローシステム」と呼びます。

社内申請を電子化できれば、「起案」「申請」「承認」「決裁」の流れをひとつのプラットフォームで一元的に管理することが可能です。申請書をデータベース上で管理することでフローが可視化され、社内申請の効率化に寄与すると同時に書類の紛失リスクがなくなります。また、申請書の作成や上長の承認を得るといったプロセスをデジタル上で完結できるため、時間や場所の制約にしばられない先進的なワークスタイルを確立する一助となります。

ただし、社内申請を電子化するためには既存の業務フローを大きく変更しなくてはなりません。Excelや紙媒体で管理している申請・承認フローをいきなり別システムに切り替えるのは、コストや現場の負担が大きく、社内で反発が生じる可能性が懸念されます。こうしたリスクを最小化するためにはExcel文化や紙文化を維持しながら、スモールスタートを意識して段階的に変革を推進しなくてはなりません。

Excel文化を残しながら社内申請の電子化を実現したい方は「AppRemo(アップリモ)」の導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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