社内の申請・承認業務を電子化するワークフローシステム。当たり前のように普及しているツールの1つですが、このワークフローを運用する上で、そもそも何を管理すべきか、整理できていない方もいるのではないでしょうか。このブログでは、ワークフローを管理する必要性、ワークフローシステムのどのような機能でそれが実現できるのか、について解説していきます。
ワークフローを運用していく上で必要な管理とは?
ワークフローとは、「業務の流れ」を意味しており、複数の担当者が業務を行う際に、担当者間で受け渡す「文書や情報の流れ」のことを指します。会社で言うと、例えば、稟議申請、経費精算、人事考課などがそれにあたり、種類は問わず、複数の部署と人を介して業務が行われています。
このようなワークフローは、複数人を介すだけでなく、申請書毎に細かなルールが設けられ、運用が複雑です。そのためルールを覚えることにも負荷がかかりますし、誤ったルールでワークフローをまわしてしまうと、その分出戻りが発生し、より非効率な作業が増えてしまいます。
では、そのような状況を回避するためには、どのような管理が必要なのでしょうか。まずは、実際の現場でよくあげる問題から見ていきましょう。
承認者・回覧者を間違えてしまう
様々なワークフローは、その種類ごとに、誰に決裁依頼をすべきか、誰に共有(回覧)すべきかがルールで定められています。稟議申請であれば、部長決裁→経理決裁→役員決裁・・のように、適切な決裁者にまわしていく必要があります。その共有も同様で、関係がない社員への共有は、混乱や情報漏洩を招く場合があります。
スムーズな決裁をまわすためにも適切な対象者への決裁依頼・共有が必要ですが、決裁金額に応じて、決裁者が増えるなど複雑なルールが設けられている場合もあり、間違えが多発しやすい部分です。
申請フォーマットの誤り・記入ミスによる差し戻し
申請内容ごとに、利用する申請フォーマットは決まっています。申請フォーマットの選択自体を誤ること(稟議決裁をとるのに、別の申請フォーマットを利用する等)は少ないですが、フォーマットが改定された場合、古いフォーマットを使って申請してしまうケースはよくあると思います。フォーマットの改定は社内規定の変更により発生することが多いため、常に最新のフォーマットで申請することが求められます。また、古いフォーマットで申請してしまうと、必要事項の記入漏れ、記入ミスも発生し、差し戻しによる手間や決裁スピードの鈍化につながります。
書類の保管・過去の申請書の検索に時間がかかる
申請書類は適切なルールに基づき保管されている必要があります。紙の書類保管の場合、申請書ごとにファイリングされ、決まったキャビネットに保管されているか、そのキャビネットは施錠されており決まった人だけが閲覧できるようになっているか、保管期間を管理し期限が過ぎたものは適切な方法で処分されているか、書類は紛失していないか・・などの細かい管理が求められます。加えて、保管や閲覧ルールを社員に周知しないと、参照するために過去の申請書を探すという手間もかかってしまいます。
このような問題を解決するために必要なワークフローの管理。しかし、その管理には手作業の手間が多く発生し、無駄な時間がかかってしまいます。
ワークフローをシステムで管理することのメリット
上記でお話した様々な管理の問題。具体的にはどのように解決できるのでしょうか。本章では、ワークフローシステムを導入し管理するメリットをご紹介します。
ワークフローシステムとは、上記のような問題点をシステムで自動化し、運用・管理の効率化をサポートするツールのことを指しています。ワークフローシステムを利用すると、管理の面でどのようなメリットがあるのでしょうか。
申請フォーマット・記入ルールが整備できる
フォーマットの改定がある場合、管理者がシステム上の申請フォームを改定します。申請者はその申請フォームでしか申請することができないため、改定前の古いフォームを利用することはありません。また、必須入力や入力形式を制御することもできるので、記入ミスを防止することもできます。
ワークフローは作業時間が短縮できるツール
ワークフローは下記のように作業時間が短縮できる便利なツールです。時間の短縮は、その業務にかかるコスト削減に直結しますし、加えて企業の意思決定のスピード感が増すため、新たなビジネスチャンスの創出にもつながります。
- 申請フォームや記載内容の誤りによる、差戻し、再申請対応の時間。
- 誤った承認者(回覧者)へ渡ってしまうことによる出し直し、決裁時間のロス。
- 最終決裁までにかかる時間。
- 回覧者への申請書送付の手間。
- 申請書類をファイリングし、キャビネットに保管する手間。
- 申請書の進捗確認の時間。
ワークフローが可視化できる
システム上で申請書の進捗状況をいつでも確認することができます。どこまで決裁がまわっているのか分からないということはなくなり、それだけでも負担は軽減されます。また、上記の時間の短縮で挙げたように、申請書はすべてシステム上で保管されるため、原本管理の手間は無くなり、紛失リスクも防止することができます。
ワークフローシステムを導入すると、現状より効率的な運用・管理の実施が期待できます。しかし、多くのワークフローシステムが存在する中で、どのようなツールを選択すれば、本当に効率的な管理が実現できるのでしょうか。管理の側面から、必要なワークフローシステムの機能について、次の章で紹介していきます。
管理に優れたおすすめのワークフローシステム機能
多くのワークフローシステムには、管理を効率的に行う様々な機能が備わっています。ポイントとなるのは「機能の有無」だけでなく、「その機能が簡単に使えるか」「複雑な運用に対応できるか」という点です。
申請フォーム設定機能
申請フォームとは、Web上で申請するフォーム(画面)のことを指します。申請フォームは、新規作成や更新を考慮し、誰でも簡単に設定できる仕組みである必要があります。加えて、項目の入力規制(数値のみ可など)や入力形式(プルダウン、テキストなど)、印影や採番の差込などの細かな設定ができると、より多くの申請書をシステムで運用することができます。
承認ルート設定機能
申請書毎に決まった承認ルートを設定する機能です。管理者が、事前に決まったルートを設定し、該当の申請フォームと紐づけていれば、申請時にわざわざルートを設定することなく、そのまま申請ができます。申請者や承認者が、承認ルートを操作する必要がなく、正式なルートで決裁をまわすことができます。
加えて、承認者の変更、追加や順番変更等、イレギュラーが発生した場合にも柔軟に変更できる機能が備わっているとより望ましいです。
申請状況の確認機能
検索機能で申請書の状況を確認することができます。加えて、一目で状況が把握できるよう、「TOP画面に確認すべき申請書がアラートとして表示されている」、「使用しているグループウェア製品のTOPに申請件数が表示される」など、検索せずとも気づきやすい仕組みがあると、対応漏れを防止することができます。
ユーザー情報・組織情報の設定
ワークフローシステムは、利用するユーザーと所属の組織情報を設定し利用します。それらの情報は、社員の入退社や組織変更の度に設定を変更する必要があります。システム上、事前に次組織情報を設定しておける、タイマー設定で次組織情報が自動で反映される等の機能が備わっていると、スムーズな対応が行えます。
まとめ
今回ご紹介したワークフローの管理に優れた機能は、まだ1部分だけです。申請書の履歴管理や改ざん防止など、内部統制の観点からも管理機能が充実しているワークフローシステム。自社でどのような管理が必要かを洗い出し、システム導入を検討してみてはいかがでしょうか。
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- ワークフロー(申請業務)
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