新型コロナウイルスの影響で、テレワークを導入する企業が増えています。一方、従来は外回り営業のスタイルが多かった営業職においては、テレワークが難しい側面もあり、どのように導入すべきか悩んでいる方も多いでしょう。本記事では、営業職にテレワークを導入するメリットやデメリット、浸透させるためのコツなどを解説します。
コロナ時代で注目される「訪問しない営業」とは?
新型コロナウイルスの影響で、従来のような訪問営業が難しくなっています。そこで注目されているのが「訪問しない営業」です。もしかすると、「インサイドセールス」という言葉で知っている方も多いかもしれません。
訪問しない営業とは、文字通り、直接訪問せず、メールや電話、あるいはWeb会議システムなどを通じて営業活動を行います。従来の営業では、どんな顧客に対しても訪問するケースが一般的でした。しかし現在では、自社の商品やサービスを広告やセミナーなどにより認知してもらっている、見込み顧客への営業は、インサイドセールスへ置き換わりつつあります。
このような営業活動は、コロナ禍のなかで導入せざるをえなかった面もありますが、結果として、外回り営業担当者にかかる体力面・精神面での負担や、移動面での費用と時間を、削減できるようになりました。業種を問わず、営業コストを削減したい企業なら、インサイドセールスを活用する価値はあります。
日本におけるインサイドセールスの現状
日本におけるインサイドセールスの現状を解説します。マーケティングツールを提供する「HubSpot Japan」が2019年に実施した調査によると、日本でのインサイドセールスの導入率は11.6%にとどまっています。アメリカの47.2%、欧州の37.1%という数値と比較すると、非常に低い導入率です。
・参考情報:日本の営業に関する意識・実態調査結果をHubSpotが発表
日本でのインサイドセールス導入率が低い理由には、次のような価値観が影響しています。つまり、「営業担当者と顧客が直接顔を合わせて商談することで、信頼関係が生まれる」といった考えが根強く、そのため「インターネットを通じた商談では、心がこもっていない」と、相手企業に認識される恐れがあるからです。このようなリスク回避のため、日本ではいまだに、訪問営業が主流になっています。
営業職にテレワークを導入するメリット
冒頭でご紹介したインサイドセールスは、テレワークと密接に関係しています。営業職とテレワークは相容れない、というイメージを持っている方も多いかもしれません。しかし企業は、営業職にテレワークを導入することで、確かなメリットを得ることができます。
通勤時間・コストの削減
まず、従業員の通勤時間や、顧客先への訪問頻度を減らせます。各営業担当者が、自宅からテレワークで営業するので、通勤定期代や外回り営業で必要だった電車代、ガソリン代の削減ができるのです。
また、外回り営業の労働時間のうち、約25%を占めるとされる移動時間が不要になります。つまり単純に言えば、より本質的な営業活動にあてることができる時間が、毎日25%増えるということです。
・参考情報:参照サイト営業でテレワークや在宅勤務を浸透させるには?活用のコツを紹介
業務の効率化
営業職のテレワークは時間やコストを削減するだけでなく、業務効率自体を高めることも可能です。
インサイドセールスを導入していても、特定の重要な見込み顧客への訪問は、どうしても行いたい、ということはあるでしょう。その点でも、非対面で対応可能な顧客との商談をインサイドセールスで効率的に行うことで、より重要な顧客に向けた営業時間を、多く捻出できます。結果として、商談数や成約率の向上が期待できるでしょう。
こうしてインサイドセールスの導入に際して、顧客別に、営業にあてる時間配分を整理することによって、対面での商談の成功率向上につながります。
働き方改革の促進
営業活動といえば、ターゲットの選定からアポイントの取得、商談を重ねてのクロージング、さらには自社製品を相手企業が導入した後のサポートまで、幅広く対応する場合が多いのではないでしょうか。それに伴い、見積書や契約書の作成などの事務作業も多くなってしまうので、長時間の残業につながりやすい、という側面が営業部門にはありました。
しかし自社内にインサイドセールスが定着した営業パーソンは、取引先との間に発生するさまざまな業務を、電話やインターネットによって効率的にさばくことができます。結果、営業部門全体の労働時間短縮や、いわゆる「働き方改革」の推進にもつながります。さらに、こうしたインサイドセールスの導入によって、厚生労働省の推奨する「柔軟な働き方」が自社内に浸透していることを外へ提示できれば、企業ブランド向上にも役立ちます。
営業職にテレワークを導入するデメリット
もちろん、営業職へのテレワーク導入に際して、知っておくべきデメリットも存在します。
環境整備が必要
テレワーク導入には環境整備が欠かせません。具体的に挙げると、まずはオフィスに集まらなくてもメンバー間でコミュニケーションを取るツールや、システムの導入が必要です。社内の連絡手段が、電話やメールだけでは、コミュニケーションに不便が生じてしまいます。
また営業部では、契約書や見積書、経費などを申請し、承認をもらう、というフローが、いくつも重なります。これを、対面でなくリモートで、円滑に進めるためのツールが必要になります。逆に、ツール上で承認プロセスを一貫して行えるようになれば、リアルタイムで申請状況を把握でき、余分なコミュニケーションを抑えることも可能です。
従業員のマネジメント管理
オフィスに集まって業務を行う場合と比較して、最も難易度が高い課題のひとつが、従業員のマネジメントです。従業員全員が自律性を持って業務に当たれるとは限らず、上司からの目がなくなり、手を抜く従業員がいないとも限りません。
非対面でのコミュニケーションのなかで、従業員が困っている点や抱えている悩みなどをくみ取ることが求められるため、マネジメント担当者の負担は大きくなります。リモートでのコミュニケーションがうまくいかないと、情報共有の停滞や勤怠管理の複雑化を招く可能性もあるでしょう。
情報漏洩のリスク
オフィス勤務では、社内の安全なネットワークを介して業務を行っているケースが多いでしょう。しかし、テレワークになると、各従業員の使用する回線やデバイスを、企業側が完全にコントロールするのは難しくなる、という側面もあります。これにより、特に情報の取り扱いに注意が必要な仕事においては、情報漏洩のリスクが増大します。場合によっては、必要な紙媒体の資料を、従業員宅などへ持ち出す必要もあるかもしれません。それに伴い、資料の紛失リスクも高まります。
テレワークを浸透させるために必要なこと
最後に、テレワークの浸透に必要なことを解説します。
進捗を共有できる仕組みの導入
まずは、メンバー間でお互いに情報共有をしやすい仕組みを構築することです。テレワークの環境で営業が成果を出すには、チーム内で営業進捗を共有し、業務効率を上げて売上につなげることが欠かせません。これには営業活動の可視化を推進してくれるツール「SFA」の導入などが有効です。
また、営業に付随する申請や承認プロセスについても、ワークフローシステムを導入することで、オンラインで一貫して行えるようになります。ワークフローシステムを活用すれば、従来の紙ベースのワークフローから違和感なく、スムーズに移行できるでしょう。
コミュニケーション対策
テレワークになると、必然的にコミュニケーションの頻度が減少してしまいます。そのなかで生産性を保つには、コミュニケーションの質を向上させることが必要です。テレワークでも円滑なコミュニケーションを漏れなく行えるよう、ICTやWeb会議システム、ビデオ通話アプリなどを活用しましょう。もちろん、単にツールを導入するだけでなく、以下のように、従業員が積極的にコミュニケーションを取れるような雰囲気を作ることも重要です。
働きやすい雰囲気作り
テレワークを導入していても、それを活用できるかは別問題です。社内の空気などからテレワークがしづらい、といったことも想定されます。特に一般の従業員は、上の立場の人が自社オフィスへ出勤していると、テレワークを活用しにくいのではないでしょうか。上司が率先してテレワークを実施したり、部下に促したりすることで、チーム全体としてテレワークを活用しやすい雰囲気を作ることも大切です。
まとめ
営業職でもテレワークを導入することは可能です。しかし、本記事でもご紹介したように、コミュニケーションやマネジメント、業務効率などの観点からハードルもあります。それが日本の営業職におけるテレワークやインサイドセールスの導入率の低さにもつながっています。
これらの課題は、ITを駆使したツールの活用によって、解決することが可能です。
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