業務効率化を成功に導く方法とは?
手順やツール活用のポイントを解説

 2025.06.10  株式会社システムエグゼ

近年、業務効率化に取り組む企業が増えていますが、思うような成果を上げられないケースも少なくありません。業務効率化はその効果的な方法を理解し、入念な計画のもとで進めることが重要です。計画を誤ると、かえって非効率になる恐れもあります。本記事では業務効率化の手順や、進める際のポイントについて解説します。

セミナー・展示会の開催スケジュール

業務効率化とは

企業が持続的に成長するためには、「業務効率化」の取り組みが欠かせません。業務効率化とは、業務の無駄を見直し、時間やコストを最小限に抑えながら成果を最大化するための手段です。多くの企業で導入が進んでおり、競争力強化の鍵として注目されています。

業務効率化の定義

業務効率化とは、既存の業務プロセスや作業フローを見直し、無駄や重複を排除して、より少ないリソースで業務を遂行できるようにすることです。例えば、手作業で行っていた作業をデジタルツールで自動化することや、部署間の連携を見直して情報伝達の手間を減らすことも効率化に含まれます。

この取り組みの目的は単なる「スピードアップ」だけではありません。重要なのは、「質の高いアウトプットを維持しながら、無駄を省く」ことです。つまり、人的ミスの削減や、社員がより付加価値の高い業務に集中できる環境を整えることがゴールとなります。

生産性向上との違い

業務効率化とよく似た言葉に「生産性向上」がありますが、この2つは手段と成果の関係にあります。業務効率化は、プロセスの見直しや改善といった“手段”であり、生産性向上は、それによって得られる“成果”です。

具体的には、非効率な会議の削減やツール導入による作業自動化が業務効率化に該当し、それによって生じた時間的・人的余裕を活用して、売上アップや品質向上を目指すことが生産性向上につながります。

業務効率化と生産性向上の違いについては、以下の記事でも詳しく解説しています。

働き方改革と業務効率化の関係性

働き方改革の推進において、業務効率化は不可欠な要素です。例えば「長時間労働の是正」や「柔軟な働き方の実現」といった目標を掲げる中で、限られた時間内で成果を出すには、業務プロセスの効率化が前提となります。

特にテレワークやフレックスタイム制など多様な働き方が進む現在、業務効率化を図ることで、場所や時間に依存しない生産体制を構築することができます。言い換えれば、業務効率化は「働き方改革を成功させるための土台」ともいえるでしょう。

働き方改革と業務効率化の関係については、以下の記事でも詳しく解説しています。

ワークフローを作成して業務効率をアップ!
業務の悩みを部門別に解決!ワークフローシステムで業務改善!

業務効率化を図るメリット

業務効率化には、多くの具体的なメリットがあります。単に時間を短縮するだけでなく、コスト削減や人材活用、企業全体の生産性向上にもつながるため、積極的に取り組む価値があります。ここでは、代表的な3つのメリットを見ていきましょう。

コスト削減を実現する

業務効率化は、無駄な工程や重複作業を省くことで、直接的なコスト削減につながります。例えば、紙の書類を電子化すれば、印刷費や保管スペースの費用を抑えることが可能です。また、人件費の抑制にも効果的で、限られたリソースをより戦略的に活用できるようになります。

従業員のモチベーションが向上する

業務の無駄をなくすことで、社員がより付加価値の高い業務に集中できるようになります。その結果、やらされ感のある単調作業が減り、自分の仕事への納得感や成長実感が得られるでしょう。これは、職場全体のモチベーションやエンゲージメント向上にもつながります。

業務ミスを防ぐ

煩雑な手作業や属人化した業務は、ヒューマンエラーを引き起こしやすくなります。業務効率化によって、標準化や自動化が進めば、こうしたミスの発生リスクを大幅に低減可能です。とくにミスが大きな損害につながる業種では、業務効率化がリスクマネジメントにも直結します。

業務効率化の手順

一般的に、業務効率化は以下の手順で進めることが推奨されます。無計画な業務効率化はかえって逆効果になる場合もあるので、ぜひ参考にしてみてください。

現状の課題を洗い出す

まず最初に行うべきは、現状の業務プロセスの可視化と問題点の洗い出しです。どの作業に時間がかかっているのか、どこに重複や無駄があるのかを明確にすることが、的確な改善の第一歩となります。業務フロー図の作成やヒアリング、ログの分析などを通じて、定量・定性的な視点で課題を整理しましょう。

効率化すべき業務を選ぶ

課題を洗い出した後は、全ての業務を一気に改善しようとせず、優先順位をつけることが重要です。例えば、頻度が高く工数が大きい業務、またはミスが起こりやすい業務は、効率化の効果が出やすいため、優先的に着手すべきです。リソースとコストのバランスを考慮しながら、現実的な改善対象を選びましょう。

改善策を検討して実行に移す

改善対象が定まったら、具体的な改善策を検討し、計画的に実行へと移します。ツールの導入や作業手順の見直し、外部委託など、手段は多岐にわたります。導入にあたっては、社員の意見を取り入れながら、現場に即した運用を設計することが成功の鍵です。導入後は定期的な検証と見直しを行い、改善効果を持続させましょう。

業務効率化の手順については、以下の記事でも詳しく解説しています。

自社のみでは業務改善が難しいといった場合は、コンサルティングという手段もあります。
以下の記事では、業務効率化におけるコンサルティングについて詳しく解説していますので参考にしてください。

業務効率化を成功させるポイント

業務効率化を進めるには、やみくもに取り組むのではなく、いくつかの成功要因を意識することが重要です。効率化は1度きりの改善で終わるものではなく、継続的な取り組みが求められます。そのためには、明確な目標設定や優先順位の整理、改善プロセスの定着が鍵となります。以下では、効率化を成功に導くための実践的なポイントを解説します。

業務効率化のための目標を設定する

まず取り組むべきは、業務効率化の「目的」と「目標」を明確にすることです。目的が曖昧なままでは、施策の方向性が定まらず、効果も測定できません。例えば「報告書作成の時間を月10時間削減する」など、具体的で数値化できる目標を立てることがポイントです。目標設定を通じて、社員の意識改革も促進できます。

業務効率化の目標設定の例や、個人目標の設定のポイントについては以下の記事で詳しく解説しています。

優先順位をつけて改善を進める

業務効率化の効果を高めるには、「今すぐ改善すべき業務」を正しく見極めることが大切です。全ての業務を1度に変えようとすると、かえって混乱を招く恐れがあります。まずは影響範囲が広く、負担が大きい業務を優先して着手するのが基本です。

このとき、マニュアルやTo doリストの活用が有効です。業務の優先順位を明確にすることで、重要度の高い仕事から効率的に進められるようになります。また、突発的なトラブルへの備えとして、緊急時の対応マニュアルを事前に整備しておけば、平常時だけでなく非常時にも強い組織を築けます。

PDCAを実行する

業務効率化は、1度改善して終わりではありません。PDCA(Plan・Do・Check・Act)サイクルを継続的に回すことで、改善の効果を検証し、より洗練されたプロセスへと進化させていく必要があります。

例えば、改善施策を実施したあとに効果測定を行い、想定どおりの成果が出ているかを分析します。その上で、改善点を反映し次のアクションにつなげることで、業務はより強固で無駄のないものになります。

PDCAをはじめ、6つのフレームワークを紹介していますのでこちらも参考にしてください。

また、業務効率化を成功させるポイントについては、以下の記事でも詳しく解説しています。

業務効率化のアイデア

業務効率化は、一部の部署や業種に限られた話ではなく、あらゆる業務に取り入れられる普遍的なアプローチです。ここでは、現場で取り入れやすく、すぐに実践できる施策を6つ紹介します。不要な業務の削減や自動化、ペーパーレス化といった取り組みから、外注活用まで幅広いアイデアを押さえておきましょう。小さな改善を積み重ねることが、大きな成果につながります。

不要な業務を見直す

業務効率化の第一歩は、「やらなくてもよい仕事」を減らすことです。長年の慣習で続けている業務の中には、すでに目的を失っているものや、他の業務で代替できるものも少なくありません。例えば、会議資料を毎回紙で配布しているケースや、複数人での重複チェックなどが挙げられます。

こうした業務を見直す際は、「その作業は何のために行っているのか」「代替手段はないか」といった視点で棚卸しを行いましょう。チーム単位で定期的に業務レビューの機会を設けることも、業務のスリム化に役立ちます。

業務を自動化する

繰り返しの多い定型業務は、自動化によって大幅な時間削減が可能です。例えば、エクセルでの集計や報告書作成、メールの自動送信、ファイルの振り分けなどは、マクロやRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)を活用することで自動化できます。

1度設定すれば、人の手を介さず正確かつ迅速に処理できるため、ミスの削減にもつながります。社内にITスキルの高い人材がいなくても、ノーコードツールやクラウドサービスを活用すれば導入も容易です。

エクセルの定型作業自動化のテクニックについては以下の記事で詳しく解説しています。

書類を電子化してペーパーレスを進める

紙の書類は、印刷・保管・検索・共有に多くの手間とコストがかかります。そこで、文書管理や契約書、請求書などを電子化することで、業務のスピードと効率は大きく向上します。とくにリモートワークの普及により、物理的な紙に依存する業務は大きな制約となるため、ペーパーレス化は急務といえるでしょう。

電子化を進める際は、スキャン保存やクラウド管理システムの導入とともに、社内ルールの整備も重要です。例えば、電子署名を有効活用することで、法的効力を維持しつつスムーズな業務進行が実現できます。

作業手順をマニュアル化する

業務の属人化は、作業の非効率や引き継ぎ時のトラブルの原因となります。そこで、業務ごとの手順を明文化し、誰が見ても理解できるようなマニュアルを作成しておくことが大切です。特に新人や異動者がすぐに業務に適応できるよう、図解や動画を使った「見える化」も効果的です。

マニュアル化によって、作業のばらつきを減らし、一定の品質を担保できます。また、業務改善の際も「何をどこまで自動化・簡略化できるか」を判断しやすくなるため、効率化の土台づくりにもなります。

業務を分担して専門性を高める

1人の社員が多くの業務を抱えていると、どの作業も中途半端になりがちです。そこで、業務の特性に応じて担当者を明確に分けることで、業務の質とスピードがともに向上します。例えば、経理・人事・営業サポートなど、専門性の高い業務は集中して担当できる環境が望まれます。

また、業務の分担は単に「仕事を分ける」だけでなく、チーム内での連携体制や情報共有の質を高めることにもつながります。役割分担の明確化により責任の所在もはっきりし、業務の進行管理がしやすくなります。

外注を活用して業務負担を減らす

社内リソースだけでは対応が難しい業務や、一時的に工数が増える業務は、外部リソースの活用を検討するのも有効な手段です。例えば、Web制作やデザイン、データ入力、カスタマーサポートなど、専門性や手間がかかる業務を外注することで、社員は本来注力すべき業務に集中できます。

ただし、外注先との連携体制や品質管理には注意が必要です。あらかじめ業務範囲や成果物の基準を明確にしておくことで、トラブルを未然に防ぎ、効率的なパートナーシップを築くことができます。

以下の記事では、企業が実施すべき業務効率化や個人でも行えるアイデアについて詳しく紹介していますので参考にしてください。

ツールを活用して業務効率化を進める

ツールを活用して業務効率化を進める

業務効率化を進める上で、ツールの活用は非常に効果的な手段の1つです。実際、多くの企業ではエクセルやGoogle Workspace、クラウドサービス、RPAなどを導入し、定型業務の自動化や情報の一元管理を進めています。ただし、導入しただけで効果が出るわけではなく、自社の課題や業務内容に適したツールを選び、使いこなすことが重要です。本章では、業務効率化を支える4つのツール活用法について紹介します。

既存ツールの機能を使いこなす

すでに導入されているオフィスソフトや業務ツールを、十分に活用できていない企業は少なくありません。たとえば、エクセルには関数やマクロ、ピボットテーブルなどの強力な機能が備わっていますが、活用できていないと単なる表計算ソフトで終わってしまいます。

まずは、日常的に使っているツールの中で「便利な機能を知らないまま使っているものはないか」を洗い出し、ショートカットやテンプレート、マクロ登録などを見直すだけでも業務の手間を大きく削減できます。ITスキル研修を実施するのも有効です。

RPAを導入して作業を自動化する

RPA(Robotic Process Automation)は、人間が行うルールベースの定型業務を自動で処理するツールです。エクセルの集計作業、システム間のデータ転記、定期的なメール配信など、手作業で行っていた業務をソフトウェアロボットに任せることで、作業時間の短縮とヒューマンエラーの削減を同時に実現できます。

RPAの導入により、担当者がより重要度の高い業務や判断を要する業務に集中できるようになるため、組織全体の生産性向上にも寄与します。初期設定にはやや手間がかかるものの、業務内容が安定していれば長期的なコスト削減効果は非常に大きいといえるでしょう。

クラウドを活用して情報を共有する

情報共有のスピードと正確性を高めるには、クラウドの活用が不可欠です。従来のようにファイルをローカルに保存し、メールで共有する方法では、最新版がどれか分からなくなったり、外出先からアクセスできなかったりといった問題が起こりがちです。

クラウドストレージやクラウド型グループウェアを導入すれば、どこからでもリアルタイムに情報を確認・編集できるため、テレワークや外出時の業務にも対応しやすくなります。また、アクセス権限の設定や履歴の管理機能により、セキュリティ対策も万全に行えるのがメリットです。

データベースを構築して情報を一元管理する

業務が属人化しやすい原因の1つに、「情報が個人や部署ごとにバラバラに管理されている」ことが挙げられます。この課題を解決するためには、社内データを整理し、共有可能なデータベースとして一元管理する仕組みを整える必要があります。

顧客情報、進捗状況、契約書類などをデータベース化すれば、必要な情報に誰でも迅速にアクセスできるようになり、無駄な確認作業や情報の再入力を削減できます。加えて、BIツールと連携すれば、蓄積されたデータを活用した分析や経営判断にも活かすことができます。

業務効率化のためのツール、システムについては、以下の記事でも詳しく解説しています。

業務効率化を実現した企業の成功事例

業務効率化を実現した企業の成功事例

業務効率化は抽象的な概念に思われがちですが、実際には多くの企業が具体的な成果を上げています。ここでは、建設業・製造業・小売業という異なる業種の成功事例を紹介します。それぞれの業界が直面していた課題に対し、どのようなツールやアプローチを用いて業務効率化を実現したのか、導入前後の変化に注目しながら解説していきます。

建設業の成功事例

ある住宅メーカーでは、営業が作成する「顧客カルテ」を各部門で回覧・追記する運用をしていましたが、ファイルサーバーやメールでのやりとりが中心で、進捗把握や情報共有に多くの時間を要していました。さらに、関係者が同時にファイルを閲覧できないことから、業務遅延や連携ミスも頻発していました。

そこで導入されたのがワークフローシステムです。エクセル形式の顧客カルテをそのまま運用しつつ、進捗管理や履歴の確認が可能になり、各部門間の連携がスムーズに。現場に出ているスタッフもどこからでも状況確認ができるようになり、承認遅延も大きく減少しました。

製造業の成功事例

製造業では、申請書類や業務フローが部門ごとに異なり、さらに拠点ごとにローカルルールも存在するなど、業務が煩雑化していました。情報システム部門への負担が大きく、効率化の必要性は認識されていたものの、なかなか導入には踏み切れなかったのです。

そこで、既存のエクセルl申請書をそのまま利用可能なワークフローシステムを導入しました。システム側で申請内容に応じて承認ルートが自動設定されるようになり、申請ミスや差し戻しが激減しています。ITリテラシーの高くない現場社員でも扱いやすく、拠点ごとの業務にも柔軟に対応できる仕組みが整いました。

小売業の成功事例

全国に複数店舗を展開する小売企業では、売上報告や各種申請がエクセルベースで行われており、店舗から本社への送付にメールや社内便を使用していました。その結果、更新ファイルの取り違えや、店長の不在による報告遅延、さらには紙の紛失といった課題が慢性化していました。

新たに導入したシステムでは、申請フォーマットを毎回オンラインで取得・記入し、データはシステム上で自動集計されるようになりました。これによりファイルの取り違えや重複送付がなくなり、集計業務の手間や時間も大幅に削減。本社と店舗間のやりとりが効率化されたことで、業務全体のスピード感が向上しました。

業務効率化の成功事例については、以下の記事でも詳しく解説しています。

まとめ

業務効率化を進めるには、まず現状を正確に把握し、改善すべき対象業務を明確化した上で、改善策を実行していくことが重要です。業務効率化によって、企業は無駄なコストを削減できるだけでなく、労働生産性を高め、従業員の負担軽減にもつながります。

また、業務効率化には、ITツール、システムの活用が欠かせません。ツールにはさまざまな種類がありますが、とりわけ申請業務などのワークフローを改善したい場合は、ワークフローシステム「AppRemo(アップリモ)」の導入がおすすめです。AppRemoには「簡易チャット」「Excelを活用した申請・承認」「スマホ対応」など便利な機能が数多く搭載されています。AppRemoを導入することで、企業は申請業務の効率化を進め、場所を問わず働ける柔軟な働き方の実現が期待できるでしょう。


RECENT POST「業務改善/効率化」の最新記事


業務改善/効率化

業務改善とは? 企業での進め方やフレームワーク・ツールを徹底解説

業務改善/効率化

市民開発で現場が変わる!進め方や事例、メリット・デメリットを解説

業務改善/効率化

業務フロー図の書き方とは?分かりやすい作成手順とポイントを紹介

業務改善/効率化

紙の申請業務が抱える課題とその解決策 2社の事例もご紹介

業務効率化を成功に導く方法とは?手順やツール活用のポイントを解説
ワークフローでお困りごと解決入門ガイド