昨今の日本の少子高齢化は避けては通れない問題であり、今後の企業にとってはますます人材の確保が難しくなると考えられます。このような状況において、企業が従来と同じ、もしくはそれ以上の利益を確保するには、生産性の向上が不可欠といえるでしょう。本記事では、生産性向上を実現する業務効率化の成功事例や、取り組むべきポイントを解説します。
企業の業務効率化の成功事例
業務効率化に取り組みたいと考えても、何から始めればよいのか、取り組み方がわからない、といった企業経営者や担当者の声をよく聞きます。まずは、業務効率化の成功事例に目を通し、イメージを掴みましょう。
営業チーム内のナレッジ共有
営業チーム内でナレッジを共有することで、営業力の均一化を実現できます。営業においては、各担当者のスキルに依存するケースが少なくありません。驚くほどの売上を達成する人がいる一方で、売上がまったく伸びない人もいます。
ナレッジを共有できれば、高いスキルを持つ営業担当の知識やノウハウを、すべての担当者がセールスに活かせます。優秀な数人の担当者に依存することなく、チーム全体での営業力強化が可能です。
ナレッジ共有には、「SFA」の導入が有効です。SFAは営業支援システムのことであり、顧客や案件、商談、プロセスなどの管理をはじめ、売上予測、タスク管理、集計レポート機能なども備わっています。
SFAを導入すれば、顧客の担当が変わっても、対応情報がデータベースに蓄積されているため、個々の顧客に合わせた対応が行えます。
RPAやExcelの自動化
「RPA」は、定型業務の自動化を実現できるツールです。導入により、データ入力や転記といった定型作業が自動化されます。また、ExcelのマクロやVBA、Pythonなどを用いれば、Excelの自動化も併せて可能です。
Excelを自動化する、専用のツールも存在しています。VBAやPythonなどは、プログラミング言語の知識がないと難しいので、ツールの利用も検討してみましょう。
RPAの導入やExcelの自動化により、定型業務の工数を大幅に削減できます。それまで、人の手で行っていた作業が自動化されるため、残業時間の削減にも効果的です。定型業務の手間がなくなるので、主力業務に集中できることもメリットです。
ITシステム導入
ITシステムの導入をきっかけに業務改善に成功した事例は多く、大幅に業務効率がアップし、コスト削減やワークライフバランス、生産性向上が実現できます。
業務効率化に役立つITシステムやツールとしては、先述したRPAをはじめ、名刺のデジタル化と管理を行える名刺管理ツールや、業務の進捗状況の把握が可能なタスク管理ツールなどが挙げられます。また、社内でのやり取りを円滑にする、コミュニケーションツールも業務効率化に役立ちます。
そして、ペーパーレス化ツールも、効率化には欠かせません。オンラインで会議を開けるWeb会議ツールや、申請・承認フローの可視化、簡略化、迅速化を実現できるワークフローシステムなどが代表的です。紙を使わない業務環境を構築すれば、リモートワークへの移行も容易に実現できるのです。
データベースの一元管理
部門間で、異なるデータベースを使用している企業は少なくありません。個々の部門が独立して、データを管理している状況下では、部門間での連携が取りづらく、意思決定の遅滞や機会損失などのリスクを招きます。
データベースの一元管理により、業務効率化を実現した企業は多数あります。社内で扱うさまざまなデータを、1ヶ所に限定して管理することで、情報共有がしやすくなり、必要に応じて情報を取り出せるのがメリットです。
一元管理できる環境を整備するには、データベースソフトや「ERP」の導入が有効です。ERPは、ヒト・モノ・カネといった企業経営に必要不可欠な3つの資源データを、一元管理するシステムです。
データを一元管理できる環境を構築することで、組織全体での有益な情報の活用が可能になります。部門間の連携も取りやすくなり、意思決定のスピード化が図れることも、メリットの一つといえるでしょう。
働く環境の整備
業務効率化に成功した企業を見てみると、職場環境の整備に力を入れています。実際に業務を遂行するのは、現場で働く従業員であるため、働く環境の整備が非常に重要であることはいうまでもないでしょう。
環境整備の方法としては、主にフリーアドレスやIoTの導入が挙げられます。フリーアドレスとは、個別の座席を廃止し、オフィスの好きな場所で業務を行える仕組みです。IoTとはセンサーと社員をつなぎ、業務効率化をはかる手法です。例えば社員証カードにセンサーをつければ、オフィスや工場での社員の動きのムダを発見できる仕組みを作れます。
これらの仕組みにより、生産性向上や社員間でのコミュニケーションの活発化が見込めます。コミュニケーションが活発になればなるほど、新たなアイデアの創出にもつながるでしょう。今までにない、柔軟な働き方改革を実施することで、業務効率化も実現します。
業務効率化を成功させるポイント
業務効率化の取り組みを成功させるには、いくつかのポイントをおさえておく必要があります。まずは改善する業務を明確にしたうえで、課題の解決策を立案します。その解決策を実行して終了ではなく、「PDCA(計画・実行・評価・改善)サイクル」を回すことも大切です。
改善する業務の明確化
改善する業務を明確にすることが、効率化の第一歩です。そのためには、きちんと現状を把握しなくてはなりません。現場で行われている作業の手法やフローを洗い出し、全体像の把握に努めましょう。
そのうえで、担当者や人数、利用しているツール、必要なスキル、作業時間、作業頻度などを洗い出します。その中から、費用対効果の悪い業務を抽出しましょう。抽出した業務こそ、改善を進めていく対象です。
改善するための解決策の立案
解決すべき課題をピックアップしたら、次は具体的な解決策を立案します。立案にあたっては、「効果」と「実現可能性」の2要素を軸に、アイデアを出しましょう。効果が見込めない解決策を立案しても、時間をムダにしてしまいます。
また、多くの企業では、解決策を立案したら稟議にかけて、決定権を持つ人物に判断してもらわなくてはなりません。実行にゴーサインをもらうには、効果を見込める根拠を示す必要があります。
また、どれほど素晴らしい解決策であったとしても、実現する可能性が低いようでは意味がありません。現実的でない解決策は、高い確率で却下されてしまうため、どこから見ても実現可能といえる解決策を立案することが前提です。
実施後のPDCAが重要
解決策を実行して、そこで終了ではありません。効果がきちんと現れているかどうか、を確認する必要があります。そして、当初に見込んでいた目標を達成できているか、達成できていない場合は何が足りないのかなどを、検証しましょう。
業務効率化を実現するには、実行後のPDCAが非常に重要です。解決策の実行後に検証と分析を行い、必要に応じて改善を進め、再度立案→実行→検証とサイクルを回します。
場合によっては、なかなか解決策がうまくいかず、何度もサイクルを回さなくてはならない場合もあります。しかし、サイクルを回し続けることにより、状況はどんどん良くなるはずです。
特に、取り組みを始めた当初は、設定した目標をすぐに達成できなくて当然です。ここで諦めてしまうのではなく、むしろここがスタートだと考えましょう。目標が高すぎると感じたら、一度目標ラインを見直す活動も入れてみましょう。
PDCAを回すときのコツは、細かく分析してスピーディーに回すことです。サイクルを回すのが遅いと、それだけ業務効率化のゴールが遠ざかってしまいます。素早く回すことを意識しましょう。
まとめ
企業の生産性を向上させるには、業務効率化が欠かせません。働き方改革への対応や労働人口の減少など、企業を取り巻く環境は今後、ますます厳しくなると考えられます。限られたリソースで、利益の最大化を実現できるよう、業務効率化で生産性向上を目指しましょう。
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