働き方改革や新型コロナウィルス感染症対策として、在宅勤務を本格導入する企業が増加しています。自社でも急いで対応したいものの、何を準備すればいいのか、本当に成果を得られるのか改めて確認しておきたい方もいることでしょう。そこで本記事では、テレワークと在宅勤務との違いや、在宅勤務の導入メリット・注意点などについて解説します。
在宅勤務とは
「在宅勤務」とは文字通り、自宅を就労場所とする働き方のことです。自宅から、主にノートパソコンなどのIT機器を使って業務を行い、インターネットや電話などを通じて所属オフィスとのコミュニケーションを取ります。
従来、在宅勤務が認められている職種は、一般的にエンジニアやプログラマーなど、専門性が高い一部の仕事に限られていました。しかしコロナ禍でテレワーク対応が必要となり、ツールが急速に普及したことで、より幅広い職種で在宅勤務に対応可能となっています。これらのツールを使えば、自宅にいながら、チームでの業務を推進・管理でき、複数拠点をつなぐ会議にも簡単に参加できます。
テレワークとは
「テレワーク」とは、ICT(情報通信技術)を活用し、時間・場所にとらわれずに仕事を行う働き方のことです。「テレ(離れたところ)+ワーク(働く)」を組み合わせた造語で、その柔軟性の高さから、働き方改革の切り札として注目を集めています。
テレワークには、「雇用型」と「自営型」の2タイプがあります。「雇用型」は、企業の社員などが、普段仕事を行うオフィスとは異なる場所で仕事をすることです。「自営型」は、個人事業主や自宅での内職を本業としている人が行うテレワークです。国土交通省では、週に8時間以上テレワークを行っている人を、「テレワーカー」と定義しています。
在宅勤務とテレワークの違い
テレワーク=在宅勤務と考えている人もいるかもしれませんが、そうではありません。テレワークは、在宅勤務をはじめとする時間と場所にとらわれない働き方の総称です。ただし、整理しておきたいポイントは、在宅勤務は前述の「雇用型」テレワークにおける働き方のひとつであるということです。個人事業主が自宅兼オフィスで仕事をすることを、在宅勤務とは呼びません。
在宅勤務に適しているとされるのは、育児や介護、病気などの理由で、オフィスへの通勤が物理的に困難な人たちです。ただし、コロナ禍においては感染防止対策の一環で、全社員を対象に在宅勤務が導入される事例も増えています。この場合、週に1~2日の交代で在宅勤務を行うケースも多いでしょう。
「雇用型」テレワークにおいて、もっとも効率性の高い就労場所は、社員の仕事内容やライフスタイルに応じて変わってくるものです。そのため、在宅勤務以外にも、「モバイルワーク」や「サテライトオフィス勤務」という形態もあります。
モバイルワークは、営業職などの人たちが出先で仕事を行う外勤型のテレワークです。訪問先や出張先のホテル、移動時間などで仕事を済ませ、そのまま直帰することも可能であり、残業時間の圧縮につながります。
サテライトオフィスは、社員の分散や時間効率の観点で設置された、内勤施設のことです。大企業の場合、社内外に社員専用のサテライトオフィスを複数構えるケースも珍しくありません。
在宅勤務導入により期待できるメリット
ここからは、在宅勤務を導入するメリットについてご説明します。ただし、これらを享受できるかどうかは、運用方法次第です。あくまで期待できるメリットの例として見ていきましょう。
業務効率があがる
在宅勤務では通勤や移動が不要となり、電話や来客で仕事を中断されるということも減ります。自分のペースで仕事に集中できるため、業務効率がアップします。また、1日の時間を有効に活用できるようになることで、仕事へのモチベーションが上がる人も多いでしょう。結果的に、生産性の向上が期待できます。
人材の確保につながる
在宅勤務制度があれば、育児や介護などの事情で、通勤が困難になった人材にも仕事を続けてもらいやすくなります。また、社員にとって働きやすい環境を整備している企業というイメージは、採用活動においても大きなアピールポイントになります。優秀な人材を確保・獲得し、定着化させることは、企業の長期的な成長にも不可欠です。
コスト削減が可能になる
在宅勤務は、コスト削減にもつながります。まず、オフィスで勤務する人数を絞れば、維持費や事務用品代、水道光熱費などを圧縮できます。また、社員の交通費や出張費などのコストも大幅にカット可能です。さらに、社員の離職を防止できれば、採用活動や新人教育のための予算も抑えられるでしょう。
通勤ができない事態への対策になる
在宅勤務は、非常時におけるリスク分散にもなります。近年では、大型台風や洪水などによって、自宅待機を余儀なくされるケースも多発しています。在宅勤務の場合、天災などで通勤ができなくなっても、在宅で事業継続が可能です。また、感染症拡大防止対策としても有効です。普段から在宅勤務に慣れておけば、いざというときにも慌てず対処でき、ビジネスへの影響を最小限に抑えられます。
在宅勤務導入のポイントや注意点
このようにメリットの多い在宅勤務ですが、いくつか注意点もあります。ここからは、在宅勤務を導入するにあたって、押さえておくべき注意点をご紹介します。
申請・承認、勤怠管理手段の整備
いざ在宅勤務に踏み切っても、申請や承認のために結局、出社が必要という課題が発生する場合もあります。また、社員の勤怠管理をどうすればいいのか悩んでいる管理者も多いことでしょう。こうした問題は、ワークフローシステムや勤務時間を把握できるツールの導入によって解消できる可能性があります。労働時間の適正管理は、在宅勤務で起こりがちな長時間労働の防止にも効果的です。
ワークフローシステムを導入し、申請・承認業務を電子化すれば、自宅のパソコンからでも作業可能です。あらゆるやり取りが可視化され、決裁が済んだものは自動的にシステム内に保存されるので、内部統制も強化されます。コメントや簡易チャット機能を使えば、新規案件の申請や不備があった場合の差し戻しもスムーズに行えます。
ワークフローシステムには、クラウド型などさまざまな種類がありますが、ポイントは誰にでも簡単に使えるものを選ぶことです。今までの業務のやり方をイチから変えるものではなく、従来のプロセスを効率化・スピードアップできるものを導入することをおすすめします。
コミュニケーションの体制
在宅勤務で懸念されるのが、コミュニケーション不足です。相手の状況や表情が見えない環境では、どうしてもコミュニケーションの機会が減少しがちです。コミュニケーションが不足し、必要な連絡や確認、アドバイスやアフターフォローまで疎かになると、ミスやクオリティの低下を招きます。慢性化すると、チーム間の信頼関係や連携も弱まってきます。そのため、在宅勤務でもコミュニケーションの量と質を担保できるように、あらかじめ体制を整えておくことが大切です。
具体的には、ビジネスチャットやウェブ会議システム、タスク管理ツールなど、情報共有が円滑に行えるようなツールを導入しておきましょう。また、リーダーが醸し出す雰囲気は、チーム内のコミュニケーションに大きく影響します。チャットを常にオンにする、適宜雑談も取り入れるなど、気軽に相談しやすい空気をつくっておくこともポイントです。
評価制度の明確化
人事評価の難しさも、在宅勤務の課題に挙げられやすい点です。在宅勤務では、業務達成までのプロセスを把握しづらい面がありますが、どのように目標を達成したかも、評価には加味されるべきです。オフィスに出社している社員と比べて、評価で不利になることも避けなければなりません。
そこでまずは、在宅勤務者の評価方法を明確にしておく必要があります。そのうえで、上司と部下のOne-Oneミーティングを定期的に実施するなど、達成目標や進捗状況を共有する場をつくりましょう。出社が難しい場合は、ウェブ会議でも構いません。
セキュリティリスクへの対策
情報漏えいなどのセキュリティリスクにも対策しておく必要があります。社員個人のパソコンを業務に使用する場合は、OSのアップデートとセキュリティソフトのインストールを義務付けましょう。加えて、ファイルは必ず暗号化する、フリーの無線LANは使用しない、機密事項を含む資料やUSBメモリなどの管理を徹底するなど、運用ルールを決めて守らせる必要があります。
もちろん、社員一人ひとりのモラルも問われます。在宅勤務を導入する前には、セキュリティ教育やコンプライアンス教育を実施し、社員のリテラシーを高めておきましょう。
まとめ
テレワークは適切にITツールを使用することで、業務効率の大幅な向上につながります。ワークフローシステムを導入すれば、申請や承認のために、わざわざ出社する手間から解放されます。また、進捗も一目瞭然のため、業務フローの見直しや効率化にも貢献します。
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