本記事では、Oracle Cloudの導入を検討している企業に向けて、Oracle Cloudの概要やIaaS・PaaS・SaaSといったクラウドサービスの種類、それぞれの環境で使用できるサービスなどについて説明します。Oracle Cloudの導入前に、詳細を確認しておきたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
はじめに
「Oracle Cloud」とは、オラクル社が提供しているパブリッククラウドのサービスです。正式名称は「Oracle Cloud Infrastructure(OCI)」で、日本では2014年から提供が開始されました。50以上のサービスを自由に組み合わせられるビジネス向きのクラウドサービスで、インターネット上で利用できるため、自社サーバやシステムなどを購入・構築する必要はありません。
Oracle Cloudには「オラクル社のオンプレミス製品と同じ環境で利用できる」という特徴があります。これまでオンプレミス環境で作業をしていた場合、クラウド環境に切り替えたときに生じる操作性の違いが、従業員への負担になるかもしれません。しかし、オンプレミス環境とクラウド環境のどちらでも同じ操作で扱えるので、クラウド環境への移行後も問題なく作業を行えます。Oracle Cloudは、オンプレミスの使いやすさなどをそのまま残し、クラウド環境を利用できるという大きな利点を持っているのです。
オンプレミス環境からクラウド環境への移行は、オンプレミス環境を一から構築するのとは異なり、インターネット上のパブリッククラウドサービスに切り替えるだけなので、移行作業が簡単なうえ、導入コストを抑えられます。Oracle Cloudでは、オンプレミス環境と同様に、日常的なタスクの自動化による高いパフォーマンスでアプリケーションを利用できるほか、堅牢なセキュリティ管理の実施、自社でサーバのメンテナンス・運用が不要といった運用効率向上などのメリットがあります。
Oracle Cloudは、主に「インフラストラクチャ(IaaS)」「プラットフォーム(PaaS)」「アプリケーション(SaaS)」の3つのサービスで構成されています。
クラウド化されたオンプレミス製品でソリューションを利用する場合、大きなコストがかかるケースが多いですが、Oracle Cloudは低コストで豊富なソリューションを扱えます。四半期ごとにイノベーションが施される点もメリットの一つです。常に改良されたシステムなので、快適な作業を行えることが期待できます。
Oracle Cloudで提供しているIaaSサービス
IaaSは「Infrastructure as a Service」の略です。実用的には、IaaS基盤上にさまざまなシステムが配置され、コアコンピューティングやストレージ、ネットワークなどのインフラ環境がクラウド上で提供される、エンタープライズ向けのサービスとして機能します。
Cloud Compute
仮想マシンやベアメタル・サーバを提供し、ユーザーがアプリケーションを実行するための計算リソースを提供します。
Cloud Storage
ファイル、オブジェクト、ブロックストレージなどのストレージオプションを提供し、データの保持、アクセス、バックアップを可能にします。
Cloud Networking
仮想ネットワーク、ロードバランサ、VPN、DNSなどのネットワーキング機能を提供し、安全な通信やネットワークの構築を支援します。
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Oracle Cloudで提供しているPaaSサービス
PaaSは「Platform as a Service」の略で、OSやハードウェアなどが設定されたクラウド環境を利用できるサービスです。開発者やIT管理者、エンドユーザーがモバイルアプリやWebアプリなどを、構築・統合・移行・展開・管理を行う場合に適しています。
Database Cloud Service
データベースのクラウドベースの提供を行い、Oracle DatabaseやMySQL、NoSQLなどのデータベースを管理します。
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Oracle Container Engine for Kubernetes
Kubernetesクラスタを提供し、コンテナ化されたアプリケーションのデプロイメントと管理を支援します。
Oracle Analytics Cloud
データの取り込みから可視化といった、データ分析用のプラットフォームを提供するサービスです。
Oracle Cloud Data Science Platform
機械学習モデルの構築や管理といった、データサイエンス用のプラットフォームを提供するサービスです。
Oracle Blockchain Platform
暗号資産で知られるブロックチェーン技術のプラットフォームを提供するサービスです。
Oracle Cloudで提供しているSaaSサービス
SaaSは「Software as a Service」の略で、プラットフォームに加えソフトウェアまで包含したクラウドサービスです。提供者側が構築にかかる手間を省けることはもちろんですが、ユーザー側としても事前に自身のコンピュータへアプリケーションやツールを導入する、といった手間が不要です。主にサブスクリプション形態でのサービス提供などで利用されます。
Oracle Cloud ERP
企業の財務、会計、調達、プロジェクト管理などの業務を統合的に管理するクラウドベースのERP(Enterprise Resource Planning)ソリューションです。
Oracle Cloud HCM
人事管理、タレント管理、給与計算などの人材管理機能を提供するクラウドベースのHCM(Human Capital Management)ソリューションです。
Oracle Advertising and CX
カスタマーエクスペリエンス(CX)を向上させるためのクラウドベースのアプリケーション群であり、セールス、マーケティング、サービスなどをカバーしています。
Oracle Cloud SCM
サプライチェーン管理(SCM)を強化するためのクラウドベースのアプリケーションであり、調達、製造、在庫管理、ロジスティクスなどをサポートします。
おわりに
Oracle Cloudのサービスは、「インフラストラクチャ(IaaS)」「プラットフォーム(PaaS)」「アプリケーション(SaaS)」の3種類に分かれます。「IaaS」はエンタープライズ向け、「PaaS」は開発環境のプラットフォーム化の実現、「SaaS」はエンドユーザー向けなど、それぞれ使用方法に対して、適したクラウドサービスの利用が可能です。
Oracle Cloudは、オンプレミス環境からの移行がしやすいクラウドサービスでもあります。快適なクラウド環境への移行により、業務の効率化をスムーズに実現していけるでしょう。
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