この記事ではOracle Cloudのシェア率はどれくらいあるのか、クラウド市場においてほかのクラウドサービスのシェア率と比較して紹介します。Oracle Cloudの特徴や導入のメリット、人気クラウドサービスとの違いについても解説します。
クラウドインフラ市場のシェア率
アメリカの調査会社Synergy Research Group調べによると、2021年第1四半期のクラウドインフラ市場はアマゾン社のAmazon Web Services(AWS)がシェア率のトップと発表されています。AWSのシェア率が約31%、2位はマイクロソフト社のMicrosoft Azure(Azure)でシェア率は約20%です。前年度と比較するとAWSが2%減少し、Azureは逆に2%シェア率が増加しました。
続いて3位はグーグル社のGoogle Cloud Platform(GCP)で約10%、4位はアリババ・グループの提供するAlibaba Cloudで約7%、5位はIBM社のクラウドサービスIBM Cloudで約4%です。クラウドプロバイダーは、この上位5社だけで実に市場の約80%を占めています。6位以降のクラウドプロバイダーにはSalesforce、テンセント、オラクル、バイドゥ、NTT、SAP、富士通などがあり、上位5社と比較するとシェア率に大きな差は見られません。
プロバイダーの成長率はアリババ、テンセント、バイドゥなどの中国企業と、グーグル、マイクロソフトが顕著です。伸び率を維持している企業はアマゾンとオラクルの2社で、Oracle Cloudは約2%のシェア率ですが、市場が成長しているなかでシェア率を維持している点から実際の利用者は増加していると言えるでしょう。
「2025年の崖」はビジネスチャンス?
「2025年の崖」とは、経済産業省が「DXレポート」内で使った表現です。2025年には、実に6割もの基幹系システムが、21年以上経過した状態になると言われています。年数が経ったITシステムでは著しく増加するデータをうまく活用できず、経営上のデジタル競争に取り残されてしまい、利益を生み出せなくなると恐れられています。IT人材の不足による技術的な問題の発生など、現行のまま解決策が取られずに進んだ場合、2025年から毎年最大で12兆円もの経済損失が生じると予想されています。
日本オラクルの専務執行役員ピーター・フライシュマン氏は、「2025年の崖を控える日本企業は、ブラックボックス型のレガシーシステムからオープンなシステムに移行する必要がある」と考えており、また「この崖はオラクルのビジネスチャンスだ」とも発言しています。
こうした発想に基づき、「これからクラウド導入を検討している企業に対しては、実績あるデータベース製品が必要とされるはずである」との見解を示しています。
Oracle Cloud Infrastructure(OCI)とは?
Oracle Cloud Infrastructure(OCI)とは、オラクル社が提供している企業向けのパブリッククラウドサービスです。クラウド上で50以上ものアプリケーションが使用でき、社内にサーバーを構築するオンプレミスとは異なり、サーバーなどの機器の購入・構築が不要なため、導入時のコストが抑えられます。OCIでは、オンプレミス環境からクラウド環境へ移行した場合でも、同じ操作で同様の技術を利用できるのが特徴です。
OCIでは、自社データセンター内またはパブリッククラウドで、インフラストラクチャサービス、プラットフォームサービス、データベースソフトウェアを使用できます。さらにデータベースは完全自己稼働のため、日常的な保守業務も削減可能です。オンプレミスシステムとの連携も可能で、オンプレミスの良さを残しながらクラウド環境が利用できるのが魅力でしょう。
Oracle Cloud Infrastructure導入のメリット
OCIは、コストパフォーマンスが優れていたり、オンプレミスからクラウドへ迅速に移行したりできるメリットがあります。こうしたOCI導入のメリットについて詳しく説明します。
優れたコストパフォーマンス
OCIは、オンプレミスの高性能コンピューティング能力を、クラウド上で利用できるサービスです。安定して利用できる環境が自慢のIaaSや、セキュリティの自動化やパフォーマンスを向上させる自律型サービスによる運用の効率化、また50を超えるアプリケーションから選べる豊富なアプリケーションサービスが利用できます。こうした既存のオンプレミス環境と同様レベルのパフォーマンスの高さがメリットと言えるでしょう。
OCIは、上記のように高品質のサービスを提供してくれるにも関わらず、AWSやAzure、GCPなど、ほかのクラウドプロバイダーよりも低価格で利用できるコストパフォーマンスを誇っています。それゆえ、コストを抑えたい、コストカットを考えている、といった企業に特におすすめです。
クラウドへの迅速な移行
通常のオンプレミス環境からクラウド環境への移行は、リスクも伴うため簡単ではありません。しかし、OCIなら、オンプレミス環境からクラウド環境へのスピーディな移行とイノベーションまでの時間削減を実現できるでしょう。迅速に移行が行えるため、業務にかかる負担も抑えられます。
また、オンプレミス環境を残してOCIを導入したり、オンプレミスシステムとOCIをWAN網で接続したりする構築も可能です。パブリッククラウド導入後、クラウド環境とは別にこれまでと同様にオンプレミス環境も利用できるというメリットもあります。OCIは、どんな移行方法においても迅速に処理することができます。
人気クラウドサービス・料金を比較
ここからは、OCIと、AWS・Azure・GCPといった人気クラウドサービスの特徴、料金を比較していきます。
【OCI】
先述したとおり、オラクル社が提供するパブリッククラウドサービスです。同社のオンプレミス環境からの移行がスムーズに実現することに加え、クラウドへ移行した後もオンプレミス環境と同じ環境で利用可能です。このため、移行が非常にスムーズという大きな特徴を持っています。
なお、料金は従量制と年間クレジット制から選べます。さらにオンプレミスで所有しているライセンスを持ち込むことで料金を抑えることができます。
【AWS】
世界中で利用可能なアマゾン社のパブリッククラウドサービスです。ストレージ機能、ビッグデータ解析、アプリケーションサービスなど豊富なサービスが利用できます。料金は、従量制と定額制から選べて、前払いで支払うほど料金の割引率が高くなります。
【Azure】
世界140ヶ国で利用可能な、マイクロソフト社が提供しているパブリッククラウドサービスです。Microsoft 365などMicrosoft製品を使用する場合に使いやすいなどといったメリットがあります。料金は従量制ですが、前払いなどで大幅に料金が割り引きできるサービスも用意されています。
【GCP】
世界200以上の国と地域で提供されているグーグル社のクラウドサービスです。Google検索やGoogleマップなど、グーグル社の各サービスと同じ高性能で高いセキュリティのインフラを利用できます。またグーグル社製品との連携に優れている点も魅力です。料金は、従量制と定額制があり、継続利用割引、確約利用割引などの割り引きも活用できます。
忖度無しの徹底比較!Oracle Cloud Infrastructure VS Amazon Web Services
クラウドサービスの中では最も長い歴史があり、業界トップシェアを維持しているのが、アマゾン社が提供するAmazon Web Services(以下、AWS)です。サービスが豊富に提供されており、ユーザー数も多いため、活用事例や情報も多く、クラウドサービス選択の基準となっています。
一方、Oracle Cloudは、後発だからこそ、クラウドとオンプレミスの良い所取りした「次世代クラウドインフラ」となっています。エンタープライズ向け製品を長年提供してきた技術とノウハウを活かしてクラウド化の課題を改善しており、厳しい要件にも対応可能です。
本資料ではクラウド選定時に比較されることの多い2つのクラウドサービスについて、あらゆる観点から徹底比較します。
まとめ
クラウド市場は近年大幅に成長しています。人気のクラウドサービスにシェア率の大きな変化はありませんが、少しずつ伸びているクラウドサービスも存在します。
クラウドサービスのなかでも、OCIは堅実に現在のシェア率を維持しているビジネス向けのサービスです。「2025年の崖」問題を解決するため、さらなるシェア率のアップも期待されています。
OCIは、「既存のオンプレミス環境からクラウド環境への移行をスムーズに進められる」「低価格で高速な利用環境が提供されている」など、高いコストパフォーマンスが特徴です。クラウドサービスにはさまざまな特徴や料金体系があるので、使いやすさやコストパフォーマンスなどをしっかりと比較し、ぜひ自社に合うクラウドサービスを探してみてはいかがでしょうか。
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