【徹底解説】モダナイゼーションの主な目的・課題・成功要因とは？

モダナイゼーションとは古くなった現行のハードウェアやソフトウェアを置き換え、最新の技術を取り入れながら、アップグレードすることです。クラウド化やAIを活用しモダナイゼーションを適切に実施することで、DX化や「2025年の崖」への強力な効果が期待されています。この記事では、モダナイゼーションの効果や成功させるポイント、実施方法についてご紹介します。

モダナイゼーションとは何か？

モダナイゼーションの定義

モダナイゼーションとは、既存のシステムやプロセスを最新の技術を取り入れながら置き換えることです。古いハードウェアやソフトウェアを最新のものに置き換え、同時に新しい開発手法や運用方法を採用し、システムの全体的な生産性、安全性、パフォーマンスを向上させることを指します。
ニーズに合わせた最新のシステムにアップグレードすることによって、システムの効果を最適化します。モダナイゼーションすることで企業の生産性やシステムの安全性を高めることができるため、「2025年の崖」を控えた今、DX化の一つとして注目されています。

モダナイゼーションの重要性

モダナイゼーションが注目される背景には、経済産業省が提唱するDXレポートが挙げられます。このレポートでは、レガシーシステム（現在のニーズに対応できない過去の技術で構築されたシステム）を使い続けることで、2025年以降、システムの老朽化による維持費やセキュリティリスクの増加、競争力低下といった経営リスクが深刻化すると予測されています。これらの業務効率や競争力の低下による経済損失は、年間約12兆円（これまでの約3倍）と予測されており、これを「2025年の崖」と表現しています。
しかし、DX化やレガシーシステム脱却の進捗は依然としてスピード感に欠ける状況です。このような状況を打破するために、IPA（情報処理推進機構）はレガシーシステムモダン化委員会を立ち上げ、官民のモダナイゼーションを推進しています。
このように、モダナイゼーションは企業の競争力を向上させる重要な投資であると考えられています。また民間企業だけではなく、公共セクターにおいてもモダナイゼーションを行うことで、サービスの透明性と効率性向上に寄与し、より市民のニーズに迅速に対応できます。
次章からは具体的なモダナイゼーションの効果と方法について見ていきましょう。

モダナイゼーションの主な目的と効果

サービス提供の効率化：
現時点のニーズを取り込んだシステムにアップグレードし、システムの効果を最大化します。また、業務プロセスを自動化した場合、人的エラーの減少など、生産性の向上を見込むことができます。

保守コスト削減：
老朽化したシステムでは一般的に不具合が多く発生し、保守運用にかかるコストが増加する傾向があります。モダナイゼーションにより効率的なテクノロジーを活用することで、これらのコストを削減できます。

拡張性の強化：
老朽化したシステムでは、アプリケーション構造からさまざまな機能的制約があることが珍しくありません。モダナイゼーションにより、機能の追加や拡張・変更が容易になり、ビジネスニーズに応じて業務を拡大・進化させることができます。

データの活用促進：
老朽化したシステムではシステムが複雑になり、データを有効活用できていないケースも多くあります。モダナイゼーションによりデータの活用が容易になり、新たなビジネスの創出が可能になります。

品質向上：
老朽化したシステムではアーキテクチャの老朽化や機能追加により、保守メンテナンス性が低下している傾向があります。
モダナイゼーションの過程でブラックボックス化したシステムの現状を洗い出し、最新の開発手法を取り入れることで保守メンテナンス性が向上します。

パフォーマンスの向上：
セキュリティや保守性が強化されることで、システムの応答時間や仮にシステム障害が起きた場合のダウンタイムを短縮でき、サービスのパフォーマンスが向上します。

モダナイゼーションの課題と成功させるポイント

リソースの制約

限られた予算や人材で大規模なシステム更新を行うことは容易ではありません。
特に公共セクターにおいてはシステム化の範囲の拡大とコストダウンという、相反するニーズを両立させる必要があり、従来から実現していた業務を継承しつつ、新システムへの刷新が求められます。同時に業務を停滞させずに安全・確実に再構築後のシステムを稼働させる必要があります。
そのためには、現状のシステムそのものと、利用するユーザーの実態を十分に把握しておくことが大切です。モダナイゼーションは現状のシステムが抱える課題を解消することを目的としているため、課題のない部分は無理に変更を加える必要はありません。「システムの刷新を行う必要がある部分」を精査したうえで、モダナイゼーションに取り組むことで、リソースを最適化することができます。

既存システムとの互換性

既存システムとの互換性も大きな課題です。
レガシーシステムはスクラッチ開発や独自のカスタマイズが行われ、構築技術やデータ構造が統一されていないことが多く、技術の老朽化、肥大化・複雑化、システム構造やプログラムのブラックボックス化といった課題があります。
こうしたリスクを回避するためには、プロジェクトの初期から現場のメンバーにも参加してもらい、利用実態や希望を把握した上で、モダナイゼーションを進めることが鍵となります。

モダナイゼーションの実施方法

モダナイゼーションの方法には以下のようなものがあります。目的と照らして、コストとスケジュールを勘案し採用する方法を決定します。

モダナイゼーションで重要なテクノロジー「クラウドコンピューティング」

モダナイゼーションにおいて、いくつか重要なテクノロジーがありますが、その一つとしてクラウドコンピューティングが挙げられます。
クラウドコンピューティングは物理的なオンプレミス IT インフラストラクチャを維持する必要がなく、インターネット経由でストレージや、データベースなどのコンピューティングリソースにアクセスします。
クラウドコンピューティングを活用することで、以下のようなメリットが得られます。

スケーラビリティ：
必要に応じてリソースを柔軟に拡張・縮小できるため、ビジネスの変化に迅速に対応できます。

コスト効率：
物理的なインフラの所有コストを削減できるため、初期投資を抑え、運用コストを最適化することができます。

セキュリティ：
最新のセキュリティ対策が施されており、安全にデータを管理できます。

可用性：
一般的にクラウドコンピューティングはシステム障害などによるダウンタイムを最小限に抑えるよう設計されています。これにより、システムが利用できない時間を減らすことができます。

OCIを活用したモダナイゼーション

クラウドコンピューティングの一例として、Oracle Cloud Infrastructure（OCI）があります。OCIとはオラクル社が提供するパブリッククラウドサービスです。
OCIの活用はモダナイゼーションに最適ないくつかのメリットがあります。

高いコストパフォーマンス:
OCIは他のクラウドサービスと比較して、コストパフォーマンスが非常に高いことが特長です。例えば、アウトバウンド通信料が毎月10TBまで無料で、仮想サーバやストレージも低コストで利用できます。

柔軟性と拡張性:
小規模な仮想マシン環境から高性能が求められるベアメタル環境まで、企業の規模やビジネス要件に合わせて選べます。大規模ワークロード向けの高速サーバとストレージによるビッグデータ対応も可能です

高いセキュリティ：
OCIは高いセキュリティ基準を選定条件としている「ガバメントクラウド」のサービスの対象です。「ガバメントクラウド」とは地方自治体などの行政機関が、共通化、標準化された、クラウドサービスを共同利用できるようにした「IT基盤」を指します。行政においては、ガバメントクラウドを活用することによって、コスト削減、セキュリティ強化や、自治体間のデータ連携がスムーズに行えるようになります。

Oracle Cloud Infrastructure（OCI）の導入メリットの詳細については下記ブログをご確認ください。
「Oracle Cloud Infrastructure（OCI）とは？特長と導入メリットをわかりやすく解説」

おわりに

Oracle Cloud Infrastructure（OCI）を活用したクラウドへの移行はモダナイゼーションにおいて重要な役割を果たし、サービスの質と効率を向上させるための鍵となります。

システムエグゼでは、OCIだけではなく、AzureやAWSを活用したクラウド化も支援しています。業務システムのモダナイゼーションを目指すなら、ぜひクラウド化を検討されてみてはいかがでしょうか。