人工知能(AI)と機械学習(ML)、ディープラーニング(DL)の違いとクラウドでの活用方法

 2023.01.31  株式会社システムエグゼ オラクルクラウドチーム

AIはすでに私たちの身近なところで活用されています。例えば、掃除機、冷蔵庫、エアコンなどの家電にはAI機能が搭載されています。また、労働人口の減少が課題となっている今、AIの活用による労働力不足の解消、仕事の効率アップが社会的にも期待されています。本記事ではAIに関するワードを解説し、Oracle Cloud Infrastructure(OCI)で提供されているAIサービスについてご紹介します。

人工知能(AI)とは

AIは「Artificial Intelligence」の略語で、日本語では「人工知能」と呼ばれています。AIは明確な定義が定まっておらず多義的ですが、人工知能研究の第一人者であるジョン・マッカーシー氏は、「知的な機械、特に、知的なコンピュータプログラムを作る科学と技術」と言っています。

AIには「強いAI」「弱いAI」という分類があります。

分類 説明
強いAI 人間の知能に近い自意識を持ち、自身で物事を考えて行動するAI
弱いAI 人間の知能の一部のみを代替し、特定のタスクだけを処理するAI

また、強い/弱いAIから人間の知能の部分を除いた考え方で、「汎用型AI」と「特化型AI」という分類があります。

分類 説明
汎用型AI 特定の作業やタスクに限定せず、人間のような処理能力を持つAI
特化型AI 特定の課題に限定して、決まった処理を自動的に行うAI

現在実用化が進んでいるAIは、ほとんどが「弱いAI」「特化型AI」です。画像認識、自然言語処理、レコメンデーションなどがあります。

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人工知能(AI)、機械学習(ML)、ディープラーニング(DL)の関係性

人工知能の他に、機械学習、ディープラーニングという言葉がありますが、これらは同じ意味ではありません。関係性を表現すると下記の図のようになります。

人工知能(AI)と機械学習(ML)、ディープラーニング(DL)の違いとクラウドでの活用方法
図:AIとMLとDLの関係性

人工知能を支える技術の中に機械学習があります。また、機械学習には様々なアルゴリズムがあり、ディープラーニングはその中の一つです。

機械学習(ML)とは

機械学習(Machine Learning:ML)は、経験からの学習により自動で改善するコンピューターアルゴリズムもしくはその研究領域で、人工知能の技術の1つとされています。

機械学習で使用される学習方法は3つに分けられます。

機械学習の学習方法

学習方法 説明 解決する課題例 技法・アルゴリズム例
教師あり学習 与えられた教師(正解ラベル)データを使用して学習を行う方法 株価予測
音声認識
ロジスティック回帰
サポートベクターマシン
決定木
教師なし学習 教師(正解ラベル)データが存在しないデータからから学習を行う方法 顧客のクラスタリング
特徴抽出
異常検知
非階層クラスタリング
(テンドログラム、k-means法)
強化学習 試行錯誤を通じて「価値を最大化するような行動」を学習する手法
教師データが存在していない状態から学習が可能
囲碁AI
歩行ロボット
TD学習
Q学習

ディープラーニング(DL)とは

ディープラーニング(Deep Learning:DL)は日本語では「深層学習」と言います。対象の全体像から細部までの各々の粒度の概念を階層構造として関連させて学習する手法です。最も普及した手法には、ディープニューラルネットワークによる機械学習手法があります。

ニューラルネットワークは、人間の脳を模してモデル化した技法になります。階層を深くしたものをディープニューラルネットワークと言い、この学習方法をディープラーニング(深層学習)と言います。下記にニューラルネットワークの構造を図にしたものを示します。

人工知能(AI)と機械学習(ML)、ディープラーニング(DL)の違いとクラウドでの活用方法 1
図:ニューラルネットワークの構造

ディープラーニングではネットワークを複雑にするほど高い性能のモデルが作れますが、その分パラメータが多くなり学習コストが高くなります。また、パラメータが多く複雑なため、予測結果の理由を説明しにくいという特徴があります。

クラウドでの活用方法(Oracle AI)

OCIで提供されているOracle AIについてご紹介します。Oracle AIは人工知能(AI)と機械学習(ML)のサービス群です。

AI Services

AI Servicesで提供されているサービスには人工知能・機械学習が組込まれており、作業効率化、保守・運用作業のコスト削減を支援します。事前学習済みモデルを提供しているので、開発者はAI技術を容易に導入・利用できます。

OCI LanguageやSpeechに関しては日本語対応していない機能もありますが、Free Tierでは無償で利用できるサービスもあります。

サービス名 内容 利用例 料金(PAYGの場合)
Digital Assistant チャットボットの機能を提供 会話型チャットボット ¥2.78(1リクエストごと)
OCI Language テキストデータを分析する言語解析機能を提供 テキスト分類、テキスト抽出 ¥30(5,000回/月ごと)
OCI Speech リアルタイムの音声認識や文章の自動作成機能を提供 字幕生成 ¥60(5時間ごと)
OCI Vision 画像分類や物体検出、OCR機能を提供 コンテンツ検出、OCR Image Analytics
¥30(5,000回/月ごと)
OCR
¥120(5,000回/月ごと)
Document Properties
¥30(5,000回/月ごと)
Document Extraction
¥1,200(5,000回/月ごと)
Custom Training ¥180(1時間)
OCI Anomaly Detection 異常・不正検出機能を提供 製品の異常検知 ¥30(1,000回/月ごと)
OCI Forecasting(提供予定) 時系列データを使用した予測機能を提供 製品の需要・収益予測 (提供予定)

Machine Learning Services

データ・サイエンティストが行う機械学習モデルの構築、学習、デプロイおよび管理を支援するサービスです。

サービス名 特徴 料金
Data Science Python開発環境によるAI・機械学習モデル構築のプラットフォームサービス

・構築・学習・管理・デプロイなどを提供
・開発環境にPythonのライブラリが自由にインストール可能
・PaaSとしては無償で、IaaSのみ課金されるサービス
・Oracle AutoMLによるモデル構築の自動化サービス
IaaS課金
(Compute、 Block、Object Storage、Network)
Machine Learning

Oracle Database内のデータを直接使用して高性能な機械学習モデルを構築するサービス

・SQL、R、Python、REST、AutoMLおよびコードなしのインタフェースを使用した機械学習モデルの構築とデプロイ
・Oracle Databaseでモデルを生成する30を超えるインデータベース・アルゴリズムが含まれる
・AutoMLUIを使用したノンコーディングによるモデル構築(Autonomous Database)

¥0
(Oracle Database内で使用可能)
Data Labeling AI・機械学習モデルを正確に学習するためのラベル付きデータセットを構築するためのサービス

・画像、テキスト、ドキュメントのラベリング機能
¥0(0~1,000トランザクション)
¥0.028(1,000トランザクション以降、1,000トランザクションごと)

おわりに

OCIにはデータを活用するためのAIサービスが準備されています。大量のデータをクラウド上に蓄積したら、次はデータ活用を検討したいところです。データ分析やDX(デジタルトランスフォーメーション)を支える技術基盤として、OCIのAI Services、Machine Learning Servicesをぜひご検討ください。

システムエグゼでは、OCIの機能を利用した基盤構築やデータ移行、アプリケーション開発といった多岐にわたるサービスを展開しています。ご興味がある方はぜひシステムエグゼまでお問い合わせください。

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