本記事ではクラウドシェアランキングを紹介し、上位の3大クラウドの特色について解説します。
はじめに
クラウド製品はまず周辺システムから取り入れられるケースが多いですが、近年は基幹システムに使われることも増え、シェアが年々拡大しています。
どのクラウドサービスを購入すれば良いのか悩んだ時、人気があるサービスなら間違いないと考える人は多いのではないでしょうか。
しかし、クラウドサービスにはそれぞれの特色や選ぶ際に知っておきたいポイントがあります。
本記事では、クラウドシェアランキングの結果とともに、上位3クラウドそれぞれの特色について紹介します。
※クラウドシェアランキングは、Synergy Research Group社が公開した情報を元にしています。
クラウドシェアランキングを読み解く
2024年2月にSynergy Research Group社が公開した情報をもとに、ランキング上位から紹介します。
グローバルでのクラウドシェア率ランキングのため、日本人が思う「使いやすいクラウド」イメージとは乖離している可能性がある点にご注意ください。
第1位 Amazon(AWS)シェア率:31%
Amazonは2006年にクラウドサービスを開始しました。
これは、シェア上位3社の中で一番早いサービスインです。
もちろん早いだけではなく、サービス自体に良いところがたくさんあるため、その後もシェアを維持しているのでしょう。
しかし、Synergy Research Group社が公開した情報のグラフを確認すると、近年はシェア率が下降し続けていることがわかります。
つまり、最近クラウド化を進めている企業はAWS以外のクラウドサービスを検討、あるいは購入している可能性が高いと考えられ、トレンドの最先端とは言えないかもしれません。
第2位 Microsoft(Azure)シェア率:24%
Microsoftは2010年、上位3社の中では最後にサービスを開始しました。
それでいてシェア2位を獲得するだけあって、右上がりの傾向が強いです。
ただし毎年3Q~4Q(10月~3月)での伸びが大きい一方で、1Q~2Q(4月~9月)は平坦または下降気味というニーズの偏りが少し気になります。
※市場規模が拡大している中でのシェア率のグラフのため、「下降」=「利用をやめた企業が出た」とは限らない点にご注意ください。
第3位 Google(GCP)シェア率:11%
2008年、AmazonのAWSに次いで2番目にサービス開始したクラウドサービスです。クラウドシェアを示すグラフではほぼ一定の右肩上がりを続けているので、Microsoftと比較すると安定重視の企業戦略を感じます。
後発だからこそ、信頼を大事にしていこう……という心意気が見えるような気がします。
第4位~第7位
4位以降の順位は以下の通りです。
- 第4位 Alibaba(Alibaba Cloud)
- 第5位 Salesforce(Sales Cloud)
- 第6位 IBM(IBM Cloud)
- 第7位 Oracle(Oracle Cloud)
上位3社でクラウドシェアの67%(*1)を占めている隙に入り込むのは難しいのか、4位以下のクラウドサービスは市場拡大の波に乗れていない印象を受けるグラフになっています。
そんな中、Oracleだけが停滞~少しずつ右上がりになっており、善戦しているのではないでしょうか。
*1 Synergy Research Group社が公開した情報からの数値。
端数がらみで66%ではなくなるようです。
3大クラウドの特色
上位の3大クラウドについて、それぞれの特色を解説します。
Amazon(AWS)
サービス範囲の広さから、「具体的な将来像はイメージできていないけど、試しに使い始めてみようかな」という漠然としたニーズでも取り入れやすいです。
また、他クラウドサービスの情報は英語を翻訳にかけただけの文章が散見されるのに対して、公式の技術ブログであるAWSブログが日本向けに公開されていることから、きれいな日本語でのドキュメントで情報を得やすい印象があります。
Microsoft(Azure)
やはりMicrosoft製品との親和性が高い点が一番の強みではないでしょうか。
例えばAzure DevOpsはExcelと連携させて双方向に同期させることが可能です。
すでに他のMicrosoft製品が深く根付いている会社にとって、導入しやすさが頭一つ抜きんでてくるでしょう。
根幹は深すぎて変えられないけど、小さな枝葉はクラウドにしたい……という悩みに寄り添ってくれるサービスと言えます。
Google(GCP)
Googleといえば「ググる」でおなじみの検索エンジンの印象が強く、増え続ける膨大なデータを長期的に管理・活用してきたサービスと言えます。
そこから得たビッグデータの処理や分析のノウハウを生かしたサービスが特長です。
代表的なサービスとしてBigQueryがありますが、他にもDataflowやDataprocなど、ビッグデータを活用するためのサービスが多くあります。
蓄積されるデータが膨大で、活用・分析の未来を描いている場合には、Googleが特に魅力的に見えてくるのではないでしょうか。
おわりに
クラウドシェアランキングの読み解きと3大クラウドの特色を紹介しました。
少しでもパブリッククラウドに関して新たな視点・新たな知見を得る手助けになれば幸いです。
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