昨今のビジネス環境において企業は、より高速でスケーラブルなデータベース基盤を必要としています。
オラクル社が提供するOracle Exadata(以下、Exadata)は、その優れたパフォーマンスと信頼性で多くの企業に利用されているデータベース基盤です。
ExadataはOracle Cloud Infrastructure(以下、OCI)でも利用可能で、クラウド上で利用することで、さらなる柔軟性とコスト効率を実現可能です。
本ブログでは、OCI上でExadataを利用する際の、サービス選定におけるポイントをご紹介します。
Oracle Exadataとは
ExadataはOracle データベースに最適化されたデータベース基盤です。
Oracleデータベースのパフォーマンスを最大限に引き出すようにDBサーバとストレージ、ネットワーク機器が統合されており、ハードウェア上でOracleデータベースとその動作をサポートするソフトウェアが稼働しています。トランザクション処理、分析等さまざまなワークロードに対応しており、高いパフォーマンスと信頼性が求められる大規模データベースを必要とするシステムに利用されています。
Exadataはオンプレミスでも利用可能ですが、OCI上でもPaaSとして利用することができます。
OCIでExadataを利用可能なサービス
2024年12月現在、OCIでは以下のサービスでExadataを利用することが可能です。
- Autonomous Database(以下、ADB)
- Exadata Cloud@Customer (以下、ExaC@C)
- Exadata Database Service on Dedicated Infrastructure(以下、ExaDB-D)
- Exadata Database Service on Exascale Infrastructure(以下、ExaDB-XS)
サービスを選定する上でのポイント
上述したようにOCI上で利用可能なExadata関連サービスは多岐にわたります。
それぞれのサービスには独自の特徴と利点があり、選択肢も豊富です。
このため、各サービスの詳細な違いを把握し、最適なサービスを選定するのは容易ではありません。
そこで、本ブログでは以下に示すフローチャートを活用し、各サービスの特徴や違いを簡易的に理解できるようにしました。このフローチャートをどのサービスが適していそうか、判断する一助としてください。
サービスの概要と特徴
各サービスの概要と特徴を簡単にご紹介いたします。
- Autonomous Database (ADB)
データベースのチューニング、セキュリティ、バックアップ、更新などの日常的な管理タスクを機械学習を使用して自動化された、Exadata上で稼働するデータベースです。ADBを使用することで、運用コストを大幅に削減できる可能性があります。その反面、オンプレミスでのOracleデータベースでは設定変更できたがADBでは設定変更ができない仕様になっている、他のExadata関連サービスと異なり、ユーザがOS部分にアクセスできない等、柔軟な運用が難しくなっています。柔軟な設定変更はできなくとも、運用コストを極力下げたいと考えている利用者に向いています。
どのプラットフォームでADBを利用するかによって、以下の形態があります。
Autonomous Database Serverless(ADB Serverless)
Exadataのハードウェアを他の利用者と共有する形で利用するADB
Autonomous Database on Dedicated Exadata Infrastructure (ADB Dedicated)
Exadataのハードウェアを他の利用者と共有せず、占有する形で利用するADB
Autonomous Database on Exadata Cloud@Customer (ADB C@C)
オンプレミスに統合されたExaC@C上で稼働するADB - Exadata Database Service on Dedicated Infrastructure (ExaDB-D)
OCIのデータセンター内に構築されたExadataを、ハードウェアを占有する形で利用できるサービスです。セキュリティポリシー上ハードウェアを他の利用者と共有することができない環境や、パフォーマンスの観点で他の利用者からの影響を確実に排除したい利用者に向いています。 - Exadata Database Service on Exascale Infrastructure (ExaDB-XS)
OCIのデータセンター内に構築されたExadataを、ハードウェアを他の利用者と共有する形で利用できるサービスです。柔軟にスケールアップすることができ、ハードウェアを占有しないので、小規模な構成からスモールスタートすることができます。ハードウェア丸ごとは必要ないが、それなりに高性能・高機能なデータベースを求めている利用者向けです。
なお、類似のサービスに「Base Database Service」があります。Base Database Serviceもハードウェアを他の利用者と共有する形でOracleデータベースを利用できるサービスですが、ハードウェアはExadataを使用しません。ただし、OracleデータベースのStandard Edition2を利用可能であることや、Enterprise Editionを利用したいがAdvanced Security等のオプション機能を利用しない場合はオプションを選択しないことでライセンス料が安くなる等、より安価にOracleデータベースを利用できるサービスになっています。 - Exadata Cloud@Customer (ExaC@C)
OCIでは、スケールアップ・ダウン、パッチ適用、DBの運用監視や分析などExadataを管理するためのさまざまなツールが用意されていますが、そのツール群とともにExadataを自社のデータセンターに統合する形で利用することができるサービスです。クラウドの柔軟性や新機能を積極的に利用していきたいが、セキュリティポリシー上パブリッククラウドを利用することができない利用者向けです。
本ブログでは記載しきれませんが、OCI以外のパブリッククラウド上でもExadataを利用することができます。Microsoft Azureでは「Oracle Database@Azure」、AWS上では「Oracle Database@AWS」でExadataを利用可能です。
導入実績
システムエグゼは、Oracle Exadata関連サービスの導入において豊富な実績を有しています。
具体的な導入事例については以下の記事をご覧ください。
💡 ラクラス株式会社 様
オンプレミスからOracle Cloud Infrastructureに全面移行し、運用コスト削減と高い安定性を実現
💡 株式会社日本セレモニー様
Oracle Cloudを用いたデータ活用基盤の構築
💡 OCI案件事例②(某情報サービス業)
「Oracle Cloudの導入により国内の固定・携帯電話番号の使用履歴システムの性能及び拡張性の向上」
まとめ
本記事では、Oracle Exadataを利用したOCIのサービスについてサービスの選定ポイントをご紹介しました。
高いパフォーマンスと信頼性を誇るExadataを、用途や目的に合わせて柔軟に利用できるのはパブリッククラウドの大きなメリットになるでしょう。
OCIやOracle Exadataのご利用に関するご相談は、システムエグゼまでお気軽にお問い合わせください
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