Oracle Databaseのライセンス価格体系はオンプレミスとクラウドで大きく異なっています。
それぞれの価格体系の紹介と比較結果をご紹介します。
Oracle Databaseのエディションとオプション
Oracle Databaseの価格について説明するにあたり、まずエディションとオプションについて説明します。
エディションにはStandard Edition2とEnterprise Editionが存在しており、前者が中小規模のシステム向け、後者が大規模システム向けとなっています。
Standard Edition2には以下のような制限事項があります。
- 後述するオプションを購入/適用することができない
- 搭載可能ソケット数2以内の環境でないと購入/適用することができない
(実CPUが2ソケットでも、4ソケット搭載可能なサーバには適用不可) - 最大スレッド数が16までに制限される
Enterprise Editionには上記のような制限はありません。
次にオプションですが、Enterprise Editionに追加料金を払って適用するもので、様々な拡張機能が用意されています。
代表的なものとしては以下が挙げられます。
Partitioning : 大規模な表をいくつかの小規模な表パーティションの集合に分割することにより、パフォーマンスや管理性を向上させる機能です。
Multitenant : 1つのCDBインスタンスに対し、PDBを複数作成/管理できる機能です。
Oracle19cの場合、4つ以上のPDBを作成する場合にオプションが必要となります。
Oracle Real Application Clusters : 複数のサーバを関連付けて、単一のシステムとして動作するように構成し、全ノードがアクティブに稼働するクラスタ環境を構築する機能です。
Oracle Databaseの価格(オンプレミス)
オンプレミスのOracleライセンス価格については、CPU/コアに対して課金されるProcessorライセンスと、利用する人数に対して課金されるNamed User Plusライセンスが存在しています。
Processorライセンスの場合、Standard Edition2とEnterprise Editionで考え方が異なります。
Standard Edition2ではCPUソケットに対して課金がなされ、Enterprise EditionではCPUコアに対して課金がなされます。
CPUコアについてはコア係数というものが存在しており、マルチコアCPUにおいてはコア数×コア係数の値が必要なProcessorライセンス数となります。
例えば、Intel Xeonのコア係数は0.5のため、8コアのXeonの場合、必要なProcessorライセンス数は4となります。
Named User Plusの場合、Editionに関係なく利用する人数に対して課金がなされます。
ただし、最小Named User Plusライセンス数というものが存在しており、Standard Edition2の場合はサーバごとに10ユーザー(CPUソケット数に依存しない)、Enterprise Editionの場合はCPU数(コア係数を適用したもの)ごとに25ユーザー分のライセンスを購入する必要があります。
例えば前述の8コアのXeonの場合は、最小Named User Plusライセンス数は8×0.5×25 = 100ライセンスとなります。
ライセンス価格はライセンス本体の価格と年間保守費に分かれています。
初年度はライセンス本体の価格と年間保守費が、2年目以降は年間保守費のみが必要となります。
具体的な価格は以下の通りとなります(2023年3月現在)。
【ライセンス本体価格】
Standard Edition2 | Named User Plus | 49,000円 |
Processor | 2,450,000円 | |
Enterprise Edition | Named User Plus | 133,000円 |
Processor | 6,650,000円 |
【年間保守価格】
Standard Edition2 | Named User Plus | 10,780円 |
Processor | 539,000円 | |
Enterprise Edition | Named User Plus | 29,260円 |
Processor | 1,463,000円 |
Oracle Databaseの価格(クラウド)
クラウド(Oracle Cloud)のOracleライセンス価格はOCPUという単位で課金されます。
1OCPUは2コアとなりますので、オンプレミスのCPUコア数と比較する場合は注意が必要です。
以下で、Oracle Databaseの料金とクラウド利用料をまとめたライセンス込みの料金について説明します。Oracle Cloudの標準的なデータベースであるOracle Base Databaseにおいては、オンプレミスのような個別のオプション課金ではなく、以下に示す4つのサービスオプションから選択する方式となっています(2023年3月現在)。
サービス オプション名 |
内容 | 価格 (OCPU/h) |
Standard Edition | データベースの標準機能 表領域暗号化(※) |
約31円 |
Enterprise Edition | Enterprise Editionデータベースの標準機能 Management Pack(Diagnostics and Tuning Packs etc) Real Application Testing |
約61円 |
Enterprise Edition High Performance |
上記に加えMultitenant、Partitioning、Advanced Compression、Advanced Security、OLAP、 Management Pack(Cloud Management Packs etc) |
約125円 |
Enterprise Edition Extreme Performance |
上記に加え Real Application Clusters、DB In-memory、 Active Data Guard |
約189円 |
(※)オンプレミスではEnterprise EditionとOracle Advanced Securityのライセンスが必要ですが、Oracle Cloudでは全エディションで標準搭載されています。
オンプレミスと異なり、ライセンス価格に保守費が含まれているため、初年度も2年目以降も支払金額に差異は発生しません。
価格比較
オンプレミスとクラウドの価格について実際にいくつかのパターンで比較を実施してみます。
【パターン1】Standard Editionの場合
Standard Editionを利用する形で算出。
オンプレミスは1CPU、クラウドは1OCPUで算出。
オンプレミス | 初年度 | 2,989,000円 |
2年目以降 | 539,000円 | |
クラウド | 初年度 | 約271,560円 |
2年目以降 | 約271,560円 |
【パターン2】Enterprise Edition + オプションの場合
Enterprise EditionにMultitenantとPartitioningオプションを導入する形で算出。
オンプレミスは4コア、クラウドは2OCPUで算出。
オンプレミス | 初年度 | 26,132,400円 |
2年目以降 | 4,712,400円 | |
クラウド | 初年度 | 約2,190,000円 |
2年目以降 | 約2,190,000円 |
新規導入の場合、初年度費用は約10分の1、2年目以降のランニングコストも約2分の1になる上、クラウドでは今まで使用していなかったオプション機能を追加費用なしで利用できるという点もメリットとなります。
おわりに
費用の観点ではクラウド環境のOracle Database はオンプレミス環境と比較して大幅に安くなります。Oracle Databaseを使用するシステムを新規に導入する場合はOracle Cloudを積極的に検討してみてはいかがでしょうか。
- カテゴリ:
- エンジニアリング