いまさら聞けないOracle Databaseのライセンスルールを理解しよう

 2023.06.09  株式会社システムエグゼ オラクルクラウドチーム

Oracle Databaseを利用したことがある方は多いと思いますが、ライセンス算出をしたことがある方は意外と少ないのではないでしょうか。Oracle Databaseのライセンスはオラクル社から提示されているルールに沿って算出します。今回は、ライセンスの考え方と高可用性構成の考え方について解説します。また、Oracle Cloud Infrastructureでのライセンスの考え方も併せてご紹介します。

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Oracle Database のエディションの違い

最初にOracle Databaseのエディションについて説明します。
オンプレミスのOracle Database の主なエディションにはStandard Edition 2とEnterprise Editionがあり、前者が中小規模のシステム向け、後者が大規模システム向けとなっています。

Standard Edition 2には以下のような制限事項があります。

  • 後述するオプションを購入/適用することができない
  • 搭載可能ソケット数2以内の環境でないと購入/適用することができない
    (実CPUが2ソケットでも、4ソケット搭載可能なサーバには適用不可)
  • 最大スレッド数が16までに制限される
    Enterprise Editionには上記のような制限はありません。

次にオプションですが、Enterprise Editionに追加料金を払って適用するもので、様々な拡張機能が用意されています。
代表的なものとして以下が挙げられます。

Partitioning 大規模な表をいくつかの小規模な表パーティションの集合に分割することによりパフォーマンスや管理性を向上させる機能です。
Multitenant 1つのCDBインスタンスに対し、PDBを複数作成/管理できる機能です。 Oracle19cの場合、4つ以上のPDBを作成する場合にオプションが必要となります。
RAC 複数のサーバを関連付けて、単一のシステムとして動作するように構成するほか、全ノードがアクティブに稼働するクラスタ環境を構築する機能です。

また、Oracle Databaseには上記2つのエディション以外にPersonal Editionが提供されています。

Personal Editionは、Oracle Database Standard Edition 2およびOracle Database Enterprise Editionとの完全な互換性を持ち、シングルユーザーの開発およびデプロイメント環境をサポートしています。

Enterprise Editionに付属するすべてのコンポーネントが含まれるほか、Personal Editionでは使用できないOracle RAC One NodeおよびOracle Real Application Clustersのオプションを除いて、Oracle Databaseのオプションもすべて含まれます。

次にOracle Cloud Infrastructure(以下、OCI)におけるOracle Database PaaSである、Oracle Base Database Service(旧サービス名:Oracle Database Cloud Service/DBCS)のエディションについてご紹介します。利用できるオプションの範囲によって、4つのエディションが提供されており、すべてのエディションに対して表領域暗号化オプションが標準実装されていることが特徴です。
また、オプションについて個別で追加することはできず、4つのエディションの中から選択するのみとなります。

Standard Edition オンプレミスの Standard Edition2 相当 + 表領域暗号化
Enterprise Edition オンプレミスの Enterprise Edition 相当 + 表領域暗号化 + Diagnostic Pack + Tuning Pack 等
Enterprise Edition High Performance Enterprise Editionに加えMultitenant、 Partitioning、Advanced Compression 等
Enterprise Edition Extreme Performance すべてのデータベースオプションが利用可能

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Oracle Databaseのライセンスの考え方

オンプレミスの場合、先ほどのエディションとライセンスの種類によって算出できます。具体的には、エディションとライセンスの種類によって購入が必要なライセンスの型番が決まり、導入先の環境構成とサーバスペックから必要なライセンス数が決まります。ライセンスの種類には、CPU/コアに対して課金されるProcessorライセンスと、利用する人数に対して課金されるNamed User Plusライセンスが提供されています。
ライセンスの種類は、同時接続数ではなくOracle Databaseへアクセスする可能性がある利用者数の規模によって選択し、ほとんどのシステムではProcessorライセンスを選択されることが多いです。Processorライセンスは、Oracle Databaseへのアクセス数が無制限であるため、利用者数が多い、またはWebシステムで利用者数の算出が難しい場合に選択します。
Named User Plusライセンスは、Processorライセンスに比べ1本あたりのライセンス費用は安価で提供されています。ただし、利用人数に対する算出となるため、利用者が少ない開発環境などで選択されます。

Processorライセンスの場合、Standard Edition 2とEnterprise Editionで考え方が異なります。Standard Edition 2ではCPUソケット数、Enterprise EditionではCPUコア数に対してライセンス数を算出します。
また、Enterprise Edition の場合、コア係数というルールがあり、コア数×コア係数が必要なProcessorライセンス数となります。
例えば、Intel Xeon のCPUで8コア搭載したサーバでEnterprise Editionを利用する場合、Intel Xeonのコア係数は0.5のため、必要なProcessorライセンス数は8×0.5の4本となります。
そして、下記の価格表から、Oracle Database Enterprise EditionのProcessor Licenseの価格を確認し、先ほどの本数分のライセンスを購入します。
Oracle Technology Global Price List 

Named User Plusライセンスの場合、エディションに関係なく利用人数に対してライセンス数が算出されますが、最小Named User Plusライセンス数というルールがあり、Standard Edition 2の場合はサーバごとに10ユーザ(CPUソケット数に依存しない)、Enterprise Editionの場合はCPU数(コア係数を適用したもの)ごとに25ユーザ分のライセンスを購入する必要があります。
例えば前述の8コアのXeonの場合は、8×0.5×25 = 100ライセンスが最小のNamed User Plusライセンス数です。

また、ライセンスの種類に関わらず、オンプレミスの場合には、上記に加え、Software Update License & Supportを毎年購入することでサポートを利用することができます。

次にOCI上のライセンスの考え方ですが、オンプレミスなどで購入済みのライセンスを持ち込むBYOL方式と、Oracle Base Database Serviceの利用料にOracle Databaseのライセンスを含めた方式から選択することができます。ライセンス込の方式にする場合には、Oracle Base Database Service で利用するエディションとOCPU数によって算出されます。

Oracle Databaseの高可用性構成でのライセンスの考え方

Oracle Databaseで高可用性構成を実現するには、RAC(Active-Active)とHA(Active-Standby)の2つのパターンがあります。
最新のLong Term Release であるOracle Database 19c においては、RACはEnterprise Edition限定のオプション機能となり、Standard Edition 2ではHAのみとなります。
ライセンスの考え方として、RACの場合は全サーバがActiveとなるので、ライセンスは全サーバ分必要となります。

オンプレミスのHAの場合は、以下の条件を満たす場合に限りStandby側のライセンスは不要となります。

  • クラスタ構成(クラスタウェアを利用した構成)であること
  • 共有ディスクを利用した構成であること
  • 待機サーバでのOracle製品稼働日数が年間10日以内であること

また、OCIの場合、Oracle Base Database ServiceのEnterprise Edition Extreme Performanceを選択することでRAC構成を利用することができます。2台分のEnterprise Edition Extreme Performanceが必要になります。
HAやDR構成の場合、Data Guard機能を利用することで実現できます。Data GuardはEnterprise Edition以上のエディションでサポートし、Enterprise Edition Extreme PerformanceではRead OnlyでオープンしたStandby側のデータを参照できるActive Data Guard機能を利用することができます。
OCIの場合には、OCIコンソールからGUI操作で可用性構成を構築することができることが特徴です。

おわりに

Oracle Databaseのライセンスは、エディションだけではなく、導入先の環境構成とサーバスペック、利用者数によって算出する必要があります。

また、OCIではOracle Base Database Serviceの利用料に含めることができるため、Cloud Cost EstimatorでOracle Databaseのライセンスを含めた利用料として簡単に算出することができます。是非一度、ご利用中のOracle Database環境を、OCI上で同等構成を運用した場合の利用料の算出を試してみてください。運用コスト削減の糸口が見つかるかもしれません。

システムエグゼは、OCIへの移行と運用保守実績が豊富にございます。OCIの構築や移行についてご検討されている方は、システムエグゼにご相談ください。

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