Oracle Cloud Infrastructure (OCI) とは?
AWSとの違いやメリットを初心者にもわかりやすく解説

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この記事でわかること

  • OCIの基本的な概要と特徴
  • AWSやAzureなど他社クラウドとの違い
  • OCIを導入する具体的なメリット
  • OCIで利用できる主要なサービス
  • OCIの無料トライアルの始め方

Oracle Cloud Infrastructure(OCI)について「AWSやAzureと何が違うの?」と疑問に思っていませんか?

OCIが注目される理由は、データベースの強みを活かした高性能なインフラを、競争力のある低コストで利用できる点にあります。

この記事では、OCIの基本から他社クラウドとの比較、導入メリットまでを初心者にもわかりやすく解説します。

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OCI(Oracle Cloud Infrastructure)とは?基本を理解しよう

Oracle Cloud Infrastructure(OCI)は、データベース市場で高いシェアを誇るオラクル社が提供するパブリッククラウドサービスです。 企業のシステム基盤となるサーバやストレージ、ネットワークといったITインフラを、インターネット経由でオンデマンドに利用できるクラウドコンピューティングサービスの一種です。

AWS(Amazon Web Services)やMicrosoft Azureといった先行するクラウドサービスと比較すると後発ながら、既存のクラウドが抱える課題を解決し、特に企業の重要なシステム(エンタープライズ領域)で求められる高いパフォーマンスと信頼性、そして優れたコスト効率を両立させることを目指して一から設計されました。 そのため、「次世代クラウド」として近年急速に成長し、多くの企業から注目を集めています。

OCIとOracle Cloudの関係は?

「OCI」と「Oracle Cloud」、この2つの言葉は混同されがちですが、その関係性を理解することがOCIを理解する第一歩です。「Oracle Cloud」は、オラクル社が提供するクラウドサービスの総称であり、非常に幅広いサービス領域をカバーするブランド名です。

その中で、OCIは、IaaS(Infrastructure as a Service)とPaaS(Platform as a Service)と呼ばれる領域のサービス群を指す名称です。 一方、Oracle Cloudには、企業の業務アプリケーションなどを提供するSaaS(Software as a Service)も含まれます。つまり、OCIはOracle Cloudという大きなブランドの一部であり、その中核をなすインフラ基盤サービスと言えます。

サービスブランド 提供領域 概要
Oracle Cloud クラウドサービス全体の総称 オラクル社が提供するSaaS、PaaS、IaaSを含む全てのクラウドサービスのブランド名。
Oracle Cloud Infrastructure (OCI) IaaS / PaaS Oracle Cloudの中核をなすインフラおよびプラットフォームサービス群。コンピューティング、ストレージ、データベースなどが含まれる。
Oracle Cloud Applications SaaS ERP/HCM/CXなどのビジネスアプリケーションを提供するサービス群。

IaaSとPaaSが中心の次世代クラウド

OCIは、主にIaaSとPaaSの2つのサービスモデルで構成されています。「IaaS」と「PaaS」はクラウドサービスの一般的な分類であり、それぞれ利用者が管理する範囲が異なります。

  • IaaS (Infrastructure as a Service)
    サーバー、ストレージ、ネットワークといったITインフラを、仮想化されたリソースとして提供するサービスです。利用者はOSやミドルウェア、アプリケーションを自由に選択・導入でき、オンプレミス環境に近い柔軟なシステム構築が可能です。
  • PaaS (Platform as a Service)
    アプリケーションの開発・実行に必要なプラットフォーム(OS、ミドルウェア、データベースなど)をまとめて提供するサービスです。利用者はインフラの管理を意識することなく、アプリケーションの開発そのものに集中できます。

OCIはこれらのサービスを提供することで、従来のオンプレミス環境で稼働していた企業の基幹システムから、最新のクラウドネイティブなアプリケーション開発まで、幅広いニーズに対応します。特に、オンプレミスで培ったOracle Databaseの技術やノウハウをクラウド上で最大限に活用できるように設計されており、既存システムからのスムーズな移行を実現します。

なぜ今OCIが注目されているの?

後発でありながらOCIが多くの企業に選ばれ、注目を集めているのには明確な理由があります。

  1. 圧倒的なコストパフォーマンス
    OCIは、特に企業のワークロードで利用頻度の高いコンピューティング、ストレージ、そしてネットワーク(データ転送)の料金を、他の主要クラウドサービスと比較して戦略的に低く設定しています。特に、クラウド利用で想定外のコストになりがちな外部へのデータ転送料金が、他社より大幅に安価、あるいは無償枠が大きい点は、大きなメリットとして評価されています。
  2. エンタープライズ向けの高性能と信頼性
    長年、ミッションクリティカルなシステムを支えてきたOracle Databaseの提供元として、オラクル社は企業の厳しい要求に応えるためのノウハウを持っています。OCIは、その知見を活かし、安定した高いパフォーマンスを保証するアーキテクチャで設計されています。可用性だけでなく性能や管理性も保証対象とする業界初のSLA(サービス品質保証制度)は、その自信の表れです。
  3. オンプレミスからの移行のしやすさ
    多くの企業が利用しているOracle Databaseを、オンプレミス環境と同じように、かつ最適なパフォーマンスで利用できる点はOCIならではの強みです。 これまでオンプレミスで利用していたライセンスをクラウドに持ち込める「BYOL(Bring Your Own License)」にも対応しており、既存のIT資産を活かしながらスムーズにクラウドへ移行したい企業にとって、非常に魅力的な選択肢となっています。
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OCIの特長は?他のクラウドサービスとの違いを比較

OCIの特長は?他のクラウドサービスとの違いを比較

Oracle Cloud Infrastructure (OCI)は、主要なクラウドサービスの中でも後発ながら、エンタープライズ領域で培ったノウハウを活かした独自の強みを持っています。特に、性能、コスト、セキュリティ、そしてオンプレミスからの移行のしやすさにおいて、他のクラウドサービスとは一線を画す特長を備えています。本章では、市場をリードするAWS(Amazon Web Services)やAzure(Microsoft Azure)と比較しながら、OCIが持つ具体的な優位性を詳しく解説します。

AWSやAzureとの主な違いとは?

AWS、Azure、そしてOCIは、いずれも高品質なパブリッククラウドサービスですが、その成り立ちや設計思想の違いから、それぞれに得意な領域が存在します。AWSはサービスの豊富さと先進性で市場をリードし、AzureはMicrosoft製品との親和性の高さから多くの企業で利用されています。 これに対し、OCIはミッションクリティカルな基幹システムの稼働を前提とした高いパフォーマンスと信頼性、そして予測可能で低コストな料金体系を最大の武器としています。以下では、「料金体系」「パフォーマンス」「得意領域」の3つの観点から、これらの違いを具体的に見ていきましょう。

料金体系の比較

クラウド利用の際に多くの企業で課題になるのが、想定外のコスト発生です。特に、データの外部転送(アウトバウンド)にかかる費用は高額になりがちです。OCIは、この課題に対して明確なアドバンテージを持っています。

OCIは、毎月最初の10TBまでのアウトバウンドデータ転送料金が無料であり、それを超える場合もAWSやAzureと比較して非常に安価な価格設定となっています。 これにより、大量のデータを扱うシステムや、ハイブリッドクラウド構成を採る際に、コストを大幅に抑制することが可能です。また、コンピューティングリソースなどの主要サービスは、世界中のどのリージョンでも同一の価格で提供されるため、グローバル展開の際にもコスト計算がしやすいというメリットがあります。

比較項目 Oracle Cloud Infrastructure (OCI) Amazon Web Services (AWS) Microsoft Azure
データ転送料金(アウトバウンド) 最初の10TB/月まで無料。以降も安価。 最初の100GB/月まで無料。以降は従量課金。 最初の100GB/月まで無料。以降は従量課金。
コンピューティング料金 多くのサービスで競合より低価格な傾向。 全リージョンで同一価格。 リージョンごとに価格が異なる。多様なインスタンスタイプを提供。 リージョンごとに価格が異なる。Windows環境での割引が豊富。
価格体系の特徴 シンプルで予測しやすい。隠れたコストが少ない。 サービスが多岐にわたるため、料金体系が複雑になりやすい。 Microsoft製品とのライセンス体系が複雑に絡む場合がある。

パフォーマンスの比較

OCIは、エンタープライズの要求に応える高性能をクラウドで実現することを目指して設計されています。その核となるのが、ネットワーク仮想化を専用のハードウェアで行うオフボックス仮想化技術を採用したネットワークアーキテクチャです。これにより、ハイパーバイザー型の仮想サーバでオーバーヘッドを削減し、ユーザーは物理サーバに近い安定したパフォーマンスを享受できます。特に、高いI/O性能が求められるOracle Databaseや、膨大な計算リソースを必要とするハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)の領域でその真価を発揮します。ベアメタルサーバの提供においても、AWSに先駆けてGPUインスタンスを提供するなど、高性能なワークロードへの対応力で優位性を持っています。

比較項目 Oracle Cloud Infrastructure (OCI) Amazon Web Services (AWS) Microsoft Azure
ネットワーク フラットで低遅延なネットワーク。安定したパフォーマンスを提供。 広範なサービスを支える大規模ネットワーク。 グローバルに展開された高速なネットワーク。
データベース性能 Oracle Databaseに最適化。Exadataによる圧倒的なパフォーマンス。 RDSやAuroraなど、多様なデータベースサービスを提供。 SQL Serverとの親和性が高く、Azure SQL Databaseが強力。
ベアメタルサーバ 高性能なベアメタルインスタンスを豊富に提供。GPUやHPCに強み。 一部のインスタンスタイプで提供。 専用ホストや大規模インスタンスとして提供。

得意領域の比較

各クラウドサービスは、それぞれの強みを活かせる得意領域を持っています。

  • OCI: Oracle Databaseを中心としたミッションクリティカルなエンタープライズシステムに絶大な強みを持ちます。 オンプレミスでOracle製品を利用してきた企業のクラウド移行先として最適です。 また、高いパフォーマンスとコスト効率から、HPCやAI/機械学習基盤としても注目されています。
  • AWS: Webサービスやモバイルアプリ、スタートアップから大企業まで、あらゆる汎用的なワークロードに対応できるサービスの幅広さが魅力です。最新技術をいち早くサービスに取り入れる先進性も特長です。
  • Azure: Windows ServerやMicrosoft 365といった既存のMicrosoft製品との高い親和性が最大の強みです。 多くの企業が利用するActive Directoryとの連携もスムーズで、ハイブリッドクラウド環境の構築も得意としています。

OCIがオンプレミスから移行しやすい理由

多くの企業がクラウド移行で直面する課題は、既存システム、特にオンプレミスで稼働してきた基幹システムをいかにスムーズに移行できるかです。OCIは、この課題に大きな強みを発揮します。

OCIの大きな特長は、オンプレミスの製品群とパブリッククラウドのサービスが、同一のアーキテクチャで設計・提供されている点にあります。これにより、オンプレミスのOracle Databaseで培った技術やノウハウ、運用スキルをそのままクラウド環境で活かすことが可能です。例えば、オンプレミスで利用されている高可用性構成「Oracle Real Application Clusters (RAC)」は、主要パブリッククラウドの中ではOCIでのみ利用できます。この一貫性により、アプリケーションの改修を最小限に抑え、迅速かつ低リスクでのクラウド移行を実現します。

OCIのセキュリティはどのように担保されている?

OCIは、「セキュリティ・バイ・デザイン」の思想に基づき、設計段階からセキュリティを最優先に考えて構築されています。そのため、多層的な防御機能が標準で組み込まれており、政府や金融機関などの厳しい要件にも対応できる堅牢性を備えています。

OCIのセキュリティを支える主な特徴は以下の通りです。

  • 強力なテナント分離: ネットワーク仮想化を専用のハードウェアで行う「オフボックス仮想化」により、他のテナントからの影響を完全に排除し、マルウェア感染などのリスクを極小化します。
  • デフォルトでのデータ暗号化: 保存されているデータ(at rest)も、通信中のデータ(in transit)も、すべてのデータが標準で暗号化されます。
  • 階層的な権限管理: 「コンパートメント」という単位でリソースをグループ化し、部署ごとや環境ごとに厳格なアクセスポリシーを設定できます。
  • 無償で提供される高度なセキュリティ機能: 脅威を自動で検知・修復する「Oracle Cloud Guard」や、セキュリティポリシーを強制する「Security Zones」など、他社では有償オプションとなることが多い高度なセキュリティ機能が標準で無償提供されます。

業界初のSLAが保証する信頼性とは?

ミッションクリティカルなシステムをクラウドで稼働させる上で、サービスの信頼性は最も重要な要素の一つです。SLA(Service Level Agreement:サービス品質保証)は、その信頼性を測るための重要な指標となります。

多くのクラウドサービスがSLAの対象を「可用性(システムが稼働していること)」のみに限定しているのに対し、OCIは「可用性」に加えて「パフォーマンス(性能)」と「管理性(APIが正常に応答すること)」も保証しています。エンドツーエンドのSLAを提供しているのは、業界唯一です。

これは、OCI上のシステムが単に停止しないだけでなく、定められた性能基準を満たし、いつでも確実に管理・操作できることまでを保証することを意味します。この包括的なSLAは、オンプレミスと同等、あるいはそれ以上の信頼性をクラウドに求めるエンタープライズ企業にとって、大きな安心材料となります。

OCIを導入する具体的なメリット

OCIを導入する具体的なメリット

Oracle Cloud Infrastructure (OCI)の導入は、システム構築や運用の手間を削減し、高いコストパフォーマンスを実現するなど、多くのメリットがあります。特に「性能」「コスト」「データベース」「運用管理」の観点から、その具体的な利点を見ていきましょう。

高性能と低コストは本当に両立できる?

多くのクラウドサービスでは性能とコストがトレードオフの関係にありますが、OCIは「第2世代クラウド」として、高性能と低コストの両立を設計思想の核に据えています。 これにより、これまでコストの観点からクラウド化をためらっていたミッションクリティカルなシステムでも、性能要件を満たしつつ、TCO(総所有コスト)を大幅に削減することが可能になります。

パフォーマンスの優位性

OCIが高いパフォーマンスを発揮できる理由は、その独自のアーキテクチャにあります。特に「オフボックス仮想化」は、他社クラウドとの大きな違いです。ネットワークやストレージの仮想化処理を、CPUを搭載したホストサーバから切り離し、専用のハードウェアで実行することで、サーバのCPUリソースをすべてユーザーのワークロードに割り当てることができます。 これにより、他のテナントの影響を受けない、安定した高いパフォーマンスが保証されます。

さらに、大規模でも低遅延な通信を実現する「ノンブロッキング・ネットワーク」や、仮想化レイヤーを介さず物理サーバを直接利用できる「ベアメタルサーバ」の提供も、OCIの性能を支える重要な要素です。

圧倒的なコストパフォーマンス

OCIは、主要なクラウドサービスと比較して、特にコンピューティング、ストレージ、そしてデータ転送の料金において高いコスト優位性を誇ります。

サービス OCIの価格優位性 主なメリット
コンピューティング 主要な他社クラウドと比較して、同等スペックの仮想マシンを大幅に低価格で提供。 CPUやメモリを柔軟に指定できるため、無駄なリソースコストを削減可能。
ブロックストレージ 他社クラウドの標準ストレージと同等の価格で、より高性能なNVMe SSDベースのストレージを提供。 追加料金なしで高いI/O性能を確保でき、データベースなどの高速な読み書きが求められるシステムに最適。
データ転送(アウトバウンド) 毎月最初の10TBまで無料。 それ以降も他社より大幅に安価な料金設定。 データ分析基盤の構築や、他クラウドとの連携(マルチクラウド)におけるデータ転送コストを劇的に削減。

このように、OCIは技術的な優位性によって高性能を実現しつつ、後発ならではの戦略的な価格設定により、優れたコストパフォーマンスを提供しています。

データベースに強いオラクルならではの強み

長年にわたりデータベース市場を牽引してきたオラクルだからこそ、OCIはデータベース領域で他社の追随を許さない強力なサービスを提供しています。オンプレミスで培った技術とノウハウをクラウドに最適化することで、既存のOracle Databaseユーザーがスムーズに移行できるだけでなく、クラウドネイティブな開発にも対応します。

Exadata Cloud Service

オンプレミスで最高のパフォーマンスを誇るデータベースマシン「Exadata」を、クラウド上で利用できるサービスです。オンプレミスと全く同じアーキテクチャであるため、既存システムを改修することなく、その性能と可用性をクラウドで享受できます。 ミッションクリティカルな大規模データベースの移行先として最適な選択肢です。

Autonomous Database

AIと機械学習を活用し、データベースのプロビジョニングからチューニング、パッチ適用、バックアップといった運用管理タスクを完全に自動化する「自律型データベース」です。 これにより、人的ミスによる障害やセキュリティリスクを排除し、運用コストを大幅に削減します。DBA(データベース管理者)は煩雑な運用業務から解放され、データ活用などのより戦略的な業務に集中できます。

既存ライセンスの活用(BYOL)

既に所有しているオンプレミスのOracle DatabaseライセンスをOCIに持ち込む「BYOL(Bring Your Own License)」モデルに対応しています。これにより、PaaSの利用料金を大幅に抑えることができ、投資対効果を最大化することが可能です。

直感的なコンソールで専門知識は不要?

OCIは、Webブラウザベースの「OCIコンソール」を通じて、すべてのリソースを管理します。このコンソールは、サービスやエクスペリエンス全体で使いやすさと一貫性が向上するように設計されており、クラウド初心者でも直感的に操作することが可能です。

仮想マシンの作成やストレージの割り当て、ネットワーク設定といった基本的な操作は、画面の指示に従って数ステップで完了します。そのため、「専門知識がなくてもすぐに設定を終えられる」という点は大きなメリットです。

ただし、本番環境で求められるような高度なネットワーク設計や、IAM(Identity and Access Management)を利用した詳細な権限管理、セキュリティポリシーの策定などを行う際には、一定の専門知識が必要になります。OCIはチュートリアルやドキュメントが充実しているため、これらを活用しながら学習を進めることで、より高度な機能を使いこなすことが可能です。

OCIではどんなサービスが利用できる?

OCIではどんなサービスが利用できる?

Oracle Cloud Infrastructure (OCI) は、企業のあらゆるITニーズに応えるため、150を超える多様なクラウドサービスを提供しています。 これにより、ユーザーは必要なサービスを自由に組み合わせて自社のシステムに最適な環境を構築できます。本章では、OCIが提供する膨大なサービス群の中から、特に重要となる主要なサービスをカテゴリ別に分かりやすく解説します。

主要なサービスカテゴリ一覧

OCIのサービスは、大きく「コンピューティング」「ストレージ」「データベース」「ネットワーク」といったインフラストラクチャ(IaaS)の中核をなすカテゴリと、アプリケーション開発やデータ分析などを支援するプラットフォーム(PaaS)のカテゴリに分類されます。 これらのサービスを適切に組み合わせることで、オンプレミス環境からのスムーズな移行や、クラウドネイティブなアプリケーション開発など、企業のデジタルトランスフォーメーションを強力に推進します。

コンピューティングサービス

コンピューティングサービスは、アプリケーションやシステムを実行するための仮想的なサーバ環境を提供する、クラウドの最も基本的なコンポーネントです。OCIでは、小規模な開発環境から、高い性能が求められるミッションクリティカルな大規模システムまで、あらゆるワークロードに対応できる柔軟で高性能なコンピューティングリソースを提供しています。

サービス名 概要
Compute 仮想マシン(VM)や物理サーバ(ベアメタル)をオンデマンドで利用できるサービスです。CPUやメモリを柔軟に選択できるため、コストを最適化しながら必要なパフォーマンスを確保できます。
Container Engine for Kubernetes (OKE) コンテナ化されたアプリケーションのデプロイや管理、スケーリングを自動化する、フルマネージドのKubernetesサービスです。 開発者はインフラ管理の負担から解放され、アプリケーション開発に集中できます。
Functions サーバのプロビジョニングや管理を一切意識することなく、コードを実行できるサーバーレスコンピューティングサービスです。イベント駆動型のアプリケーションやマイクロサービスの構築に適しています。
Oracle Cloud VMware Solution オンプレミスで運用しているVMware環境を、そのままOCIに移行できるサービスです。 既存のツールや運用プロセスを変更することなく、クラウドのメリットを享受できます。

ストレージサービス

ストレージサービスは、アプリケーションやデータベースが生成するデータを安全かつ効率的に保管するためのサービスです。OCIは、データの種類、アクセス頻度、性能要件に応じて最適なストレージを選択できるよう、多様なサービスを提供しています。

サービス名 概要
Block Volume Computeインスタンスに接続して利用する、高性能で永続的なブロックストレージです。データベースや高いI/O性能が求められるアプリケーションのデータ保存先として利用されます。
Object Storage 画像、動画、バックアップデータといった大容量の非構造化データを、高い耐久性と低いコストで保管できるサービスです。 データ容量は実質無制限で、インターネット経由でどこからでもアクセス可能です。
File Storage 複数のサーバから同時にアクセスできる共有ファイルシステムを提供する、フルマネージドのNFS(Network File System)サービスです。エンタープライズアプリケーションや分析ワークロードの共有ストレージとして活用できます。
Archive Storage アクセス頻度は低いものの、長期間の保存が義務付けられているデータを、極めて低コストで保管するためのサービスです。コンプライアンス対応やデータのアーカイブに最適です。

データベースサービス

OCIのデータベースサービスは、世界中の多くの企業で利用されているOracle Databaseの強みを最大限に活かしたラインナップが特長です。特に、AIを活用して管理・運用を自動化する「Autonomous Database」は、OCIでしか利用できない革新的なサービスです。

サービス名 概要
Autonomous Database チューニング、セキュリティパッチの適用、バックアップといったデータベース管理者の作業をAIが自動化する、世界初の自律型データベースです。 ユーザーはデータ活用に専念でき、運用負荷とコストを大幅に削減します。
Base Database Service 仮想マシン上でOracle DatabaseのEnterprise EditionやStandard Editionを実行できる、柔軟性の高いサービスです。オンプレミスからの移行が容易で、幅広いアプリケーション要件に対応します。
Exadata Database Service オンプレミスで最高の性能を誇るデータベースマシン「Exadata」を、クラウド上で利用できるサービスです。最も要求の厳しいミッションクリティカルなシステムの基盤として、圧倒的なパフォーマンスを提供します。
MySQL HeatWave トランザクション処理(OLTP)、データ分析(OLAP)、機械学習を単一のMySQLデータベースで高速に実行できるフルマネージドサービスです。複数のサービスを組み合わせる必要がなく、システム構成をシンプルにします。

ネットワークサービス

ネットワークサービスは、OCI上のリソースを安全かつ柔軟に接続し、外部との通信を制御するための基盤を提供します。仮想的なプライベートネットワークを簡単に構築でき、オンプレミス環境と同等のセキュリティとコントロールを実現します。

サービス名 概要
Virtual Cloud Network (VCN) OCI内に作成する、論理的に分離されたプライベートなネットワーク空間です。サブネット、ルートテーブル、セキュリティリストなどを自由に設定し、柔軟なネットワーク設計が可能です。
Load Balancer アプリケーションへのトラフィックを複数のサーバに自動的に分散し、システムの可用性と拡張性を向上させるサービスです。安定したサービス提供を支える重要な役割を担います。
DNS 可用性と拡張性に優れたDNS(Domain Name System)サービスです。ドメイン名の管理や名前解決をOCI上で一元的に行うことができます。
FastConnect オンプレミスのデータセンターとOCIを、インターネットを経由しない専用線(閉域網)で接続するサービスです。パブリックなネットワークよりも高速で安定した、セキュアな通信を実現します。

これらのサービスは、Oracle Cloud Infrastructureの公式サイトでさらに詳しく確認することができます。OCIはここで紹介した以外にも、AI/機械学習、データ分析、セキュリティ、アプリケーション開発など、多岐にわたるサービスを提供しており、企業のビジネス革新をあらゆる側面からサポートします。

OCIを始めるにはどうすればいい?学習方法とサポート

OCIを始めるにはどうすればいい?学習方法とサポート

Oracle Cloud Infrastructure (OCI)には、初めて利用する方でもスムーズに学習や導入を進められるよう、多彩なプログラムやサポート体制が整備されています。コストをかけずにOCIの機能を試せる無料利用枠から、体系的に学べる公式チュートリアル、万が一の際に頼りになるサポートサービスまで、安心してOCIを始めるための方法をご紹介します。

無料トライアルやAlways Free(無償ティア)とは?

OCIには「30日間無料トライアル」と「Always Free(無償ティア)」という2種類の無料利用枠が用意されており、これらを活用することで本格導入前にOCIの性能や操作性をじっくりと検証できます。これらは「Oracle Cloud Free Tier」として提供され、サインアップするだけで利用を開始できます。

2つの無料利用枠を理解し、目的に応じて使い分けることが、OCI活用の第一歩です。 それぞれの特徴を以下の表にまとめました。

項目 30日間無料トライアル Always Free(無償ティア)
期間 最大30日間 無期限
クレジット 300米ドル分の無料クレジットが付与 なし
対象サービス データベース、アナリティクス、コンピュートなど、ほぼ全てのOCIサービスが利用可能 一部の主要サービス(Compute VM、Autonomous Database、ストレージなど)が対象
主な用途 短期間で幅広いサービスの機能や性能を評価したい場合 個人学習、小規模なアプリケーション開発・検証、プロトタイピングなど、継続的に無料で利用したい場合

無料トライアル期間が終了したり、クレジットを使い切ったりした場合でも、自動的に有償アカウントに移行して課金されることはありません。 その後もAlways Free対象サービスは継続して利用できるため、安心して試すことができます。

公式チュートリアルで基本を学ぶ

OCIの使い方を体系的に学びたい方のために、オラクル社は公式の「Oracle Cloud Infrastructureチュートリアル」を提供しています。このチュートリアルは、OCIを初めて利用する人を対象に、OCIの基本的な概念から主要なサービスの具体的な操作方法までを、豊富なスクリーンショットを用いてステップ・バイ・ステップで解説しています。

入門編では、以下のようなOCIの基本的な使い方をハンズオン形式で学習できます。

  • OCIコンソールの基本操作
  • 仮想クラウド・ネットワーク(VCN)の作成
  • コンピュート・インスタンス(仮想マシン)の作成
  • ブロック・ボリュームやオブジェクト・ストレージといった各種ストレージサービスの利用
  • Oracle Databaseの作成と利用

専門的な知識がなくても、チュートリアルに沿って作業を進めるだけで、OCIの主要な機能を一通り体験し、実践的なスキルを習得できます。応用編やサービス別のチュートリアルも用意されており、自身のレベルや目的に合わせて学習を進めることが可能です。

困ったときのOracle Cloud Support

OCIの利用中に技術的な問題や不明点が発生した場合でも、「Oracle Cloud Support」という強力なサポートサービスを利用できます。 このサポートはOCIの利用料金に含まれており、追加の費用はかかりません。

技術的な問い合わせは、OCIコンソールからサービス・リクエスト(SR)を作成します。SRを作成すると、オラクルのサポートエンジニアから専門的な支援を受けることができます。また、一般的な質問については、サポート担当者とのオンラインチャットや、ユーザーコミュニティフォーラム「Cloud Customer Connect」なども活用できます。

契約前に知っておきたいOracle Cloud Services Agreement

OCIの利用を開始するには、「Oracle Cloud Services Agreement (CSA)」と呼ばれる契約内容に同意する必要があります。これはOCIを利用する上での規約を定めたもので、サービス内容、料金と支払い、セキュリティ、SLA(サービス品質保証制度)といった重要な項目が含まれています。

特に、どのような場合にサービスの品質が保証され、万が一それを下回った場合にどのような補償が受けられるかを定めたSLAの項目は、サービスの信頼性を判断する上で非常に重要です。

契約内容はオラクル社の公式サイトで公開されており、契約前に誰でも確認することができます。 OCIをビジネスで利用する際には、自社の要件と照らし合わせながら、事前に内容をしっかりと確認しておくことをお勧めします。

よくある質問(FAQ)

OCIとは、一言で言うと何ですか?

OCI(Oracle Cloud Infrastructure)とは、オラクル社が提供するパブリッククラウドサービスです。特に、企業の基幹システムや大規模データベースの運用に適した、高いパフォーマンスと信頼性、そしてコスト効率の良さを特長とする次世代のIaaS/PaaS型クラウドプラットフォームです。

OCIがAWSやAzureより優れている点は何ですか?

OCIの大きな強みは、データベース技術における圧倒的な優位性と、一貫して高性能なネットワーク、そしてコストパフォーマンスの高さにあります。特にOracle Databaseをオンプレミスで利用している企業にとっては、クラウドへの移行がスムーズに行えるという大きなメリットがあります。

OCIはなぜ低コストで高性能を実現できるのですか?

OCIは、最新世代のハードウェアを採用し、ネットワークアーキテクチャをシンプルにすることで、物理的なコストを抑えています。また、データ転送料金を競合他社よりも大幅に低く設定するなど、利用者が予測しやすく、かつ低コストで運用できる料金体系を採用しているためです。

Oracle Databaseユーザー以外にもOCIはおすすめですか?

はい、おすすめです。OCIはMySQLやPostgreSQLなどのオープンソースデータベースにも対応しており、汎用的なコンピューティングやストレージサービスも非常に高性能です。データベース以外のワークロード、例えばHPC(ハイパフォーマンスコンピューティング)やAI開発基盤としても優れた性能を発揮します。

OCIのセキュリティはどのように保証されていますか?

OCIは「セキュリティ・ファースト」を設計思想としており、ネットワークの分離やデータの暗号化、アクセス管理などが標準で組み込まれています。また、多数の国際的なセキュリティ認証を取得しており、企業の厳しいセキュリティ要件にも対応できる堅牢な環境を提供しています。

OCIのAlways Free(無償ティア)とは何ですか?

Always Freeは、OCIの一部のサービスを期間の制限なく無料で利用できるプランです。仮想マシン、ストレージ、データベースなどの主要なサービスが含まれており、個人での学習や小規模なアプリケーション開発、機能検証などに活用することができます。

まとめ

本記事では、Oracle Cloud Infrastructure(OCI)の基本からAWSなどとの違い、具体的なメリットまでを解説しました。特にデータベース領域で強みを持ち、オンプレミスからの移行を検討する企業にとって、OCIは高性能と低コストを両立する最適な選択肢となり得ます。クラウド導入やDX推進に関するマーケティング支援が必要な場合は、お気軽にご相談ください。

忖度無しの徹底比較!Oracle Cloud Infrastructure VS Amazon Web Services
執筆者のご紹介

執筆者について

本記事は、株式会社システムエグゼ Oracle Cloud 専門部署のエンジニアが執筆しています。

私たちの実績

  • 導入支援実績:過去 3 年間で累計 60 社以上
  • パートナー認定:Oracle CSP(Cloud Solutions Provider)認定取得
  • 受賞実績:Best Cloud Integrator Partner of the Year 2022、Oracle Japan Award、2025 OCI Top Partner Engineers 等
  • 技術検証:OCI 上での VMware ソリューション、Database-Azure 連携など多数

メッセージ

OCI 導入プロジェクトで培った実践的なノウハウと技術検証データに基づき、社内の専門エンジニアや技術監修者による内容確認を経て執筆しています。正確性と再現性を重視し、読者の皆様が実務で活用できる情報をお届けします。


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