最近ではクラウドサービスのシステム障害により、利用者のサービスに影響を及ぼすことがあります。こうした時に企業は、なるべく早く障害情報をつかんで対応したいところです。
そこで本記事では、Oracle Cloudで障害が発生した際にすぐに確認できる方法について解説していきます。
Oracle Cloudとは
Oracle Cloudは、データベースなどで有名なオラクル社が提供するクラウドサービスです。データベースはもちろんのこと、サーバー、ミドルウェア、プラットフォーム、アプリケーションなどさまざまなシステムを提供しているクラウドサービスとなります。クラウドサービスとしては、アマゾンが展開するAmazon Web Services(AWS)やグーグルのGoogle Cloud Platform(GCP)、Microsoft Azureと同種のサービスです。これらのサービスとの違いは、Oracle Cloudは「SaaS」「PaaS」「IaaS」の3つの範囲でサービスを包括的に提供していることです。
さらに自社データセンター内にOracle Cloudを導入することもできます。こうすることでパブリッククラウドでありながら、プライベートクラウドのように利用ができるわけです。現在主流であるAWSなどのサービスと比べると後発のクラウドと呼ばれ、後追いでシステム展開をしており、現在でも提供するサービスの拡張を続けています。そして、後発の強みを活かして、これまでのクラウドサービス利用によるデメリットや問題点を払拭するために、さまざまなシステムを導入しているという特徴があるのです。たとえば、機械学習を利用したデータ管理の自動化や、AMDとの戦略的パートナーシップによるコストパフォーマンスの高いプラットフォーム提供など、Oracle Cloudならではといえるシステム基盤が強みとなっています。
クラウド環境でも障害対策は必要
基幹系クラウドサービスでは、障害に対してある程度の対策を講じています。Oracle Cloudも例外ではなく、物理的にも論理的にも問題が回避できるようにさまざまな対策がされています。
しかし、ITノウハウの高い企業が徹底的に管理していても、障害が発生する可能性があります。それはクラウドも例外ではありません。そのため、クラウドを利用する企業は、障害対策も考えてシステム構築をしなければならないのです。
たとえば、最近報告されているのが、AWSでの障害です。2019年8月には冷却システムに問題が発生して、大手企業を含めた60社以上でサービスの停止などが発生しました。さらに2021年9月には、クラウドサーバー上のネットワーク接続機器が故障して銀行などを含む多くの企業でアクセスなどに影響が出ています。
また、基幹系クラウドサービスだけでなく、Office365など多くの企業で利用されているクラウドサービスでも障害が発生しています。2019年11月には、記憶媒体のファームウェア不具合により、チャット・メールなどのサービスが利用しづらくなるといった問題が発生しているのです。このようにクラウドサービスは、他社が運営するということもあり100%の稼働を保障するサービスではないということがわかります。
Oracle Cloudの障害・稼働情報を簡単に確認する方法
自社のサービスに問題が発生した際に、最初に確認したいのがクラウドサービスの障害です。Oracle Cloudの場合、管理コンソールで障害情報を確認できます。しかし、管理コンソールは、管理権限を持つ人でなければアクセスできません。
そこでオラクルでは、クラウドサービスの稼働状況を確認できる「OCI Status」というWebサイトを公開しています。いつでも簡単に見られるので、何か問題があった場合には初めに確認しましょう。
OCI Statusの使い方
ここからはOCI Statusの見方と使い方について解説していきます。まずはOCI Statusのサイト(https://ocistatus.oraclecloud.com/)にアクセスしてください。アクセス後、トップ画面に表示されているのが、現在の稼働状況です。縦軸が「サービス内容」、横軸が「対応リージョン」となっており、交差する部分に「稼働状況」が以下の4つの記号のいずれかで表示されています。
緑色と✓:Normal Performance(通常のパフォーマンス)
黄色にー:Degraded Performance(パフォーマンスの低下)
橙色と!:Partial Outage(部分的な停止)
赤色と×:Major Outage(大規模な停止)
日本には東京と大阪の2つのリージョンがあるので、日本サーバーを利用している場合は横軸にある「Japan Central (Osaka)」「Japan East (Tokyo)」の欄を見ます。ここに緑色と✓が表示されている場合は、稼働状況に問題がなく、それ以外では何かしらの問題が発生していることになります。また左下にある「Incident History」から過去の障害についても確認できます。
Incident Historyの見方
Incident Historyのページには、
- 障害のフィルター機能(左上)
- 過去にあった障害の年月(右上)
-
障害情報(中央)
が記載されています。
確認したい年月がある場合は、画面右上にある左右の矢印をクリックして表示したい年月まで遡ります。
確認したい年月を表示したら中央部分に年月と障害情報が記載されます。1つの月で3件以上の障害があった場合はプルダウンで閉じられているので、「Show All ○ Incidents」(丸の中には件数が入ります)をクリックしてください。
また、特定のサービスやリージョンでの障害は以下のように確認できます。
- 左上にあるFilter Componentsを選択する
- 押下するとプルダウンにサービス内容が表示されるので、見たいコンポーネントをクリックする
- クリック後、リージョンを選択するプルダウンが出るので、確認した地域を押下してチェックを入れればフィルターがかかる
障害情報を通知する
Oracle Cloudで障害が発生した場合、通知が来るように設定することが可能です。 OCI Statusのサイト内の右上にある、「SUBSCRIBE TO UPDATES」を選択してください。クリックすると、5つの選択項目と必要事項の入力箇所が出てきます。
ここでは「メール通知」「電話」「Webhook」「Atom Feed or RSS Feed」での通知が可能です。たとえば、メール通知を希望する場合は、メールのアイコンをクリックして入力部分に障害を通知したいメールアドレスを入力します。
入力後Subscribeを選択するとサービス内容が表示されるので、通知させたいコンポーネントと対応リージョンを選択します。全ての選択が終わったら、画面右下にあるSaveを選択してください。最後に登録したアドレス宛にメールが配信されて、障害通知登録の完了となります。
まとめ
Oracle Cloudでの障害を確認するには、管理コンソールで可能です。しかし、管理コンソールは、管理権限のある人のみしかアクセスできないため、オラクル社が提供しているWebサービス「OCI Status」を利用するのがおすすめです。
また、クラウドサービスで障害が発生すると、業務ができずに滞ってしまうことがあります。このような問題を避けるためには、1つのベンダーでシステムを構築せずに、複数のソリューションを組み合わせる方法も有効です。
- カテゴリ:
- OCI基礎知識