PaaSとは?特長とPaaSが適しているケースを紹介

 2023.07.14  株式会社システムエグゼ オラクルクラウドチーム

クラウドサービスは、ここ数年で利用者が増え、非常に身近な存在になりました。
クラウドサービスは提供される領域の違いによって細分化され、それぞれ「IaaS」「PaaS」「SaaS」と呼ばれます。
なんとなく理解しているつもりでも、これらをいざ自分の言葉で説明して、と言われると曖昧な回答をする方が見受けられます。

本記事では、PaaSを中心に概要や特長、PaaSに向いているケースについてご紹介します。
また、IaaS・SaaSとの違いをOracle Cloudのサービスと紐づけてわかりやすくご紹介します。

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PaaSの概要

PaaS(パース)とは Platform as a Service の略で、アプリケーションを実行するためのプラットフォームを、インターネットを通じて利用できるクラウドサービスのことです。

アプリケーションを動かすための基盤部分であるハードウェアやOS、ミドルウェアなどを、クラウド事業者が管理します。そのため、利用者はアプリケーションを用意するだけで、すぐにアプリケーションの開発・運用を行うことができます。

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IaaSとSaaSとの違い

IaaS/SaaS/PaaSの違いとしては、クラウド事業者が運用管理する範囲が異なります。
それぞれの運用管理範囲の違いは、以下図のようになっています。

IaaSとSaaSとの違い

まず、PaaSはミドルウェア、OS、ハードウェアがクラウド事業者の運用管理範囲です。そのため、利用者側では主にアプリケーション部分を管理します。
PaaSの例としては、Oracle Cloud Infrastructureの「Exadata Cloud Service」などがあります。

次にIaaSは、ハードウェアやネットワークなどのインフラ部分までが、クラウド事業者の運用管理範囲となっています。
OSやミドルウェア、アプリケーションなどは自分で管理を行うため、PaaSやSaaSと比べると自由度が高くなることがメリットです。
しかし、インフラ以外の部分は自ら管理しなければならないため、管理が煩雑となる点がデメリットとして挙げられます。
代表例としては、Oracle Cloud Infrastructureの「Compute」などがあります。

最後にSaaSは、アプリケーション部分までがクラウド事業者の運用管理範囲となっています。そのため、利用者側はユーザーアカウントを作成すると、すぐにサービスを利用することができます。

また、複数のユーザーが同時に作業できることもSaaSの特長です。
代表例としては、Oracle Cloud Infrastructureの「Oracle Enterprise Resource Planning」などがあります。

このように、IaaS/SaaS/PaaSは、クラウド事業者の運用管理範囲が異なっています。

PaaSを利用するメリット・デメリット

PaaSを利用するメリット・デメリットについてご説明いたします。

まずメリットとしては、プラットフォームの構築や運用保守を行う必要がないことです。
プラットフォームの構築や運用保守の手間がなくなることで、開発に専念することができます。
また、コスト面でもプラットフォームを構築しない分、初期投資や運用保守にかかるコストを抑えることができます。

このように、PaaSで利用できるプラットフォームの運用・保守はすべてクラウド事業者が行うので、その分の労力をアプリケーション自体の運用に集中させることができることが、PaaSのメリットです。

また、SaaSの場合はカスタマイズ性が低いため、各社の独自処理などがあった場合に不向きですが、PaaSであればクラウドの恩恵を受けながら柔軟なアプリケーションを作成することができます。

一方、デメリットとしては、開発言語やデータベースなどはバージョン指定の自由度が低いため、クラウド事業者が提供するものに限られてしまうことです。
アプリケーションの要件によって、開発言語やデータベースのバージョン指定が必要な場合は、PaaSよりもIaaSの方が適していると言えます。

PaaSが向いているケース

PaaSが向いているケースについて、2つご紹介いたします。

まず、1つ目のケースは、ビッグデータ分析です。
ビックデータ分析では、クラウド上の他のPaaSサービスと連携させることで、スムーズなデータ分析を行うことが可能です。そのため、ビッグデータ分析はPaaSに向いていると言えます。
データ分析ができるPaaSサービスの例としては、Oracle Cloud Infrastructureの「Big Data Cloud Service」や「Oracle Analytics Cloud」などがあります。
また、ビッグデータ分析では、日々生成される膨大な量のデータを扱うため、データの保存容量が不足してしまうことが考えられます。
しかし、クラウドサービスであれば、クリック1つで保存容量を増減させることができるため、容量不足になる事態を防ぐこともできます。


2つ目のケースは、アプリケーションの開発に専念したい場合や、アプリケーションの開発に必要な環境を構築するスキルや時間が無い場合です。
PaaSではプラットフォームを構築する手間がないため、すぐに開発に取り掛かることができます。そのため、迅速にアプリケーションをリリースすることができます。
また、PaaSにはアプリケーション開発の生産性を向上させるためのサービスが多く用意されているため、効率的に開発を行うことが可能です。
アプリケーション開発の生産性を向上させるサービスの例としては、「Oracle Container Engine for Kubernetes」や「Developer Cloud Service」などがあります。

Oracle CloudのPaaSの特長

Oracle CloudのPaaSでは、高度なデータ管理やアプリケーション開発者の生産性を向上させるためのサービスなどが提供されています。
提供されているサービスはシームレスに連携、拡張、共有することが可能です。

データ管理面では、データベースやデータウェアハウス、ビッグデータ分析などのサービスが用意されています。そのため、多種多様なニーズに対応することができます。
代表例としては、「Exadata Cloud Service」、「Autonomous Data Warehouse」、「Big Data Cloud Service」、「Oracle Analytics Cloud」などがあります。

また、アプリケーション開発者の生産性を向上させるためのサービスとしては、「Oracle Container Engine for Kubernetes」や「Developer Cloud Service」などが提供されています。これらを使用することで、より迅速な開発・立上げが可能になります。

この中の「Exadata Cloud Service」と「Oracle Container Engine for Kubernetes」について、ご説明します。

Exadata Cloud Service

「Exadata Cloud Service」は、高い可用性とパフォーマンスを発揮するOracle Exadata Database Machine (Exadata)をクラウド上から利用できるサービスです。
OCI上でExadataを利用可能な他のサービスとの違いとしては、全てのオプション機能を使うことができる専有型の環境であるということです。
また、オンライン・スケーリングでの柔軟な価格体系となっていることや、PaaSサービスであるため、プロビジョニングや管理の容易さがメリットとして挙げられます。
以下は、Exadata Cloud Serviceの特長です。

●ExadataのH/Wを専有
・Exadata Cloud Serviceは専有型であるため、他のユーザー環境と完全に分離されます。そのため、セキュリティ・性能を担保できます。

●柔軟な価格体系
・CPUリソースは柔軟に増減可能(秒単位課⾦)となっています。

●高性能
・専有型であるため、他の環境の影響を受けずにH/W性能を享受できます。そのため、⾼性能が必要なワークロードも対応可能です。

●⾼セキュリティ
・セキュリティ上の理由などで、物理サーバとして独⽴した環境が必要な場合も対応可能です。
・データ/通信はデフォルトで暗号化されています。

Oracle Container Engine for Kubernetes(OKE)

まず、Kubernetesとは、コンテナ化されたワークロードやサービスの運用管理と自動化を行うためのオープンソースソフトウェアのことです。Kubernetesを利用すると、アプリの迅速なデプロイなどが可能となります。
そして「Oracle Container Engine for Kubernetes(OKE)」は、複雑なKubernetesインフラストラクチャのインストールや保守の必要がなく、基盤となるコンピュート、ネットワーク、ストレージ・サービスを活用するKubernetesクラスターを迅速に作成、管理、および使用することができるOracleのマネージドKubernetes サービスです。

以下は、Oracle Container Engine for Kubernetesの特長です。

●価格設定
OKEは基本、無料で提供されていますが、Kubernetesクラスターの基盤であるコンピュート、ネットワーク、ストレージ・サービス、およびその他の種類のインフラストラクチャ・リソースの消費量によって、価格が決定されます。

●コントロール・プレーン管理
OKEではコントロール・プレーンを自社で管理する必要がありません。OKEでKubernetesクラスターを作成すると、マネージド・サービスが自動的に複数のコントロール・プレーンを異なるフォルト・ドメインまたは可用性ドメインにセットアップして実行します。

まとめ

以下は、PaaSのまとめとなります。
●PaaSとは
・PaaSは、アプリケーションを実行するためのプラットフォームを、インターネットを通じて利用できるクラウドサービスのことです。

●メリット
・プラットフォームの構築や運用保守を行う必要がないため、開発に専念することができます。
・プラットフォームの構築をしない分、初期投資や運用保守にかかるコストを抑えることができます。

●デメリット
・IaaSと比較すると開発言語やデータベースなどのバージョン指定の自由度は低くなります。

本ブログでは、PaaSの概要や特長、適しているケースについてご紹介いたしました。
PaaSのメリット・デメリット等を考慮した上で、ぜひPaaSの導入を検討してみてください。

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