事務職の業務改善を実践するにあたり、まず何から着手すればよいのかと頭を悩ませる担当者は少なくないでしょう。取り組むべきことは多岐に渡りますが、過去に企業が行った業務改善の成功事例を参考にすれば、取り掛かりやすくなるはずです。本記事で紹介する内容を、事務職における業務改善の事例集として、ぜひ今後に役立ててください。
事務における業務改善にどう取り組むか
少子高齢化が進む中、多くの企業が人手不足に陥っています。また、働き方改革の推進により短時間労働をはじめ多様な働き方にも対応していかなくてはならず、企業を取り巻く環境が年々厳しいものになっているのが現状です。限られた人材や時間を有効に活用し、健全な経営で最大限の成果を得るためには業務改善が欠かせません。
業務改善に取り組むにあたっては、第一に目的と目指すべき姿を明確にすることが大切です。これらを明確にしないと、改善が必要な部分の洗い出しや持続的な実行が叶わず、現場が混乱し余計に業務効率が落ちてしまう危険性もあります。現状における課題を正確に洗い出し、優先順位を決めた上で進めていくのが基本です。また、従業員への周知徹底も重要なプロセスの1つです。社員それぞれが目的意識を持ち、さらに上司が部下に適切な指示ができる環境を整えることでより効果的な業務改善が望めます。
情報共有による業務改善の事例
円滑な情報共有がなければ、認識の齟齬やミスが起こり業務効率が落ちてしまいます。ここでは、情報共有に力を入れたことで業務改善に成功した事例をピックアップします。
マニュアル整備で業務を円滑化
社員数250人ほどの中小企業である製造業A社では、難しい作業や頻度の少ない業務について工程スケジュールに間に合わないケースや、作業内容ミスが発生していました。原因は作業の方法や流れが体系化できておらず、品質や作業スピードにムラが生じていたためです。
そこで、同社は業務マニュアルの策定に乗り出しました。作業方法や流れ、イレギュラーな事態が発生したときの対処法などを全てマニュアルに記載しました。さらにマニュアル内容を周知徹底するため、グループウェアなどでも積極的に共有しました。これにより、社員はマニュアルで作業の方法や流れを確認できるようになり、一部業務でネックとなっていた属人化を解消できました。
フローチャートで待ち時間解消
金融事業に携わるB社は、個々の社員はそれぞれの担当業務を把握しているものの、全体像を描ききれておらず、余計な確認作業に時間を割いてしまう場面が多々ありました。
そこで業務のフローチャートを作成。部門ごとの業務の流れを洗い出した上でそれらを組み合わせ、会社全体の業務を見える化しました。その結果、業務が可視化され個々の社員が自身の業務が他部門にどのようにつながるかが把握できるようになり、業務を遂行しやすくなりました。また、どの過程に遅延が起こりやすいかも浮き彫りになり、同時に課題解決も行うことができました。
データベースでノウハウを蓄積・共有
コールセンターやチャット問い合わせなどのアウトソーシングを請け負うC社は、アルバイト勤務を含め非常に多くの従業員を抱えていました。事業規模が拡大する中、顧客からの問い合わせ対応は、個々のオペレーターの経験に依存してしまう状態でした。オペレーターによって回答内容の認識にズレが生じ、クレームに発展するケースも出ていたのです。
そこで同社は新規にデータベースを構築し、さまざまな情報をオペレーターにも共有できる環境を整えました。これにより、オペレーターは過去の対応事例や模範的な回答を閲覧し、顧客に適切な回答ができるようになりました。応対品質のばらつきをなくすことで顧客満足度の向上し、さらに経験の長さに依存せず対応できるため従業員満足度も向上しました。
選択と集中による業務改善の事例
業務改善で大切なポイントの1つが、選択と集中です。注力する作業、省ける業務を取捨選択し、より利益に直結するものにリソースを集中させます。ここでは選択と集中を行った事例を紹介します。
優先度の低い業務の廃止
製造業に携わるD社の総務部では、多重な報告・確認作業が常態化していました。本来の業務に注力できず、個々の社員にも大きな負担をかけていたのです。
そこで同社は優先度の低い業務を廃止しました。まず報告するだけだった週1回のミーティングを廃止。その代わり、コミュニケーションツールを使用し、簡単に情報共有できる仕組みを構築しました。現状行っている業務を全て洗い出し、積極的な改善を実施した結果、WEBツールを活用利用した業務効率の向上につなげました。
アウトソーシングで業務をスリム化
インターネット関連事業を営むE社は、データ入力をはじめとする定型業務もすべて自社で行っていました。社員への負担も大きく、長時間労働につながっていたのです。
そこで、自社で行わなくてもよい業務を選定し、積極的にアウトソーシングし業務のスリム化を図りました。これにより長時間労働の是正やコスト削減も実現でき、さらに主力の営業へリソースを集中できるようになりました。
ICTツールによる業務改善の事例
ICTツールとは情報通信技術を活用したツールを指し、近年ではビジネスの効率化を実現できるさまざまな製品が登場しています。ICTの活用で業務を改善した事例を挙げます。
VBAで業務を自動化
アパレル業F社の経理部門では、Excelを用いた定型作業の多さに悩んでいました。担当する社員が少ない上、作業量が膨大で長時間労働の温床にもなっていたのです。
そこで、同社はVBAによる業務の自動化を実践しました。VBAはプログラミング言語の一種で、Microsoft officeに特化した言語です。これにより、従来手作業で行っていたExcelへの入力業務を自動化し、大幅な労働時間短縮と、社員の負担減を実現しました。また、これまで使用していたExcelを活用できるため、抵抗感なく導入が行えました。
クラウド利用でデータのやり取りを効率化
飲食業のG社は、データの発受を主にメールで行っていましたが、やり取りの頻度が高く効率の悪さに頭を悩ませていました。特に営業部門は社員が外出していることが多く、スムーズなやり取りができませんでした。
そこで、同社はクラウドサービスを利用し、データのやり取りを効率化しました。これにより社員は外出先でも、スマートフォンやタブレット端末などを使い、容易にデータへアクセス可能となったのです。
クラウドサービスで代表的なものとしては、Google driveが挙げられます。テキストから音声まで、あらゆるデータをクラウドに保管できるサービスです。テレワーク環境下においても大いに活用できますが、情報漏えいのリスクが高まるため、セキュリティについては注意が必要です。
チャットツールで無駄のない連絡
旅行業を営むH社は、各部門の連携がうまくいかないことが課題でした。そこでチャットツールを導入し、コミュニケーションの活発化とスムーズな情報共有による省力化を実現しました。
テキストを用いてリアルタイムにやり取りできるだけでなく、ファイルの共有も容易なツールです。ツール内でチーム分けもでき、それぞれのチームメンバーに必要な情報をスピーディーに共有できます。
最後にご紹介する「AppRemo(アップリモ)」はワークフローシステムですが、チャット機能を有しています。承認者が申請者に確認したいことが、承認画面上のチャットで簡単に行え、スムーズな承認業務を実現します。
ソリューション導入による業務改善の事例
高度なICTソリューションサービスを導入し、見事に業務改善を果たした企業も存在します。改善事例を紹介します。
RPAによる作業の自動化
物流業のI社は、業務負荷の軽減を改善したいと考え、RPAを導入しました。RPAは、Robotic Process Automationの略で定型作業を自動化できるツールです。RPAは人材不足などにも寄与できるとして近年注目が集まっています。
同社は、RPAの導入により定型作業の自動化、ルーチン化に成功しました。その結果、業務負担の軽減だけでなく、人為的なミスの減少にもつながったのです。
ワークフローシステムで申請・承認プロセスを簡素化
小売業のJ社は、申請・承認業務で生じるミスや、非効率業務の発生に悩んでいました。そこで、ワークフローシステムを導入し、承認プロセスの簡素化に成功したのです。
ワークフローシステムAppRemoは、申請・承認業務が行えるだけでなく進捗状況や過去のデータも管理できる機能が搭載されています。特長として、誰でも簡単に設定できる導入のしやすさや、現在使用しているExcel申請書をそのまま使用できることが挙げられます。このようなシステムは、これまで着手が後手に回ってしまっていた事務業務の改善を図ることができ、これからの働き方にも順応できるのです。
まとめ
これからの社会で、企業として生き抜くためにも業務改善は必須です。どこから、何から手をつけるべきか悩んでいるのなら、本記事で紹介した事例を参考に計画を立ててみてください。また、業務改善にはソリューションサービスの利用がおすすめです。特に、ワークフローシステムAppRemoは導入が容易で、申請状況の進捗チェックや情報共有の円滑化も実現できます。この機会に導入を検討してみてはいかがでしょうか。
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