業務改善の第一歩として必要なのが、課題を可視化することです。そのための有効な手段として、社内アンケートが挙げられます。現場の意見からボトルネックとなっているものの発見につながれば、業務改善も進めやすいでしょう。そこで本記事では、社内アンケートの目的、流れ、注意点、項目の例、役立つツールについてご紹介します。
業務改善に向けたアンケートの目的
生産性の向上、コスト削減、社員のモチベーション向上など、実践することで企業に大きなメリットをもたらすのが、業務改善です。
業務改善を行うためには、まず「ムリ・ムダ・ムラ(3M)」を発見し、問題点をリストアップする作業が欠かせません。
そのための有効な手段として、社内アンケートを行うことが挙げられます。社内アンケートには「現場の課題、現状が可視化される」「社員が何に不満を感じているのかがわかる」「トラブルの防止につながる」といったメリットがあります。
アンケートの結果を生かして適切な業務改善を行えれば、社員の満足度の向上につながり、結果として業績向上につながるでしょう。
アンケートを実施するときの流れ
続いて、社内アンケートを行うときの流れをご紹介します。
1.アンケートの目的を明確にする
まずは、何を知りたいのか、目的を明確にしましょう。1つのアンケートにあれもこれもと項目を詰め込んでしまうと「回答するのが面倒」と社員に感じさせてしまい、投げやりな回答しか得られなかったり、アンケートの回答率が下がってしまったりします。
抱えている課題の洗い出し・可視化をすることで業務改善につなげることが目的なら、その旨をしっかりとアンケートに記載し、社員と目的を共有しましょう。
2.質問項目を作成する
質問項目を作成する場合、質問の数、質に気を配りましょう。
例えば、「あなたは今の仕事に満足していますか?」という質問は、社員の満足度を測るためには良いでしょう。ただし、3Mを探す上ではあまり有効ではありません。
具体的な課題を知りたい場合には、ストレートに「もっともストレスを感じる作業は、具体的に何ですか?」「もっとも時間がかかる作業は何ですか?」など、「What(何が)」を探す質問の方が適しています。
記述してもらう質問の場合、数が多すぎると回答するのがストレスになります。10個未満にとどめておくのが良いでしょう。
また、対象範囲(ある一定のチームのみ、全社員が対象、など)も、あらかじめ決めておきましょう。
3.アンケートを実施する
アンケートを行う方法として、紙やオンラインの回答フォームがあります。紙には紙の良さがありますが、回収・集計・分析のしやすさを考慮すると、オンラインでアンケートを実施するのがおすすめです。紙では回答を空欄で提出してしまうこともできますが、オンラインであれば必須項目を設定することもできます。
なお、アンケートの回答期限ははっきりと決めておきましょう。回答期限が長すぎると後回しにされて結局忘れられてしまうことがありますし、短すぎるとスケジュールによっては回答できない場合もあります。3日~1週間程度にとどめておくのが無難でしょう。
4.アンケート結果を集計し、分析する
アンケートは、まずはシンプルに集計を行います。1つの質問に対して「はい」と「いいえ」のパーセンテージを数えるといったものです。これにより、全体の傾向をつかみやすくなります。
その後に、個別の回答をしっかりと分析し、具体的な課題をピックアップするようにしましょう。
5.フィードバックを行う
アンケート結果のフィードバックを社員に行うことは、とても大切です。その際、「誰にどこまで伝えるか」にも気を配ります。全社向けなら全社員へ、部署毎なら責任者から現場社員へなど、決めておきます。さらに、今後どのようにアンケート結果を生かしていくかをきちんと伝えるべきです。
「アンケートに答えたことで働く環境が良く変わっていく」と社員が感じられれば、今後の業務改善を行う際にも、協力を得やすくなるはずです。
アンケートを作成するときの注意点
正確性の高い結果を得るためには、正しい知識を持って質問文などを工夫することが必要です。下記のことに気をつけて本音が集まるアンケートを作りましょう。
匿名性を守る
アンケートでは匿名性を守ることが大切です。個人が特定される恐れがあると、忖度してしまったり、「自分の回答だと知られたくない」と思った社員から本音を聞き出せなかったりすることにつながります。
その反面、例えば満足度を測るアンケートであれば、勤続年数・性別・年齢などを聞くと属性別の満足度を測れて、状況の分析ができるでしょう。
例えば、「勤続年数の長い子育て世代の女性社員が、業務の満足度が低く、ストレスレベルが高い」という傾向が出た場合、「子どものお迎えなどで早退が多く、周りに気を遣っているのかもしれない」「ベテランなのに難易度が低すぎる業務ばかりを振っていないだろうか。子育て中だから良かれと思って行ったことが裏目に出ているのかもしれない」などの分析にもつなげられます。
質問の数、方式
質問の方式には、下記のようなものがあります。どの質問が適しているかを考慮した上で選ぶようにしてください。
単一回答
複数の選択肢から、もっとも自分に当てはまるものを選択する方式です。「はい/いいえ」の場合は「はい」、「はい/どちらでもない/いいえ」の場合は「どちらでもない」が選ばれやすくなるため、注意が必要です。
複数回答
あてはまる選択肢を全て選んでもらう方式です。直感的に答えやすいので好まれますが、回答の真意があいまいになるという側面もあります。
順位付け
その名称の通り、複数の選択肢の順位を知りたいときに有効な方式です。例えば「煩雑だと思う順番に、勤怠に関する作業を選んでください」という質問に、「1)有給の申請書類の作成、2)タイムカードの打刻、3)欠勤の連絡」などと、順番付けをしてもらうイメージです。
自由記述
自由に文章で感じたことを記載してもらう方式です。回答者の生の意見、具体的な意見などを自由に書いてもらえるのがメリットです。選択式の質問と組み合わせることで、より有用になります。
すべて単一方式の質問にしてしまうと、全体的な傾向をつかみやすい一方で、具体的なことがわからないままになってしまいます。その反対に、すべて自由記載の質問にすると、具体的なことはわかりますが、全体の傾向はわかりにくくなります。複数の質問方式を組み合わせて、効果的な質問群をつくることが大切です。
また、質問は多すぎても負荷がかかります。特に自由記述の質問は、10個以内にとどめるようにしましょう。
答えを誘導しない
アンケートを作成した側の意図が透けて見えるような質問は、回答の幅を狭めるので注意が必要です。
例えば「〇〇の作業は省いた方が良いと思いますか?」という質問は、「あえてこれを聞くということは、『はい』という回答を求めているのだな」と、回答者に直感的に思わせてしまいます。こういった場合、「〇〇の作業における問題点は何だと思いますか?」など、言い回しを変えたり、素直に「〇〇の作業は省きたいと考えていますが、残した場合のメリットがあれば教えてください」などと書くのもおすすめです。
シンプルな表現にする
専門用語、ビジネス用語、属人化した言葉などは、それを使わない人にとっては意味が通じにくい言葉です。誰にでも伝わるような、シンプルな表現に変えましょう。
アンケート項目の具体例
続いて、アンケート項目の具体例をご紹介します。業務改善に直結するものに加えて、汎用性の高い質問の例も紹介しているので、併せてご活用ください。
基本情報に関する項目の例
- 性別
- 年齢(年代)
- 所属部署
- 役職
- 勤続年数
仕事に関する項目の例
- 現在の業務で負担に感じていることは何ですか?
- 現在の仕事にやりがいを感じますか?
- 業務量は適切ですか?
- ムダだと感じる作業は何ですか?
- マニュアルは適切ですか?
- 誰かに業務が偏っていると思うことはありますか?
上司や部下に関する項目の例
- 上司はあなたの話を聞いてくれますか?
- 上司は公正な評価をしていると感じますか?
- 上司はあなたの仕事量を把握していますか?
- 上司は適切なフィードバックを行っていますか?
職場の風土に関する項目の例
- 周りの人とサポートし合えていますか?
- チームは良好に機能していると感じますか?
- ミーティングは誰もが発言しやすい雰囲気ですか?
- 周りの人の発言・意見を尊重できているチームだと感じますか?
- 休暇は取りやすいですか?
コンプライアンスに関わる項目の例
- 業務時間は適正ですか?
- セクハラ、パワハラなどの心配なく働けていますか?
- 性別、年齢、国籍などで差別的な発言をされたことはありますか?
- 残業時間は適正ですか?
- 休憩時間は足りていますか?
業務改善に役立つAppRemo(アップリモ)
最後に、アンケートの作成にも便利なシステムである「ワークフローシステムAppRemo」、「AppRemoポータル」をご紹介します。
「ワークフローシステムAppRemo」は申請・承認をオンラインで簡単に行えるツールです。稟議などの社内申請・承認を行うツールなのですが、その機能を活用してアンケートを作成、結果を集約することもできます。アンケートはExcelで作成できるので、スムーズに導入でき、結果も一覧リストで出力できるので、集計が容易な点がメリットです。
また「AppRemoポータル」にもアンケート機能が備わっています。一度アンケートの雛形をつくっておけば、定期的にアンケートを実施して、課題の抽出→業務改善→効果検証→再度、課題の抽出……というPDCAをまわすのにも便利です。設備予約、インフォメーション、回覧板、ToDoリスト、社員名簿といった機能も備わっているため、ぜひご検討ください。
まとめ
社内アンケートは業務改善の鍵を見つけるための有効な手段です。ただし、実施する目的を明確にした上で、それに沿った質問項目をしっかりと練り上げないと、社員に負荷をかけるだけで業務改善にはつながりません。アンケートが実施できる「ワークフローシステムAppRemo」「AppRemoポータル」などのツールを活用して、適切なアンケートを行い、業務改善にお役立てください。
- TOPIC:
- 業務改善/効率化