業務改善に取り組みたいものの、具体的にどうやって進めればよいのかわからない、と悩んでいませんか?業務改善を成功させるためには、正しい手法で取り組まなければなりません。本記事では、業務改善を成功させる5つのフレームワークと、具体的な活用法について解説します。
フレームワークで合理的に業務改善
少子高齢化による労働人口の減少や、働き方改革への対応により、企業は限られた資源を有効に活用し、最大限の成果を得る必要に迫られています。そのためには、業務改善により個々の生産性を高めなくてはなりません。
ただ、業務改善はやみくもに進めても成果は得られず、客観的な視点で進めることが大切です。そこで活用したいのがフレームワークです。ここで述べるフレームワークとは、業務改善の手順や考え方を示す枠組み・型を指します。
フレームワークにより、現状における問題を可視化し、思考プロセスの共有や迅速化が図れます。つまり、円滑かつ効率的に業務改善を進めるのに、フレームワークが役立つのです。
業務改善のための5つのフレームワーク
業務改善に役立つフレームワークはいくつかありますが、ここでは代表的なものを5つピックアップしました。BPMNやバリューチェーン分析、ロジックツリー、ECRS、KPTの5つは、よく知られるフレームワークです。それぞれ解説するので、概要や特徴を把握しましょう。
フレームワーク1:BPMN
Business Process Model and Notationの略語であり、業務で発生するプロセスをフロー図として表記し、可視化するフレームワークです。業務フロー表記の国際標準でもあり、さまざまな国の企業や団体で採用されています。
標準化された記号を用いてフロー図を作成するため、一貫性をもたせられることが特徴といえるでしょう。たとえば、組織内の複数部門においてフロー図を作成するときも、BPMNを用いれば一貫性のあるフロー図ができ、管理者が容易に内容を理解できます。
BPMNでフロー図を作成するときは、4つの基本記号を用います。業務内容を示すアクティビティ、トリガーを示すイベント、分岐条件を示すゲートウェイ、記号同士を矢印でつなぎ、実行の順番を示すシーケンスフローの4つです。ほかにも、タスクやメッセージフロー、グループ、カンバセーションなど、100以上におよぶ記号があります。
フレームワーク2:バリューチェーン分析
バリューチェーンは、日本語で価値連鎖と訳されます。ビジネスを、製造や物流、マーケティングなどの主活動と、人事・労務管理、調達活動などの支援活動にわけ、どのプロセスで価値を創出できているかを分析する手法です。
バリューチェーン分析により、業務プロセスのどの部分にどれほどのコストが発生しているのかを可視化できます。現状を正確に把握できるため、コスト増大の原因を究明し、適切な改善策を立案できるのです。
また、自社の強みや弱みを把握できるのも、バリューチェーン分析のメリットといえるでしょう。自社の強みや弱みは、客観的に見ないとわかりません。分析により可視化できれば、どのプロセスに強み、または弱みがあるのかを正確に把握でき、適切な対処を行えるのです。
フレームワーク3:ロジックツリー
ロジックツリーは、論理的な思考をサポートしてくれる手法として有名です。達成したい目的や解決すべき問題をひとつ抽出し、ツリー状に分解しつつ原因や解決策を深掘りしていく手法です。ロジックツリーの作成により、問題の全体像を客観的に把握でき、根本の原因が特定できるほか、どこから優先的に手をつけるべきかも理解できます。
ロジックツリーには、4つの種類があります。Whatは要素分解ツリーとも呼ばれ、選択肢の抽出にも用いられます。要素を次々と分解し、具体性の高い要素を導き出します。
Whyは原因追及ツリーで、解決したい問題の根本的な原因を追及するのに用いられます。Howは問題解決ツリーで、抽出した問題を解決するための改善策を次々とツリー化し、ベストな選択をするための手法です。KPI(Key Performance Indicator、重要業績評価目標)ツリーは、問題解決ツリーの派生型で、達成したい目的を頂点とし、細かいKPIをツリー化していきます。
フレームワーク4:ECRS
ECRSは、業務改善の直接的な方法論を示すフレームワークとして知られています。Eliminate(排除)、Combine(統合)、Rearrange(交換)、Simplify(簡素化)の4つで構成され、この順番で検証を実施することで、業務の効率化が図れます。
まずは、不要な業務や意味のない作業など、排除すべきものを抽出します。形骸化したミーティングや、費用対効果の悪い営業活動などを抽出し、排除を進めるのが業務改善の第一歩です。次に、ひとつにまとめられる業務があるのなら、統合して効率化、コスト削減を目指します。
交換は、より成果を得やすい作業順序への変換です。たとえば、いつもA、B、C社の順に営業へ回っている場合、A、C、Bにして時間の短縮と効率化を図る、といった具合です。簡素化は、文字通り業務を簡単にすることを指します。複雑な業務は手間も時間もかかり、コストが増大します。簡素化を進めれば、コスト削減につながります。
フレームワーク5:KPT
KPTは、Keep(維持)、Problem(問題点)、Try(改善策の試行)で構成されるフレームワークです。業務を振り返ることで現状の分析を行い、効率的に業務改善を進めるための手法です。
KPTを構成する3要素をもっと簡単にしてみましょう。維持とは、要するに今後も継続することです。Pの問題点は、よくなかったこと、継続しないこと、Tは今後チャレンジすることです。KPTで分類して考えれば、作業の取捨選択ができ、効率的な業務改善を実現できます。
なお、KPTと同じ振り返りのフレームワークとして、PDCAも有名です。Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Action(改善)で構成され、4つのサイクルを回しつつ業務を改善する手法です。こちらもよく用いられる手法なので、あわせて覚えておきましょう。
業務改善を実現する手法
ここまでは、業務改善に役立つフレームワークを紹介しましたが、ここからは実現する手法を紹介します。まずはボトムアップとトップダウンを理解しましょう。そのうえで、ボトムアップによる業務改善をスムーズに進めるポイントを解説します。
ボトムアップとトップダウン
ボトムアップとは、現場主体で業務改善を進める方法です。一方のトップダウンは、組織上層部が中心となり改善に取り組む手法です。
現場主体で進むボトムアップは、現場の声をダイレクトに反映させられる可能性があり、社員のモチベーション低下を防止するというメリットがあります。デメリットとしては、組織全体の業務改善が難しいことが挙げられます。
トップダウンは、組織上層部が主導するため、スピーディーな展開が期待できます。短期間での業務改善も不可能ではないでしょう。ただ、現場の社員からは、「現場を無視している」と反感を買う恐れがあり、モチベーション低下につながる可能性もあります。
トヨタが取り組んでいる業務改善手法、「カイゼン」は世界的に有名ですが、これは典型的なボトムアップ方式です。また、カイゼンはさまざまな業界で採用されており、効果が実証されています。現場主導で進めるボトムアップは、業務改善の効果を現場が実感しやすく、モチベーションアップにつながるメリットもあります。
ボトムアップの業務改善をスムーズに進行させるには
現場からの提案や決裁、実行、振り返りといったプロセスを、円滑にすることでKPTやPDCAを効果的に行えます。従来の稟議では、承認までに時間がかかりすぎる、なかなか実行に移せないといったことが多く、業務改善がスムーズに進められませんでした。
業務改善をスムーズに進行させるには、稟議決裁を効率化するワークフローシステムの導入が効果的です。システムの導入により、業務改善の提案、承認の流れがスムーズになるからです。
株式会社システムエグゼが提供する「AppRemo」は、だれでも使いやすいワークフローシステムとして評価されています。PCから申請や承認業務を行え、進捗状況も容易に把握できます。申請フォームはExcelで簡単に作成でき、チャット機能を使えば申請者と承認者間でスムーズな意思疎通も可能です。まさに、業務改善を始めるために、欠かせないソリューションといえるでしょう。
まとめ
BPMNやバリューチェーン分析、ロジックツリーなど、さまざまなフレームワークがありますが、それぞれできることや特徴が異なります。自社の目的を達成するのに、最適と考えられるフレームワークを選び活用することが大切です。
ボトムアップを採用し、組織一丸となって業務改善を進めるのなら、AppRemoの導入を検討してみてはいかがでしょうか。決裁の簡略化や円滑化を図れるため、業務改善を実現する強い味方になってくれるでしょう。
- TOPIC:
- 業務改善/効率化
- 関連キーワード:
- 業務改善 手法