Excel(エクセル)で行う予算管理は導入コストがかからないなどのメリットがある一方で、各部署が作成しているデータの収集・集計や管理に時間がかかるなどのデメリットもあります。この記事では、適切な予算管理を行う方法からExcelで予算管理を行う場合の課題と解決方法、予算管理システム導入時の注意点まで解説します。
適切な予算管理を行うためには
予算管理では、予算と実績から経営目標の達成状況を確認し、改善に向けて現状の見直しを行います。
適切に予算管理を行うには、最初に経営目標を設定しなければなりません。予算は、過去の実績、事業の成長率といったデータをもとに、来期の売上目標や利益目標を立ててから立案します。
事業年度中には、日次、月次それぞれのサイクルで実績を集計していきます。毎週、毎月など、一定の期間が終了したあとに予算と実績の差異を確認して、現状の分析を行うことが重要です。経営の改善に向けたPDCAを回すためには、一定の頻度で確認、分析し、問題が生じていた部分の改善につなげていきます。
予算管理にはリアルタイム性や正確性が重要です。状況の変化などが原因で予算が適切ではなくなった場合には、予算の修正も必要になります。
Excel(エクセル)で予算管理を行う場合の問題点とは?
予算管理をエクセルで行っている企業は少なくありません。しかし、入力時にミスが生じやすく、リアルタイムで情報を共有するのが難しいなど、エクセルでの予算管理には問題点もあります。
1. 手入力なのでミスが起きやすい
エクセルを使った予算管理では、基本的に手作業でデータを入力します。各部署が作成したデータをもとに予算を作成するため、部署ごとにエクセルのフォーマットが異なっている場合には手入力でしかデータを取り込めません。全てを手で入力する場合には、ヒューマンエラーが生じやすくなり、ミスが発生しやすいデメリットがあります。
貼り付け作業などでデータ入力の手間を減らせる場合でも、集計用ファイルに入っている関数の指定や参照ミスが発生する恐れがあります。入力工程を削減するためには、マクロでファイルを連携することも可能です。ただし、マクロに詳しい人材が限られるなどの課題もあります。
2. ファイルの作成・更新が属人化する
エクセルファイルに複雑なマクロや関数の数式を使用して予算管理を行っている場合、ファイルの作成や更新には専門的な知識が必要です。この場合はファイルを作れる人が限られるため、ファイル作成や更新作業が属人化してしまうデメリットが生じます。
ファイルに不具合が発生した場合や、予算管理プロセス・勘定科目などに変更が生じた場合には、予算管理ファイルのフォーマットを修正しなければなりません。ファイルの作成・修正が属人化していると、問題発生時に対応できません。担当者の退職や部署異動の際には、業務の引き継ぎが難しくなりやすい点にも注意が必要です。
3. リアルタイムでの数値共有が難しい
各部署で異なる予算管理のファイルを使用している場合、データを共有するには必要な部署にファイルの提出を依頼しなければなりません。提出前に各部署がデータを集計しなければならないケースなどもあるため、リアルタイムでのデータ確認はできません。
エクセルファイルを共有サーバーに格納しておくと、複数の部署がデータを共有できるようになり、部署を横断した閲覧・編集も可能になります。ただし、誰かがファイルを使用している際には、基本的に同時編集ができません。
また、ファイルは各部署が入力した時点で最新のデータに更新されるため、確認するタイミングによっては入力前でデータが入っていない場合もあります。同じ日時に全部署のデータを収集したとしても、数値が入っていない部署があると正しいデータは活用できません。
4. ファイル(管理フォーマット)の共通化が難しい
エクセルの場合、部署ごとに異なる管理フォーマットを使用しているケースが多くあります。部署によって取り扱う項目が異なるケースでは、管理フォーマットを共通化するのが簡単ではありません。
異なる部署でも使用できるフォーマットを作成する場合、各部署で使用する項目を確認しなければならないため、フォーマットを作成するまでに大きな作業負担が生じます。各部署で共通フォーマットを使用し始めたあとにも、フォーマットに修正が生じた場合には全部署で使用しているファイルに修正を加えなければなりません。
部署や拠点数が多く情報量が多い場合には、各部署、拠点からファイルを収集してファイルの見直し・管理をする必要もあります。管理が大変になる点もエクセルを使用した場合のデメリットです。
5. データ集計・分析に時間がかかる
前述の4に関連して、各部門で異なるフォーマットを使用している場合には、データの集計や分析に時間がかかるデメリットもあります。ファイルのフォーマットが異なるため、データを一元化する際にコピー&ペーストをしても、計算式の範囲がずれてしまうケースなどがあり、簡単にまとめることはできません。
部署ごとのデータファイルを見ながら集計ファイルに手入力をしなければならないような場合、集計・分析までに時間がかかってしまいます。迅速な経営判断のために必要な予算管理においては、非効率な状態です。
解決策は予算管理システムの導入! ただし注意点も
予算管理システムを導入すると、専用のシステムとしての利便性の高さから、エクセルの予算管理で生じている課題の解決が可能です。ただし、導入コストがかかる点などには気をつける必要があります。
1. 導入コストが高い
予算管理システムは導入時や運用時に一定のコストがかかります。
近年主流となっているクラウド型のサービスを利用する場合には、社内にシステムを設置するよりも初期費用が抑えられるため、コストの負担を軽減することが可能です。システムの運用保守料もかからず、月々のサービス使用料だけの割安な価格でサービスを使用できます。
ただし、ユーザーが多い場合など、企業規模によっては使用料が高額になる場合もあります。実際にどれだけ費用がかかるのか、業務の効率化が図れるのかなど、導入する際には費用対効果の検証が必要です。
2. 既存システムとの連携
予算管理システムを導入する際には、自社で使用している他のシステムとの連携ができるかどうかにも注意しなければなりません。たとえば、予算管理では実績データと予算との比較も行うため、自社の会計ソフトと連携できる場合にはほかの部署にデータの提供を依頼してから待つ必要がなく、データ収集の効率化が図れます。
受発注・出荷システムとの連携ができる場合には売上データも収集できるため、データの入力が不要で集計・分析が行えます。
一方、自社システムとの連携ができないシステムを選んでしまうと、導入による業務効率化の大きなメリットが得られないため、課題解決にはつながりません。
3. 使用方法の周知・研修などが必要
予算管理システムを新しく導入した場合、システムの操作や運用に関する研修、マニュアルなどを準備する必要があります。予算管理システムを導入しても、使い方がわからないと機能を活かせず、業務効率化につながりません。
また、これまでにエクセルを使ってきた土台がある企業では、他システムへの移行に拒否感を示す従業員が出る場合があるため注意が必要です。
予算管理の課題は「AppRemo(アップリモ)」で解決! エクセル文化のまま業務を効率化
予算管理の効率化に向けて、新しいシステムを導入せずそのままの環境を使用する方法もあります。ワークフローシステム「AppRemo(アップリモ)」を活用すると、いつも使用しているエクセル環境はそのままに予算管理をシステム化できます。
予算管理は案件管理フロー・受発注フローなどと関連しているため、案件承認のフローや受発注処理に関する手続きを「AppRemo」によりシステム化して案件金額(売上予想額・受注実績額)などを自動で収集しデータ化することが可能です。常にリアルタイムのデータを活用できることから、予算管理業務の迅速化も実現します。オンラインでいつでもどこでも利用できるため、リモートワークにも最適です。申請からデータ分析まで効率的に行えます。
まとめ
予算管理を適切に行うには、予算と実績の差異を定期的に確認、分析し、改善することが重要です。予算管理をエクセルで行っている場合、手入力でミスが生じやすい、フォーマットの作成が属人化しやすいなどのデメリットが生じます。
一方、エクセルでの予算管理をもっと便利にしたいと突然別のシステムに切り替えると、社内で反発が生じるケースもあります。無理なく予算管理の効率化を目指すには、エクセル文化を残したまま運用できるシステムを探すのがおすすめです。
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- 業務改善/効率化