社内で文書を回覧する方法として、メールにエクセルなどの資料を添付し送信する方法があります。この方法は、文書を印刷した紙を回覧する場合と比べてさまざまなメリットがありますが、誤送信などのリスクも抱えています。本記事では、社内回覧の概要や、メールによる回覧のメリット・デメリット、回覧におすすめのワークフローシステムなどについて解説します。
社内回覧とは?
社内回覧とは、共有したい書類を社内の関係者間で回覧板のように順番に回すことです。回覧文書には、連絡事項の周知を目的としたものもあれば、承認や決裁を上層部に求めるためのものもあります。
わざわざ文書で回付する理由は、口頭での説明には間違いや伝え漏れの発生、情報が必要な人まで届かない可能性が考えられるからです。伝達ミスを防止するためにも、多くの組織では文書を社内で回覧板のように回しながら情報伝達します。この社内回覧の方法は紙以外にも複数ありますが、近年は業務効率化のために電子化しているケースが多く見られます。
回覧文書の種類
社内回覧の対象となる文書には複数の種類があります。以下に、文書の例を用途ごとに紹介します。
上層部に意見を伝えたり、承認や決裁を求めたりするための文書として挙げられるのは、上申書、稟議書、提案書、企画書などです。
連絡や情報交換、記録を目的とした文書としては、案内文、通知文、依頼文、回覧文、議事録があります。
社内回覧される文書は企業によって違いがあるため、挙げた文書以外のものも回覧されている可能性があります。
社内回覧の方法
社内回覧でよく使われる手段は、紙やメール、ワークフローシステムを使う方法です。
紙の回覧なら、エクセルやワードで回覧表(順番表)を作成して印刷した文書に添付し、閲覧した人はサインと捺印をする仕組みで回付します。回覧表は自作しなくても、テンプレートをダウンロードすれば簡単に用意することが可能です。
メールを使う場合、PDFやエクセルなどの資料データをメールに添付して関係者に直接送信します。
ワークフローシステムは、業務効率化や電子化、テレワーク対応などを目的に導入している企業が多く見られます。
どの方法を採用するにしても、ミスなく効率的に回覧するためのルールを決める必要があります。例えば、要点を理解しやすいように文書を簡潔にまとめること、不在者は順番を飛ばして回覧することなどが挙げられます。
ワークフローとは?
ワークフローとは、英語で仕事や作業を意味する「Work」と、流れることを意味する「Flow」を組み合わせた言葉です。ビジネスにおいては、情報や複数人が関わる業務のやり取り、手続きの流れのこと、またはその決まった流れを図式化したものを指します。決まった通りに業務を処理する流れがあるなら、そのプロセス自体をワークフローと呼ぶことが可能です。広い意味で使える言葉ですが、多くの場合、申請・承認業務の処理の流れを指すときに使用されます。
また、IT化が進んでからは、ワークフローシステムと同じ意味で使われるケースも増えてきました。ワークフローやそのシステムを導入するメリットなどについては、以下の関連記事で詳しく解説しています。ワークフローシステム「AppRemo」を導入した企業の事例についても触れていますので、ぜひご一読ください。
ワークフローシステムとは?
ワークフローシステムとは、申請・承認や決裁のワークフローを自動化するためのシステムです。先ほど例に挙げたワークフローシステム「AppRemo」ではエクセルで作成した申請書をシステムにそのままアップロードして申請し、事前に設定した通りに承認フローが進みます。これによって、申請・承認業務の効率化が可能です。
ワークフローシステムの導入によって高い効果が見込める例は、承認が必要な稟議書や回覧文を紙ベースで進めているケースです。紙の場合、申請書を探す手間の発生や、承認者・決裁者が誰なのかが分からなかったり、途中で処理が停滞したりすることがあります。そこでワークフローシステムを導入すれば、申請~承認の流れ全体を自動化できるため、大幅な業務効率化が見込めます。
エクセルのメール添付による回覧のメリット
エクセルをメールに添付して回覧することには、四つのメリットがあります。
確認しやすくなる
メールでの社内回覧は、紙と比べて確認しやすいことがメリットです。紙で回覧する場合、まず相手に文書を手渡しする手間があり、時間のロスにつながります。また、アナログ媒体のため、出張やテレワーク中などで遠方にいる人は回覧文書を閲覧できません。
それに対して、メールなら場所と時間に関係なくパソコンやスマートフォンで回覧文書を確認できます。これによって、回覧の効率化が可能です。
また伝達内容をメールで送信できるため、紙と違って、回覧が誰のところで止まっているのかを確かめる必要もありません。受信者側にメールが残るため、内容を見返すのも簡単です。変更が発生した場合や質問がある場合でも、メールのやり取りだけで済むため手間がかかりません。
ペーパーレス化による経費削減につながる
社内回覧の電子化は、ペーパーレス化を進めて経費削減に寄与します。紙で回覧する場合、用紙代、コピー機代、インク代といった印刷のコストがかかります。さらに、文書のファイリング作業や保管場所、情報漏洩を防止するためのセキュリティ対策も必要です。ときには廃棄や郵送代も発生します。
一方、メールで回覧を電子化すれば、印刷にかかる経費の削減と保管場所の省スペース化を実現できます。メールで情報を直接送信できるため、廃棄や郵送費用も発生しません。ペーパーレス化が進めば、わざわざ紙に押印したりファイリングしたりする手間もなくなり、工数の削減につなげられます。文書の電子化によってデータ検索が可能になるため、紙と違って目的の文書を探すムダな時間を短縮できる点もメリットです。
送信履歴を検索できる
社内回覧をメールでする場合は、送信履歴を検索できます。誰に何の文書を送信したか、送り忘れはないかなど、すぐに確認が可能です。
また、サーバーにデータが残っているため、送信履歴をさかのぼって過去の文書を閲覧したり、キーワード検索で特定の文書を短時間で探したりできます。紙の場合は書類があれば確認できますが、目的の文書を手作業で探す必要があります。探しやすいようにファイリングの方法を工夫したとしても、手間と時間がかかる点は変わりません。
ただし、社内回覧メールを使用する際の注意点として、メールを削除してしまうと履歴の確認ができなくなるため、気をつける必要があります。
紛失のリスクがなくなる
メールで回覧すると、文書の紛失リスクをなくせます。紙の場合は、文書を物理的に紛失してしまうリスクがあります。文書を作り直す手間がかかるため、時間とコストのロスにつながります。加えて経年劣化の問題もあり、長期間の保管で内容が読めなくなると復元は困難です。さらに、第三者や社員の勝手な持ち出しによる、機密情報の漏洩や改ざんが発生するリスクもあります。
一方、メールは電子データのため、文書を紛失したり、劣化により読めなくなったりすることがありません。
とはいえ、セキュリティ対策についてはメールでも必要です。電子データも、外部からのサイバー攻撃や悪意ある内部の社員によって情報漏洩したり、消失・改ざんされたりするリスクがあるからです。また、メールを閲覧できるモバイル端末の紛失や、セキュリティ性の低い環境でデータ通信をすると、誰かに情報を盗み見られる可能性もあります。そのため、バックアップや閲覧制限、ログの記録、安全な通信環境での利用などの対策が欠かせません。
エクセルのメール添付による回覧のデメリット
メールに文書や資料を添付する回覧方法は、紙での回覧と比べて以下のデメリットがあります。
- 内容に応じた本文の作成や添付、宛先選択などの操作の手間がある
- メールを送信しても、相手が気づかない可能性がある
- 誤送信してしまうリスクがある
紙と比べてさまざまなメリットがある一方で、メールならではの弱みも存在する点は知っておきましょう。
上記のデメリットは、慣れやルールの整備によってある程度解消できますが、人的ミスは完全には防止できません。そこでおすすめなのが、ワークフローシステムを活用して、メール添付のデメリットを解決する方法です。
回覧にはワークフローシステムの活用がおすすめ
紙やメールには特有のデメリットが存在しますが、そのデメリットを解消しながら業務効率化を図れるのがワークフローシステムです。以下では、上述したデメリットの解決策と、システムを利用するメリットを解説します。
メールより手間を軽減できる
メールは、送信のたびに本文を考えたり、送信先を選択したりする手間があります。一方、ワークフローシステムの場合は、既存の申請書フォームや過去の回覧文書を再利用できる機能によって、申請書の内容を作成する手間を省くことが可能です。システムの補助機能で入力項目を設定しておくと、誤入力や入力漏れも低減できます。チャット機能があれば、承認手続きの途中で不明点の質問などもでき、手続きの円滑化にもつながります。
また、事前に承認ルートを登録しておくことで、文書ごとに最適なルートで承認者や決裁者に文書を回付できます。これによって、承認作業を自動化することが可能です。複雑なルート分岐や差戻し、取り戻しが発生した場合でもシステム上で対応できます。申請・承認作業以外に回覧機能を使える場合もあり、関係者間での情報共有に便利です。
従業員の回覧見落としを防げる
メールで回覧文書を送るデメリットは、業務メールなどに埋もれてしまい、相手が気づかない可能性がある点です。返信が必要だったり、緊急性が高かったりする場合は、メールを確認するよう相手に連絡を取る手間が発生します。
一方、ワークフローシステムなら承認の進捗状況をリアルタイムに可視化できます。通知機能があるシステムなら、回覧や承認が止まってしまった場合でも、自動で相手に確認を促すことが可能です。システムによっては、期日の設定や事前に根回しする機能を備えたものもあり、見落としや承認漏れを防ぐのに役立ちます。
社外への誤送信のリスクを防げる
メールを使った回覧は、誤送信のリスクを常に抱えています。送信先を間違えると、機密文書を一般従業員や社外に向けて送信してしまう恐れがあります。また、「BCC」と「CC」の間違いも、個人情報の漏洩につながります。
情報漏洩が起きると信用問題に関わるうえ、取引先の情報も含んでいた場合、賠償問題に発展する可能性もあります。そして、送信自体は人の手で行うため、人的ミスの可能性はゼロになりません。
そうした誤送信のリスクも、ワークフローシステムなら解決できます。承認ルートを事前に設定して使用するため、そもそも誤送信してしまうことがありません。厳格なルールを定めてメールを送信せずとも、リスクのない社内回覧を簡単に実現できます。
また、システムの活用は内部統制にも効果的です。証跡の保存機能によって、承認をスキップした決裁などの不正を防止し、適切な承認フローを実現できます。閲覧権限の設定を行えば、改ざんや盗み見の防止も可能です。
エクセルを使った回覧なら「AppRemo」
AppRemoとは?
「AppRemo」は、申請・承認をシステム上で行うことができるワークフローシステムで、回覧目的でも活用できます。「AppRemo」の特長は、既存のエクセルファイルを使った回覧と申請・承認業務ができる点です。
エクセルで作成した申請書類の使用や承認ルートは、システム上で設定できます。メールのような誤送信のリスクもありません。使いやすさ、管理負荷の軽減に配慮したシステムであり、過去の申請フォームの再利用や滞留防止の通知機能、閲覧権限の設定などにも対応しています。
もし今エクセルファイルで申請書を作成しているなら、「AppRemo」の導入で手間をかけずに業務効率化を図れます。「AppRemo」の詳細は、以下のリンクからご確認ください。
AppRemoを導入するメリット
外出先でも申請・承認ができる
「AppRemo」は、クラウド版もあるため外出先からも利用できます。スマートフォンやタブレットからの利用に対応しており、外出先で承認業務を進めることが可能です。回覧の確認や承認のために出社する必要がなくなるほか、出張中の社員宛に申請書を印刷したり郵送したりする手間もありません。
ハンコ出社など紙の文化が残っている企業でも、申請・承認業務を「AppRemo」で一元化して作業を進めるようにすれば、テレワーク環境を整備することもできます。
また、「AppRemo」を活用したテレワークの推進は、BCP対策にも有効です。感染症の流行や災害などの緊急事態に陥った場合でも、テレワークに対応していれば、出社しなくても自宅や多拠点でいつも通りに業務を進行できます。
業務を効率化できる
「AppRemo」の活用で、申請・承認業務の効率化が可能です。例えば、クリックひとつで過去の申請情報の複写や、データ引用を行えます。申請・承認の進捗状況はシステム上で可視化されるため、関係者に確認する必要はありません。メールと違って、承認に必要な機能がシステム上に集約されているため、承認・否認・差戻しの処理も簡単な操作で完了します。
また、承認業務は場所と時間の制限なく、システム画面を開けばいつでも進めることが可能です。チャット機能があるため、申請者に不明点をすぐに確認できます。承認依頼通知機能によって、承認が滞ることも防げます。
操作画面は直感的に使える設計になっており、誰でも使いやすい特長もあります。申請書類は従来のエクセルファイルを再利用できるため、システム移行後に操作を覚える負担があまりありません。
紙を削減できる
「AppRemo」の導入によって、紙を使った申請・承認業務全体を電子化し、システム上で業務を進めるようにすれば生産性が上がります。印刷や郵送、押印、ファイリングなどのアナログな作業をなくすことで、時間とコストの節約が可能です。また、紙書類の保管場所も削減できて、文書の紛失や経年劣化のリスクがなくなります。申請書検索機能を使用すれば、目的の文書を探す時間を短縮することも可能です。
内部統制を強化できる
内部統制の強化に役立つ点も、「AppRemo」を使う大きなメリットです。決裁済みの申請書は自動的にシステム上に保管され、閲覧権限の設定によりセキュリティを高めることもできます。
また、変更や承認の操作履歴、証跡がシステム上に残るため、改ざんの防止につながります。事前に設定したルート通りに承認手続きが進むため、提出先の間違いや承認者飛ばしなど、不正・ミスが起きにくい体制を整えることも可能です。監査対応で過去の申請書が必要になった場合でも、「AppRemo」ならシステムから必要な資料を一括出力できます。
まとめ
社内回覧とは、連絡事項や承認が必要な申請書を関係者間で順番に回していくことです。従来の方法では、紙の文書を順に回すか、メールに資料を添付して回覧するのが一般的でした。ただ、メールの場合は誤送信などのデメリットがあるため、業務効率化を兼ねてワークフローシステムを使用する企業も多く見られます。
「AppRemo」は、従来のエクセルファイルを活用してシステム上で回覧や申請・承認を行えます。設定した承認フロー通りに手続きが進むため、重要な情報を誤送信するリスクをなくせます。ほかにもさまざまな便利機能があるため、ぜひ一度検討してみてください。
- TOPIC:
- 業務改善/効率化
- 関連キーワード:
- エクセル業務効率化