オラクル社が開発・提供・サポートを行っているオープンソースのSQLリレーショナルデータベース管理システムであるMySQL。本記事ではMySQLの概要や特徴、MySQLに向いているシステム、最新の動向などについて解説していきます。
MySQLとは
MySQLとは、オラクル社が開発・提供・サポートを行っているオープンソースのSQLリレーショナルデータベース管理システム(以下、RDBMS)です。
オラクル社がライセンスを取得してはいるものの、前述したとおりオープンソースであるため、ソースコードが無償で一般公開されており、改良や再配布が可能となっています。
MySQLのライセンスには大きく分けて2種類あり、1つが「MySQL Community Edition」と呼ばれる無償版、もう1つが有償版です。
MySQLの基本的な機能は無償版で利用可能となっています。
対して有償版ではオラクル社による24時間365日サポートや、毎月のソフトウェアアップデートと四半期ごとのサービスパックなどといった無償版には存在しない機能が提供されます。
基本的には年間サブスクリプション契約となっており、「MySQL Standard Edition」「MySQL Enterprise Edition」「MySQL Cluster Carrier Grade Edition」の3種類が存在しています。
「MySQL Standard Edition」が最も安価である代わりに機能が最も少なく、反対に「MySQL Cluster Carrier Grade Edition」が高価な反面、有償版の全ての機能が使用可能となっています。
有償版の詳しい機能につきましてはMySQL公式サイトをご確認下さい。
MySQLの特長
MySQLの特長として下記の5点が挙げられます。
①世界的な利用実績の高さ
MySQLは世界的に普及しているRDBMSの1つです。「DB-ENGINES」というデータベースの人気ランキングにおいては2023年1月時点でOracleに続いて、第2位にランクインしています。
現在はMongoDBのようなNoSQLも非常に注目を集めていますが、ランキングを見るとそれでもなおRDBMSは安定して利用されています。そのRDBMSの中でもMySQLは長年安定して人気を集めていることがわかります。
こうした長年の実績があるため、過去事例も多く、導入のためのハードルが低くなっています。また、世界最大のデータベース企業であるオラクル社がMySQLの開発・提供・サポートを行っているということも人気の理由の1つだといえるでしょう。
②コスト・時間・リソースの削減
前述したとおり、MySQLの基本的な機能は無償で使用することが可能です。このため、コストを抑えて利用することが可能です。また、例え有償版を利用した場合でも自分たちのシステムにあったサブスクリプションを選択することが可能なため、コストの管理を行うことができます。
また、MySQLは「使いやすさ」を開発当初からの設計目標としており、技術的な知識を持たないユーザでも高速にインストールできるよう設計されています。
③優秀なパフォーマンスとスケーラビリティ
MySQLはFacebook、NETFLIX、VISAなどといった、大規模なシステムにも採用されているデータベースです。
高水準なパフォーマンスとスケーラビリティを達成するため、より多くのユーザが利用できるためのレプリケーション機能、パフォーマンスを向上させるためのパーティショニング、オーバーヘッドを削減するためのスレッドプールといった機能を取り入れ、安定した運用ができるようになっています。
④高可用性と信頼性
データベースシステムが使用できない為に業務が遂行できず、生産性や収益に影響が出るといったことは避けなければならない事です。そのような事が発生しないよう、MySQLではデータベースに障害が発生した場合にすぐにフェイルオーバーを行う事ができるレプリケーションや99.999%の可用性が保証されたMySQL Clusterなどといった機能が使えるようになっています。
⑤セキュリティーの高さ
データはいまや貴重な資産の1つであり、そのためデータの保護はますます重要視されていきます。
そんなデータ保護のため、MySQLではデータの整合性確保のためにトランザクション・サポートやさまざまなオプションのあるバックアップ機能などが利用可能になっています。
MySQLの最新動向と将来性
2023年1月現在、MySQLはバージョン8.0までリリースされています。
また、オラクル社で定期的にバグの修正やシステム向上等のためのマイナーバージョンアップが行われています。
MySQLの将来性を考える上で、パブリッククラウドサービスは切っては離せません。
現在はさまざまな企業でAmazon Web ServicesやGoogle Cloud Platformなどといったパブリッククラウドサービスを利用する事例が増えています。
そうした利用が増加する中、MySQLはさまざまなクラウドサービスにおいて基本的にデフォルトで使用可能なRDBMSとなっていることから、これからクラウドサービスを使用する環境が増加していく中でもMySQLはこれまで同様に利用され続けていくと考えられるでしょう。
MySQL Database Serviceの紹介
MySQL Database Service(以下、MDS)は、有償版であるMySQL Enterprise Editionをベースに開発され、MySQLの開発元であるオラクル社のMySQLチームが開発・管理・サポートするOracle Cloud Infrastructure(以下、OCI)のクラウド・データベース・サービスです。
OCIのフルマネージドサービスのため、バックアップやリカバリ、データベースおよびOSのパッチ適用などの処理が自動化されています。これによって利用者側が対応すべきはデータ、スキーマ設計およびアクセス・ポリシーの管理のみとなっています。
- 利用方法
「MySQL Database Serviceを触ってみた(構築編)」
「MySQL Database Serviceを触ってみた(接続編)」
「MySQL Database Serviceを触ってみた(バックアップ&リストア編)」
「MySQL Database Serviceを触ってみた(DumpInstance編)」 - 運用情報
「クラウドでMySQLを使うならMySQL Database Serviceがおすすめ!OCI、AWS、Azure運用コスト比較」
「MySQL Database Serviceにおけるデータセキュリティ機能紹介」 - パフォーマンス
「MySQL Database Serviceのパフォーマンス調査(多重処理の性能比較)」
「MySQL Database Serviceのパフォーマンス調査(ディスクサイズによる性能比較)」
「MySQL Database Serviceのパフォーマンス調査(その他性能比較)」
おわりに
本稿ではMySQLの特長と最新動向等についてご紹介いたしました。
MySQLは利用者も多く、オラクル社という世界的なデータベース企業が開発・提供・サポートを行っている信頼と実績のあるRDBMSです。RDBMSの利用や構築を検討されている方はぜひMySQLを視野に入れてはいかがでしょうか?現在MySQLを利用しており、移行先としてMySQL Database Serviceをご検討中の方は、ぜひシステムエグゼまでお問い合わせください。
- カテゴリ:
- エンジニアリング