企業の経営戦略にはデータ分析が重要と言われます。大半の業務がシステム化された昨今では、あらゆる企業活動の履歴がデータ化され保存されていきます。組織全体の視点でそのデータを分析、活用することで、これまで見えなかった課題の把握や、新たなビジネス展開を見出すきっかけにつながる可能性もあります。
本記事では、効率的にデータ分析を実現していくために必要とされるスキルと、導入までのステップについて解説していきます。
データ分析とは
データ分析とは、日々蓄積されていく膨大なデータから、今後の経営活動で有益な情報を可視化していくための一連のプロセスです。具体的には、どのような作業を指してデータ分析と定義するのか見ていきましょう。
情報収集と抽出を行う作業
データ分析は、蓄積された膨大なデータの中から必要な情報を抽出することを目的としています。乱雑に存在する情報を整理し分析することで、正確な現状把握が可能となり、経営課題を早期に把握することができます。また課題だけでなく、上昇傾向にある分野を把握して投資をするなど、未来予測をしながら経営方針を検討することもできます。
データ分析には、どの切り口で情報を整理すればよいかなど、新たな視点が求められます。経験値が必要な専門性の高い作業となるため、はじめて導入する場合は、導入事例を多く持つベンダーに相談しながら進めることも検討してみましょう。
例えば、システムエグゼの分析サービスは様々な業種で採用されています。
データ分析に必要なスキル
データ分析を実現させるため、具体的にはどのようなスキルが求められるのでしょうか。システムに関する技術だけではなく、幅広い視点が必要とされ、専門のスキルを持つ経験豊富な人材の育成は常に望まれています。
プログラミングスキル
データを分析する前提として、分析を行える環境を構築する必要があるため、ITシステムの構築や運用といったスキルが基本的に必要です。データ分析のスペシャリストはデータサイエンティストと呼ばれ、統計解析言語として開発された「Python」または「R言語」のどちらかをプログラミング言語として扱います。
現在はPythonが頻繁に使用されていますが、1991年に発表された比較的新しい言語であり、ベテランの技術者は多くありません。
問題把握や分析スキル
そもそも、データを分析することでどのような問題を解決したいのか、何を目的としているのかを最初に把握することが何よりも求められます。
企業の抱える問題点や課題、導入を検討するに至った背景をしっかりと理解していなければ、データ分析の方向性を決定していくことができません。データ分析の導入に携わる場合には、問題を把握し、そのための解決策を提示できるスキルが必要とされます。
最適な分析方法を選択するスキル
問題点を把握し、解決するための方向性が見えてきたら、次に具体的な分析方法を検討します。問題を解決するためのデータを導き出すためには、多種多様な分析手段の中から、適切なものを選定するスキルが必要です。
そのため、分析方法や代表的なツールの仕様など、データ分析に関する知識を正しく身につけて提案する能力も必要とされます。膨大なデータを分析した結果を検証するためにも、分析方法を正しく把握していることが大切です。
分析したデータを活用するスキル
データを分析し、結果が可視化されたら、それによって何が明確になり、どんな課題解決ができるのか、結果を見極めて改善策を柔軟に提案するスキルが必要とされます。
データ分析は占いではないので、予測していなかった結果が出力された場合、その根拠を正確に提示する必要があります。経営戦略に大きく影響を与える可能性もあるため、データ収集は正しく行えていたか、分析の切り口は適切だったかなど、複雑な多くの情報を使って検証を繰り返すことも重要となるのです。
データ分析の4つのステップ
データ分析を行う際には、大きく4つのステップがプロセスとして存在します。これまで解説してきた、データ分析のために必要なスキルは各ステップでおさえておくべきポイントと一致します。データ分析手順を順に解説していきます。
ステップ1:目的と仮説を設定する
最初におさえるべきポイントは、目的を明確にすることです。何を知りたいのかを正確に把握せず、ただデータをかき集めて統合し一般的な論点で結果を提示しても、あまり意味がないものになる可能性があります。
企業の経営者などは、具体的にどのデータを使ってどんな分析をしたいのか提示できないことが多いため、まず仮説を立て、これらを分析することで何が可視化できるのかを予測し、データを収集し結果を導き出します。
分散する多くのデータの相関関係を把握して、適切な仮説のもとに分析をすることで、検証の時間短縮にもつながり、迅速で的確なデータ分析を行うことができます。
ステップ2:仮説に基づいたデータ収集
企業内には多くのシステムが存在し、異なるプラットフォームで部門ごとに独自に運用されていることも多く、データの相関関係を正確に把握するのは簡単ではありません。
適切なヒアリングにより導き出すべき結果を類推して仮説を立て、それに基づくデータ収集を行っていくことになります。業種などによって、キーとなる項目は予測できることもあり、同業他社の分析経験から仮説を立てることができれば、大きく役立ちます。
仮説は、例えば問題点に対する原因として、どこに着目すべきかを予測し、それに沿ったデータを収集していくことを指します。仮説を立てて結果を予測しておくことで、データ可視化のためにどの分析手段を選定するかについても定まってくるため、問題把握からの仮説立案と検証は必須のプロセスとなります。
ステップ3:分析の種類や手法を選択する
仮説に基づきデータを収集し、データ間の整合性などを確認して整理した後は、具体的にどのような分析を行うか選択します。
例えば、売り上げが伸びないという課題に対しての分析要素としては、以下の項目が挙げられます。
- 既存顧客の単価、数量の減少
- 新規顧客が増えない
- 地域や担当者ごとの違い
- 仕入れが間に合っていない
このように多くの原因を予測することができます。それぞれのデータを関連付け、見落としのないよう整理することが重要になるのです。
とにかくすべてのデータを投入しようという方法では、データ容量が膨大になり、分析に時間もかかります。また、ピンポイントで結果が可視化されません。適切な分析を行っていくには、幅広い分析手法についての知識と経験が求められます。
ステップ4:分析と結果の評価をする
最適な手法を選択することができたら、収集した情報を使って分析を実施します。仮説から、分析のポイントをおさえて分析結果を見ていきますが、検証にも多くの工程が必要です。「分析結果から、改めて仮説を立て、新たにデータを収集し分析する」という流れを繰り返すことになるでしょう。
最初は問題の原因となりそうなポイントを見つけ出すことを目的とし、次は、なぜその状態となっているのか、さらに深掘りすることを目的とします。
上述した売り上げ減少の例でいえば、新規顧客の開拓ができていないことが要因とわかったところで終わらせてしまっては中途半端です。広告の手段を変更した時期、営業の人員不足、単価設定や天候に至るまで、多くの要素から分析を繰り返していきます。
まとめ
本記事では、データ分析のために必要なスキルと、実現のための手順について解説しました。適切な分析方法の選択とデータ収集が要となりますが、専門性が高い分野であり、極めて複雑で難度の高い作業となるでしょう。
社内に経験者がいない場合は、セミナーなどに参加して経験を積んでいく方法もあります。また、導入事例が豊富なプロに相談することで、多角的にサポートを受けることができますので、検討してみてはいかがでしょうか。
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