近年、企業間の競争は熾烈さを増しています。特にビッグデータやAIの活用が叫ばれるようになったことで、データ分析の必要に迫られている企業担当者も少なくありません。一方で、大量の情報をどのように保管・分析すればよいかわからないという方もいるでしょう。
今回は、データ分析に必要なデータ分析基盤とは一体何なのか、そして、分析基盤の3つの構成の役割とメリットについて解説します。データ分析基盤の選定ポイントについても紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
データ分析基盤とは?
データの量自体が少ない場合、Excelなどのツールを駆使して分析を行っているケースもあるでしょう。しかし、情報量が増えるにつれ、手動では管理・分析しきれないという問題が出てきます。その際、必要になるのが「データ分析基盤」です。
データ分析基盤とは、簡単にいうとさまざまなデータを統合・活用するためのシステムのことです。一般的には、「情報の収集」「蓄積」「分析」「可視化」という4つの要素を指します。データ分析基盤を導入すると、大量の情報を分析するのが非常に容易になります。また、複数の担当者で分けて分析する際もスムーズに行うことが可能です。データ分析基盤を活用すれば、自社製品やサービスの質の向上も夢ではありません。
3つの構成から成るデータ分析
データ分析は以下の3つの構成(データレイヤー)で成り立っています。
- データレイク
- データウェアハウス
- データマート
ここでは、それぞれの特徴について解説します。
データ保存の役割を持つ「データレイク」
データレイク(Data Lake)は比較的新しい概念であり、その役割は加工していない「生」のデータ(=ローデータ)を保管することです。データ分析では、身長や体重といった保持しやすい構造化データと、画像や写真、「力が強い」といったデータベース化しにくい非構造化データを扱うことになります。データレイクは、構造化・非構造化データを問わず保存できる点が特徴です。
通常、データ分析する際は目的に応じて情報を加工します。しかし、状況によっては加工したデータをローデータに戻す必要性が出てくることもあるでしょう。その際に、データレイクにローデータがあれば、そのデータをもとに新たなデータ分析を行うことができます。
データ分析をしやすくする「データウェアハウス」
データウェアハウス(Data Ware House)は、直訳すると「データの倉庫」です。その名の通り、データを格納するシステムのことでデータにドメイン知識を反映させたものになります。
データベースとの違いは、「分析しやすい形に整理されている点」と「ストレージ量」で説明できます。データウェアハウスは、膨大な情報の中から必要な情報を抽出できるなど、データ分析に特化した機能を備えています。また、一般的なデータベースでは、容量の関係でデータの消去を行うことがありますが、データウェアハウスの場合は元々のストレージ量が多く、長期にわたるデータ分析が可能な点が特徴的です。
データウェアハウスには生のデータを加工処理するELTと保存目的のデータベースがあることに加え、SQLに準拠したクエリでのデータ抽出も可能となっています。
加工データを保持する「データマート」
データマート(Data Mart)は、直訳すると「データの小売店」です。データウェアハウスの中から、利用しやすい形に抽出・加工したデータベースのことで、膨大な情報を保持するデータウェアハウスに比べて限定的なデータとなっています。利用目的に応じたデータが抽出されているため、細かい集計や分析をスムーズかつ迅速に行うことが可能です。
データウェアハウスが一般的でなかった頃は、コストを抑えてシステムを構築できるその手軽さから多くの企業が導入してきました。一方現在は、非効率的なデータのやり取りなどデータマートのデメリットを指摘する声も増えてきているようです。
3つの構成が持つメリット
ここまで、データレイク、データウェアハウス、データマートという3つの構成について解説してきました。いずれも情報の管理・整理に重要な役割を担っていますが、メリットはそれだけではありません。
ビジネスでは、市場ニーズの変化に応じてデータ分析基盤も変えていく必要があります。データベースのレイヤー(階層)を分けておけば、ビジネスに応じた基盤を柔軟に形成することができるでしょう。
また、パフォーマンスの最大化もメリットのひとつです。一般的に、データをすべて同じ階層で管理した場合、処理スピードが低下することがあります。特にデータウェアハウスへの書き込みが多くなり、データマートの速度が遅くなることはよく見られるケースです。データベースを分離させると、そうした相互間の干渉リスクを抑えることができ、結果的にパフォーマンスの最大化に繋がります。
加えて、データ分析基盤では情報の収集から分析までまとめて行うため、スピーディーなデータ分析が可能です。全国に支部のある企業であれば、北海道支部と東京支部のデータを横断的に分析することもできます。また、セキュリティやデータの質の向上が担保される点もメリットといえるでしょう。
データ分析基盤の選定における4つの要点
世の中には、さまざまなデータ分析基盤サービス・商品があります。しかし、その中から自社に適した商品を選定するにはどこに着目するとよいでしょうか。ここでは、選定する際に押さえておきたいポイントを4つご紹介します。
スムーズな分析を実現
データの量が多ければ多いほど、データの処理・分析には時間がかかります。そのため、スムーズな分析が可能かどうかは商品を選定する上で重要なポイントといえるでしょう。
最近では、すぐにデータ分析ができるよう、データをマッピングして仮のデータセットが作れるサービスも出てきています。バッチ処理など段階的に処理していく方法に比べ、一足早くデータ分析に手が付けられるため、膨大なデータを分析したい企業にマッチしたサービスといえます。
導入費用
データ分析基盤の導入にどのくらいコストがかけられるかという点も重要なポイントです。一般的にクラウド型の方がオンプレミス型よりも初期費用が抑えられる傾向にあります。その一方で、「クラウド型のセキュリティは大丈夫なのか?」という疑問を抱く方もいるでしょう。以前はそうした心配もありましたが、現在は堅牢なセキュリティを整えているクラウド型も増えています。
特にOracle Cloudはオンプレミスの構成をクラウドで活用できるということで評判です。他社と比較しても、コストパフォーマンスがよく、総合的なセキュリティ監視ソフトを無償提供するなどセキュリティ面も整っています。初期費用を抑えながらデータ分析基盤のサービスを導入したい場合は、Oracle Cloudの利用を検討するのも良いでしょう。
高可用性かつ信頼性が高い
データ分析基盤の導入では、高可用性(High Availability)かつ信頼性が高いものを選ぶことも大切です。高可用性というのは、簡単にいうと「トラブルがあってもシステムが停止することなく動き続ける」ということです。高可用性がなければ円滑なビジネスは難しいでしょう。また、信頼性が高いかどうかも重要です。その際見るポイントとしては、「実績があるかどうか」「データの損失が防げる堅牢なシステムか」などが挙げられます。
属人化の防止
データ分析基盤の運用には、専門的な知識が必要です。そのため、属人化してしまうデメリットがあります。それを防止するためには、さまざまな分析に対応したツールが必要です。また、色々な人が簡単に利用できるよう、使いやすい機能・管理画面が用意されているかどうかを必ずチェックしましょう。そうすることで、専門的な人材を確保する負担も軽減し、効率よくデータ分析を進めることができます。
まとめ
データ分析基盤は、大量の情報を効率よく分析するのに役立つソリューションです。3つの構成があり、ビジネスごとに応じた基盤の形成やパフォーマンスの最大化など、データ分析だけでなく副次的なメリットも多くあります。
Oracle Cloudは「次世代のクラウドインフラ」とも呼ばれ、オンプレミスの構成をクラウドで活用することが可能です。コストも抑えて運用できるほか、クラウド利用の懸念材料でもあるセキュリティ面も徹底するなど安心して利用できるサービスとなっています。
データ分析基盤に興味がある方は、Oracle Cloudの導入も視野に入れてみてはいかがでしょうか。
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