これからのビジネスにおいて重要となるのが、「データ分析」です。しかし、おおよそのイメージはできても、正しい意味や重要性をご存じない方も多いのではないでしょうか。
またデータ分析には、様々な手法が存在します。企業でデータ分析を実現するのであれば、代表的な手法について理解しておくべきです。そこで本記事では、データ分析の重要性や、6つのデータ分析手法をご紹介します。
データ分析の概要
データ分析の手法を取り入れるためには、基本的な部分を理解することが大切です。まずは、データ分析に関する下記の3点について、順番に解説します。
- データ分析とは
- データ分析の重要性
- データ分析に必要な能力
データ分析とは
そもそも「データ分析」とは、データを収集し、扱いやすいように整理や加工を行い、その中から有用な情報がないか探す、という一連のステップを指します。データ分析によって、雑多なデータから関連性や傾向を発見することが可能となります。
データ分析は、基本的に何らかの目的を持って行われる作業で、主に、ビジネスにおける経営やマーケティングの意思決定を目的として行われます。ただし、幅広いシーンで使われる言葉で、株式投資のように個人目的でデータを扱う場合も、データ分析に含まれます。
データ分析と似た言葉に、「データ解析」があります。データ解析とは、データ群が持つ関連性や傾向に対して、「なぜそうなっているのか」を解明する作業のことです。両者の違いは、求める答えにあります。データ分析は「現状の姿」を求めるのに対して、データ解析は「現状を作り出した原因や背景」を求めます。
データ分析の重要性
ICT(情報通信技術)が発展している昨今、インターネット上では膨大なデータが日々生まれ続けています。また、AI技術を用いた高度なサービスも次々と登場し、ビッグデータを容易に活用できるようになりました。
ビッグデータには、人間の経験や感覚では見つけられない多くの情報が詰まっています。こうした情報をビジネスに利用しないのは、機会損失といえるでしょう。こうした背景から、ビジネスにおいてデータ分析の重要性は高まっているのです。
昨今では、「ビジネスインテリジェンス」という言葉も耳にするようになりました。ビジネスインテリジェンスとは、企業内外のデータを活用してビジネスの意思決定に役立てる手法です。その実現には、経営陣だけでなく、現場の社員も含めた企業全体がデータ分析しやすい体制の構築が求められます。
データ分析に必要な能力
データ分析によって求める答えを導き出すためには、下記のようなデータに関する能力・知識が求められます。
- 目的に沿ったデータを選定・収集する能力
- データを整理・加工して可視化する能力
- データ間の関連性や、データの傾向を発見する能力
- データ分析手法に関する知識
前述の通り、データ分析は何らかの目的を達成するために行います。よって、どのようなデータを収集すれば目的を達成できるかの正確な判断が必要です。ただし、データを収集したままの状態では、効果的な分析は行えません。必要に応じて整理・加工を行い、データを可視化することも求められます。
さらに、可視化されたデータの中から目的の達成に必要な情報を発見する能力も欠かせません。なお、データを扱う際には、適切なデータ分析手法を選択するのが一般的です。そのため、データ分析手法に関する豊富な知識も求められます。
データ分析の手法6選
データ分析を成功させるためには、データ分析手法の知識が欠かせません。ここでは、代表的なデータ分析手法を6つご紹介します。
データ分析手法①:アソシエーション分析
「アソシエーション分析」とは、関連性が無さそうなデータ同士を組み合わせて、隠れた関連性を発見するデータ分析手法です。主にマーケティングで、同時購入される商品の関連性を分析する際によく用いられます。
あるスーパーで実際にあった例ですが、「おむつとビールの同時購入が多い」というデータがありました。アソシエーション分析したところ、「父親がおむつを購入する時に、ついでにビールを買っている」ということが判明したのです。このように、一見関連性が無さそうなデータ同士から、意外な気づきを得られることが期待できます。
データ分析手法②:クラスター分析
「クラスター分析」とは、様々な性質のデータが混在する集団から共通性を見つけ出し、グループにより分類するデータ分析手法です。一つひとつのグループは「クラスター」と呼ばれます。クラスター分析を用いると、データごとの立ち位置が明確になるメリットがあります。
たとえばクラスター分析を用いて、価格帯や売り上げなどで全ての商品を分類します。そうすることで、見込み客のフェーズに応じて、提案すべき商品を選びやすくなるでしょう。主に、マーケティングにおけるブランドや製品のポジショニング分析などに使われることが多いデータ分析手法です。
データ分析手法③:クロス集計分析
「クロス集計分析」とは、複数の属性におけるデータを集計し、その結果を検証するデータ分析手法です。主にアンケート調査で用いられるもので、顧客の性別や年齢、地域といったデータを集計し、それぞれの関連性などを見つけ出します。エクセルなどの表計算ソフトでも分析しやすいため、初心者向けのデータ分析手法といえます。
たとえば、数百人の顧客に「商品を利用する時間帯は?」とアンケート調査を行ったとしましょう。その結果を集計することで、性別や年齢、地域といった属性ごとの平均値が算出できます。「男性は夕方に商品を利用することが多い」のような傾向も見えてくるでしょう。
データ分析手法④:バスケット分析
「バスケット分析」はアソシエーション分析を派生させたデータ分析手法で、大筋では変わりません。アソシエーション分析との違いは、分析対象が顧客の買い物かご(バスケット)の中身である点です。
顧客が買い物かごに入れた中身のデータを収集することで、どの商品とどの商品が同時購入されているか分析できます。Webマーケティングでの応用例に「レコメンド機能」があります。商品を購入する際に「同時購入されることが多い商品」を提案することで、より多くの購買が期待できるのです。
データ分析手法⑤:ロジスティック回帰分析
「ロジスティック回帰分析」は他の手法とは異なり、「YES」「NO」の2択でデータを収集する手法です。そうすることで、ある事象の発生確率を予測できます。正確な意思決定が求められる医療業界などで、ロジスティック回帰分析がよく用いられます。
たとえば「同時購入された商品は何か」ではなく、「購入されたか、されていないか」の2択でデータを収集します。それによって、性別や年齢ごとの購入確率を把握することが可能です。
データ分析手法⑥:決定木分析
「決定木分析」とは、クロス集計分析を繰り返し行うデータ分析手法です。クロス集計したデータ群に対して再帰的にグループ化を行うことで、より詳細な傾向を分析できます。主に、リスクマネジメントやマーケティングで用いられる手法です。
たとえば顧客からのアンケート結果を、まず「男性・女性」と性別でグループ化します。さらに、男性グループ・女性グループのそれぞれを「20代・30代・40代」と年代でグループ化します。このようにグループを細分化することで、ターゲット層ごとの傾向が明確となるのです。
まとめ
今回はデータ分析の重要性や、6つのデータ分析手法をご紹介しました。データ分析とは、データ群の中から有用な情報を抽出する作業のことです。ICT技術の発展やビッグデータの発生により、データ分析の重要性は高まっています。
データ分析を成功させる上で、データ分析手法の理解が欠かせません。しかし、データ分析手法は今回ご紹介したもの以外にも多数存在します。その中から最適なデータ分析手法を選定するには、豊富な知見が必要です。
データ分析の実現に不安を抱える企業の方は、システムエグゼにお任せください。AIを用いた高度なデータ分析を可能にするOracle Cloudの導入から運用まで、しっかりサポートいたします。
- カテゴリ:
- データ活用
- キーワード:
- データ分析