データ分析において、AIがどのような役割を果たすかご存じでしょうか。AIは近年、実用レベルにまで能力が向上しており、人には扱えない膨大なデータから価値のある指標を見出すために欠かせない存在となりつつあります。本記事では、データ分析にAIを用いることによるメリットと、AI分析の実施方法を解説します。
AIを用いたデータ分析は時代に不可欠
AIがデータ分析に不可欠だといえる理由として、時代の変化により扱えるデータ量が一気に増加したことが挙げられます。これはICT技術の発展が原因ですが、今では大企業でなくとも簡単に大量のデータを収集できるようになりました。
ただ、データ量が増加するほど分析には時間がかかるので、せっかくのデータを活用しきれないという問題が発生します。そのため、データ分析の自動化によって膨大なデータを活用するニーズが高まっており、このデータ分析においてAIが有効になります。
AIは現在も発展していますが、すでに実用レベルに達しており、経営の迅速な意思決定に役立っていることから、現代のビジネスではAIによるデータ分析がマストになりつつあるといえるでしょう。
AIを用いたデータ分析のメリット
それでは、データ分析にAIを導入することにはどのようなメリットがあるでしょうか。ここからは、AIデータ分析がもつ5つのメリットを紹介します。
膨大なデータでも分析できる
AIを用いる最大のメリットは、膨大なデータを分析できるということです。業務で日々蓄積されるビッグデータは、種類も量も膨大なので人間には扱いきれません。できても、平均値を取るなどの表面的な分析程度にとどまります。
AIを利用すれば、膨大なビッグデータを分析するなかで学習し、様々な切り口で、精度の高い分析ができるようになります。逆に、AIが学習を通じて精度を上げるには一定量のデータが必要になるので、データ量が比較的少ない場合、AIは向いていません。
人材をフル活用できる
AIの導入によって手間のかかる工程を自動化することで、人材をフル活用できるのもメリットです。データ分析における「データ準備」と「モデリング」の工程は、試行錯誤して精度が高い分析結果を導き出す必要があるため、工数が非常に多くかかります。
ただ、これらの工程は技術力がそこまで必要ないため、データ分析のプロフェッショナルである人材を割り当てるには非効率でした。
AIによるデータ分析では、これらの最も時間がかかる工程を大幅に工数削減できるので、結果的に少人数の人材で高度な分析が可能になります。AIの利用には必ずしもスペシャリストを社内に抱える必要はないので、経営資源をより有効に使うことが可能になり、労働力不足の解消にも直結します。
未来を予測できる
AIの分析により、人では見出せなかった法則性を発見できることもメリットです。従来は、未来の予測には人の経験や勘といった要素が重要であり、経験豊富なデータサイエンティストが多くの工数をかけて分析を行ってきました。
しかし最近は、AIが人の経験や勘についても学習することで、現在のデータから未来に起きることをある程度予測できるようになっています。AIには膨大なデータを分析できるメリットがあるため、人の作業では難しかった規模の未来予測を行えるでしょう。リスク回避から新事業展開などにおける強力な武器となります。
独断や属人化からの脱却
これまで、データサイエンティストの勘・経験・度胸(KKD)に頼ってきたデータ分析から、属人化を排除できるのもAIを導入するメリットです。データ分析は職人的な要素があるため、特定の人物に依存しがちであり、その人の意見によって分析結果が偏ってしまうことや、ノウハウが蓄積されないといった問題がありました。
その点、人工知能の分析であれば客観的で、特定の人材に依存することもないので、属人化を脱却し、再現性をもったデータ分析が可能となります。もちろん、AIの取り扱いに関するスキルは必要ですが、難度はデータ分析そのものよりも低く、工数もかからないため、多くの人がスキルを身につけられるでしょう。
迅速な経営判断が可能となる
迅速な経営判断ができるようになるのも、AIを活用するメリットです。AIによるデータ処理と分析は非常にスピーディーで、かつ24時間稼働できるので、手作業とは比較できないスピードで大量のデータ分析を行えます。ツールによる可視化も同時に行ってくれるので、経営判断に必要な情報が素早く得られるようになるでしょう。この情報を活かし、スピード感のある経営判断が実現できます。
AIデータ分析の進め方
AIを使ったデータ分析には様々なメリットがありますが、目的に見合った結果を得るには、AIに全てを任せるのではなく、うまく使っていく必要があります。ここからは、価値のあるデータを見出すための、AIデータ分析の進め方を解説します。
何のために何を分析するかを決める
AI分析を始めると決めたら、まずは何のために何を分析するか決めましょう。AIはデータ分析の目的まで考えてくれるわけではないため、AIを効果的に使うために、ビジネスにおけるデータ分析の目的を明確にする必要があります。
「データを分析さえすれば役立つデータが出力される」と思っている人もいますが、明確な目的なく始めたデータ分析から、有用な結果が得られることはほとんどありません。ゴールがはっきりしているからこそ、モデリングなどが的確に行えると考えることが賢明です。
データを準備する
目的が明確になったら、データ分析に必要となるデータを準備しましょう。データそのものはすでに集まっていると思いますが、データ量や品質がデータ分析に必要な分量を満たしているとは限りません。
また、生データは欠損データや外れ値などが混じっており、分析に最適な形式になっていないことが多いので、そのままでは効果的な使い方ができません。そのため、目的に合わせて必要なデータを準備することが重要です。
分析を実施する
データ分析に必要なデータが揃ったら、分析のための手法を選択(モデリング)し、実行に移しましょう。モデリングの方法は回帰分析・相関分析・クラスター分析など多岐にわたります。複数の分析手法を重ね合わせることで、さらなる精度向上が見込める場合もあります。
モデリング自体はライブラリとして準備されていますが、最適な手法を見つけるには、スペシャリストであっても試行錯誤して確かめる必要があるため、工数が最もかかる工程です。
ただ、この工程はAIに任せれば半自動的に必要な結果が得られるので、工数を削減しやすい工程といえるでしょう。
分析結果をビジネスへ反映させる
データ分析が終わり、ビジネスの改善に効果があると判断できたら、業務の見直しや経営戦略の立案など、分析結果を反映させましょう。
このプロセスがなければ分析を行った意味がないので、データ分析による結果を共有し、周囲の理解を得ておく必要があります。経営的な視点をもつメンバーを交えて分析結果の効果を議論し、必要に応じてデータ分析を再度行うことも、解析結果のブラッシュアップには効果的です。
まとめ
今回は、データ分析にAIを用いることによるメリットと、AI分析の実施方法について解説しました。AIは膨大なデータを解析するのに適しており、迅速な経営判断に役立つ未来予測をスピーディーに行えるメリットがあります。
ただし、データ分析の目的や、どのようにビジネスに適用するかを明確にしておかなければ、AIを活用しても価値のある分析結果は得られないことに注意しましょう。
データ分析の知見がなく、どのように進めていいか分からない場合は、システムエグゼが提供する次世代データ分析サービスの利用をおすすめします。
データ収集の基盤作りからモデリングの提言までサポートするため、データ分析に関する知見がなくとも、ビジネスに効果的な結果が得られ、改善につなげることができるでしょう。
- カテゴリ:
- データ活用
- キーワード:
- データ分析