近年、データの分析や解析で注目されているPythonですが、分析や解析を行える言語はそれだけではありません。R言語でも同じようなことを行うことは可能です。
利用目的によってPythonよりも高度なことができるといえます。データ分析はPythonと考えがちなのが最近の傾向ですが、R言語も遜色ないほど有能な言語だといえるでしょう。
今回はR言語の概要からメリット・デメリットを紹介し、Pythonとの細かな違いについて解説します。
R言語の概要について
データ分析と一口に言っても、さまざまなジャンルが存在します。データによって俯瞰して把握する、関係性を調べる、仮説検証をするなど、用途が異なります。R言語はどういったジャンルで活用できるのでしょうか。
R言語とは
特徴として、収集したデータに対して、統計学的な解析を行うことが挙げられます。オープンソースのため、誰でも利用可能で、統計学的な解析だけではなく、グラフ作成もできるため、見える化に役立つでしょう。
また、統計以外が苦手なわけではなく、豊富な機能によって広く利用できます。
例えば、仮説検証や全体像の分析もできるほか、類似データの収集や分析を自動で行うことが可能なため、効率化にも貢献します。クラスター分析や時系列分析といった難しい分析も可能なため、習得して損はないでしょう。
R言語が持つデータ分析機能
R言語は統計学的な解析やグラフィカルな表現に強みを持っていますが、上述のようにそれ以外にも活用できます。R言語が持つ6つの機能について簡単に説明します。
統計解析
統計学によるデータ分析は統計解析と呼ばれます。ライブラリによって、最新の手法も簡単に行うことが可能です。
テキストマイニング
文章やSNSなどのデータを収集し、自然言語処理によってデータ抽出を行うテキストマイニングも可能です。
ヒストグラム・散布図
グラフの作成が簡単にできます。Hist(対象データ)といったシンプルな記述で実現が可能です。
t検定
サンプル数が少ないデータに対して、そのデータ分布を把握するt検定を行うことができます。
ベイズ統計
客観的ではない情報から確率を見出すベイズ統計も可能です。伝統的な統計ではない領域もカバーしているといえるでしょう。
理論の学習
統計の理論は頭の中で理解できるものばかりではありません。R言語はグラフィカルな側面を持つことで視覚による理解を深めることができるため、実践と理論の学習に適しているといえます。
データ分析におけるR言語のメリット・デメリット
データ分析の基礎知識を身に着ける場合、R言語を利用するポイントはなんでしょうか。Pythonが台頭してくる中、データ分析の学習にR言語を選択する理由を見ていきましょう。
データ分析におけるR言語のメリット
R言語はデータ分析の処理が得意なプログラミング言語といえます。大きなメリットとして以下の5つが挙げられます。
- プロフェッショナルな分析が可能
- 簡素なコードで利用できる
- OSに依存せず、導入が容易
- オープンソースで、誰でも利用できる
- ツールや他の言語との関係性
R言語の特色はプロフェッショナルな存在からのライブラリ提供です。統計学的な解析の分野に特化していることから、プロが利用する機能が利用できます。続いて注目するべきは、記述が簡素なことです。単純化され、わかりやすく分析に利用することができます。
また、WindowsとMac、どちらのOSでも利用でき、容易に導入が可能です。分析のための専門的なソフトウェアは有償な場合が多いですが、オーブンソースのためR言語は誰でも無償で利用できます。
そして、他のプログラミング言語からの呼び出しやツールとの連携が可能です。Pythonに比べて統計学的な解析に特化しているため、一部だけR言語を利用するなどの方法を取ることもできるでしょう。
データ分析におけるR言語のデメリット
R言語は、Pythonと比べると統計学的な解析に特化していることがわかります。つまり、データ解析以外の機能が少ないため、汎用性に乏しいといえるでしょう。
そのため、他言語との連携によって必要な機能を作りだし、統計学的な解析にはR言語を利用するなどの手間が発生してしまいます。汎用性の代わりに統計学的な解析の分野に強くなったといえるでしょう。これはデメリットでもありますが、メリットでもあります。
もう1つの大きなデメリットは、統計学への理解度の違いによって、充分なデータ解析が行えないことです。これは属人化という二次的なデメリットを引き起こしてしまいます。
R言語とPythonの相違点
R言語あるいはPythonのどちらでデータ分析を行うか、悩んでいる方も多いのではないでしょうか。統計学的な解析を行うのか、分析以外のさまざまなことを行うのか、目的によってどちらを使うべきか変わってきます。ここでは2つの言語の違いについて着目してみましょう。
汎用性の高さ
汎用性の面で見ると、R言語よりもPythonに軍配が上がります。Pythonは汎用型のプログラミング言語で、YouTubeやGmailなどにもPythonが活用されているのは有名です。利用者もライブラリも増えてきており、言語の中でも規模が大きくなっています。
その点、R言語は研究者や数学者などが利用している一面があり、あまり聞きなれない言語であることも事実でしょう。汎用性は低く、その他のプログラミング言語と同じような利用方法は期待できません。
そのため、他言語と連携し、アプリケーションの一部として利用することもあります。R言語はあくまで統計学的な分野に特化した言語である、と理解すると良いでしょう。
機械学習・ディープラーニングの分野ではPython
データ分析においてはR言語も負けてはいません。しかし、機械学習・ディープラーニングといった分野ではPythonに劣っているといえます。2つの大きな違いはフレームワークです。R言語には、ディープラーニングに関わるフレームワークは豊富に存在しません。
機械学習・ディープラーニングの分野を追いかけていくと、Pythonを学習することになるでしょう。すでにPythonを利用するプログラムはデファクトスタンダードとなってきており、機械学習のコミュニティにおいても存在感が強くなっています。
統計解析ではR言語
機械学習・ディープラーニングにおいては遅れているR言語ですが、統計解析の分野では現在も根強い人気があります。データ分析領域に関しては、R言語の方が多くの機能を備えているため、データ分析・解析の面では効果的な利用が可能です。
また、統計学的な解析を行う場合、Pythonよりも記述するコードが簡素なことから、Pythonよりも有用性が高いといえるでしょう。このほかにもグラフィカルな表現が得意なR言語は、職種としてはデータサイエンティスト向けです。
とはいえ、Pythonの利用が増加する現状において、どちらか一方だけという偏った状態よりも、両方に見識があることが重要といえます。
まとめ
今回はR言語の概要、メリット・デメリット、Pythonと比較したときの有利性などについて解説してきました。R言語はデータ分析には強いといえますが、専門的な知識が必要なことから属人化する可能性があります。
これらを避けるために、Oracle Cloud利用の検討をおすすめします。Oracle Cloudを活用した「次世代データ分析サービス」を導入することで、属人化を回避しつつ、今後のデータ分析、データドリブン戦略の加速が期待できるでしょう。
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