Webマーケティングでは広告を分析し、費用対効果の高い広告を重点的に出稿していくことが大切です。しかし、どの広告がコンバージョンにつながっているのか把握できない、とお悩みの方も多いのではないでしょうか。
そのような方におすすめなのが、「データドリブンアトリビューション」です。データドリブンアトリビューションを取り入れることで、Webマーケティングの成果アップが期待できます。そこで本記事では、データドリブンアトリビューションの基礎知識やメリット、利用方法についてお伝えします。
アトリビューションとは
マーケティングにおけるアトリビューションとは、「コンバージョン(成約)に至った要因」のことを指します。「~に起因する」という意味の「attribute」から由来され、元々は金融業界で使われていた専門用語ですが、昨今ではWebマーケティングでも使われるようになりました。
顧客が商品やサービスの購入を決断するまでには、さまざまな要因が影響しています。単に、最終的にクリックした広告だけで、購入を決断しているとは限りません。そこで、顧客と商品・サービスのあらゆる接点を把握し、それらにおけるコンバージョンへの「貢献度」を分析するのがアトリビューションです。
Google広告の6つのアトリビューション
圧倒的なシェアを持つ検索エンジン「Google」は、広告出稿サービスも行っています。Webマーケティングを行ううえで、多くの企業がGoogle広告を活用しているでしょう。
Google広告には「アトリビューションモデル」と呼ばれる、アトリビューションを評価する仕組みがあります。どの要素がコンバージョンにどれだけつながったのか(貢献したのか)を分析することで、Webマーケティングの戦略立案に役立つでしょう。Google広告の6つのアトリビューションモデルについて、順番に紹介します。
- ラストクリック
最終的にコンバージョンにつながった(クリックされた)広告だけに貢献度を割り当てるモデルです。Google広告のデフォルト設定となっており、コンバージョンにつながる要因となった可能性が高いといえます。 - ファーストクリック
ラストクリックとは反対に、最初にクリックされた広告だけに貢献度を割り当てるモデルです。顧客が初めて商品やサービスと関わりを持った広告となるため、新規顧客の獲得につながる広告の分析に役立ちます。 - 線形
コンバージョン経路における全てのクリックに対して、均等に貢献度を割り当てるモデルです。全ての広告を漏れなく分析できる反面、どれが重要度の高い広告か分からなくなる難点もあります。 - 減衰
全てのクリックに貢献度を割り当てますが、コンバージョンから遠いものほど貢献度を低くしていくモデルです。コンバージョンに近いクリックを重視できるため、サイクルの短いビジネスモデルに有効です。 - 接点ベース
コンバージョン経路における最初と最後のクリックに、高い貢献度を割り当てるモデルです。最初と最後のクリックに40%ずつ、残りの20%をそれ以外のクリックに分配します。 - データドリブン
他のモデルとは異なり、過去のデータを分析して自動で貢献度を割り当てるモデルです。「データドリブン」の意味も含めて、詳しくは次章で解説します。
第6のアトリビューション「データドリブン」とは?
前章の最後に紹介した「データドリブン」が、最もおすすめのアトリビューションモデルです。そこでデータドリブンとは何かについて解説します。
データドリブンとは
データドリブンは英語だと「data driven」、直訳すると「データ駆動」となります。つまり、ビジネスにおけるデータドリブンとは、「データに基づいて意思決定を行う」ことです。
ICT(情報通信技術)の発達に伴って、インターネット上のデータは膨大となっています。こうしたビッグデータを活用することで、ビジネスにおける正確な意思決定を実現するのがデータドリブンです。データを起点とすることで意思決定に客観性が生まれ、直感や主観による判断ミスを防げます。
また、意思決定の根拠が可視化されることで、関係者から理解を得ることも容易となります。スピーディーかつ正確な意思決定を実現できる手法として、幅広いビジネスでデータドリブンが認識されるようになりました。元々はマーケティング分野で使われる言葉でしたが、データサイエンスの発達などによって、その適用範囲は拡大しています。
データドリブンについては別の記事でも詳しく紹介していますので合わせてご覧ください。
データドリブンアトリビューションとは
データドリブンの意味も踏まえて、本題に戻りましょう。「データドリブンアトリビューション」とは、「データに基づいて、コンバージョンに至った要因を分析すること」です。特にGoogle広告では、アカウントのアクセス履歴といったデータを用いて、どの広告の貢献度が高いか分析できる機能を指します。
データドリブン以外のアトリビューションモデルは、全て決まったルールにしたがって貢献度を割り当てます。一方、データドリブンモデルに関しては、蓄積されたデータを活用することで、自動で貢献度が最適化されるのです。その性質上、十分なデータが蓄積されているアカウントでなければ利用できません。
データドリブンアトリビューションのメリット
実際にはコンバージョンに大きく貢献したクリックでも、ラストクリックなどのモデルでは見逃してしまうリスクがあります。一方、データドリブンアトリビューションだと、データ分析によって全てのクリックを評価します。そのため、単純な接点にとどまらず、本当に貢献した要素を把握できるのが大きなメリットです。反対に、貢献度の低い要素も分析できるので、コスト削減にもつながります。
また、顧客の消費行動は複雑化しており、さまざまなデバイスからのコンバージョンが考えられます。データドリブンアトリビューションでは、アカウントに蓄積されているデータを基にコンバージョンへの貢献度を分析します。そのため、デバイスをまたいだ場合でも正確に分析できるのもメリットです。
データドリブンアトリビューションの利用方法
次に、利用するために知っておくべき下記の2点について解説します。
- データドリブンアトリビューションの利用条件
- データドリブンアトリビューションの設定
データドリブンアトリビューションの利用条件
データドリブンアトリビューションは十分なデータが蓄積されていないと利用できません。具体的には、過去30日間に下記の条件をともに満たしている必要があります。これらの条件を満たしていない場合、データドリブンモデルの選択肢自体が表示されません。
- 3,000回以上のクリック履歴が存在する
- 300回以上のコンバージョン履歴が存在する(各コンバージョンに対して)
2つ目の条件については、アプリのダウンロードやサイト内での購入など、それぞれのコンバージョンに対して満たす必要があります。データドリブンモデルを設定していても、300回以上のコンバージョン履歴がない広告では利用できません。さらに、利用中に下記いずれかを満たした場合、アラートが表示されます。
- クリック履歴が2,000回未満に減少する
- コンバージョン履歴が200回未満に減少する(各コンバージョンに対して)
アラートの表示後も30日間継続してデータが少ない場合、線形モデルに自動で切り替わります。なお、これらの仕様は変更される場合があるので注意が必要です。
データドリブンアトリビューションの設定
設定方法は、下記の5ステップです。ただし、利用条件を満たしていることを前提とします。
- 「Googleアナリティクス」にログインします
- 「管理」をクリックします
- 「ビュー設定」をクリックします
- 「モデリング設定」の「データドリブンモデルを有効化」をオンにします
- 「保存」をクリックします
まとめ
データドリブンアトリビューションとは、データに基づいてコンバージョンに至った要因を分析することです。データドリブンアトリビューションによって費用対効果の高い広告を正確に把握でき、Webマーケティングの成果アップにつながります。
また、データドリブンアトリビューションに限らず、データドリブンはさまざまなビジネス業界で注目されています。ビッグデータを活用することで、ビジネスにおける高精度な意思決定を実現できるのです。データドリブンを実現するなら、Oracle Cloudを活用した「次世代データ分析サービス」の導入をおすすめします。AI技術によって、高度なデータ分析が可能ですので、導入することで、今まで乱雑になっていた分析が正確性の高い分析に変化するでしょう。
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