近年ではAI(人工知能)技術のビジネス導入が広まっており、AIの活用により業務改善を図る企業が増えています。そしてAI技術の浸透に伴って、注目されているのが「データドリブン」です。しかし、この言葉について詳しくご存じでない方も、まだまだ多いのではないでしょうか。
AIをより有効活用するなら、データドリブンのことや、それらの関係を理解しておくべきです。そこで本記事では、データドリブンとAIの関係や、活用方法を紹介します。
データドリブンとAIの関係とは?
データドリブンは、AIと深い関わりがある言葉です。まずは、それらの関係性について解説します。
誰もが活用できるようになったAI技術
AIの研究が始まったのは、1950年代のことです。当時のAIは、まだ実用化にはほど遠いものでした。しかし、2000年代に登場した「ディープラーニング(深層学習)」がきっかけとなって、AIは急速に発展することとなりました。
ディープラーニングとは、人間の脳の神経回路を模した「ニューラルネットワーク」をコンピュータにより構築する技術です。ニューラルネットワークの複雑な組み合わせによって、AIが人間のように自ら学習し、問題解決を行えるようになりました。
これまでに3度のAIブームがありましたが、ディープラーニングがもたらした3度目のAIブームは、今も続いています。例えば、ユーザからの呼びかけに自動で対応するiPhoneの「Siri」は、ディープラーニングを用いています。AIの進歩は年々加速しており、今でも新しいAIが次々と開発されています。
AIが実現するデータドリブン
AIの発展がビジネスにもたらした大きな変化の一つが、「データドリブン」の実現です。データドリブンとは、「データに基づいてビジネスの意思決定を行う」ことを指します。データ活用により客観性を持たせることで、迅速かつ正確な意思決定を実現するものです。
近年では、インターネット上で膨大なデータが日々扱われています。ディープラーニングを始めとしたAI技術によって、こうしたビッグデータの分析が容易となりました。「Oracle Cloud」などのプラットフォームも登場したことで、企業がAIを活用するハードルも低くなっています。AIの発展・普及が、ビジネスにおけるデータドリブンの実現を強力に後押ししているといえます。
データドリブンにAIを活用できる条件
データドリブンにAIを活用することで、意思決定の飛躍的な精度向上が期待できます。ただし、データドリブンにAIを活用するためには、下記の条件を満たす必要があります。
- 解決すべき課題が明確なこと
- アルゴリズムとパラメータを適切に選定できること
- 十分な量のデータがあること
解決すべき課題が明確なこと
AIの活用にあたって、忘れてはいけないことがあります。それは、AIは「与えられた問題の答え」は導き出せても、「何が問題か」までは分からないということです。つまり、解決すべき課題が何であるかは、データドリブンを遂行する関係者が明確にする必要があります。
よって、漠然とAIを導入しただけで、データドリブンが実現するわけではありません。データドリブンにAIを活用する際には、課題を明確にするプロセスが必要となることを頭に入れておきましょう。適切な課題をAIに与えられれば、それ以降は人間よりも正確に答えを導き出してくれます。
アルゴリズムとパラメータを適切に選定できること
AIが与えられた問題(データ)から答えを導き出す際には、「アルゴリズム」を用いて分析・学習します。アルゴリズムとは、コンピューターがデータを処理する際のやり方や手順のことです。データドリブンにAIを活用する際には、解決したい問題に合わせて適切なアルゴリズムを適用する必要があります。
また、AIに正しく分析・学習させるためには、パラメータの設定も必要です。アルゴリズムやパラメータの選定は、人間が行わなければなりません。専門的な知見や経験が要求されるプロセスのため、一般的にはデータサイエンティストといったデータ活用のスペシャリストが担当します。
十分な量のデータがあること
AIの主流となっているディープラーニングでは、膨大なデータから学習することで、より高精度な答えの導出が可能となります。裏を返せば、データが少ない状況では、AIが性能を発揮できません。データドリブンにAIを活用する際には、十分な量のデータを確保する必要があります。
ただしAIの精度向上に必要となるデータ量は、AI自体のスペックやアルゴリズムにより変わってくるため、一概にはいえません。大切なのは、日々の業務データを容易に収集できるよう環境を整備し、継続的にデータを蓄積していくことです。紙の書類で扱っている情報については、電子データ化することも考えると良いでしょう。
AIを用いたデータドリブンを成功させるには
AIを用いたデータドリブンを成功させるために必要なことは、下記の2つです。これまでに解説した内容も踏まえて、それぞれ順番に解説します。
- 必要なデータが揃う基盤作り
- AI活用を可能にする人材・ノウハウ確保
必要なデータが揃う基盤作り
データドリブンは、データがなければ始まりません。十分な量のデータをAIに与えられるように、必要なデータが揃う基盤作りを行いましょう。ただデータ化・収集ができれば良いわけではなく、必要なデータをすぐに取り出せるようにすることが重要です。
まずは、必要なデータが何かを明確にしましょう。行うべき意思決定や、解決したい課題に沿ってデータを選定します。次に、どのようなプラットフォームでデータを管理するのか、といったデータの扱い方も決めましょう。
ただし、「サイロ化」を起こしている企業の場合は注意が必要です。サイロ化とは、部門やチームが縦割りとなって、全体との情報共有が行えない状態を指します。サイロ化しているとデータ共有が難しくなり、データドリブンの実現に向けて支障が出ることもあります。
サイロ化する最大の要因は、部門やチームが独自のシステムによりデータを扱っていることです。解決策としては、Oracle Cloudの導入をおすすめします。企業のデータを一元管理できるプラットフォームで、全社的なデータ活用が容易となります。
AI活用を可能にする人材・ノウハウ確保
AIの活用にはアルゴリズムやパラメータの選定が必要となるため、AIに関する深い知識が欠かせません。それに加えて、AIに与えるビッグデータを収集したり、AIが導出した結果データを分析したりするスキルも求められます。こうした業務を可能にする人材やノウハウの確保も必要不可欠です。
しかし、AIの知識とビッグデータ活用スキルを持ち合わせる人材をすぐに確保することは、困難でしょう。データサイエンティストなどを新たに雇用する場合は、多大な採用コストが発生します。また、社内で人材育成する場合は、教育コストに加えて相当な期間を要します。そもそも、社内に必要な教育を行える社員がいないことも多いでしょう。
データドリブンの実現にあたって、このように人材確保が大きな壁となりやすいのです。解決策としては、Oracle Cloudを活用した「次世代データ分析サービス」の導入をおすすめします。AIによる高度なデータ分析が可能となるだけでなく、導入や運用のサポートも受けられますので、早急に改善が必要な方や人材確保、教育にコストをかけたくない方におすすめです。
まとめ
データドリブンとは、データに基づいてビジネスの意思決定を行うことで、AIの発展・普及によって、データドリブンを取り入れる企業も増えています。
しかし、データドリブンの実現にあたって、データ活用に精通した人材の確保や、データ活用のための基盤作りが大きな障壁となります。こうした課題を解決する際には、システムエグゼにお任せください。Oracle Cloudの導入サポートなどにより、データドリブンを実現するためのお手伝いをいたします。
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