昨今、幅広いビジネス業界で目を向けられているのが「データドリブンマネジメント」です。データドリブンマネジメントを実現することは、DX時代に合った企業風土の変革につながります。
しかし、この言葉を聞いたことはあっても、その意味について深く理解している方は少ないのではないでしょうか。そこで本記事では、データドリブンマネジメントの基礎知識についてお伝えします。
マネジメントと経営の違いとは
データドリブンマネジメントを理解するうえで、「マネジメント」と「経営」の違いを把握することが欠かせません。まずは、それぞれの定義や違いについて解説します。
マネジメントとは
著名な経営学者のドラッカー氏は、マネジメントを「組織に成果を上げさせるための道具・機能・機関」と定義しています。簡単にいえばマネジメントとは、「組織の成果アップを目的とした取り組み」のことです。マネジメントに責任を持つ人物は「マネージャー」と呼ばれます。
経営において、「ヒト・モノ・カネ」が3大経営資源であるといわれています。マネジメントでは、このうち、「ヒト」に重きを置くことが一般的です。つまり組織の成果を上げるために、組織のメンバーを正しい方向に導くことが、主なマネジメントの役割といえます。
また、組織の成果を高めるためには、目標が欠かせません。目標を設定し、達成に向けて組織を運営することも、マネジメントの重要な役割です。
経営とは
経営とは「事業を運営する」ことです。具体的には、事業全体の意思決定を行い、事業を発展に導く役割を担います。経営のターゲットは組織を束ねる事業全体であることから、マネジメントよりも上位の概念といえるでしょう。
言い換えれば、マネジメントを行った先に経営がある、とも表現できます。マネジメントが主に「ヒト」へのアプローチであるのに対して、経営は「ヒト・モノ・カネ」の全てをコントロールする必要があります。
データドリブンマネジメントとは?
マネジメントと経営の違いを押さえたうえで、データドリブンマネジメントの解説に移ります。「データドリブン」から順番に解説します。
データドリブンとは
データドリブンは英語だと「data driven(データ駆動)」となり、「データによって動くこと」を意味します。ビジネスで使われるデータドリブンとは、「データに基づいた意思決定を行う」ことです。データによって、主観や直感を排除した客観性のある意思決定が可能となります。昨今では、業務プロセスとしてデータドリブンを取り入れる企業が増えています。
インターネット上には、膨大なデータが存在します。このようなビッグデータを収集・可視化・分析することで、意思決定に役立てるのがデータドリブンです。ビッグデータ活用による意思決定の精度向上に加えて、関係者からの理解も得やすくなり、アジリティ(敏捷性)も高まります。
データドリブンについては別の記事でも詳しく紹介していますので合わせてご覧ください。
従来の「データドリブン経営」概念
これまでのビジネスでは、「データドリブン経営」が唱えられてきました。データドリブン経営とは、「データに基づいた経営判断・アクションを行う」ことです。ビッグデータの活用により経営判断の精度・アジリティを高め、企業の発展につなげる狙いがあります。
データドリブン経営は、企業のトップにいる経営陣を対象としたものです。データドリブンの適用範囲は経営陣に限定され、現場にはデータドリブンが適用されません。
マネジメントレベルのデータドリブン化
データドリブン経営では経営陣に対してのみデータドリブンを適用します。しかし、経営陣が意思決定に用いるデータの多くは、実際に事業を行う現場から挙がってくるものです。そのため、現場にデータドリブンが適用されていないと、データドリブン経営に支障をきたすこともあります。
最大の成果を得るためには、経営陣だけでなく現場も含めた企業全体がデータドリブンを取り入れるべきでしょう。つまり、これからの企業には経営レベルではなく、マネジメントレベルの「データドリブンマネジメント」が求められます。
データドリブンマネジメントがもたらすもの
データドリブンマネジメントを適用すれば、現場でもビッグデータを活用した意思決定が可能となります。昨今では、データの収集から分析までを容易に行えるサービスが多数存在します。これらの活用によって、現場から多くの知見がボトムアップされるようになるでしょう。
データドリブン経営だけでは、ビッグデータの活用により得た知見を経営陣からのトップダウンでしか活かせません。データドリブンマネジメントも取り入れることで、現場からのボトムアップも活かした双方向の業務改善が可能となるのです。また、企業のDX化が加速することで、時代の変化にも対応しやすくなるでしょう。
マネジメントのデータドリブン化を妨げるもの
企業の発展には、データドリブンマネジメントの適用が求められます。しかし、マネジメントのデータドリブン化を妨げる下記の要因には注意が必要です。1つずつ、解決策も含めて解説します。
- データドリブンへの理解不足
- データドリブンへのサポートの欠如
- データのサイロ化
データドリブンへの理解不足
経営陣や現場にデータドリブンへの理解不足があると、データ駆動の本来の強みを活かせないことが考えられます。特に現場では、データドリブンとは対極な「KKD(勘・経験・度胸)」が幅を利かせがちです。こうした主観や直感に頼った判断では、迅速かつ正確な意思決定は実現できません。
データドリブンへの理解を深めるために、管理職や従業員へ継続的に啓蒙していく必要があります。また、ビッグデータ活用のためのスキルが不足している場合は、スキルアップ研修を実施するのも効果的です。啓蒙とスキルアップの両面から、データドリブンを浸透させましょう。
データドリブンへのサポートの欠如
先ほども解説した通り、インターネット上におけるデータ量は膨大となっています。こうしたビッグデータを収集・可視化・分析するためには、専門的なスキルが必要です。しかし実際には、ビッグデータ活用のスキルを持つ社員がいないケースがほとんどでしょう。
データドリブンを浸透させるには、現場の社員をサポートできる人材が求められます。データサイエンティストなどのスペシャリストを採用し、データドリブンへのサポートを充実させましょう。あるいは、ICTツールの導入により、データドリブン適用のハードルを下げることも効果的です。
データのサイロ化
「サイロ化」とは、部門やチームが孤立してしまい、全体との情報共有が難しい状態のことです。サイロ化が起きると、経営陣と現場がデータを共有する際などに、変換のために膨大な手間が発生してしまいます。
サイロ化が起きる最大の要因は、データの運用・管理の手段が統一されていないことです。データを一元管理できるシステムを全社的に導入することで、サイロ化を防止できます。具体的なソリューションとしては、Oracle Cloudがおすすめです。データ収集から分析までを統合的に行えるプラットフォームで、全社的な情報共有が容易となります。
まとめ
今回は、データドリブンマネジメントの基礎知識についてお伝えしました。データドリブンマネジメントとは、データに基づいたマネジメントの意思決定を行うことです。経営陣だけでなく現場も含めた企業全体がビッグデータを活用することで、高精度な意思決定の実現につながります。
データドリブンマネジメントを適用するためには、データ活用に精通した人材が求められます。しかし、こうした人材の確保は専門性が高いため容易ではありません。人材不足を補うソリューションとして、Oracle Cloudを活用した「次世代データ分析サービス」がおすすめです。AI技術を駆使したデータ分析が可能となり、精度の高い意思決定につながるでしょう。
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