「データドリブン」という言葉を、ビジネスで耳にする機会が増えています。主にマーケティング分野で使われる言葉でしたが、昨今では幅広いビジネスで重要性が認識されつつあります。
しかし、まだまだデータドリブンについて詳しく把握していない方も多いのではないでしょうか。そこで本記事では、データドリブンの基礎知識から求められる背景、実践方法まで幅広くお伝えします。
データドリブンとは?
データドリブンを英語にすると、「data driven」となります。「driven」は、drive(駆動する)の過去分詞形です。つまりデータドリブンとは、「データに駆り立てられて動くこと」を意味します。
ビジネスにおけるデータドリブン
ビジネスで使われる「データドリブン」は、「データに基づいて意思決定すること」を指します。意思決定は、ビジネスの先行きを大きく左右する要素です。意思決定を誤るとビジネスへのダメージが大きいため、ミスが許されません。
そこで、ビジネスにおける意思決定に合理性を持たせるのが、データドリブンです。データドリブンではデータを収集・分析し、その結果を意思決定に役立てます。そうすることで、より合理的な判断が可能となり、費用対効果の向上につながる意思決定が行えます。
「データドリブンマーケティング」という言葉もあり、特にマーケティング分野で使われることの多い概念です。しかし最近では、それ以外の幅広い分野でも注目されるようになりました。
データドリブンの対義語
データドリブンの対義語は、「KKD」です。KKDは「勘・経験・度胸」の頭文字を取ったもので、簡単にいえば「直感や主観に基づいて意思決定する」ことを指します。KKDは合理性・客観性に欠けるため、市場の実態や顧客のニーズを無視して意思決定を行ってしまうリスクがあります。
一方、「データ」という確固たる事実に基づいて客観的に判断し、行動するのがデータドリブンです。意思決定の理由をデータにより説明できるため、関係者からの理解も得られやすいメリットがあります。
経営者の「独りよがり」から判断ミスを引き起こしてしまうリスクを抑制できるため、データドリブンをビジネスに取り入れることは、「脱KKD」を実現することとほぼ同義といえるでしょう。
データドリブンが求められる背景
マーケティング分野に限らず、データドリブンを取り入れる企業は増えています。なぜデータドリブンが求められているのか、その背景に存在する3点について順番に解説します。
- データ量の増大
- データサイエンスの発展
- 消費者・消費活動の多様化
データ量の増大
まず、ICT(情報通信技術)の発達・普及によるデータ量の増大が挙げられます。昨今では便利なWebサービスが次々と登場し、インターネット上で大量のデータがやり取りされるようになりました。
こうしたデータはユーザのニーズを忠実に反映しているため、ビジネスの意思決定にとって有用な判断材料となります。大量のデータがあるのに活用しないのは、むしろ機会損失といえるでしょう。
このことからビジネスの成果を上げるために、多くの企業がビッグデータ活用の重要性を認識するようになったのです。また、スマートフォンの普及によって、データ量の増大はより顕著となっています。IoT(Internet of Thing:モノのインターネット)などの普及により、今後さらに増大するでしょう。
データサイエンスの発展
データサイエンスの発展により、企業がビッグデータを活用しやすくなったことも大きく関係しています。今では、膨大なデータをデータベースで容易に扱える「Oracle Cloud」などのクラウドサービスが多数存在します。
こうしたサービスを用いれば、企業の意思決定に役立つデータの収集が容易に可能です。また、ディープラーニング(深層学習)などのAI技術によって、客観的かつ高精度なデータ分析が行えます。データドリブンを実現しやすくなったことで、多くの企業が注目するようになったのです。今やビッグデータの活用が、市場競争に勝利するための鍵といえます。
消費者・消費活動の多様化
ICTの普及によって、消費者や消費活動も多様化しています。最近では、インターネットを通して商品を購入することも珍しくありません。店頭に良質な製品を置いたからといって、必ずしも売れるとは限らない時代となったのです。
単純に特定のターゲットを想定したマーケティング手法は、もはや通用しません。多種多様な消費者のニーズに応えていくためには、大量のデータから分析することが必要不可欠です。ビッグデータを活用することで初めて、消費者が求めているものを客観的に見つけ出せます。
このような消費者・消費活動の多様性に対応するために、データドリブンが注目されているのです。データドリブンの実現が、マーケティングの費用対効果を高めることにつながります。
データドリブンを実現する方法
データドリブンを実現する方法は、下記の4ステップです。それぞれについて、順番に解説します。
- データを広く収集する
- データを可視化・見える化する
- データを客観的に分析する
- 得られた知見に基づき意思決定する
データを広く収集する
大量のデータが散在していたのでは、効果的なデータ分析は行えません。まずは、データドリブンの起点となるデータを広く収集する必要があります。ただし、ビジネスの意思決定に役立たないデータでは意味がありません。闇雲にデータを探すのではなく、どのようなデータを集めるべきなのか検討することも大切です。
収集すべきデータが明確になったら、できる限り幅広く収集しましょう。たとえば、自社で利用している販売管理システムや、自社サイトのアクセスログなどが挙げられます。有用なデータを収集できる環境が整っていない場合は、システムの整備から始める必要があります。
システムを整備する際には、Oracle Cloudがおすすめです。データの収集から分析まで1つのプラットフォームで完結し、アジリティの高い意思決定を実現できます。
データを可視化・見える化する
次に、収集したデータを分析しやすいように、グラフや図表などを用いて可視化します。データを可視化することで、関係者との情報共有も容易となります。ただし、次のステップであるデータ分析と切り離すのが難しく、同時並行的に行われる場合も少なくありません。
データドリブンでは客観的な視点が欠かせないため、データを分かりやすく整理・加工する必要があります。大量のデータを効率よく扱うために、BIツールなどを用いて可視化するのが一般的です。工数を削減できるのはもちろん、多角的な可視化が容易となります。
データを客観的に分析する
整理・加工して可視化されたデータを用いて、客観的に分析します。効果的なデータ分析を行うために、データを分析する目的を明確にしましょう。そして、その目的を実現できるようなデータ分析のアルゴリズムを作成していきます。
データの分析は、作成したアルゴリズムを用いて行います。最大値などの定量的な観点にとどまらず、データの傾向やデータ間の関連性といった定性的な観点でも分析しましょう。分析した結果は、前ステップと同様にグラフなどで可視化する必要があります。
得られた知見に基づき意思決定する
データを分析・可視化した結果に基づいて意思決定し、行動に移します。意思決定ではデータドリブンの考え方に沿って、客観的な判断が求められます。また、PDCAサイクルを回して、意思決定と行動を再帰的に行っていくことも大切です。
まず、具体的なアクションプランを立案します。次にアクションプランを実行し、その効果を検証します。効果検証では、アクションプラン実行前後のデータ比較が必要です。そして効果検証の結果を基にアクションプランにフィードバックを実施し、次のサイクルを回していきます。
まとめ
今回はデータドリブンの基礎知識や求められる背景、実践方法についてお伝えしました。ビジネスにおけるデータドリブンとは、データに基づいて意思決定することです。データ量の増大や消費活動の多様化などで、データドリブンの重要性は高まっています。
データドリブンの実現には、データの収集・可視化・分析・意思決定というプロセスが必要となります。これらのステップを効率的に行うためには、Oracle Cloudの導入がおすすめです。データの収集から意思決定までを統合的に行えるため、工数・コストの削減やアジリティの向上が期待できます。
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