働き方改革の推進やコロナ禍の影響により、電子承認システムの導入を検討する企業が増えています。しかし、そもそも電子承認システムがどのような仕組みなのか、正しく理解できていない担当者の方も少なくありません。本記事では、電子承認の概要や電子承認を実現するワークフローシステムについて解説します。
電子承認とは
電子承認システムの導入を検討しているなら、まずは基本的な知識から押さえておきましょう。そもそも承認とは何を意味するのか、電子承認とは何なのか、システムを導入するとどのようなことが可能になるのかについて解説します。
承認とは?
日常的な会話においても、「承認された」「承認した」といった言葉はよく耳にします。承認とは、認め許すこと、事実であると認めることを意味します。権利をもつことを承認する、区長の承認を得て認可された、のような使い方をします。
これはあくまで辞書的な意味であり、ビジネスで用いられるときは、少々意味が異なります。ビジネスにおいては、印鑑や署名により同意を与えることを意味するのです。「社長の承認をもらうために、書面に印鑑を押してもらわないといけない」のような会話は、ビジネスシーンではよく耳にします。
電子承認とは
電子承認とは、先述した承認を、電子化した仕組みで行うことを指します。電子承認は、Web上で申請書や契約書などに承認、署名や捺印ができるシステムで行います。
企業における従来の承認は、書面に署名捺印するケースがほとんどでしたが、電子承認なら、パソコンのモニター上で電子化された文書に署名捺印を行うことができます。
電子承認が広がり始めたきっかけは、2004年に制定されたe-文書法によるものです。法律により、企業はさまざまな文書の保存義務が課せられていますが、その負担軽減と利便性向上により、経済の発展に寄与することを目的に制定されたのがe-文書法です。それまで紙保存が義務付けられていた文書の多くが、この制定をもって電子保存できるようになりました。
電子承認の方法
ここまで電子承認の概要について説明してきました。しかし、電子承認のイメージを掴めていない方も多いのではないでしょうか。ここからは、電子承認の具体的な実施方法について解説します。データ改ざんを防ぐ「電子署名」(デジタル署名)
電子承認では、電子署名(デジタル署名)の技術を用いて承認を行う方法があります。電子署名は、通信を暗号化する公開鍵と、暗号化された通信の復号を行う秘密鍵を利用します。(2つの鍵を用いて暗号化、復号を行う技術を、公開鍵暗号方式と呼びます。)また、この電子署名が正式なものであると証明するために、第三者機関である認証局が発行した電子証明書が発行されます。電子証明書と公開鍵を一緒に渡すことで、署名を行ったのが本人であることを証明し、電子承認を行う仕組みです。
リモートワークにより需要が増した「電子印鑑」
政府が主導する働き方改革の推進、コロナ禍への対応のため、多くの企業がリモートワークなど、多様な働き方に対応するようになりました。リモートワーク環境下において発生する課題として、紙の申請書面への印鑑や署名が難しいことが挙げられます。 電子印鑑は、電子化した印鑑データで、従来の印鑑をそのままデジタル化したものと考えて差し支えありません。PDFのデータなどにも押印が可能で、従来の紙と同じような感覚で使用できます。
しかし、電子印鑑は作成が容易で、いつ誰が押印したのか実証できません。そのためセキュリティ的に問題があり、法的効力も期待できないデメリットも挙げられます。
法的効力が認められる「電子サイン」
電子サインとは、電子的な手段を用いてサインを行う行為やシステムを指します。タブレット端末に、指先やタッチペンで手書きのサインを行う手法が多いですが、音声を用いるシステムもあります。近年、電子サインは広がりを見せており、さまざまな企業をはじめ、金融機関や自治体の窓口でも採用されています。なお、電子サインには法的効力が認められていますが、有効性を証明するには署名者認証や電子署名などが必要です。
つまり、ただ手書きでサインしただけでは、法的効力は高くありません。本人確認および非改ざん性を証明して、初めて法的効力をもちます。
電子承認を実現するワークフローシステム
企業の業務現場では、どのように電子承認を実現すればよいでしょうか。電子承認を実現するためには、 ワークフローシステムの導入が不可欠です。詳しく見ていきましょう。承認を受け、業務が遂行していくワークフロー
まずは、承認を受け、業務が遂行していく" ワークフロー"について、再確認しておきましょう。組織において、何かを実行しようとするときには、申請し承認を受ける手続きが発生します。たとえば、現場に新たな設備を導入したいと考えた場合、稟議書を作成して上司に提出し、関係各所の責任者に目を通してもらったあと、最終決裁者に承認してもらわなくてはなりません。従来では、紙の申請書を作成し、複数の責任者に印鑑を押してもらう(承認してもらう)といったワークフローが一般的でした。現在でも、このようなやり方を続けている企業はありますが、近年ではこのワークフローの見直しを図ろうとする企業が増えています。
電子承認システム「ワークフローシステム」とは
ワークフローシステム導入により、先述したワークフローの電子化、合理化を実現できます。 オンラインで簡単に申請内容の修正や編集を行うことができ、システムによっては、申請がどこまで進んでいるのか、どこで止まっているのかといった進捗もリアルタイムで確認できます。チャット機能が備わったツールやシステムなら、ワークフローに関する質問などのコミュニケーションが気軽にとれるメリットもあります。電子承認システム導入の課題
これからの時代に対応できる電子承認システムですが、導入においていくつかの課題もあります。電子承認システムの導入が難しい領域もある
不動産業界の現場では、いまだに紙の書類や印鑑を用いるケースが多々あります。法律により、書面での交付や印鑑による捺印が義務付けられているものがあるため、電子承認の導入がなかなか進まない現状があります。ただ、少しずつ状況は変化しています。宅建業法が改正され2022年5月からは、不動産業界のデジタル化が本格的に進むと見られているのです。
不動産業界以外にも電子承認の導入が難しい領域は存在します。自社で電子承認システムを導入しても、取引先が対応してくれない可能性もあるでしょう。また、急速な環境の変化に、社員がついていけない場合もあります。
電子承認システムの導入にコストがかかる
システムの導入には、少なからず初期費用が発生します。どのようなシステムを選ぶかにもよりますが、コストが発生するのは間違いないため、そこをデメリットと捉える方も少なくありません。導入時だけでなく、運用にもコストが発生します。システムのメンテナンスをはじめ、運用にかかる人的コストも軽視できません。システムを使いこなすために教育が必要なら、そのコストもかかります。
上記のようなコストを最小化するには、誰でもマニュアルいらずで直観的に操作でき、初期構築や運用を自社内でまわすことができるワークフローシステムを導入するのがおすすめです。ワークフローシステムの導入を検討しているなら「AppRemo」がおすすめです。AppRemoは、オンラインで申請、承認業務を行え、進捗状況確認やチャット機能、申請データ出力のような二次活用機能も備わっています。申請フォームもExcelで作成できるため、誰でも簡単に操作できる点も魅力です。
まとめ
電子承認には、電子署名や電子印鑑、電子サインなどいくつかの種類があります。安全性や法的効力がそれぞれ異なるため、注意が必要です。また、電子承認を実現するには、ワークフローシステムの導入が不可欠であることも覚えておきましょう。
電子承認の円滑な導入を実現するためにも、ワークフローシステムAppRemoを併せて検討されてみてはいかがでしょうか。
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