Oracle Cloud Infrastructureとは何か、その特徴やサービスの種類、導入時のメリットなど、詳しく解説していきます。これからOracle Cloud Infrastructureへの移行を検討している方は、参考にしてください。
これからの時代に求められるビジネスアナリティクス(BA)とは
ビジネスアナリティクスは、ビジネスインテリジェンス(BI)で企業が収集した膨大なデータを分析し、その分析結果を基に現在起きている問題の原因などを予測する手法を指します。ビジネスインテリジェンスは、収集・蓄積されたデータを分析してわかりやすいように加工を行うことです。ビジネスインテリジェンスでは、ExcelやGoogle Analyticsなどに実績データを作成し、まとめた過去の実績から経営の現状を知ることができます。
ビジネスアナリティクスでは、自己の判断だけでなくコンピュータがデータを分析し、経営上の問題が起きている場合にその原因を突き止めることが可能です。また、現在の経営状況を改善するために、将来に向けて何をするべきか検討する際に利用できます。近年では、この収集したデータを基にしたビジネスアナリティクスとして、統計解析や人工知能などの機械学習を組み合わせた未来予測を実行している会社が増加しています。
「Oracle Cloud Infrastructure(OCI)」はこのようなビジネスアナリティクスを得意とする、パブリッククラウドサービスです。機械学習と人工知能が組み込まれ、効果的にデータ分析を実行します。オラクルの提供する50以上のサービスが使用でき、社内システムを構築するオラクルのオンプレミス環境と同じ環境がクラウドで再現可能です。オンプレミスからOCIに移行した場合にも、オンプレミスと変わらない使い方ができるなど、多くのメリットがあります。
Oracle Cloud Infrastructureのサービス構成
OCIには、IaaSやPaaS、Cloud at Customerなどのサービスが備わっています。OCIで利用できるサービスにはどんなものがあるのか、それぞれの特徴について説明していきます。
オラクルのIaaSソリューション
IaaSとは、「Infrastructure as a Service」の略です。IaaSでは、ネットワークやコンピュート、メモリ、ストレージ、データベースなどのITインフラ環境が提供されています。IaaS基盤上に、システム環境を自由にカスタマイズして構築できるのがIaaSの特徴です。
利用したいアプリケーションを必要に応じて選択可能で、ネットワーク上にシステム環境を構築するので、インフラを自社で運用する必要はありません。高速かつ高いセキュリティのネットワークで自社に合わせたシステムを構築して快適に作業でき、システムの運用コストも抑えられます。
OCIのコンピュートは、以下の3種類から選べます。
- Compute
- Compute Classic
- Ravello Cloud Service
Computeは、オンプレミス環境をそのままクラウドへ移行した高い性能を持つサービスです。ベアメタルマシンと仮想マシンが提供され、高速なサーバーとストレージによりビッグデータなどの稼働にも適しています。
Compute Classicは、業界で一般的な仮想マシン環境、GPUやSPARCが利用可能。
Ravello Cloud Serviceでは、オンプレミスのVMware環境を仮想マシンの変換をせず、そのままパブリッククラウドで実行できます。
ストレージには、大容量のビッグデータ保管に最適な低価格の「アーカイブストレージ」、オンプレミス環境のバックアップにも適した業界準拠の「オブジェクト・ストレージ」、Compute Cloud Serviceと組み合わせて使用が可能な「ブロック・ストレージ」があります。
OCIのデータベースは、高度な人工知能と機械学習アルゴリズムを用いた自律型のデータベースです。自己稼働や自己修復などにより、データ管理の効率化に貢献してくれます。
オラクルのPaaSソリューション
PaaSは「Platform as a Service」の略で、ハードウェアやOS、ミドルウェア、ランタイムなどのサービスを提供しているモデルです。アプリケーション開発者向けに、開発時の生産性向上、強固なセキュリティと効率的な運用管理、高度なビジネス分析などのさまざまなサービスが利用できます。
ビジネス上必要なデータウェアハウスには、Oracle Database環境がクラウドでも利用できる「Database Cloud Service」、高速データベース基盤が利用可能な「Exadata Cloud Service」、ビッグデータ分析などに適した環境が提供される「Big Data Cloud Service」といった種類があります。
また、アプリケーションの開発や立上げのために役立つサービスも選択可能です。OCIのPaaSでは、オープンソース・テクノロジーに基づいたオーケストレーションやスケジューリングといった業務に使用するサービスのセットである「Oracle Container Engine for Kubernetes」や、モバイル対応用の画面実装やモバイル分析のための統合プラットフォーム「Mobile Cloud Service」、そしてDevOps実現に必要なツール「Developer Cloud Service」などから、必要なセットが選べます。
Cloud at Customer
「Cloud at Customer」は、パブリッククラウドに移行せず、オンプレミスのままでパブリッククラウドが利用できるサービスです。オラクルのパブリッククラウドと同じサービスをデータセンターに組み込めるため、ハイパフォーマンス化と低コスト化が両立可能です。
Cloud at Customerでは、オラクルやサードパーティのアプリケーションが実行でき、クラウドネイティブアプリケーションの作成も可能です。また、アプリケーションに機械学習など最新のサービスを取り入れるためのツールも活用できます。データセンター内のフルマネージド・インフラストラクチャにより、SaaSやデータベース、アプリケーションなどの最新化も可能です。Oracle Databaseの最適化や、拡張性に優れたソリューションによりコスト削減にもつながります。
なお、サブスクリプション価格が設定されていますが、自社サーバーとクラウドを併用して運用することで、制御も楽になり低コスト化にもつながるでしょう。
Oracle Cloud Infrastructureの導入メリット
OCIの導入は、システム構築や運用の手間がかからない、コストパフォーマンスがよい、といったメリットを持ちます。さらに詳しく見ていきましょう。
構築や運用の手間がかからない
OCIでは特に、「オンプレミス環境からクラウド環境に移行する際に、手間がかからない」というメリットがあります。OCIには、あらかじめプリインストール環境(PaaS/IaaS)が用意されているため、これを利用して簡単に移行することが可能なのです。Webブラウザからマシンタイプやノード数、データベースなどを選択するだけで、PaaS/IaaS環境が構築できるので、専門知識がなくてもすぐに設定を終えられます。
PaaS/IaaS環境構築後は、アプリケーションやデータベースを構築します。OCIでも移行前と同様にさまざまなサービスが利用でき、オンプレミス環境で培った操作方法や運用方法をそのまま活かせるため、移行後に操作方法を覚え直す必要などもありません。
コストパフォーマンスが高い
OCIと「Amazon Web Service(AWS)」を比較すると、Oracle Cloudのコストパフォーマンスが優れていることがよくわかります。AWSとは、アマゾンが提供しているパブリッククラウドサービスです。AWSでは、従量制課金を採用しているため、サーバーやストレージなどを使用した分だけ毎月の使用料が高くなります。
OCIも基本的には従量課金ですが、ほかのパブリッククラウドサービスよりも低価格で利用でき、利用料はAWSよりもかなり低額に設定されています。プライベート接続の場合には、ポートごとに均一料金が設定されているので、インバウンドなどの帯域幅にも料金は発生しません。OCIの処理能力の高さに対して、使用量が少ないケースでは低料金で使用できるコストパフォーマンスの高さもメリットの1つです。
まとめ
ビジネス上のデータを収集して、機械学習などによりデータを分析し、将来の経営状況を予測するのがBAです。OCIを導入することで、現在注目を集めているBAまで行えます。
OCIでは、PaaSやIaaSなど、使用目的に応じて選べるサービスが用意されており、自社に適したソリューションを選択することが可能です。また、オンプレミス環境からクラウド環境へ移行する際にも、構築・導入に手間はかかりません。コストパフォーマンスの高いOCIをうまく活用することで、業務効率の向上につながるでしょう。
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