DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、業務のデジタル化により業務改善を行うことを意味します。データ活用はDXの一部であり、両者は違う概念です。しかし、データ活用はDXの中心的な施策であり、次世代に向けて会社の競争力を高めるために必須であると考えられています。
DXとデータ活用の違いと関係を解説し、データ活用基盤ソリューションで双方の実現を一気に図る具体的な方法についてご紹介します。
DX=データ活用?
DXとデータ活用は、近年、官民をあげて推進されています。
経済産業省・総務省、あるいは「スマート自治体」づくりに取り組んでいる地方自治体はDXを活発に推進しています。また、官民データ活用推進計画では、中央省庁・地方自治体・民間企業が一体となってデータ活用を推進しているところです。
DXは、デジタルツールの導入により業務を変革し、改善することです。例えばマーケティング領域では「MAツール」、営業領域では「SFA」や「CRM」、バックオフィスでは「RPA」による単純作業の自動化など、様々なツールにより実現可能です。
しかし、日本ではDXとデータ活用が混同されているという指摘があります。確かにデータ活用はDXの中で重要な役割を果たしますが、必ずしもデータ活用だけがDXの手段ではありません。例えばRPAやAIにより行われる自動化・効率化などもDXを実現する手段として、注目されています。
DXとデータ活用の違い
DXとデータ活用とは、どう違うのか。DXにもデータ活用にも明確な定義はありませんが、手段と結果という違いがあると考えられます。データ活用により、DXが実現するのです。それでは、どういう関係にあるのか、もう少し深掘りしてみましょう。
DX(デジタルトランスフォーメーション)とは
DX(デジタルトランスフォーメーション)は、経済産業省によると「企業がデータとデジタル技術を活用してビジネスモデルを変革するとともに、競争上の優位性を確保すること」と定義されています。
この「データとデジタル技術の活用」という記述が、両者が手段と結果の関係にあることを示しています。
具体的には、データは経営に変化を起こすスピードを上げるものと考えられます。経済産業省が2019年7月に取りまとめた「DX 推進指標とそのガイダンス」によると、「DXにより実現すべきもの: スピーディーな変化への対応力」との記述があり、こうした変化に対応するには、判断と実行のスピードが求められます。
データは主に経営陣の判断材料のひとつとなります。リアルタイムで提供される信頼できるデータがあれば、慎重な討議や説得より客観的なデータに頼ることができます。市場やニーズの変化に対応するための決定も、スピーディーに行えます。変化の振り幅が大きいこの時代に、データの活用は不可欠と考えられます。
データ活用とは
データ活用に明確な定義はありません。しかし、「業務の中で継続的にデータを利用すること」と考えられています。点在するイベントごとにデータを使うのではなく、「継続的」な利用であることがポイントです。
この考え方によれば、意思決定の根拠としてデータを判断材料とするようなルーティンが業務の中に組み込まれているのであれば、それはデータを活用していることになります。
また、決定の際に参照するデータが構造化され、いつでも参照できる、あるいは確かな分析ができているとすれば、データを利活用できているといえます。
「売り上げ」「在庫」「人員配置」など業務の方針にかかわる数字や情報をデータとしていつでも使えるようにするには、のちにご紹介するデータ活用基盤により、各アプリケーションからの数字を集約・一元管理することが方法として考えられます。
DXとデータ活用の関係とは
データ活用によって経営判断はスピーディーに、かつ、より確かな根拠を持って行えるようになります。それまで勘や経験、あるいは合議体での議論に頼っていた会社も、データという根拠を武器に、ビジネス戦略の変更などを大胆にかつ説得力を持って行うことができます。このように意思決定のプロセスやスタンスが変わること自体がDXです。
また、昨今の時代背景から、ビジネス戦略あるいはビジネスそのものの変化は頻出します。そうした場面において、データに基づいたビジネス戦略は、データにより検証・軌道修正されたり、あるいは他の戦略に取って代わらせたりすることが可能です。
ところで、スピーディーな決定や対応力はDXの目指すところであり、データ活用基盤の導入などでもたらされるものです。デジタルツールがデータ活用をもたらしたり、データから得られた知見がスピーディー・効率的・合理的な判断を可能にしたりすることで競争力を高めることに繋がるため、データ活用=DXと考えられやすいようです。
しかし、DXとデータ活用は別の概念と考えられます。諸外国でもそのように考えることが一般的です。
データ活用を軸としたDXの具体的なプロセス
ところで、データ活用を軸として、DXを進める方法はどのようなものでしょうか。
DXを進める流れについて解説します。
データ活用基盤の導入
データ活用基盤はデータを入手・保存・蓄積し、分析までの工程を一元管理できるプラットフォームです。データ活用基盤を導入することがデータ活用の第一歩と考えられます。
導入により「データ形式の統一」「データ入力・移行作業の軽減」「分析の自動化」が行えるようになるため、業務が効率化・合理化できます。このこと自体が、すでにビジネスに変化をもたらすDXの実現であるということがいえます。
データ活用基盤の例としては、比較的に低コストで導入でき、かつ高セキュリティのクラウド型データ活用基盤であるOracle Cloudがあげられます。
データ分析の実施
データ活用基盤の導入後、BI機能・AIによる自動化機能などを用いて、膨大なデータから高度なデータ分析を行います。
各部署で利用しているアプリケーションからデータを集約した基盤では、大量のデータを処理することとなりますが、基盤上のデータ分析はツールにより自動化されます。
データ分析では、人間が目的をもってパラメータ・フィルタリングを設定して、分析の切り口を決定し、分析を通じて得られた知見を意思決定に活かすことが可能です。
意思決定のプロセスが人の勘や経験に頼らないデータに基づく合理的なものになるだけでなく、データの可視化やリアルタイムデータの吸い上げも可能なので、正確で迅速な意思決定を行うことができます。
また、データサイエンティストなどの専門家がいなくても、システムエグゼが提供する「次世代データ分析サービス」を利用すれば、最適な手法でよりスムーズに分析を行うことができます。
データ活用に基づく経営戦略の変更
データ活用により、経営戦略も合理的な根拠に基づいたものに変更することが可能です。また、変更された戦略は変化のあったデータに基づいているので、説得力があり、実行に移すこともスムーズです。
このように、根拠となるデータが変化すれば、戦略の変更も迅速に決定されるので、ビジネスそのものがスピーディーに変化します。これはDXによる望ましい変化のひとつです。
データ活用基盤の導入から、分析、戦略への反映という手順を踏み、データドリブンで常にビジネス形態が変化できる状態にしておくと、ビジネスモデルの変化が著しい昨今でも、企業規模で臨機応変な対応が可能になります。
まとめ
DXの手段のひとつがデータ活用であること、データ活用によりビジネスがどのようなプロセスで変化し、DXが実現されるのかということをご紹介しました。
DXはデジタルツールで実現されますが、データ活用基盤もDXを実現するデジタルツールのひとつと位置付けられます。ぜひ、システムエグゼが提供する次世代データ分析サービスと組み合わせて利用し、変化に即応できるデータドリブン経営を実現させましょう。
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