企業成長を促進する施策の一つとして、システムの統一化が挙げられるでしょう。データを活用するためには、さまざまなシステムやアプリケーションに分散した情報を集約し、一元管理する必要があります。昨今、そのためのツールが多数提供されています。
今回はそうしたツールの中でも、EAIツールを取り上げて解説します。なぜEAIツールをおすすめするのか、4つの理由をご紹介します。
EAIツールの基礎知識
EAIツールを利用するにあたり、まずは基本的な知識が必要です。EAIツールがどのようなものか、その他のツールとの違いやポイントなどを解説します。
EAIツールとは?
EAIはEnterprise Application Integrationの略で、企業アプリケーション統合という意味です。その名の通り、多種多様のシステムやアプリケーションの統合に適しています。
これはEAIツールが、異なる情報を処理したり変換したりする機能、統合を行う機能を搭載しているからです。そのため、複数のシステムを利用していても自動で一元化することができます。また、既存システムに手を加えることがないため、システムは稼働させたまま作業を進めることが可能です。
ETLツールとの違い
EAIツールと対になるツールとして、ETLツールが存在します。仕組みはEAIツールと似ていますが、ETLツールは抽出(Extract)、変換(Transform)、そしてデータウェアハウスに対して情報を配信(Load)し、蓄積する機能を持っています。
ETLツールは大量データをバッチ形式で取り扱うため、データの集約目的に用いるのには向いていますが、リアルタイム連携やスピード感が必要なデータ収集には向いていません。その点、EAIツールは多くの情報を連携するのではなく、必要な情報をピックアップして連携するため、高速なデータ連携を行うことが可能となります。
EAIツールをおすすめする4つの理由
なぜEAIツールが良いのでしょうか。その理由を、メリットやコスト、運用方法などの切り口から解説します。
理由1:保守管理など必要なコストを削減できる
1つ目の理由は、コストの削減です。EAIツールには多様なアダプターが存在するため、データ収集や加工をするために新しくプログラミングを行う必要がなく、開発コストを抑えることができます。
また、特定のプログラミング言語に関する知識がなくても良いため、技術者や開発者などの人件費もかかりません。運用面でも、操作方法を理解することで自動化できるため、教育にかかるコストの削減も期待できます。
EAIの導入によって得られる利点は連携の可視化です。そのため保守管理にかかるコストの大幅削減が見込めます。ツールを活用することでコストを削減できるのは大きな利点だといえるでしょう。
理由2:業務効率化が実現できる
データ連携というと、社内エンジニアが自前でプログラムを作成したり、抽出・変換・加工などの作業も行うことを想像します。しかし、EAIツールはすでにそうした機能が備わっているため、開発担当者の負担を軽減することが可能です。
自動化されることで手作業での入力も軽減できるため、工数が削減できます。
ツールの導入によって見える化が進むことによって、業務に関する全体の状況の把握も可能であるため、工数削減による効率化だけではなく、業務改善の抜本的な効率化の期待も高まるでしょう。
理由3:専門知識がなくても運用できる
新しいシステムやツールを導入する際、専門知識が無いと取り扱いが難しいのではないかと不安に思われるかもしれません。教育コストの負担増や属人化への懸念によって、導入をためらっている企業は多いでしょう。
しかし、EAIツールの良い点は、ノンプログラミングでデータ連携を行えることです。新たに言語を学ぶ手間が省けるだけでなく、エンジニアでなくても操作が可能です。直感的な操作可能で、ツールによってはアイコンによる組み合わせで実施できるものもあるため、容易に利用することができるでしょう。また、仕様の変更が発生しても、迅速かつ柔軟な対応が可能です
理由4:信頼性が高く正確なデータを連携できる
従来、手作業でデータ連携を行っていた企業の場合は、ツールで自動化することで人的ミスがなくなります。このため、正確で信頼性の高いデータを連携することができます。
また、企業によっては複数のシステムやアプリケーションを利用して、情報を保管しているケースがあります。こうした場合、EAIツールの機能によって、別のシステムであっても連携させることが可能です。異なるシステム間のデータ連携もツールの機能によって行うことができるため、オペレーションミスの低減が期待できます。
EAI導入前の確認ポイント
EAIツールを導入する場合、確認すべきポイントはなんでしょうか。例えば、情報をどのように取り扱いたいのか、やコスト面、効率化などさまざまな要素があります。EAIツールの導入を検討する際は、ポイントを確認してから進めましょう。
導入に必要なコストを確認
ツール導入にはコストがかかります。利用形態によっては費用も変動するでしょう。必要な機能は何か、そのためにどれだけのコストを捻出できるのか、検討したうえで導入を考えるべきでしょう。
企業にとって無駄な機能を備えていても仕方がありません。豊富な機能を備えているツールはコストも増大します。比較検討し、トライアルがあればお試しするのが良いでしょう。
近年ではサブスクリプション形式やプランも充実しているため、必要な内容にあったプランを選択するようにしましょう。
データ処理能力の確認
EAIツールはETLツールとは違い、大量データを処理するのには不向きで一度に処理できる情報に限界があります。大量データを処理したいという意向がある場合、EAIツールはおすすめできません。
リアルタイム性を重視するのであれば、EAIツールを選択するのが良いでしょう。処理能力をオーバーしてしまう情報量の場合は、ETLツールをおすすめします。また、その場合はバッチ処理となるため、想定時間内に処理が終わるのかといった運用面の確認も必要となってくるでしょう。
まとめ
EAIツールをおすすめする4つの理由を解説しました。目的によっては、EAIツールではなくETLツールをおすすめします。
なお、コスト削減や業務効率化を考えている場合、ツールを導入するのも良いですが、あまりに膨大なデータ量の場合はOracle Cloudを活用した次世代データ分析サービスを導入することで、効率的なデータ処理、分析、利用が実現できます。
さまざまなツールと比較検討を行いつつ、次世代データ分析サービスの利用も視野に入れてみてはいかがでしょうか。
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