稟議書による決裁の問題点とは? 決裁申請を合理化するワークフローシステムについて解説

 2021.11.09  株式会社システムエグゼ

日本企業の特徴のひとつとして、稟議書による決裁が挙げられます。しかし、複数人の承認を必要とする稟議は業務が複雑になりやすく、承認の滞りが課題になっている企業も多いのではないでしょうか。そこで本記事では、稟議書による決裁の概要と問題点を解説しつつ、その課題を解決するワークフローシステムをご紹介します。

稟議書とは

「稟議」とは、企業や官公庁などの組織において、何らかの事案の承認を複数の関係者に仰ぐことを意味します。そして「稟議書」とは、承認を得たい事柄や、その理由などについて記載した文書を指します。稟議は通常、この稟議書を役職上の下位者から上位者へ順々に回していくことで進行します。

稟議が行われる主なケースとしては、「外部企業との契約」「高額な備品の購入」「人事採用」「出張の可否」などが多いでしょう。海外企業でも、備品などを購入したときには所属部門のトップのほか、経理部門の承認も求めるなど、日本の稟議と同じようなプロセスを踏むことがあります。とはいえ、海外企業においては、基本的に起案者の所属する部門の長が決裁すれば済むことが多く、複数部署での検討が必要な場合は会議で決めるケースが多いです。

それに比べ日本企業では、稟議が常態化しているケースが多く見受けられます。こうした日本企業の特異性は一般に、集団主義的な日本人の傾向や、物事を決めるにあたって合議制を重んじる日本文化の反映であると言われています。上位者にお伺いを立てる、いわゆる「根回し」を制度化したものが、日本の稟議制度の本質であると言えるでしょう。

稟議と決裁の違い

稟議と類似する言葉として、「決裁」という言葉があります。両者は企業によって、あるいは人によって混同して使われる場合も多く、使い分けに関しては曖昧なところがあります。たとえば、どちらも「稟議を仰ぐ/決裁を仰ぐ」「稟議が下りる/決裁が下りる」といった具合に類似した使い方がされるのです。

とはいえ、基本的な理解の仕方として、稟議が「複数の責任者の許可」を得ることであるのに対し、決裁はその案件について「最終的な決定権を持つ1人の責任者の許可」を得ることを示します。それゆえ「社長に直接決裁を仰ぐ」という言い方はあり得たとしても、「社長に直接稟議を仰ぐ」という表現は原則的には適切ではありません。また、「稟議にかけた企画の決裁が下りた」という言い方はあり得ても、その逆の言い方もまた定義上適切ではありません。つまるところ稟議とは、決裁に向けて複数のプロセスを経る手続きとも言えるでしょう。

稟議のプロセス

稟議は主に、起案・回議・決裁・実行・記録の5つのプロセスを経て進みます。それぞれの内容を簡単に説明すると、以下の通りです。

  1. 稟議書の作成・起案
    稟議にかけたい企画や申請の内容・理由、費用などを記載した稟議書を作成し、稟議の手続きに乗せるプロセスです。
  2. 回議
    稟議書を関係者間で順々に回覧し、意見や承認を求めるプロセスです。
  3. 決裁(承認/否認)
    提出された稟議について、権限のある上位者が承認ないし否認をします。
  4. 申請内容の実行
    承認を受けた稟議内容に基づき、実際にその処理を実行します。
  5. 記録保全
    稟議の一連のプロセスは、承認に関わった担当者などの情報も含めて記録され、再度確認できるように保存されます。

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稟議書による決裁申請のメリットとデメリット

稟議書による決裁申請には、メリットとデメリットの両面が存在します。以下では、その主な内容を解説していきます。

稟議書による決裁申請のメリット

稟議書による決裁申請の主なメリットは、複数人の目を経ることによる強いチェック機能です。申請内容は文書化され、上長を含む複数の関係者のチェックを受けるため、不適切な申請や不正があったとしても発見しやすく、あとで再確認することもできます。また、会議で議論するまでもない事柄を稟議で済ませることにより、会議の削減や短縮に役立ちます。

稟議書による決裁申請のデメリット

稟議書による決裁申請のデメリットは、意思決定に時間がかかる点です。稟議は複数の部門・担当者を経由して進むので、往々にして手間や時間がかかります。これは、スピーディーさが求められる昨今のビジネス環境において弊害が大きく、モタモタしている合間に重要なビジネスチャンスを逃してしまうことがあるかもしれません。

また、決裁が下りるまでに多くの関係者を挟む間で、稟議書の紛失や漏出、改ざんなどのリスクも高まります。そのほか、コロナ禍のテレワークにおいて、一部企業でハンコ押しのためだけに出社しなければいけない管理職がいたように、ハンコ文化を伴う稟議書決裁はテレワークの実施を阻害します。

ワークフローシステムによる稟議書決裁の合理化

これらのデメリットを克服するためにおすすめしたいのが、「 ワークフローシステム」の導入です。以下では、ワークフローシステムの概要やメリットについてご紹介します。

ワークフローシステムとは

そもそも「 ワークフロー」とは「仕事の流れ」を指す言葉ですが、とりわけ申請から決裁までに必要な一連のプロセスを意味します。ワークフローシステムとは、このプロセスを電子化するためのツールで、「申請フォームの作成」「申請」「承認/否認」などをシステム上で行えるようにし、稟議を含む 申請業務の効率化に寄与します。

ワークフローシステムによる稟議の流れ

ワークフローシステムを活用することにより、稟議はどのように電子化できるのでしょうか。以下ではワークフローシステム「AppRemo」を例に、稟議の電子化の流れを解説します。

  1. Excelファイルによる稟議書の作成・申請
    AppRemoでは、従来使っていたExcelファイルの稟議書(申請書)で起案することができます。AppRemoからExcelの稟議書をダウンロードして申請内容を記入、その稟議書をAppRemoにアップロードし申請します。作成時には、過去の稟議書をコピーしたり、データを引用したりすることも可能です。
  2. システム上で回覧が進む
    申請された稟議書は、システム上で即座に承認担当者に届き、申請内容が確認できます。また申請者は、どこまで承認フローが進んでいるのかをシステム上で確認できるので、手続きが滞っているときは担当者に確認することもできます。
  3. 電子的に承認・否認を実施
    承認担当者はシステム上で申請内容を確認し、そのまま承認・否認の処理が行えます。AppRemoでは簡易チャット機能を用いて、申請者に不明な点を確認したり、差し戻しの際の改善点を伝えたりすることもできます。

ワークフローシステムがもたらすメリット

上記のように、ワークフローシステムで稟議を電子化することで、企業はどのようなメリットが得られるのでしょうか。そのメリットを一言で示すなら、「ペーパーレス化の実現」でしょう。

一連の稟議プロセスをすべて電子化することによって、紙による文書の作成・回議・保管・郵送(手渡し)などの労力を削減し、業務の迅速化が可能になります。また、書類の確認やハンコ押しのためにオフィスへ出社する必要もなくなるため、テレワークとの相性も抜群です。

人によっては、テレワーク下では担当者間で気軽に声を掛け合えないため、申請業務が滞ってしまうのではないかと不安に思われるかもしれません。しかし先述したように、ワークフローシステムは承認フローを可視化できるため、業務が滞る心配はありません。とりわけAppRemoなら、簡易チャット機能により担当者間のコミュニケーションもスムーズに行えます。さらにExcelでの申請書作成が可能で、複雑な操作も必要ないため、全社的なテレワークの実現をサポートしてくれます。

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ワークフローという言葉の意味から、ワークフローシステムの機能やシステム導入での効果や注意すべき点まで、ワークフローの基礎知識についてご紹介します。

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まとめ

稟議による決裁は、複数人による承認を経るため、情報共有や多重チェックに役立つという特長があります。他方その弊害として、決裁までのスピードが遅くなりやすく、それが業務全体の不要な停滞を招いてしまうことにもつながります。特に、ハンコ文化を伴う稟議決裁はテレワークとの相性が悪く、コロナ禍でも書類にハンコを押すためだけに出社する管理職の存在が話題になりました。

こうした稟議書による決裁を合理化する手段として有効なのが、申請業務のデジタル化を可能にするワークフローシステムの導入です。ワークフローシステムAppRemoは、申請業務のペーパーレス化を実現し、申請業務全体の合理化を支援します。稟議書決裁に課題を感じている企業様は、ぜひ導入をご検討ください。

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