稟議書の書き方とは? 必要な項目や例文までご紹介

 2024.01.29  株式会社システムエグゼ

稟議書の回覧による意思決定は、日本のビジネスで日常的に用いられる方法です。しかし、場合によっては回覧に時間がかかるほか、不正などのリスクもあります。そこで本記事では、稟議を適正かつ効率的に進めるために、必要な情報を漏れなく書くためのコツや稟議書の例文、留意しておきたいデメリットなどを解説します。

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稟議書を作成するときに押さえておきたいポイント

まずはじめに、稟議の概要と、稟議書を作成するときに押さえておきたいポイントを解説します。

稟議書とは

そもそも稟議とは、担当者の権限だけでは決定できない事項について、関係者の承認を書面で取り付け、効率的に決定するための仕組みです。可決に至るまでのフローとプロセスを適切に記録・管理することで、企業における意思決定の透明性を保つという側面もあります。

稟議は、申請事項についてまとめた文書を部署の上司や関連部署の担当者などに回付し、それぞれの権限者の承認を順番に得た後に、最終承認権限者の承認をもって可決されます。このときに回付される文書が稟議書です。稟議書の回付は、例えば物品の購入、新しい取引や接待、出張の可否、採用の有無などを各関係者がスムーズかつ合理的に判断するために行われています。

具体的にどのような場合に稟議を行うのかは、それぞれの企業によって異なります。いずれにしろ、稟議にはあらかじめ一定のルールが定められているのが一般的です。

例えば、「100万~500万円未満の新規取引を行う際は営業部門の主任、500万~1,000万円未満は課長、1,000万円を超える場合は部長に、それぞれ承認を得る」「生産部門への依頼は希望する納品日の7営業日前までだが、それより短い納期を希望する場合は営業部門の部長、生産部門の部長の両方に承認を得る」などが挙げられます。

稟議を上げるべきケースに直面したら、担当者は定められた規定に則って稟議書を作成した後、適切な承認権限者に稟議書を回付して、最終承認権限者からの承認・可決を得るというのが一連の流れです。

稟議書に盛り込むべき項目

稟議書を回付して承認を得ることで、会議を開かずに済み、時間やコストを削減できます。しかし、その際に決裁を行う各関係者とのコミュニケーション不足などが生じると、関係者すべての貴重な時間をかえって無駄にしてしまいます。そのため、稟議書の回付におけるミスコミュニケーションを減らすために、稟議書には必要事項を抜け漏れなく記載しなければなりません。

稟議書に盛り込むべき項目は企業によって異なりますが、基本的な記載項目は次に挙げるようなものです。

■決裁区分
関係者全員に結果とステータスが分かるようにする欄です(可決、否決、条件付き認可、保留、差戻しなど)。
■決裁日
それぞれの承認権限者が決裁した日を記入します。
■申請日
担当者が申請した日を記入します。
■件名
稟議の内容を端的に記入します(【1,000万円以上】新規取引申請、【希望日:〇月〇日】イレギュラー納品申請など)。
■承認欄
誰が承認したのかが分かるよう、承認者の氏名を記載します。「条件付き認可」の場合、条件を書き加えることもあります。
■稟議事項
具体的な内容だけでなく、実行する目的、背景、想定されるリスクなども明記します。
■金額
必要となる金額を記入します(購入・導入費用、初期費用、ランニングコストなど)。見積書を添付する場合もあります。
■効果
期待できる成果やメリットを定量的に記載します(「納品を2日前倒しにすることで先方の今期分の決算に間に合うため、さらに次期分として〇〇〇円の追加発注が見込める」など)。

「6W2H(いつ・どこで・誰が・誰に・何を・なぜ・どのように・いくらで)」を意識しながら、誰が読んでも情報を正確に把握できるような稟議書を作成しましょう。

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稟議書の書き方のコツ

稟議において、各承認権限者は基本的に申請者が稟議書に記載した情報のみで可否を判断することになります。そのため、適切な情報を整理して稟議書にまとめることが大切です。そうでなければ、各承認権限者は不適切な申請である可能性を考慮して差戻しにせざるを得ません。申請をする際は「可否を判断するための情報は自分しか持っていない」ということを念頭に置いて、次のようなコツをふまえながら稟議書を作成しましょう。

要点をまとめる

各承認権限者と申請者双方の労力を最小限にし、最短で確実に承認を得て次のステップに進むには、稟議書を分かりやすく簡潔に書くことが欠かせません。ざっと見るだけで全体像をとらえられ、可否を判断するためのポイントが明確になっていれば、各承認権限者はスムーズに承認作業を進められます。

そのためには、まず結論を最初に記載します。箇条書きやナンバリングも交えると、より読みやすくなります。冗長な文章はビジネスの現場では好まれにくいので避けましょう。複数の部署にまたがる場合は、現場でのみ通用する専門用語を使わないように注意が必要です。

また、むやみに【緊急】などを使うのは避けるべきですが、「先方の決済期日に間に合うように、〇月〇日までに稟議を通したい」という場合などは、稟議の期日も関係者すべてにしっかりと共有するようにしてください。

データを用いる

費用対効果について、データを用いて定量的に書くのも大切です。「〇〇のシステムを導入することで、作業時間が1人あたり50分/日ほど削減できる」など、メリットを具体的にイメージしやすいようにしましょう。その際は、試算の根拠も明確にしておくことが大切です。例えば効率化を訴えるのであれば「最も作業の手間がかかるのは工程Aで、全体の〇%を占めている。同システムは手動で行っていた工程Aの70%を事前のプログラミングによって自動化できるため、工程Aの負荷が〇%削減され、結果として全体の作業効率が〇%向上する」など、どのように効率化できるのかを詳しく書くことが大切です。ただし、稟議と直接関係のないデータを入れるのは蛇足となるので避けましょう。

メリットや必要な項目を明記する

稟議書には、自社にとってのメリットも明記しましょう。反対に、問題や課題、リスクやデメリットを隠すのは逆効果です。デメリットやリスクを記載する際は、発生し得るデメリットを評価・算定し、それらを管理して影響範囲を最小限に抑える対策についても付記しましょう。そうすることで、かえって稟議書の信頼性が高まります。

リスクを取ることを嫌う方も少なくありませんが、予測困難なVUCA時代の今、リスクは発生するものと考えて、素早く対応する姿勢が求められています。リスクはあってもメリットの方が結果的に上回るということを、論理的に説明しましょう。

承認者に事前に伝えておく

場合によっては、権限者に事前に口頭で案件の概要を伝えておくことも有効です。特に稟議に慣れていない担当者の場合は、先輩社員や直属の上司に相談を持ちかけ、あらかじめ添削や懸念点のリストアップなどをしてもらえば、稟議が通りやすくなります。さらに、法律やコンプライアンス、技術面などに関する懸念点があれば、該当する部署にあらかじめ確認を取っておくとスムーズです。

ただし、いくら口頭で内容を伝えているからといっても、稟議書に最低限記載すべきことを省略してしまうと、万が一その稟議に関するトラブルが将来起きた場合、承認に至った経緯などを遡れなくなる恐れがあります。そうすると稟議はもちろん、企業としての透明性も失われてしまうので、稟議書に書くべき内容を省かないよう、企業全体として取り組むことが大切です。

稟議書の例文4選

続いて、稟議書の例文をご紹介します。会社の規模や業種などによっても異なりますが、調整した上でテンプレートとして活用してください。

1.購買稟議書

■申請日:2023年12月1日

■申請者:〇〇〇〇

■件名:ITツールの新規導入について

■製品・サービス名:〇〇〇〇〇(〇〇〇プラン)

■提供会社:〇〇〇〇〇株式会社

■要件:稟議の申請フローの効率化を図るために、稟議の申請~承認までをオンラインでできるツールの導入を希望します。

■背景:現在、稟議書は紙で作成しています。しかし、用紙の補充・印刷から作成まで時間がかかり、承認のために一時帰社などを行わなければならず非効率です。また、紙の稟議書は保管のコストや盗難・改ざんのリスクもあります。

■効果:

  • 稟議書の作成時間が平均90分/1通→40分に短縮、申請~承認までの期間を平均10日→3日まで短縮することが見込めます。
  • クラウド上に履歴が全て保管されるため、紙の稟議書の保管・管理が不要になります。
  • 履歴をいつでも参照でき、透明性の担保とガバナンス強化につながります。

懸念事項は、サイバー攻撃などのセキュリティ面ですが、ベンダー側が常に最新の状態にアップデートするため、IT人材が不足している自社で独自に対策するよりも安全性は担保できます。導入にあたっては全社的に研修・トレーニングを行い、1か月以内に全員が習得し活用する予定です。

■費用:初期費用〇〇〇円、ランニングコスト〇〇〇〇円/年

■添付資料:製品パンフレット、見積書

2.新規取引の稟議書

■申請日:2023年12月1日

■申請者:〇〇〇〇

■件名:【新規取引】〇〇〇社とのコラボについて

■取引先名:〇〇〇株式会社

■資本金:〇〇〇円

■事業内容:〇〇〇〇

■社員数:〇〇〇名

■本社所在地:〇〇〇県〇〇市〇〇〇〇〇

■要件:販路拡大のため、弊社の製品〇〇〇とのコラボレーションを行いたい。既存ユーザーのメイン層は20~40代の女性だが、近年SNSを中心に若い男性の中でも認知が広がりつつあるため、男性の視聴者が6割を占める人気アニメ「〇〇」とのコラボを行うことで、認知をより拡大させたい。

■目標、効果:

  • 既存ユーザーにおける男女比率を、現状の「女性9:男性1」から「女性7:男性3」にする。
  • 既存ユーザーのマンネリ感の打破も期待される。

懸念点として、男性ユーザーに訴求したいあまり、既存の女性ユーザーに不快感を与える恐れがある。対策として、メインユーザー層の支持を失わないよう、健全なイメージの維持・強化を第一として企画にあたる。

■添付資料:〇〇社パンフレット

3.採用の稟議書

■申請日:2023年12月1日

■申請者:〇〇〇〇

■件名:営業事務の中途採用計画について

■目標:期日/2024年1月末日、採用部門:営業事務、人数:2名

■背景:営業部門において残業時間が45時間/月を超えるメンバーが3割程度いるため、営業活動の効率化・分業化を図るため、営業事務を1名増員したい。

■人材要件:

  • 営業事務、もしくは営業の経験者
  • 業界不問
  • 短時間勤務も可能
  • 雇用形態は正社員、もしくは正社員を前提としたアルバイト・パート

■募集手段:
転職メディアA:4週間100万円
アルバイト・パートの求人メディアB:4週間50万円

メインは大手の転職メディアAだが、ブランクがある方や短時間勤務希望者も採用対象であるため、間口を広げるためにアルバイト・パートに特化したメディアBも併用する。

■採用コスト:150万円。掲載を継続する場合、メディアAは50万円/2週間。メディアBは2週間まで追加無料。

4.交際費・接待の稟議書

■招待客:〇〇株式会社

■招待者:〇〇部長〇〇様、〇〇課長〇〇様 合計2名

■日時:2023年12月16日

■接待場所:レストラン〇〇〇 ランチご招待

■接待者:〇〇部〇〇〇

■要件:先方とは新規取引を行ったばかりですが、今後も我が社の製品・サービスを軸としたIT戦略を考えておられます。まずは業界のトレンドなどを知りたいとのことですので、気兼ねなくお話できる場としてランチ会へのご招待を検討しています。

■背景:先方は業界の動向について詳しくお聞きになりたいそうですが、部長が育児中で夜に外出するのが難しく、昼間であればお時間を頂けるとのことでした。

■予算:合計〇〇〇円(税込み)以内

■効果:先方のIT戦略のアドバイザー兼ベンダーとして信頼関係を構築することで、我が社の製品・サービスの長期的・継続的なご契約につながります。

稟議書のメリット

稟議書の回付を行うことで、次のようなメリットを得られます。稟議書を適切に活用し、業務効率化やガバナンスの強化につなげましょう。

会議を開かず承認者が承認できる

重大なことでない限り、複数の部署にまたがる承認権限者を一堂に集めて会議を開くのは、スケジュールの調整だけでも手間がかかります。一方で稟議書を回付すれば、決裁者が手の空いたタイミングで内容に目を通し承認できるため、関係者すべての貴重な時間を浪費することがありません。

必要な情報が共有されたうえで有意義な意思決定ができる

稟議書には意思決定に必要な情報が記載されているため、すべての承認権限者に情報が共有されます。そして、情報が精査されている状態であるため、素早い意思決定に寄与します。

内容がよく整理され必要事項が明確に書かれた稟議書は、それ自体が有意義な資料と言える存在です。承認権限者の意見や懸念点なども稟議書に残すことで、承認に至った経緯などが把握しやすくなります。

「いつ・誰が・何を」承認したか全体の流れを把握できる

稟議書には意思決定のプロセスを明確化し、ガバナンスを強化するという面もあります。どのような背景で申請に至り、誰が、いつ、どのような判断をしたのかを稟議書を通して一元的に管理することで、個々と組織全体の責任の所在が明確になります。将来的にトラブルが生じた場合も、どこに問題の原因があるのかを検証・証明しやすくなります。

稟議書のデメリット

多くのメリットがある稟議書の回付ですが、デメリットも存在します。次に挙げる代表的なデメリットを理解し、適切に稟議書を活用しましょう。

承認までに時間がかかる

まず、稟議書の作成そのものに手間がかかることが挙げられます。稟議書には、各承認権限者が承認するための情報を過不足なく書かなければなりません。しかし、不慣れな担当者が稟議書を作成すると、承認するために欠かせない情報が抜けていたり、反対にだらだらと長いだけで結論が書かれていなかったりしがちです。そういった場合、決裁者は判断ができず差し戻すことになり、迅速な意思決定ができません。

また、ひとつの稟議書を関係者全員が順番に回覧するので、それぞれが目を通し判断・承認するために時間がかかるのもデメリットです。誰かが外出中や休暇中などですぐに稟議書を見られない場合、稟議書の回覧がストップしてしまい、承認されるまでの期間がより長くなってしまいます。紙の稟議書であれば、書類の山に埋もれたまま、長期間気づかれないこともあるかもしれません。

稟議書の紛失や漏洩のリスクがある

特に稟議書が紙である場合、保管方法によっては紛失や漏えい、改ざんなどのリスクが高くなります。紙の稟議書は外部に持ち出すことが比較的容易です。コピーやスキャン、スマートフォンによる撮影によって流出する恐れもあります。また、稟議書が増えれば増えるほど検索性が下がるということも、デメリットのひとつです。

責任の所在が不明確になりやすい

稟議は関係者が多数いるため、一人ひとりの責任意識が薄くなりやすいという側面があります。十分に確認せず、提供された情報の矛盾などを見落としたり、判断を誤ったりすることも少なくありません。そうすると、後になってその稟議に関わる問題が発覚した場合、責任の所在が不明瞭になり、結果として組織的な意思決定プロセスの問題が外部からも問われることになります。

不正な申請や申請者自身も気づいていない欠陥を完全に排除することはできませんが、責任の所在を明らかにする仕組みづくりが重要です。プロセスを透明化したり、承認の履歴を閲覧できるようにしたりすることで、責任の所在を明確化しましょう。また、最終的に可決され、実行に移される前に、関係者の誰かが不備を指摘できる体制を構築することも大切です。

稟議書を電子化すれば承認までのスピードアップ!

ここまで解説したとおり、稟議書の回付は会議を開くことなく一定の事柄に対して意思決定ができる、効率的な仕組みです。しかし、特に紙の稟議書は、改ざんなどを比較的容易に行える上に責任が分散されることから、承認プロセスが形骸的になってしまいかねません。

その対策として有効なのが、稟議書の電子化です。稟議に特化したワークフローシステムを活用することで、デメリットの解消につなげられます。誰が、いつ、どのようなアクションを行ったかがすべて履歴として残るため、改ざんを防いだり、責任の所在を明らかにしたりすることが可能です。電子化というと導入や管理の手間がかかりそうなイメージがありますが、例えば「AppRemo(アップリモ)」というワークフローシステムは、現在使っているExcelの稟議申請書データをそのまま活用しながら、回覧を電子化できるサービスなので、今のフローを大きく変えずに導入することができます。

また、稟議書の電子化は、業務効率の改善にも有効です。紙の稟議書は作成に手間がかかる上、承認権限者の不在などが続けば可決までに長い時間を要します。しかし、オンラインで申請から承認までを完結できれば、場所と時間を問わずに回覧できるため、最終承認までにかかる時間を大幅に短縮できます。加えて、保管・管理も容易になるため、何か問題が生じた場合やレビューを行う際にも簡単に参照できるというメリットもあります。

まとめ

稟議書を回付することで、会議を開かなくても意思決定を行えるのが稟議という仕組みです。しかし、関係者すべてが倫理意識と責任を持って各プロセスに携わらないと、容易に意思決定プロセスが形骸化してしまい、組織のガバナンスを損なう恐れがあります。特に紙の稟議書では、その弱点が顕著にあらわれます。こういったデメリットは、稟議書の電子化によって解消が可能です。申請から最終的な承認に至るまでのプロセスを保管・管理するなど、稟議の透明性を担保しながら、プロセスをより効率化させる仕組みを構築しましょう。

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