近年、企業の業務効率化の中で重要施策とされるのが「ペーパーレス化」です。紙媒体の書類をペーパーレス化することでコストカット、業務効率の向上が実現できます。本記事では、紙媒体の書類で発生している業務上の問題点、ペーパーレス化のメリットやその必要性、ペーパーレス化の推進方法について紹介いたします。
ペーパーレス化とは?なぜ必要なの?
書類のペーパーレス化とは?
稟議書や経費精算書、発注書、見積書などの帳票をはじめ、FAXや郵便物、建設に使う設計図etc…、仕事には多種多様な紙媒体の申請書・書類が存在します。そのような紙媒体の書類を電子化し保存・管理することを「ペーパーレス化」といいます。では、ペーパーレス化はなぜ求めらえるのでしょうか。ペーパレス化は、大きく下記2つの視点から必要とされています。
ペーパーレス化の必要性1 ~ビジネスの視点~
業務で取り扱う書類を電子化することにより、業務効率の改善や費用の削減、セキュリティ面の強化、オフィスのスペースをより有効に活用できるといったメリットが期待されます。
また、昨今のコロナなどの影響で新しい働き方としてテレワークが主流になりつつあります。在宅勤務の流れに対応する上でも、ペーパーレス化の推進は非常に重要といえます。
ペーパーレス化の必要性 ~環境保全の視点~
視点を環境保全に向けて、ペーパーレス化の必要性を見ていきます。
書類として使われる紙は、木を原料としており、生産のためには森林を伐採する必要があります。二酸化炭素を酸素に変える森林が紙の大量生産によって減少しています。また、紙の製造や処分の過程でも二酸化酸素が大量に排出され、地球温暖化を促進することも問題視されています。
ペーパーレス化は政府主導のもと、国家単位で推進されている施策でもあります。法整備も進められており、1998年には「電子帳簿保存法」、2004年には商法や税法で保管が義務付けられている文書の電子保存を認める「e-文書法」が施行されています。「電子帳簿保存法」については2022年1月に改定され、ペーパーレス化はもはや企業単位の話ではなくなっています。また、2019年施行の「働き方改革」でも重要施策として「ペーパーレス化」が盛り込まれています。国策として取り組まれているペーパーレス化ですが、このように環境保全の背景も含まれています。
ペーパーレス化のメリットとは?
コストカット
メリットの1つ目は、コスト削減です。書類や資料などを紙媒体で保存・運用していると多くのコストが発生します。たとえば、紙の購入費、インクやトナーなどの印刷代、コピー機のメンテナンス代、書類の郵送代、社員同士が書類を持ち運ぶ時間やその人件費、書類の廃棄代などなど、紙を取扱うだけで発生するコストは様々です。書類を電子化することにより、上記のようなコストを軽減でき、書類を保管するキャビネットやロッカーなどのスペースも縮小できます。
セキュリティの強化
ペーパーレス化はセキュリティの強化にもつながります。
書類の場合、ロッカーにカギを付けて保管するなど、物理的な防犯対策が必要です。
しかし、書類を電子化すると、その書類には誰がアクセスできるのか制御できますし、アクセスしたのが誰か履歴も追えます。情報の持ち出しや改ざんといったリスクへの対策が容易になります。また、紙とは違い、劣化の心配がないこともメリットです。データのバックアップを取っておくことで復元も可能です。
申請書のペーパーレス化による、多様な働き方への対応
紙による申請・承認業務では、出社してオフィスで申請書を作成し上司に手渡し、上司のハンコをもらうことで決裁を進めていました。承認が取れた書類は、管理する社員がキャビネットで保管しなければなりません。これらのペーパーレス化が進むと、申請書の作成や申請・承認はWeb上で行えますし、物理的な保管場所も必要ありません。ペーパーレス化により、社員は時間や場所にとらわれることなく業務を進められます。在宅勤務をはじめとした多様な働き方に対応する上で、ペーパーレス化は必須と言えます。
企業のイメージアップ
企業は自社の利益の追求だけでなく、様々な社会的責任を果たすべきとする考え方が主流になっています。そのような時代の中で、環境保全の観点からペーパーレス化を推進する企業は、環境問題に対しても主体的に取り組んでいることをアピールできます。これは企業イメージの向上にもつながります。
業務の効率化・生産性の向上
書類のペーパーレス化の大きなメリットは、業務の効率化や生産性の向上です。
社内では、契約書や稟議書など、紙を扱った業務が日々発生しています。書類のペーパーレス化は、そうした手続きに関連する業務フロー全般を効率化します。次章でペーパレス化の効果について、具体的に解決していきます。
書類のペーパーレス化で、業務はどのように改善されるのか
書類作成の効率化
ペーパーレス化によって、書類作成の負担を軽減し、作成時間を削減できます。紙の書類では、誤字や必須事項の入力漏れなど人的ミスが発生しやすくなります。また、作り直しの際は、訂正線などが使えない場合は、もう一度はじめから記入しなければなりません。しかし、書類のペーパーレス化が進んでいれば、必須事項の入力チェックや、部分的な修正など細やかな対応が可能になります。
書類の申請・承認業務の効率化
紙の書類の場合、書類を手渡しするために社内を移動したり、他拠点への郵送など、回覧の手間が発生します。また、承認者がオフィスに不在の場合は、承認されるまで無駄な待ち時間が発生します。申請書をペーパーレス化しておけば、ネットワークを介して文書を速やかに確認することができ、どこからでも申請・承認業務を進められます。
書類管理・保管の効率化
書類のペーパーレス化は、管理・保管業務の効率化につながりますす。
紙媒体の場合、書類を種類ごとに分けて、キャビネットなど所定の保管場所へ収納する手間が発生します。また、監査などのタイミングで書類を探す際、収納した大量の書類から該当のものを探し当てる時間とコストは、非常に大きくなります。ペーパーレス化されていれば、書類はサーバー上にデータとして残せておけるため、書類の検索もフリーワード検索など容易に探し当てることが可能です。業務の必要に応じて書類の出力も可能ですので、書類管理・保管業務の大幅な改善、効率化に貢献できます。
書類のペーパーレス化推進のポイント
これまで、コスト削減やセキュリティ強化、企業のイメージアップ、そして業務の生産性の大幅な向上とペーパーレス化によるさまざまなメリットをご提示しました。次にペーパーレス化をスムーズに進めるためのポイントをご紹介いたします。
ペーパーレス化の必要性を社員が理解する
ペーパーレス化の実現には、ペーパーレス化を起案した部署だけでなく、現場の従業員を含む全社員が、ペーパーレス化の必要性を理解し取り組むことが重要です。全社で取り組むために、経営層はペーパーレスの目的や、導入効果を把握し、ペーパーレス化の推進方法を明確に提示する必要があります。
また、現場の従業員に対してはどのようなメリットがあり、業務にどのように影響があるのか理解してもらえるように周知しておくことも大切です。
全社にペーパーレス化の必要性が浸透すれば、より円滑なペーパーレス化が進められるのです。
段階的にペーパーレス化の取り組みを進める
社内の書類をいきなりペーパーレス化しようとすると、その業務を担当している社員の負担が大きくなります。現場の状況を把握していないペーパレス化の推進は、結局のところ、浸透せず従来のやり方のまま取り組みが停滞してしまいます。
ペーパーレス化を効率的に進めるために、まずは部署や業務単位で、対象を段階的に絞って開始することをお勧めします。特定の業務に絞って、現状の課題を把握、対処方法を立案、取り組みの目標・効果を設定し実施スケジュールを立てる・・といったかたちで計画的に進めていきましょう。
そして、実施後の効果測定を行い、次はもう1段階、対象範囲を広げてペーパレス化に取り組むといったサイクルを繰り返していきます。PDCAをまわしながら計画的に進めていくことで、現場の混乱を最小限にしつつ、的確にペーパレス化を推進していくことができるでしょう。
まとめ
今回は、ペーパーレスの必要性やメリット、推進のポイントについて解説しました。ペーパーレス化は、業務効率化や生産性向上、コスト削減だけでなく、環境保全の観点で企業のイメージアップにもつながります。
ペーパーレス化の第一歩として、まずは社内の申請書類の手続き効率化からスタートしてみてはいかがでしょうか。
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