電子書籍や電子ノートなど、紙の書類を電子化することを「ペーパーレス化」と呼びます。既存の紙の書類や資料などを電子化して保存する企業も増えてきております。では、ペーパーレス化がもたらす効果とその推進方法はどのようなものなのでしょうか。この記事では、紙の資料の電子化を検討している方に向けて、ペーパーレス化の現状・課題から導入によるメリット・デメリット、タブレット活用、そして導入推進方法をご紹介いたします。
ペーパーレス化とは 導入への課題
ペーパーレスとは、社内の稟議や資料などの紙の媒体を電子化して保存、保管することを指します。紙をなくすことが主目的ではなく、社内の文書や書類資料、請求書、掲示物などを電子化することによる、業務効率の改善が主な目的になります。
今の時代は特に、新型コロナウイルスの感染対策として在宅勤務を実施している企業も多く、文書のデジタル化は進んでいるものの、資料のペーパーレス化にはいまだ多くの問題があるのが現状です。ペーパーレスで働くためのパソコンやツールなどの設備の不足、コピー機やFAXなど家と会社の機材格差、在宅勤務について社内の規定整備が整っていないなどの背景があります。このような理由から、申請書にハンコを押すためだけに会社に出社する必要がある、というの問題が発生しています。企業でペーパーレスの文化を根付かせるためには、これらの課題への対策が必要です。全社でペーパーレス化のメリット・デメリットを理解して対策に取り組んでいかなければいけません。
ペーパーレス化のメリット
では、ペーパーレス化にはどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。ではまず、ペーパーレス化のメリットを6つご紹介します。
業務効率の改善、向上
社内である書類を探さないといけなくなった場合、しっかりと整理された書類ならば該当の書類を探し出すことは簡単かもしれませんが、もし整理されていない、もしくは膨大な書類の山から探さなければならないとなったらと考えるだけでも、非常に効率が悪いことがわかります。文書がペーパーレス化されデータとして扱えるようになることにより、例えば、ソフトの検索機能を使えば該当文書を迅速に探し出すことが可能となります。また、タイトルや内容などの種類ごとにフォルダを分ければ、お目当ての書類がどこに入っているのかが、検索も容易になります。
書類を使った業務は部署によって異なりますが、特に人事や総務部の方の場合、監査や社会保険、労働保険に関する手続き書類など、重要な情報が未だに紙媒体で残されている企業も少なくありません。目的業務に応じたシステムを導入すれば、ペーパーレス化を推進するだけに止まらず、業務効率は大幅に向上します。
コストの削減
ペーパーレス化の大きなメリットとしてコストが削減できるという点があります。用紙代や印紙代、インク代、印刷機器などの維持費用、社内や客先へ資料を送る際の郵送費、廃棄費用etc…、紙に関連するコストは意外と数が多く、これらを大幅に削減可能です。また、印刷機と自席を移動する時間、発送準備などの手間も省略できるため、時間的・人的コストの削減も期待できます。
社内スペースの有効活用
紙媒体での保管は必要なくなるため、その分の社内スペースを有効活用できます。また、資料を保管するために使うキャビネットやバインダーなどの備品も必要なくなるため、備品コストの削減にもつながります。
セキュリティ強化
ペーパーレス化されてデータ化された資料は、パスワードやアクセス権限が設定可能です。社内でパスワードやアクセス権限の管理を徹底することで、情報漏えいのリスクを低減できます。さらに、紙の資料では紛失や物質的な紙の劣化も発生する可能性がありますが、データ化することでその点も心配なくなります。
災害時の資料破損への対策
紙の資料はその「紙」という性質上、火災や水害などに弱いです。そのため万が一の災害時には、破損や紛失の可能性があります。
ペーパーレス化された資料はデータのバックアップや複製が容易です。また、クラウドなどでデータを保管する場合、会社が災害に巻き込まれたとしても、データは別の場所で保管してあるので、災害からの復旧も迅速に進められます。
ペーパーレス化による在宅勤務やタブレット操作の対応
昨今のコロナの影響で在宅勤務に業務形態が変わってきた方も多いかと思います。在宅勤務では、会社から物理的に離れた場所で業務を行うという性質上、必要な書類はどこからでも閲覧できなければ業務効率は出社時に比べて格段に落ちます。わざわざ書類の捺印のためだけに出社するような状態では効率的とはいえません。
また、在宅勤務や出先でタブレットやノートPCにて、データをクラウド上に保管することができるようになるなど、ペーパーレス化は、時代に合わせた働き方を実現する上で、必須と言えます。
ペーパーレス化のデメリット
ペーパーレス化のメリットは以上の点が挙げられます。しかし、ペーパーレス化のメリットばかりに目を向けて、バラ色の導入効果だけをイメージしてはいけません。理由はペーパーレス化には当然デメリットがあるため、しっかりと整理して、取り組むべきだからです。では次に、ペーパーレス化のデメリットを2つご紹介します。
導入コスト
ペーパーレス化を進めるにあたり、紙媒体を取り込むためにスキャナーなどの準備が必要です。また、申請業務の電子化や勤怠管理の電子化など、目的に応じたソフトが求められます。加えて、ソフトを閲覧するためのパソコンやタブレットなどの準備、セキュリティ対策のためのソフトウェア導入、社内でのデータ取り扱いのルール整備、ネット環境の整備なども必要になります。
システム障害時に影響を受ける可能性がある
クラウド上に資料を保存する場合、ネット環境やクラウドサーバーに障害が発生した場合、資料へのアクセスができなくなる可能性があります。また、サーバーやPC・タブレット端末が故障すると、データが失われてしまう危険性もあります。対策として、システム障害が発生した際の対応やバックアップを取るなどの準備をしておくことが重要です。
社内でペーパーレス化の導入を推進する方法とステップ
ペーパーレス化のメリットとデメリットが整理できました。いよいよペーパーレス化の導入を推進していくとして、どのような方法やステップがあるのでしょうか?ペーパーレス化の導入を推進する方法とステップを5つ解説いたします。
紙で行っている業務や該当資料をピックアップ
始めに、現行の業務の中で、紙で業務を行なっているものは何があるか確認します。ペーパーレス化が可能であるかを判断するために、該当資料を分類分けし、誰が何のために使う資料なのかを洗い出しましょう。
ペーパーレス化ができる業務か判断する
洗い出した資料を使う業務が、ペーパーレス化可能な業務かそうでない業務なのか切り分ける必要があります。顧客に対して紙媒体での提出が必須になっている書類や、法律で紙媒体での提出や保管が定められている資料を使った業務以外は、社内調整や業務フローを改めることで、ペーパーレス化が実現可能です。
ツールやシステムを選定
ペーパーレス化が可能な業務を決めることができましたら、ペーパーレス化したい業務に対応できるツールやシステムを選定する段階に入ります。社員が各自でデータを管理する方法もありますが、業務効率化の観点で言えば、クラウドサービスや文書管理システムなど、目的の業務に応じたシステムを導入することがおすすめです。
ペーパーレス化の目的や効果を社内へ周知する
社員からペーパーレス化の目的や効果に対する理解を得られてから導入に進まなければ、社員は従来の慣れた方法に戻ってしまい、結局ペーパーレス化が実現できないことも考えられます。また、新しいツールを使いこなせず、逆に非効率になってしまう場合もあります。
そのため、なぜペーパーレス化するのか、業務がどのように効率化されるのか、その目的やメリットを従業員に周知することも必須です。また、従業員がすぐには新しいツールに対応できないことも考えて、マニュアルを用意する、試用期間を設ける、サポートデスクを設置するなどのヘルプも考えておくと尚良いです。
導入後の運用効果を可視化する
ペーパーレス化により「業務効率が向上する」と言われても、抽象的なイメージがします。具体的なイメージを持てるよう、できれば数値としてどのくらい効果があるのかを可視化しておくと良いです。例えば、稟議書を一枚最終承認まで進めるにあたり、今までは合計20分かかっていた業務が、申請書のペーパーレス化により、合計10分まで短縮できますというような数値です。効果を実感することで、ペーパーレス化の推進にもつながります。
まとめ
ペーパーレス化の実現に対してITツールやシステムの導入は、有効な手段のひとつです。例えば稟議書の申請などの社内決裁には電子決裁システム、社内文書の管理にはファイル共有システムや文書管理システムといったように、目的に応じてシステムは多数存在します。システム導入には、少なからずコストがかかります。しかし、業務効率の向上やコストの削減、セキュリティ強化などのメリットや得られる効果などをトータルで考えると、システムを利用したほうが効率的と言えます。
ペーパーレス化を推進する上で特におすすめしたいシステムの具体例として、「AppRemo(アップリモ)」をご紹介します。「AppRemo」は稟議書などの社内の申請業務を電子化するワークフローシステムです。申請書は全て電子化されてデータとして保管され、過去の申請書も簡単に検索可能です。申請書の作成はWeb上ではなくExcelで作成できます。現在、Excelファイルの申請書を印刷して稟議書を回している会社であれば、そのExcelファイルをそのまま流用できるので非常にユーザーに親しみやすいワークフローシステムです。もしよければお試しください。この記事が読者の皆様のお役に立てますと幸いです。
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