昨今、我々の日常生活には様々な変化があり、テレワークでの勤務を長期間行っている人も多いのではないでしょうか。
この長期間のテレワークで困った事として、人とのコミュニケーションを挙げる人が多くいるそうです。
コミュニケーションは誰しも毎日必ず行っていることです。
今回はテレワークにおけるコミュニケーションについて考えてみようと思います。
変わるコミュニケーション
テレワークになるとコミュニケーションの質が下がると考えてしまいがちですが、あくまで対面のコミュニケーションとは「違いがある」ということを意識する必要があります。
そしてその違いに適応していくことで、テレワークのメリットを享受することにも繋げていきましょう。
伝わらなくなること
とは言え、テレワークのコミュニケーションは対面のコミュニケーションと比較して、伝わらなくなることがあることも事実です。
対面でのコミュニケーションでは、言葉にしていない事でも身振り手振り、仕草、表情など、
なんとなくの空気感や雰囲気で伝わることがあります。
また、同じオフィスで毎日顔を合わせて働いていると、特に直接会話をするわけではない人でも、
「仕事が忙しそう」「元気がない」「機嫌がいい」など、色々とわかることがあります。
テレワークでは、この「言葉にしなくても伝わること」「なんとなく伝わっていたもの」がなかなか伝わりづらくなります。
明確な情報伝達
このようにオンラインのコミュニケーションでは「雰囲気」は伝わりづらくなると考えていいでしょう。
そのため、より意識して明確に言葉を伝えることが重要になってきます。
心構えを変える
なんとなくみんなが互いに互いを察してスムーズに仕事ができる、という事は非常に楽で素晴らしいのかもしれません。
しかしテレワーク時に限らず、価値観の多様性が増している現代では、「察してもらおう」というスタンスは通用しなくなってきているのではないでしょうか。
特に自分の思考や感情は言葉にしなければ伝えることはできません。
相手に伝わらないのであればそれは相手の気が利かないのでは無く、自分の伝え方が良くなかった、と考えるべきでしょう。
(その方が自分の成長にも繋がりますね)
日本語は曖昧
日本語には曖昧な表現がとても多くあります。それが日本語の面白さや表現の幅でもあるのですが、ことビジネスの場においては曖昧な表現は余計なトラブルの元になります。同じ言葉でも、状況、人、文脈によって受け取り方が変わってしまうような言い方は、極力避けるべきでしょう。
例:「いいです」「大丈夫です」
レジでレジ袋を使うかどうか聞かれた時によく言いそうな言葉ですね。日常生活でもよく使うこの言葉は、文脈や相手の受け取り方次第でYesともNoとも取れてしまいます。
「お願いします」や「結構です」等、Yes/Noがはっきりする言葉を使うようにしましょう。(レジでも!)
例:「すぐ終わります」「そんなにはかかりません」「あとちょっとです」
たとえば上司から、お願いしている仕事があとどれぐらいで終わりそうかと聞かれた時にこんな返事をしたら、上司はあとどれぐらいで終わりそうだと解釈するでしょうか?
これは完全にその時の状況や言っている人に依存してしまいます。
10分以内、1時間以内、今日の定時まで、など誰にでもわかる明確な指標を使うようにしましょう。
Web会議
次にWeb会議にフォーカスして考えてみましょう。
テレワークが世間的に受け入れられてきた昨今、社内外問わずちょっとした会議ならWeb会議で済ませる、といった場面は多くなっているのではないでしょうか。
チャットやメールと比較して素早い情報伝達ができてとても便利なWeb会議ですが、ここでも注意するべきことはいくつかあります。
会話はキャッチボールです
Web会議ではカメラがONの場合とOFFの場合があります。
(カメラON/OFFの是非については色々な意見があるかと思いますが、ここでは省略します)
注意点は、カメラがOFFの場合には声を出さなければ相手に伝わる情報量は0、ということです。
自分が喋っている時に、相手から一切の反応が無かったらどう思うでしょうか?
私は「声が聞こえていない…?」「ちゃんと聞いていない…?」「話についてこれていない…?」など思い、すごく不安になります。
言ってみれば暗闇にボールを投げ続けている状態です、怖いですね。
ここで必要になってくるのが相槌です。
相槌があると、まず相手がちゃんと話を聞いていることがわかります。
そして相槌の言葉やトーンで、話に対する相手の感触や理解度も知ることが出来ます。
「はい」「なるほど」「~ってことですね」などなど、適度な相槌を挟むことで、
円滑なコミュニケーションにつながります。
カメラがONでも対面の会話であっても、適度な相槌を入れた方がスムーズなコミュニケーションができると思います。
相槌、とても大切です。
ちょっとした雑談もあり
オフィスで働いている時でも、お客様先への移動中、会議室への移動中、休憩中などに、
仕事とは関係の無い雑談をすることはよくあったと思います。
これは言ってしまえば仕事に直接関係のないコミュニケーションで、無駄な時間と捉える人もいるでしょう。
しかしこれらの一見無駄とも言えてしまう雑談には、様々なメリットがあります。
いくつか例を挙げると
- 気分転換/ストレスの発散ができる
- 業務状況以外の相手の状況を知ることができる(心境・コンディション)
- 円滑な関係を築くことによって仕事のやりとりもスムーズになる
- 考えの整理やアイディアの発見ができる
このように仕事に直接繋がるメリットも沢山ある雑談、とても無駄と切り捨てることは出来ないですね。
しかしテレワークではこういった隙間時間で行っていた雑談が、意識して行わなければ一切行われなくなってしまいます。
週に1回雑談だけをする時間を取るようにする、といった取り組みを行っている会社もありますが、これは会社や上司の理解が必要となり、なかなかできないという人もいるかと思います。
そこで簡単にできる対策として、Web会議で通話が繋がったらすぐに主題の話を始めて要件が終わったら通話を切るのではなく、通話の前後どちらかであえて少し雑談をしてみるのはどうでしょうか。
ほんの短い時間でも雑談を交わすことで信頼関係の構築や色々な気付きを得る機会になると思います。
雑談も仕事のうちと考え、積極的に雑談をしていきましょう。
チャット
次はチャットにフォーカスしてみます。
テレワークの中で、Web会議で話すほどでは無いことやちょっとした情報共有、報告の際に
SlackやTeamsなどのチャットツールを使うようになった人も多いのではないでしょうか。
チャットはメールよりも素早くコミュニケーションが取れて、記録にも残るので、テレワークでなくても業務に活かしていきたいツールです。
このチャットのコミュニケーションにおいても、注意しておくべき点があります。
文章が与える印象
チャットは会話のようなテンポで連絡をとるので、比較的短い返信でやり取りすることが多くなります。
しかし、短く簡潔な返信は確実に情報が伝わりはしますが、冷たい印象を与えることもあるので注意が必要です。
例えば作業を依頼した際に、「了解」とだけ返信が来たらどんな印象を受けるでしょうか。
これはチャットのやり取りをしている2人の関係性にもよりますが、人によっては「不機嫌なのかな…?」と不安に思ってしまう人もいるかもしれません。
やり取りがオンラインになっても、コミュニケーションはあくまで人と人の間で行われるものです。
効率や実用的な面だけでは無く、相手の心情への配慮もできると良いですね。
シンプルな対策として、感嘆符を付けてみるだけでも受ける印象が少し変わります。
- 「了解」→「了解!」
- 「完了しました」→「完了しました!」
元気に返事をしている感じがしますね。
また、あえてカジュアルな表現にしてみるのも有効な対策です。
- 「了解」→「OKです」
- 「少し待って」→「ちょっと待ってね」
もちろん相手を選ぶ必要はありますが、実際の会話ではこういった言い回しも使っていたのではないでしょうか。
この発展として、あえて通常の文章では入れないような口語を入れてみると、文章では伝わり辛い細かいニュアンスを伝えることができます。
- 「あ、そういえば~」
- 「うん、~」
- 「うーん、~」
普段硬い文章を書くことが多い人は初めは少し変な感じがするかもしれませんが、頭の中で会話をしているイメージで、出てきた言葉をそのまま文章として書くことを意識すると、適度に口語を織り交ぜることができると思います。
その他、指示を出す時の文章はどうしても高圧的になりがちです。
伺う形にすることで柔らかいニュアンスになるので、こちらもオススメです。
- 「A社の件、メール返信しておいて」→「A社の件、メール返信しておいてもらえる?」
使い分けが大切
直接の会話や電話、Web会議は相手に言葉を投げかけて即座に相手の返事を受け取る、という同期型コミュニケーションです。
素早いやり取りが可能なメリットがある一方、強制的に作業が中断されるというデメリットもあります。
チャットも会話のようにやりとりをする事がありますが、チャットはあくまで非同期型コミュニケーションです。(メールも同様)
自分の都合の良いタイミングで返事が可能なメリットがある一方、相手からすぐに返事がくるとは限らないというデメリットもあります。
普段はお互いの業務を中断させない、チャットやメールのような非同期型コミュニケーションを行いつつ、緊急時やリアルタイムの返事が必要な時には、電話やWeb会議のような同期型コミュニケーションに切り替える等、適切に使い分けることでそれぞれのメリットを活かしていきましょう。
おわりに
今回継続的なテレワークを行うようになったことで、今まで意識せず行っていたコミュニケーションについて、その意味と大切さを考える機会を得ることが出来ました。
テレワークにおけるコミュニケーションは場所に依存しません。
そこで、単純に不足するコミュニケーションを補うだけではなく更にその先、オフィスや席の配置に依存しない全社でのコミュニケーションを取る機会だと考えることもできるのではないでしょうか。
テレワークに対応した会社としての制度の整備など、大きな課題と比べてコミュニケーションの課題は小さいもののように感じてしまうかもしれませんが、全員が毎日行っているコミュニケーションこそ、すぐに改善することができて大きな影響があるものです。
今後もテレワークを上手く活用していくためにも、まずは簡単にできることからでも始めてみてはいかがでしょうか。
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